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株式会社オリテック

株式会社オリテック 代表取締役 丸山肇

株式会社オリテックは石川県で情報通信機器、AV関連機器、産業機械関連機器、医療関連機器などを製造している企業。部品調達から完成品にするまで一貫生産ができることを強みに、顧客からの信頼を得てきた。1970年にグループ会社の1社として設立された会社であったが、2015年に独立。生え抜き社員として40年以上勤め、独立後に社長に就任した丸山社長。会社の置かれた環境が大きく変化した中、自ら先頭に立って会社の変革を進めている最中である。長年勤めてきたからこそわかるオリテックの伝統を残しながらも、会社の変革に向けた挑戦を続けている丸山社長からこの仕事に対する想いやチャレンジしてきたことを伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

風通しの良さが定着率と品質に好影響を与える

「風通しが良いところがオリテックらしさ」と話す丸山社長。自由に発言しやすく、悪いことがあっても即座に情報開示をできる雰囲気だという。風通しの良さによる恩恵は大きく2つ。1つは離職者の少なさ。ここ5年間の離職者は0。社員の定着率が圧倒的に高い。なんでも発言でき、和気藹々とした雰囲気で仕事ができるこの風通しの良さがあることが働きやすい環境を生み出しているのだ。もう1つは、品質の向上。問題発生時にすぐに報告することができ、問題の早期発見を可能にしている。このことが品質の高さや不良の少なさにつながり、お客様からの信頼を得ることができているという。
その風土の根本には、社内コミュニケーションについての教育を整えていることが起因し、例えば、何か問題があった時はその「人」を叱責するのではなく、その「仕事内容」について叱責することなどを徹底している。これらの取り組みがオリテックの風通しの良さをつくりだしている。

何よりもお客様からの信頼が最優先

オリテックはお客様からの信頼を最優先している会社。会社の精神としてQPQ+E(Quality First/Price Best/Quickly Delivery/Ecology)という考え方を大切にしている。「自分たちのつくっている製品に自信を持てないとお客様は来ない」と丸山社長は社員に対して品質へのこだわりについて日々発信し、自己満足ではなく品質の高さを追及する会社をつくりあげてきた。この考えが浸透しているため、不良が少なくお客様から深い信頼を得ることができている。「不良は減らすものではなく、0にするもの」と丸山社長が話すように品質に対しては細部までこだわり抜いている。
また、QPQ+Eの精神によって培われた技術を生かし、セットメーカーとして部品調達から完成品に至るまでを一貫生産できることを可能にしている。これもオリテックの強みであり、会社の精神を源にオリテックの強みが築かれている。

販路を拡大し、オリテックの技術を普及していく

「今のオリテックに必要なことは販路の拡大」と丸山社長は話す。たしかな技術によってお客様からの信頼を得ることはできているが、この伝統を守っていくためには販路を拡大し、新たな顧客を得る必要があるという。丸山社長が就任してから、ユースエール認定企業に選定されることで外部に向けたPRをすることなどに取り組んできた。現在は官庁や学校などとの取引を増やすことなど、新しい取り組みを推し進めている。さらには、オリテックブランドをつくること、他社とのコラボ製品をつくることでコラボした会社の販路を活用することなどを構想している。今まで培ってきた技術を活用し、「『オリテックに頼めばこんなものもつくってもらえるよ』と評判になるような会社でありたい」と語る。自身が社長として先頭に立ち、さらに進化したオリテックになるべく、これからも丸山社長のチャレンジは続く。
オリテックの製品(プリント基板)
社員が働く様子
工場の外観

前進し続ける精神を持てば、どんな仕事にもやりがいを感じられる

社長に就任してから力を入れてきたことを教えてください

オリオングループから独立した後に社長に就任したため、会社の変革に力を入れてきました。グループ会社から独立することで、安定した基盤がなくなるため会社の変革は急務でした。インフラ面として、創業時から使い続けていた工場の増設、ベトナムの実習生の寮の設置などを進めて働きやすさを追求しました。社員が離職しない理由は働きやすさが起因していると思います。会社のホームページの改編やユースエール認定企業になるための取り組みによる新しい形での外部に向けた発信、IoTやDX化における補助金の確保や学校など新しい販路の開拓による経済的な変革も進めました。他にも教育方針を改革し、会社全体をより良くするチャレンジを続けています。

社員教育において大切なことを教えてください

私自身が先頭に立って社員教育をしているのですが、その際には「試験でできることではなく、実践することを評価する」と発信しています。私が社長に就く前までは、試験のようなものがありましたが、当時から覚えることよりもその本質を理解して行動に移すことの方が大切だと感じていました。どんなことであっても内容を覚えるのではなく「なぜそのようなことをする必要があるのか」「なぜそのような順序で行わなければいけないのか」「どのようにすれば再現できるのか」などを考えることが大切です。それらに加えて大切なことが「使命感」ですね。オリテックの社員には、オリテックが存在することで社会のためになるという気持ちを持って働き続けてほしいと思います。

仕事において大切にしている考え方を教えてください

「ワンステップアップ」という考えを大切にしています。日本語にすると一歩前進という意味ですね。この業種の宿命でもあるとは思いますが、やりがいを持って働くために大切なことが「ワンステップアップ」という考え方ですね。昨日よりも今日、今日よりも明日と常に何かチャレンジをしようとすれば、働くことに対して楽しさを感じられます。もちろん最終的に結果を出すことも大切ですが、日々の仕事の中で目標を立て、目標から逆算した計画通りに進めることでワンステップアップしていくことの方がもっと大切です。この考えを持って働く楽しさを感じられるようになってもらうために、現在では個人目標管理という仕組みを取り入れています。

女性初のリーダー・課長として 新しい道を切り拓いてきた生え抜きの課長

株式会社オリテック
製造課 課長 宮口早苗

今回お話を伺ったのは、オリテックで女性初のリーダーや課長を務めてきた宮口課長。入社当初から製造課一筋で仕事を続け、丸山社長が会社の最重要セクションと話す製造課のトップとして組織をけん引している存在だ。現在は課長として生産、仕事全体の段取りを組むことや人員配置、社員の育成などに力を入れている。新卒でオリテックに入社し、長年オリテックの発展のために尽力し続けてきた、当社にとっては欠かせない人材である。女性初のリーダーや課長を務めるという前例のない険しい道のりであっても、変化を楽しみ、自ら道を切り拓いてきた宮口課長から会社に対する思いを伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

好きなことを仕事に

「地元の会社であり、自分の好きなモノづくりに関わる仕事をできるという理由でオリテックを選びました」と話す宮口課長。小さいころから車やバイクのプラモデルをつくることが好きだったので、製造業の中でも組立に関われる仕事に就きたいと思っていたという。 入社当時は女性初のリーダーや課長と目指していたわけではなく、純粋にこの仕事に楽しく取り組んでいたそうだ。好きなことを仕事にできたため、仕事に対してやらされ感を持つことはなく、常に主体的に取り組めていたという。その姿勢が上長から評価され、会社として欠かせない存在となり、女性初のリーダーや課長というポジションに就くに至った。課長として組織をマネジメントするだけではなく、誰よりもオリテックの仕事を愛し、この仕事を純粋に楽しむ背中を見せることで、社員にとって模範的な存在としてオリテックを支えている。

自分が頑張ることで新しい道を切り拓く

この仕事のやりがいは「純粋にモノをつくることが楽しいこと」「自分の頑張り次第で新しい道を拓けること」であると宮口課長は話す。製品の組立をする作業自体が好きで、組み立てるプロセスの中で製品が変化していくことに喜びを感じながら仕事に打ち込めているという。他に、新しい製品をつくる際の立ち上げや企画にもワクワクするそうだ。このように「この仕事が好き」という純粋な気持ちを持ちながら仕事に取り組む中で、その頑張りによって新しい道を拓けることがやりがいにつながっている。これまで前例のない、女性初のリーダーや課長を務めたため、自分が新しい道を切り拓いていると実感でき、自分の頑張りが組織レベルの向上につながっていることを感じられるという。自分の出す結果次第で認めてもらえる環境であるからこそ、今でも挑戦を続けられると感じているそうだ。これからも挑戦を続ける宮口課長の活躍に期待したいところである。

変化を楽しみ、進化を続ける

「これからはオリテック内に『改善していこう』と考える風土を根付かせていきたい」と語る宮口課長。宮口課長自身は、「現状維持は衰退であり変化を楽しむことが大切」と考えており、常に変化し続けている。そのおかげで自分自身が成長でき、今では社内で重要なポジションを任されるようになった。その経験から、ただ単に一生懸命仕事をするだけではなく「どうすればより良くなるのか」を考えることができたら社員一人ひとりの働きがいが向上すると同時に会社の発展にもつながると考えているという。部署を超えたコミュニケーションを取ることなど、社内での情報共有が活発な風土をつくり、立場に関係なく誰もが発信できるようにしていきたいそうだ。以前は飲み会などを通して他部署の仲間と関わることで情報共有を進めることができたが、コロナの影響でそのような場をなかなか確保できなくなっている。宮口課長は、この状況をピンチではなく進化するチャンスであると捉え、その中で訪れる変化を楽しみながら新しい道を切り拓いていくのだ。
製造の際に扱う機械
宮口課長の仕事
地域貢献活動の様子

女性初のリーダー・課長として

女性初のリーダーや課長を務めてきた中で乗り越えてきたことを教えてください

全く前例のない状態で女性初のリーダーや課長を務めてきました。直接言われたことはあまりないですが「なんで女性に指示されないといけないんだろう」というような不満な社員がいると感じたことがあったことも事実です。もちろん男性から支持されるような働き方をすることも大切ですが、性別によって価値観の差は多少なりともあると思うので、そこは支持されるというよりも違いを認めていくことが大切だと感じていました。その状況を打破するために大切にしてきたのは「結果で示す」ことですね。やるべきことをやって結果を出せば信用してもらえます。良い意味で周りの声を気にせずに、今の自分ができる最大限のことを実行し続けたことで前例がない中でも乗り越えられたと思います。

仕事にやりがいを感じるために大切なことを教えてください

「失敗をするなら自分が失敗して責任を取ればいい」というスタンスを持てていることだと思います。自分が責任を取るというスタンスになると、どんな状況でも言い逃れができなくなって、どんなことに対しても全力で取り組めると思います。全力で取り組み続けることができれば、結果的にどんな仕事であっても達成感ややりがいを感じられますよね。自分がやるべきことが何かを考えて、その部分については自分が責任を持つこと。立場には関係なく、そのスタンスを持つこと自体はできます。「やるのであればすべてに全力を尽くす」というスタンスで仕事をする楽しさを後輩にも伝えていきたいです。

仕事中に意識していることを教えてください

どんな状況であっても仕事の時は仕事人として割り切ることが大切だと思います。オリテックの特性上、同世代かつ同じ地元の同僚が多く、仕事上の立場に関わらず仲良くしている仲間が多くいます。仲が良いことは悪いことではないのですが、仕事においてはその部分は別で考えることが必要だと感じています。ありがたいことに自分自身は役職をいただくことができているため、同年代や先輩にあたる人でも立場上、自分が上司になることがあります。指示を出す側としては少し難しいと感じることもありましたが、仕事は仕事と考え、自分の立場に合った関わり方をするようにしています。その結果、仕事に全力で打ち込むことができています。

監修企業からのコメント

この度は取材にご協力いただき、誠にありがとうございました。
QPQ+Eという会社の精神を大切にし、お客様からの信頼を得ることができている点に大変感銘を受けました。グループ会社から独立したことによる環境の変化がある中で、新しいことにチャレンジし続けている貴社がさらなる進化を遂げることを楽しみにしております。

掲載企業からのコメント

この取材を通じ、なぜ我々がお客様から信頼されるのか、なぜ我々の存在が必要とされているのかを改めて考える機会になりました。会社として良い意味でまだまだ変革が必要ですし、今までの伝統を残しつつも進化を遂げられるよう尽力してまいります。改めて今回は取材をしていただき、誠にありがとうございました。

株式会社オリテック
1970年 オリオングループのデッキ生産会社として設立
主にカセットカーステレオ(完成品)を生産"
1985年 オリオングループ向けにビデオ・デッキ、シリンダー、マウント、ビデオカメラ・デッキを生産
1990年 オリオングループ向けASSYは、全て海外生産となり、オリオングループ以外の他社からの受注生産が中心となる
1995年 PC用増設メモリーボード受注生産開始
その後、CDR DVD HDD キャプチャー等を受注し生産現在に至る
その他の生産として産業関連、医療関連機器等のASSYの受注生産を行っている
2015年 オリオングループより独立
商号をオリオン電機加賀株式会社から株式会社オリテックに変更
2016年 第2工場増設
創業年(設立年) 1970年5月
事業内容 情報通信関連機器・AV関連機器
産業機械関連機器・医療関連機器 製造
所在地 〒922-0306 石川県加賀市中島町ト1番地 電話:0761-74-5100 FAX:0761-74-5103
資本金 2000万円
従業員数 100名
会社URL

株式会社オリテック