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株式会社佐川商店

株式会社佐川商店 代表取締役 佐川 浩一

今回取材させていただいたのは、創業から100年以上の歴史を誇る株式会社佐川商店。創業以来、地元・黒磯に根を張り、町の金物屋として繁栄を続けてきた。現在は「金物販売」・「鋼材販売」・「足場工事」3つの事業を柱に地域に安定と安心をもたらしている。地域密着型企業として黒磯をはじめとする地域の方々から絶大な信頼を誇る同社。その背景には確固たる経営理念を貫く一貫性と、時代の変化に対応し続ける柔軟性が存在する。仕事に対し、いかなる時も誠実にそして真面目に向き合い続けてきた同社。今回の取材では100年以上の発展を続けた理由や、経営理念に対する考え方、そして今後の未来について佐川社長に伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

真面目な社員が生み出す一糸乱れぬ一体感

「真面目な社員が多い」と語る佐川社長。その言葉通り、同社には仕事に対し誠実に向き合う社員が多く集まり、真面目で一体感のある社風に繋がっている。この社風が生まれた背景には経営理念が存在する。「私たちは、地域のお客様に安全安心な産業資材を安定的に供給し続けるお店を目指します。」「私たちは、仕事を通して、地域産業の発展に貢献します。」「私たちは、お客さまのお役にたつことで、信頼される人格を形成します。」という3つの経営理念を掲げる同社。この経営理念はただ漠然としたものではなく、佐川社長が代表に就任以降に、実働をイメージしながら作られた。時間は要したが、朝礼で唱和するなどの浸透施策を打ち、年月をかけて会社全体に浸透させてきた。その結果「何年間も休まない社員」や「自発的に出社時間前に出社をして仕事に勤しむ複数名の社員」等々、経営理念の実現に向けて、真摯に仕事に取り組む社員が続々誕生し、「真面目な社風」が築かれていったのだ。

佐川商店の代名詞「地域密着」

圧倒的な地域密着こそ同社の独自性だ。佐川社長は「日本で一番を目指しているわけでも、栃木で一番を目指しているわけでもない」と語る。その言葉通り、同社は多店舗展開を行わず、地元黒磯を中心に事業を継続している。その結果、地域のお客様とより密な関係を築くことに成功している。そんな同社には「地域で一番」という合言葉が存在する。この合言葉は全社員の共通認識となり、同社の結束を強める。ここでいう「地域で一番」とは、”豊富な品揃え”であること。多くのお客様に”適した価格”で産業資材を提供すること、そして、”丁寧なお客様対応”を行い、物心ともにお客様からの信頼を得ることだ。これらを達成すれば、自ずと「地域で一番」になれると考える佐川社長。100年以上の長い歴史の中、地域に密着し続けた同社。これからも同社は、黒磯に根を張り、お客様のために強いチームであり続ける。

「地域一番」を目指し、走り出す100年企業

同社は今後もぶれることなく「地域一番」の企業になることを展望に掲げる。佐川社長の一貫した考えは社員を、そして周囲の関係者を魅了する。地域で一番を目指し、さらなる成長を遂げる上で「変わりゆく時代の変化に柔軟に対応していくことが重要」と語る佐川社長。ダーウィンの進化論にも「この世に生き残る生物は、激しい変化にいち早く対応できたもの」と言われるように、同社の歴史を紐解くと、常に変化、そして対応を繰り返してきたことが分かる。その一例として足場工事事業への展開があげられる。足場工事事業参入以前、地元建設業、工務店のみに対し資材の販売を行っていたが、時代の変化に対応し、ハウスメーカー各社の住宅工事の足場の搬入から解体までを行うようになった。このように常に変化に対応し続けながら「地域一番」を見定める同社。これからも一貫した方針は曲げず、手法はどんどん変化させていく同社のさらなる成長に注目だ。
経営理念を朝礼で唱和する様子
豊富な品揃えと丁寧なお客様対応を行う店舗
同社が展開する足場事業

100年企業が描く次の未来

これまで存続、発展してきた理由を教えてください

一般的にはマイナスに捉えられる事象を「チャンス」と捉え、挑戦してきたことが存続、発展の理由だと思います。もちろん、100年以上の歴史を持つ私達ですから、近年で言えば、バブルの崩壊やリーマンショック等々の社会の変化を体験してきています。それらの事象はピンチにも思えますが、見方を変えればチャンスになります。時代の変わり目であり、「展望」でもお話ししたように、自分たちの仕事を見つめ直すことにも繋がります。現在も、いわゆるアフターコロナという言葉がありますが、当社もこれを機に仕入れ先様との打ち合わせをオンラインで行うようになったり、電債と、新しい取り組みに挑戦しています。

なぜ、「地域密着」を貫いていらっしゃるのですか

サッカーやラグビーは日本代表を2つ作ったら強くなりますか?私は強くなるとは思いません。その考えと同じで私たちは多店舗展開を行わず、黒磯に強いチームを作り地域で一番になることを考えています。地域一番になることで2つの観点から好循環が生まれます。1つ目はお客様から信頼を頂き、様々な情報や多くの仕事が任されるようになること。2つ目は優秀な人材が集まってくるようになります。例えば高校野球。県内に二強が存在し、均衡していたとします。この均衡が崩れる、つまりどちらかが一番になると、そちらに優秀な人材が流れていくと考えられます。地域一番になることでこの2つの観点から好循環を生み出し更なる発展につながっていくのです。

経営する上で大事にしていることを教えてください

私が会社を経営する上で大事にしている考えは経営理念に表れていると思います。
3つの経営理念を大事にしながら経営しています。経営していく上で、売上は目的ではありません。しっかりと理念を達成するために働けているのか、それがとても重要になってきます。そのため、理念に沿った行動をしているかの確認をする会議を毎月1回行うなど、掲げた理念の実現に向け、しっかりと理念と向き合う時間を設けています。

100年企業における 挑戦、そして伝承を

株式会社佐川商店 石橋昌明

佐川商店の金物部門を任されている石橋さん。入社から20年が経ち、会社を牽引するキーマンとしてその手腕を振るっている。担う業務は多岐に渡り、営業、在庫管理、コンピューター管理等々、広い領域を任されているのだ。入社から今日まで、様々な仕事を経験してきた石橋さん。入社直後はお客様へ資材を配達するところから始まり、その領域を年月と共に広げてきたのだ。「真面目な男」と社長からも評価され、周囲からも絶大な信頼を得ている。今回は、入社に至った背景や仕事のやりがい、そして今後の目標について、詳しくお話を伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

会社全体からにじみ出る、温かさ

「社長を含め、会社全体に温かさを感じた」と入社理由を語る石橋さん。20年前の出来事を懐かしそうに話してくれた。石橋さんが佐川商店を知ったのは、偶然見つけた求人募集がきっかけだったという。求人募集で同社のことを知った石橋さん。面接に進んだ理由を「伝統のある企業が自宅のそばにあったから」と当時を振り返る。その面接を通じ、佐川社長の人柄、会社からにじみ出る温かさを感じたことが決め手となり、入社を決意した。入社後も「面接の時と変わらずアットホームな社風があった」と話す石橋さん。当時はほとんどの社員が先輩だったため、弟のようにかわいがってくれたという。今年で入社から20年が経過し、経験と実績を積み上げてきた。今度は石橋さんが中心となり、佐川商店の社風を守り、そして進化させ続ける。

ひたむきな姿勢が生み出す、大きな達成感

責任ある仕事を任され、それを達成した時に大きなやりがいを感じると語る石橋さん。上述したように、営業から内勤まで多岐にわたる業務を行う中、最もやりがいを感じた仕事は、商品管理のためのシステムを導入した時だったという。同社が扱う商品数は稼働している商品だけでも1万点を超える。その1点1点を価格リストに起こさなければならない仕事には、2年以上の歳月を費やした。当時を振り返り「何もできない自分がやり遂げることができた」と大きな達成感を感じたという。パソコンの使い方を全く知らないという状態からのスタートだったが、見事にやり遂げた。このような経験を積み重ね、今では金物部門の長として仕事を全うしている。最近は若い社員の成長が自分のやりがいになっていると後進の育成にも精を出す。大きな責任と未来を作り出す仕事を請け負う石橋さんの眼は輝いていた。

挑戦と伝承。佐川商店を紡ぐ中心に

石橋さんの夢は2つ存在する。1つ目は新しいことにどんどん挑戦をしていくことだ。前述の通りこれまでも挑戦を続けてきた石橋さんは自身の更なる成長のため、変化を求め続ける。この姿勢はまさに佐川商店の真髄を体現していると言える。変化の激しい時代の中で、100年以上続く理由を「常に変化を続けてきたからだ」と石橋さんは語る。この言葉から佐川社長の考えがしっかりと浸透されていることが垣間見えた。2つ目は若手社員の育成を通じ、会社をより発展させることである。「自身の経験を若手社員に伝えていきたい」と若手社員の育成に対し使命感を持つ石橋さん。最近では若手社員を中心に商品知識の勉強を行う機会を設けるなど力を注ぎ続けている。会社を次世代へ繋ぐ、その橋渡しの役目を石橋さんが担っているのだ。
地域で開催する展示会の様子
1万点を超える商品を取り扱う
真面目な社員が集まる職場

佐川商店一筋20年の男が抱く想い

次に考えている挑戦を具体的に教えてください

SNSなどを活用して、佐川商店の発信を行うことに挑戦していきたいです。この挑戦を通じて、お客様との距離が近くなり、より深く地域に密着していきたいと考えています。昨今SNSの発達が著しく、誰でも手軽に発信をすることができる時代になってきました。その変化に柔軟に対応していきたいと考えています。発信していきたい内容は、新商品の告知やお客様のニーズを理解し、有益となる情報の発信をしていきたいです。この挑戦を通じて、佐川商店を進化させていきます。

石橋さんから見た、佐川社長について教えてください

一貫性と柔軟性を持ち合わせた人です。「地域一番」を使命に掲げ、「地元を大切にする」というぶれない一貫性を持ち、時代の変化に対応する柔軟性を兼ね備えています。佐川社長の一貫性や柔軟性は我々社員も紡いでいく姿勢だと思います。特に変化に対する柔軟性に関しては佐川商店に深く浸透しています。例えば、お客様のニーズの変化に敏感に反応して、しっかりと適切な対応を行っています。100年という長い歴史から守らなくてはいけないことが多くありますが、変化させなければいけないことも多くあります。一貫性と柔軟性は、佐川商店において要不可欠なものだと思います。

どんな人と一緒に働きたいですか

明るく、素直で何事にも前向きに取り組める方と一緒に働きたいですね。そういう方は必ず成長できますし、必要とされる人間になります。特に佐川商店は素直に前向きに仕事に取り組んでいけば必ず成長できる環境です。私自身も入社時はパソコンの使い方を知らないほど何もできませんでした。しかし、今では若手を指導する役割を任されるほど成長することができました。学生の皆様は卒業してからの方が人生は長いです。明るく、素直で何事にも前向きに取り組める方は必ず成長していけますし、周りを幸せにしていけると思います。

監修企業からのコメント

佐川社長のお言葉は、決してぶれることなく、それが社員の皆様にも
しっかりと伝わっていることに、大変感銘を受けました。
また、100年以上続く理由を「変化への対応」というお言葉も、
実際にそれを行ってきた佐川社長、そして石橋様が行ってきたからこそ、
とても重く、深いお言葉であると感じております。

掲載企業からのコメント

この度は取材をしていただきありがとうございました。
これからも地場にしっかりと根付き、地域にとってなくてはならない企業に向けて
努力していく所存です。

株式会社佐川商店
大正2年 現在地において佐川久一金物商を創業
昭和27年4月 二代目佐川正義個人経営を法人組織に変更し有限会社佐川商店を設立"
昭和40年 三代目佐川欽一株式会社那須生コンを発起人の一員として設立開業し常務取締役に就任する
昭和41年 豊町12番31号地内に鋼材倉庫を新築
昭和43年 佐川欽一ニューナスコンクリート株式会社を設立開業し取締役として現在に至る
昭和46年 佐川欽一大栄建材株式会社を設立開業し取締役に就任する
昭和46年 現店舗および倉庫を新築
平成12年 現店舗を改築リースヤードを移転

平成15年 資本金1000万円に増資
平成16年 有限会社を株式会社に組織変更
平成19年 鋼材倉庫を新築
創業年(設立年) 1913年
事業内容 ・金物販売 ・銅材販売 ・足場工事
所在地 〒325-0057 栃木県那須塩原市黒磯幸町6-23
資本金 1000万円
従業員数 36名
会社URL

株式会社佐川商店