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株式会社銀座もとじ

「着物への情熱」をカタチに

株式会社銀座もとじ 代表取締役社長 泉二 弘明

古くから日本の中心地として多くの人々で賑わう街、銀座。マクドナルド1号店が開店するなど流行の発信地でありながら、歌舞伎座や老舗百貨店が立ち並ぶなど古風で上品な雰囲気を感じさせる。その場所で、日本の伝統である「着物」の販売を行っているのが、銀座もとじだ。「自然の素材」と「自然が持つ風合い」にこだわった店舗には、老若男女問わず多くの方が、同社の着物を求めて訪れる。日本初である男の着物専門店のオープン、世界初である雄だけの蚕で作られる品種「プラチナボーイ」の商品をプロデュース。「新しい時代の新しい着物店を目指して」という経営理念のもと、多くの挑戦をしてきた同社の歴史を、創業者である泉二(もとじ)社長に伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

「着物にかける情熱」が、同社の歴史を築き上げる

同社の社風を語る上で、欠かすことができないキーワードとなるのが「熱さ」だ。泉二社長は、着物の販売を「人に夢を与える商売」だと例えた。着物の購入は、決して安い買い物ではないだろう。だからこそ、お客様は夢や希望を販売員に託す。その思いに応えるために、販売員の「着物にかける情熱」は欠かすことができない。絶えず商品知識の勉強に勤しむこと、お客様一人ひとりと真摯に向き合うこと。同社の社員は、お客様の「喜び」のために努力を惜しまない。また、数十年前は「銀座もとじ」の名前すらなかったところから、現在は日本の中心である銀座に、専門店を3店舗構えるまでになった。そうした歴史に教わるかのように、「できない」ではなく「どうすればできるか」を追求する社員が多い。「熱い人たちがチームになったら、どんなことでも実現できる」と泉二社長が話すように、同社では夢ある人々が一致団結し、日々新たな挑戦に向けて闘志を燃やしている。

「顔の見えるものづくり」が多くの人々の幸せを生む

「物ではなく、物語を売っている」と語る、泉二社長。「物語を売る」とは、どういうことか。それは、「着物の製造に関わる全ての人の、顔が見えるものづくりをしたい」という泉二社長の思いに隠されていた。着物づくりには、養蚕農家、糸、染、織など多くの人が関わっている。同社では、着物の原点となる蚕を育てる養蚕農家との繋がりも大切にしている。着物を購入予定のお客様が、養蚕農家へ足を運ぶ機会を提供している、というのが驚きだ。お客様が、養蚕農家に出向き、蚕の餌である「桑の葉」を摘むところからスタートする。「良い糸を作ってください」と思いを込めて、蚕に餌をやる。後日、蚕がはいた繭から絹糸が作られるところを見学する機会も設けている。一方、養蚕農家の方々が、同社の店舗にてトークイベントを開催することもある。自身が育てた蚕から作られた着物を纏った人々の笑顔を見た瞬間、感動の涙が店内に溢れるという。このように、「顔の見えるものづくり」が多くの人々を幸せにしている。

「伝える職人」が今後の銀座もとじを担っていく

「伝える職人を育てていきたい」と泉二社長は話す。若い人にも、着物の魅力を「伝える」、海外の人にも、日本の伝統文化の素晴らしさを「伝える」。しかし、泉二社長の話す「伝える職人」とは、着物の良さを広めるだけに終わらない。「作り手の思いを伝える職人」こそ、同社の発展に欠かせない存在だという。一枚の着物の完成までに、多くの人が携わる。長い時間と手間をかけて作り上げるからこそ、一枚の着物に込められた思いは大きなものとなる。その熱い思いを「伝える職人」、つまり、お客様に届けることができるプロの販売員を育成することは、小売店である同社の使命だ。こうした「思いのバトンリレー」は、同社が創業時から大事にしてきたことであり、今後の発展にも必要不可欠である。引き継がれてきた「思い」を、今後は海外での店舗出店やネット販売の強化など、更に多くの人々へバトンを繋いでいく。
「店づくり」にも素材へのこだわりが込められている
「男のきもの」では無料の着物講座も行っている
農林水産大臣賞を受賞した「プラチナボーイ研究会」

夢を形にしてきた歴史が、現在の「銀座もとじ」を生んだ

―創業の経緯を教えてください

元々、箱根駅伝の選手に憧れて上京しました。しかし、大学入学後数ヶ月で怪我をしてしまい、その夢は諦めることとなったのです。長い入院生活、リハビリ期間を経て、人と会うことすら嫌になっていた私に、一つの転機が訪れました。それは、父の形見である「大島紬」を何気なく羽織った21歳の夏。父に、「お前には着物があるではないか」と言われた気がして着物の道に進むことを決めました。一度きりの人生とことんやりたい、という思いで30歳での独立を決意。独立資金を貯めるために、チリ紙交換の仕事を行っていた時期もあります。「どうせやるなら、世界に通用する銀座に店を出そう」という夢を持ち、ちょうど30歳でそれが叶えられた時は、本当に嬉しかったですね。

―「銀座もとじ」が挑戦してきたことを教えてください

「他がやらないことをやる」、この考えを創業時から意識しています。中でも、2002年に日本初である「男の着物専門店」をオープンしたのは大きな挑戦でした。オープンを決意した1995年は、国際交流が多く、ビジネスマンが海外に出向く機会が増え始めた頃です。外国で日本人が、着物で勝負できる時代が来るだろうと考えました。また、この店では「仮縫いサービス」も行っています。これも業界初のことで、導入当初は周囲からは猛反対を受けました。通常、採寸後にすぐ仕立て始めるのですが、仕立ての前に実際に着装することで、フィット感を確認するための工程です。この作業を行うことで、より一人ひとりの身体に合った着物の提供が可能となりました。

―着物を扱うにあたって大切にしている考え方を教えてください

「チームでのものづくり」を大切にしています。着物を作るにあたって、生産者である養蚕農家の方から製糸・製織、そして我々のような小売店までが「一つのチーム」として、お客様に最高の着物を提供できるよう日々奮闘しています。チームにすることで、製造に関わる全ての人の名前を見える化することが可能です。そのため、一人ひとりが「着物をつくること」について大きな夢や誇りを持ち、胸を張って「ものづくり」に携わることが出来るのです。より良い着物づくりを追求していくために、チームであることは必要不可欠なことです。また、すべての工程が見えるからこそ、お客様は安心して着物を手に取ることができるでしょう。「チームでのものづくり」は、多方面に幸せを感じてもらえます。

「銀座もとじのファン」だからこそ提供出来るサービスがある

株式会社銀座もとじ 「和織・和染」店長 野田 公子

今回お話を伺ったのは、入社14年目となる野田さん。現在、店舗での着物の販売と、新人教育を行っている。同社の経営理念の一節には、「信頼」「感謝」「夢」という言葉が並ぶ。実際に、野田さんへのインタビューの中で、その3つの言葉が同社の礎となっていることが、ひしひしと感じられた。日本の中心である銀座で、日本の伝統である着物を販売している野田さんは、「より多くの人に、着物の魅力を伝えていきたい」という思いで、日々笑顔でお客様を迎える。今回は、その笑顔を生み出す「接客のやりがい」や「今後の夢」などのお話を伺った。

伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い

学生時代から憧れていた「銀座もとじ」

「銀座もとじのファンであった」、これが入社をした大きな理由である。学生時代、お客さんとして同社の店舗を訪れた野田さん。その際に、こだわり抜かれた店構えや丁寧な接客に心を打たれたという。その当時を振り返り、「学生である自分にも、凄く丁寧に接してくれたことが嬉しかったですね」と笑顔を見せる。当時、同社は新卒採用を行っていなかったため、大学卒業後は別の着物チェーン店に入社をした。自身が販売員として日々接客する中で、「銀座もとじ」の丁寧な接客が忘れられず、2002年に同社に中途入社をすることとなった。実際に、「着物にかける情熱」が溢れる店舗で働くことは、野田さんにとって長年の夢が叶った瞬間である。「好きな仕事だからこそ、続けられる環境があるなら続けたい」と話すように、1年半の産休・育休の期間を経て昨年、職場復帰を果たしたという。「銀座もとじのファン」であることは、今でも変わらないのであろう。

コミュニケーションの中で信頼が生まれる

「自分を信頼して、来店してくださるお客様がいることですね」と、野田さんは話す。同社の和織の店舗で行った取材中も、絶え間なく多くのお客様が訪れていた。店内にある、栓(落葉広葉樹の種類)の一枚板で作られた大きなテーブルを囲むと、自然とお客様同士の会話も生まれる。その中には、野田さんと話すことを楽しみに来ているお客様もいた。「最近どうですか?」とお互いに聞き合うように、同社が創業時から大切にしてきた「心をつなぐ」光景が見受けられた。野田さんが、今までお客様からいただいて嬉しかった言葉の一つに、次のような言葉がある。「成長したわね」。これは、何年もお付き合いのあるお客様からいただいた言葉だという。このように同社には、お客様に寄り添うからこそ、商売を超えた関係性が生まれるのだ。「販売を通して、お客様に成長させてもらっていますね」と野田さんは、笑顔で締めくくった。

商品に込められた思いを届ける役目として

野田さんの夢は、1から10まで全て分かるようになること。つまり、仕入れから販売まで全てに携わることだという。同社では、原料となる蚕の産地に訪れることや、着物の本場である京都に仕入れに行くなど、着物づくりに関わる現場へ直接出向く機会を大事にしている。だからこそ、野田さんは「現場で見てきたことや現場の方々の思いを、伝えていきたい」と語る。商品に込められた多くの人の思いを伝える役目は、小売店の販売員に託されているだろう。エンドユーザーであるお客様へ、商品そのものだけでなく、たくさんの人の思いを届けることができるのは販売員の醍醐味である。だからこそ、商品が完成に至るまでの背景を理解する必要があるのだ。その上で、「お客様に夢を提供する立場」として、扱う商品に真摯に向き合い続けていく。
毎年恒例、銀座に唯一ある小学校での「柳染め授業」
「納屋」と「IT」をコンセプトにした店づくり
多くの人が関わる、顔の見えるものづくり

「銀座もとじ」が大切にしてきたものを次の世代へ

―泉二社長はどのような方ですか

非常に「熱い」です。熱くて、芯がぶれない方ですね。私たち社員とコミュニケーションを取ることを大事にしてくださっているので、社長の「着物にかける情熱」が社内に浸透していると思います。また、社長自身が創業からの歴史の中で、多くの夢を形にしているため、社員にも「夢を持つことを大事にしなさい」とよく仰っていますね。例えば、「銀座にお店を持ちたい」、「生産元である養蚕農家と契約をしたい」など、社長は多くの夢を実現してきました。このように、夢を持って、その実現のためにはどうすべきか追求してチャレンジしてきたことが、現在の「銀座もとじ」の礎であると思います。

―普段の仕事の中で心掛けていることを教えてください

新人教育において、「声を掛け続けること」と「明確に教えること」を意識しています。産休から復帰をして、新人教育にも携わらせていただくようになりましたが、その社員たちの成長が見られることは嬉しいですね。その中でも、個々が設定した目標に対して声を掛け続けることで、目標達成に向けて意識を高く持ってくれます。また、販売職だと、背中を見て学ぶスタンスになりやすいのですが、なるべく言葉で具体的に伝えるようにしています。言葉で伝えることで、これまで弊社が大切にしてきた「接客の心構え」を、新人の方にも継承していけると考えています。

―銀座もとじの良いところを教えてください

扱っている商品に嘘がないことですね。着物づくりに誇りを持っているのはもちろんですが、着物が完成されるまでに関わった方々の思いを、我々販売員がしっかりとお客様に伝えることができる環境があります。例えば、商品に関することを学ぶ機会が多くありますね。着物を販売するにあたって、商品知識が豊富であればあるほど、お客様のニーズに応えることができます。そのために、生産元である現地に出向いて勉強をすることもあります。もし、その場に行けなくても、必ず社内で勉強会が開かれるなど、弊社には「チームとして、成長していく環境」が整っています。だからこそ、商品に対して真摯に向き合うことができるのです。

監修企業からのコメント

今回ご取材させていただきまして、「物ではなく、物語を売っている」という泉二社長の言葉が印象に残りました。生産者からお客様まで、着物に関わるすべての人々の幸せを願う泉二社長の思いが溢れていました。また、取材を行った同社の店舗はテーブルや襖だけでなく、床や壁に至るまで「着物を輝かせる舞台」としてのこだわりを感じられました。店舗に着物で来店していたお客様を見て、私も和服をサラリと着こなしたい!と思いました。

掲載企業からのコメント

この記事を通して、より多くの人に「着物の魅力」が伝われば嬉しいですね。こうした取材を受けることで、弊社の歴史や創業時から大事にしてきた思いを、改めて社内に伝える機会となりました。社員が更に、「着物への情熱」を持ってくれるきっかけとなれば幸いです。

株式会社銀座もとじ
1979年 6 月 「もとじ呉服店」を個人創業
1983年 9 月 「有限会社 もとじ織物」 会社設立
1988年11月 銀座2丁目に路面店「有限会社 もとじ織物」をオープン
1997年10月 新ブランド「弘明(こうめい)」発表会開催
1998年 1 月 「株式会社 銀座もとじ」へ組織変更
1998年 5 月 中央区立泰明小学校にて柳染め授業の開始
2000年 4 月 新店舗「銀座もとじ 和織(わおり)」オープン
2002年 9 月 業界初の男の着物専門店「銀座もとじ 男のきもの」オープン
2004年 4 月 「銀座もとじ 和織・和染(わおり・わせん)」
          リニューアルオープン
2007年 3 月 世界初、雄だけの蚕「プラチナボーイ」発表
2008年 2 月 阪急百貨店メンズ館に「銀座もとじ 男のきもの 大阪店」を出店
2010年11月 「銀座もとじ」 、創業30周年を迎える
2012年 2 月 大島紬専門店「銀座もとじ 大島紬」オープン
2012年 9 月 「銀座もとじ 男のきもの」、オープン10周年を迎える
2015年11月 「銀座もとじ」、 創業35周年を迎える
2017年 2 月 「銀座もとじ 大島紬」、オープン5周年を迎える
2012年 9 月 「銀座もとじ 男のきもの」、オープン5周年を迎える
創業年(設立年) 1979年
事業内容 専門特化した呉服の店舗展開 [ 和織(わおり)] 紬と織の専門店 [ 和染(わせん) ] 染の専門店として、 新しい感覚の染の着物の販売、染のオートクチュール [ 男のきもの 銀座店 ] 業界初の男の着物専門店として男性着物の販売 [ 大島紬専門店 大島紬 ] 銀座もとじならではのセレクト大島紬と オリジナルで企画制作した商品の販売 [ ぎゃらりー泉 ] 作り手にスポットをあて、作品を紹介
所在地 中央区銀座4-8-12 3階
資本金 9000万円
従業員数 31名
会社URL

株式会社銀座もとじ