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株式会社ヤマト屋

お客様の感動を追求する

株式会社ヤマト屋 代表取締役社長 正田誠

株式会社ヤマト屋 代表取締役社長 正田誠
創業から123年の歴史を持つ株式会社ヤマト屋は、ファンより長年に渡って支持を受け続けるバッグメーカーだ。品質の高さはもちろんのこと、お客様対応やアフターフォローに徹底的にこだわることで感動を生み続ける、誇るべき伝統を有している企業である。その伝統はもちろんのこと、時代の変化に合わせた柔軟な販売戦略を取ることで、新しいファンを常に獲得し続けており、日本のみならず海外市場へも参入している。
今回は、100年を超える「老舗ヤマト屋」の看板を引き継ぎ、現在四代目として、日本全国を飛び回り、そして海外へも自ら足を運び、ヤマト屋の更なる発展に尽力する正田社長にお話を伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

社風=経営理念の体現

「社風はすべて経営理念に帰結する」、そうお話する正田社長。
同社が掲げる経営理念には『お客様のご満足と感動を求めて』、『隙間を埋めるモノ創り』という一節がある。社員からも「経営理念は羅針盤」という言葉が聞かれ、この経営理念を基軸として行動をする社員一人ひとりが同社の社風を形成している。正田社長は「こだわりが社風になる」と言うが、これまで同社は、徹底的にお客様の満足と感動にこだわってきた。その最たる例が、「隙間を埋めるモノ創り」。これはお客様の意見をモノ創りに反映させるという考え方。「クレームは宝」という方針を掲げ、クレームを「処理」するのではなく、クレームに真摯に「対応」する、問題の根本解決策を見出すことが最高の価値を生み出すことにつながると正田社長は言う。その経営理念が同社の誇るべき伝統であり、最重要事項と全社員が認識しているからこそ、「社風=経営理念」という図式が成り立つのだ。

創意工夫で日々改善

同社では「ゆとり創造プログラム」という独自の業務改善手法を開発し、現在の業務を5倍速で行うという取り組みを実施している。その取り組みを行う上で、同社では「面倒くさい」という言葉を良しとしている。なぜならこの言葉は、生産性向上のキーワードとなるからだ。「面倒くさい」、ともすればネガティブな言葉と解釈されるのが、同社では「業務改善の余地がある」と捉え、質を保ったまま徹底的に業務の効率化を実施するという。例えば従来50分かかっていた作業が10分に短縮されるなど、従来のやり方に囚われない工夫を常に加え続ける独自の仕組みがあるのだ。また、「気づき日報」という制度を活用して年間100を超える改善案の提出があることや、社員が本音で話し合う部門を超えた定例会議や勉強会が定期的に開催され、業務改善が頻繁に巻き起こっている。そういった取り組みを活用することで、ヤマト屋は日々進化を続けている。

「老舗ヤマト屋」を世界へ

『世界の一級品を創り続けて老舗ヤマト屋を「ブランド」として確立し海外市場で認知される会社にすること』、これを経営の基本目標の1つに掲げる同社。これまで日本で基盤を築いてきた同社であるが、近年、海外市場への進出が始まった。正田社長自ら海外のテレビショッピングに出演することや、日本を訪れる外国人観光客に商品の良さを理解してもらい、購入してもらう、いわゆる「インバウンド」に力を入れている。元々正田社長が毎月海外へ営業活動に趣いていた経験が、現在のインバウンド戦略の礎になっているという。日本のおもてなしの心と外国人観光客の文化や考え方を鑑み、創意工夫を凝らしたインバウンド戦略が功を奏し、海外にも根強いヤマト屋ファンを持つに至った。今後も日本のみならず、海外市場を開拓し、“老舗ヤマト屋”を発信していく。
人気高いテディベアともコラボ
人気高いテディベアともコラボ
中国への進出
中国への進出
トイレ掃除は社長の仕事
トイレ掃除は社長の仕事

100年を超える伝統の継承と更なる革新を推進する、ヤマト屋四代目

ヤマト屋で受け継がれる伝統について教えてください

当社では、社長がトイレ掃除を行うという変わった伝統があります。まだ私が社長に就任する前、当時の社長(現会長)と一緒に経営の勉強会に出席する機会が多々あり、コンサルタントの先生から「社長はトイレを磨きなさい、社員は会社を磨きなさい」との教えがありました。多くの人が敬遠する、トイレという"部分"を社長自らが率先して清掃に励むことで、波及効果として会社"全体"も綺麗になっていくのです。そのことから、社長が朝一番に出社し、トイレを磨くことは先代からの伝統になっています。社員も、社内はもちろん地域の清掃にも力を入れています。こういった取り組みを今後も実施続けることで、会社をより高いレベルへと進化させていきたいですし、地域からも愛されるヤマト屋を目指していきます。

貴社ならではの教育制度について教えてください

若手の縫製職人を育成し、独立に導くという研修制度を自社で構築しています。その中で、最も教えていきたいことは量産の技術です。一本を丁寧に仕上げる技術と、質の良い製品を量産する技術はまるで違います。効率良く質の良い製品を作る、つまり量産の技術を持つ職人を育成していくことで、日本の縫製がもっともっと豊かになっていくと思いますし、日本製製品が絶えることがなくなると思います。現在は3期生が研修中ですが、1期生として入社した20代の社員は現在独立し、当社の仕事を請け負ってくれています。これからも職人の育成に尽力していきます。

「クレームは宝」という考え方を大事にする同社ですが、代表的な例を教えてください

製品を作る素材そのものを変更したということですね。当時とある素材を製品に使用していて、それがお客様に非常に好評でしたが、使用してから年月が経過すると素材が劣化してしまうという意見をお客様からいただきました。このようなケースにおいて業界ではお客様に謝罪し、買い替えを薦めるのが通例ですが、当社では、経年劣化で、ボロボロになったりベタベタしたりしにくい、ポリカネートという新素材を導入することで、根本的な問題解決に努めました。世の中の常識は当社の非常識、これは会社の方針として決めていることでもあるので、「業界では○○だから」というのではなく、常識を疑い、常にお客様の感動を追い求めていきます。そのお客様の感動をつくるためにも、「クレームは宝」なのです。
株式会社ヤマト屋 企画経営室 石崎龍心

世の中にヤマト屋を発信していきたい

株式会社ヤマト屋 企画経営室 石崎龍心

石崎さんは10年前にヤマト屋に入社し、企画経営室で手腕を振るっている。前職、広告代理店に勤務していた経験と独自のノウハウを活かして、現在ではテレビ通販、雑誌通販、ネット通販等、様々な業務に携わり、同社の発展に日々尽力している。今後の市場環境を踏まえ、培ったノウハウを最大限に活かして「ネット通販」という販売ルートを構築するという、熱い想いを持っている石崎さん。123年に渡って育まれた素晴らしい伝統を引き継ぐことはもちろん、時代に合った手法を用いて老舗ヤマト屋に革新を起こす、それを実現できるのが石崎さんなのだ。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

ヤマト屋の斬新さに惹かれて

「自分の経験を活かし、ヤマト屋に貢献をしたかった」そう語る石崎さん。 前職時代、広告代理店で営業活動を行う中、出会ったのが同社だ。「出会った時は、カバンに動物の絵をプリントするという当時では斬新なことを行っていたヤマト屋の広告を作りたかった」と石崎さん。その珍しさに惹かれ、何度も営業活動で同社に足を運んでいた。石崎さんは「広告やWEBのノウハウを駆使することで、ヤマト屋の商品を販売したらどのくらい売れるのか」ということを、自分でホームページを作り、入社前から検証を行っていた経験があるという。そうした同社に対する石崎さんの姿勢を見ていた正田社長から「是非うちで働いて、石崎くんのノウハウを使って活躍してほしい」という誘いがあり、「素晴らしいヤマト屋の商品を、世の中にもっと広めたい」という想いから、入社を決意するに至ったのだ。

お客様からの感動の声

石崎さんのやりがいは、お客様からの感動の連絡だ。満足のみならず、感動を追求する姿勢は、同社が大切にしている考え方。感動を生み出す背景には、「徹底した品質管理」と「丁寧なお客様対応」という2つのポイントがある。同社では徹底した品質管理を行うために、自社内に品質管理を行う研究所を設けている。出荷する”製品”に関して、徹底的な検査を行い、高い品質基準をクリアしたモノのみを”商品”として、必ず誰が作ったものか、分かるようにして販売を行っている。また、「そこまでやるのか」とお客様に思っていただけるまで丁寧な対応をする同社。例えば、ファスナーなどが経年劣化で壊れた場合に、一般的にはただ買い替えを薦めるが、ヤマト屋では研究室で分析を行い、ファスナーの削れ方などから、お客様の使い方の仮説を立て、その仮説をお伝えして次回はより一層長く使っていただくためのアドバイスを行う。販売だけにとどまらず、常に感動を追求しているからこそ、お客様から感動の声をいただけるのだ。そこに石崎さんのやりがいがある。

ネット販売を、ヤマト屋の新しい柱へ

石崎さんの夢は「ネット通販を通して、ヤマト屋の商品をより多くの方に知ってもらい、手にとっていただき、感動をしてもらう」ことである。現在同社では「店頭販売」「雑誌通販」の2つがメインの販売ルートとなっている。そこに「ネット通販」という新しい柱を加えることで、より多くのお客様に同社の商品を使っていただけると考えている。「ネットを通じて、商品の質の高さや機能性など、よりお客様にご理解していただくためにはどうすることがベストか」日々自分に問いかけ、創意工夫を凝らしているという。創意工夫を続ける先には柱となる新しい販売ルートが確立されると同時に、同社商品の素晴らしさをより多くの方に知っていただき、利用していただくことに繋がる。「具体的には、ネット通販で1億円の売上高を作っていきたい」、笑顔で語る石崎さんの目は、同社の未来を見据えている。
質の高さが魅力のヤマト屋の商品
質の高さが魅力のヤマト屋の商品
徹底した品質管理を生む研究室
徹底した品質管理を生む研究室
毎朝の環境整備が社員の心を磨く
毎朝の環境整備が社員の心を磨く

更なる発展を主体的に仕掛ける石崎さんから見たヤマト屋

ヤマト屋で働いている中で感じた、印象的なエピソードを教えてください

客様からいただくメールの内容、これは印象的なものが非常に多いです。一般的に、お客様からメールが届くということは、質問やクレームが多いと思いますが、ヤマト屋では、お客様からの喜びの声がメールで届きます。例えば「ヤマト屋さんのバックを母にプレゼントしたのですが、家に引きこもりがちだった母が、毎日楽しんで外に出かけるようになりました。ありがとうございます」こうしたメールを見ると本当に嬉しくなります。企画に携わった人や職人さんなど、様々な人の手を通じて作った想いの込められた「カバン」ですから、その想いが届いて、感動していただけることに本当に幸せを感じます。

石崎さんが感じる、ヤマト屋ならではの良いところはどんなところですか

ヤマト屋には環境整備という取り組みがあります。その一つとして、当社では全社員で毎朝8:35〜9:30の間で清掃を行います。当社の清掃は、一般的な清掃とは少し違います。それぞれが清掃する場所を割り振られていて、その場所を清掃することはもちろん、ただ掃除するだけにとどまらないのがヤマト屋流です。"全体"の掃除を行った後に、なにか1つを徹底的に綺麗にするという取り組みがなされています。例えば、今日は「ある1つの椅子を徹底的に綺麗にする」など"部分"に徹底的にこだわります。このような環境整備の取り組みを通じた"徹底"するという考え方は、通常業務にも大きく影響します。例えば、「今日はカタログのこのページに徹底的にこだわる」というように、仕事の精度向上にもつながるのです。今後も、この伝統を大切に守っていきたいと思います。

ヤマト屋の会社全体の雰囲気について教えてください

目標を持ってみんなで頑張ろう!という雰囲気があり、明るい空気が流れています。その背景には、社長が非常に明るいことも要因になっていると思います。例えば昼食を食べている際、「これ美味しいから食べてみてよ!」とおかずを持ってきてくださったりと、フラットな関係があります。また、働くみんなが経営理念を大切にしています。会社の価値観や考え方をより深く理解するために、毎朝1ページずつ社是の読み合わせを行っています。そういった取り組みもあり、みんなの中で共通した核を持って働くことができるため、みんなが同じ方向を向いて働いていて、とても働きやすい風土があると思います。

監修企業からのコメント

監修企業

正田社長とお話をさせていただき感じたことは、社長自身がとてもパワフルであるということです。
さらにヤマト屋を進化させるため、社長自らが先陣を切って活動していらっしゃいます。創業100年を超えるヤマト屋ですが、存続、成長を続けてきた背景には確立された価値観、仕組みが存在しており、会社が成長し続ける上での土台がしっかりと形成されています。その上で、時代やお客様のニーズに合わせた柔軟な販売戦略を駆使することで、社長の言う「世の中に必要とされる企業」で在り続けることが可能となっているのです。

掲載企業からのコメント

取材をお受けして、当社を振り返る良いチャンスをいただけました。
私自身も大 変勉強になりました。良い機会をありがとうございました。
スタッフの取材ということは初めてでしたが、良いコメントしてもらえて社員に ヤマト屋イズムがしっかり浸透していることを認識でき、とても嬉しかったです。 これからも情熱的にワクワクし続けて、良い影響の輪を広げていきます。

掲載企業
株式会社ヤマト屋
1892年 先々代正田竹次郎が、群馬県館林市から上京
     浅草仲見世に和装小間物 小売業「大和屋」を創業
1950年 株式会社ヤマト屋に改組・設立し、先代正田乙女が社長に就任
1952年 台東区浅草駒形にて袋物製造卸業を開始
1981年 旧会社・株式会社ヤマト屋を不動産管理会社*に改組
     (社長正田乙女)
     新たに台東区浅草橋を本社として、「株式会社ヤマト屋」を設立
     旧会社の業務を継承し、正田喜代松が社長に就任
2004年  ポリカーボネイト薄合皮シリーズ 『キキ2』発売開始
     ポリカーボネイト薄合皮バッグ 特許出願 
2005年  不動産管理*株式会社正田ヤマトと合併し
     新「株式会社ヤマト屋」誕生
2005年 ポリカーポネイト薄合皮シリーズ
     より固着力の高いインクへと進化
2008年 正田誠が代表取締役社長に就任、正田喜代松は代表取締会長に就任
創業年(設立年) 創業年1892年 (設立年1981年)
事業内容 ミセス向けファッションバッグ企画・製造・卸
所在地 東京都台東区 蔵前3丁目14番地5号 大江戸ビル
資本金 3,750万円
従業員数 30名
会社URL

株式会社ヤマト屋