ホーム

 > 

掲載企業一覧

 > 

中庄株式会社

『信は万事の本と為す』 受け継いできた思いはそのままに 紙の未来を切り拓く

中庄株式会社 代表取締役 中村真一

中庄株式会社 代表取締役 中村真一
現代においては考えづらいが、紙が高級品であり、同じ紙を幾度となくリサイクルするなど、紙を大切に扱っていた江戸時代。そのような時代から当たり前に紙が手に入るようにまでなった現代。その間230年、紙を通じた商いを続け歴史を紡いできたのが今回取材をした中庄株式会社だ。そして社是である『信は万事の本と為す』の通り、社員一人ひとりが人としての在り方を重んじることで同社はお客様からの信頼を積み重ね信用を勝ち得ることで今日まで発展してきた。そして今後は紙が当たり前のように手に入るこの時代だからこそ、紙にしかできないことを追究し、紙の可能性を信じ、230年の同社の歴史の上に更なる歴史を積み上げようと挑戦を続けている。本取材では同社の歴史や展望、大切にしてきた思いを紐解いた。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

信は万事の本と為す

『信は万事の本と為す』、信用があらゆる物事の基本となる。これが同社の230年以上紡いできた社是だ。230年の歴史の中でこの社是が脈々と受け継がれ、社是が社員一人ひとりによって当たり前のように体現されるほど同社の社是は文化として根付いている。この文化が根付いたのも、230年の歴史の中で同社が信用を重んじ、社是が次世代へと脈々と受け継がれていった賜物であろう。実際同社ではお客様からご紹介をもらえることが多いなど、同社の社員が当たり前のように行っている日々の行動がお客様からの信頼を積み重ね、信用を得ることで評価をしていただいている証拠であろう。「思い返せば相手を気遣い、常に先を見て、相手が何を求めているのか考えながら行動するようにというのは先代の頃から意識するでもなく社員に伝えていたことですね」そう肩肘を張らずに中村社長は言う。『信は万事の本と為す』この社是を同社が230年に渡る長い歴史の中で常に大切にしてきたからこそ、信用を常に、自然に重んじる同社ならではの文化が根付いた。

230年の歴史で紡がれた目に見えないノウハウ

同社の他にない優位性の根幹は社是である『信は万事の本と為す』だ。これを社員一人ひとりが個性を活かしながら体現しているところに同社の強みがある。人が人を信用する動機は千差万別。だからこそ同社の社員は社是を根幹に置きながらもその人らしさを活かしてお客様と接し、信用を勝ち得る。お客様から人として信用されることは、マニュアル通りの対応だけでは実現できない。その人にしか発揮できない個性があるからこそ、相手は「この人なら」と思い、その結果信用を勝ち得る。例えばある方は人の懐に入ることが上手く、お客様の懐に入り距離感をつめることで他の人よりも深いお客様のニーズを引き出すという。「紙媒体の製品をつくる上で、お客様と共により良いものを追求する姿勢はどこにも負けません」と中村社長は自信を漲らせる。「中庄は噛めば噛むほど味の出るするめのような会社です」と中村社長が表現する背景には、社員の一人ひとりが個性を発揮し信頼を積み重ね続ける同社の強みがあるのだ。

積み上げてきた自信と誇りに、より一層の磨きをかける

230年の歴史ある中庄。そしてその歴史で磨き上げてきた自信と誇り。中村社長は社長就任の際、その自信と誇りに更なる磨きをかけると決意した。そのために意識していることは2つ。1つは紙の付加価値を追求すること。紙の付加価値を追求する先に中庄ならではの紙の流通を実現しようとしている。「付加価値の追求という意味では、弊社は紙のコンサルティングファームを目指しております」そう野心を見せる中村社長。もう1つは「紙と言えば中庄」と広く世間に認知されること。「お客様からは『中庄さんの提案は一味違いますね』ですとか、エンドユーザーの方からは『中庄って紙でこんなに面白いことをしているんだ!』と言われるような会社にしたいですね」明るい未来を描く中村社長の口からは止め処なく言葉が溢れた。こうした取り組みの道筋の先に社員がより一層に自信や誇りの持てる中庄の姿がある。誰から見ても自信と誇りに満ちた企業は所属する社員もさぞ誇らしいであろう。中村社長はそうした企業を目指し、中庄は更なる歴史を積み重ねる。
創業以来大切にしてきた中庄の社是
創業以来大切にしてきた中庄の社是
紙の持つ可能性を信じて
紙の持つ可能性を信じて
社員同士の連携を促すオフィス
社員同士の連携を促すオフィス

230年の歴史を土台として更なる飛躍を目指す

-中村社長の就任からこれまでについてお聞かせください

私が就任したのはちょうどリーマンショックの時期だったので各方面からご愁傷様と言われましたよ。それは長い付き合いからくる信用の上での激励の言葉なのですが、確かに中庄の経営も楽ではなく、厳しい時期の連続でした。だからこそ私は積極的に挑戦していかなくてはいけないと考えております。近年ですと仕事のコミュニケーションが円滑になればより活発に議論が行われ、更なる紙の可能性を追求できると考え、まずは目に見える大きな変化をということでずっと使っていたオフィスを一大リフォームしました。その甲斐あってかかなり社内のコミュニケーションが増え業務が活発に行われるようになりましたね。厳しい時代だからこそ今後も挑戦を続けていきますよ。

―御社の未来に向けて取り組んでいることを教えてください

弊社の展望をお話しする際にもお伝えしたのですが、目指すは社員が自信と誇りを持てる会社です。そのために現在はアンテナショップの展開を考えております。アンテナショップを展開すれば一般的なユーザーに紙の魅力を直に伝えることが可能ですし、弊社の社員も家族や知人に「自分はこんなことをしているんだ」と分かりやすく発信することができます。紙というのは今や当たり前のように身の回りにありますから、こうした活動を通じて改めて紙の魅力や可能性を特にエンドユーザーの方々に実感していただきたいですね。そうして紙を扱う企業として業界の未来を切り拓き、社員がより自信と誇りを持てる会社にしていきます。

―紙を扱う者としての心構えを教えてください

紙の良さを伝えていかなくてはいけないという使命感はありますね。今となっては紙も当たり前のように手に入るようになり生活に密着していますが、創業当時、紙は高価でありがたいものでした。その当時から人々の生活を支える紙を扱う者として、主にはチリ紙を扱い、高価な紙を少しでも多くの人の手に届く価格で提供しようと誇りを持って仕事をしてきたことと思います。かつては紙が手に入ることのみが価値でしたが、現代においては時代が変わり当たり前のように紙が手に入るからこそ、ただ紙を提供するだけではなく、紙の持つ可能性を表現していかなくてはいけないと考えております。より気持ちが込められるのは紙だと信じております。これからも自分達が紙の可能性を感じ、誇りをもって仕事をしていこうと考えております。
中庄株式会社 開発営業部 課長 廣岡和繁

新しい文化の創造

中庄株式会社 開発営業部 課長 廣岡和繁

中庄230年の歴史の重み、これを日々身近に感じているのが本取材にてお話を伺った廣岡さんだ。廣岡さんは同社の永きに渡る歴史の中で醸成された社是に触れ、入社を決意。「自社の歴史ですか、普段はそこまで意識も自覚もしているわけではないですよ」そう廣岡さんは仰っていたが、取材を通じてお話を伺えば伺うほどに同社の歴史の重みを感じながら日々仕事と向き合う廣岡さんの姿勢が見えてくる。同社の歴史を振り返り身を引き締め、ペーパーレスと呼ばれるこの時代において中庄の新たな価値づくりに挑む廣岡さん。本取材では入社から現在に至るまでのエピソード、これからの意気込みを伺った。

伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い

採用活動で感じた社是

廣岡さんが同社と出会ったのは企業の合同説明会。専門学校に通っており、大卒しか採用しないという企業がほとんどであった中、同社は専門学校卒の学生も受け入れていたという。それは代々同社が大切にしてきた『信は万事の本と為す』という考えによるものだった。人と人とが信用することを何よりも重んじ、学歴でなくその人個人を見て新卒採用活動を行っていたのである。「当時の就職活動では学歴が重視されていたのですが、中庄はしっかりと私という人を見てくれたように感じました」そう当時を懐かしみながら語る廣岡さん。そして入社後は営業担当として同社の理念を体現。「組織風土として、社是が社員一人ひとりに自然と浸透していた様に感じました。もともと人と接するのが好きだったのですが、私も社是を自然と体現する様に、より一層人との繋がりを重んじ業務にあたっていました」そう語る廣岡さん。同社の社是は取引先のお客さんのみならず、しっかりと社員にも浸透していた。

この時代だからこそ感じるやりがい

「現在、私は新たな商品の開発に携わっています。これは商社として発展してきた弊社にはなかった試みなんです」そう語る廣岡さん。紙の専門商社としてここまで発展してきた同社。近年のインターネットの普及により急速に需要が変化する中にいてこそ、廣岡さんはやりがいを感じているという。「ネット化が進んで行く中、紙の良さを改めて伝えていきたいです。何かを形に表して、伝えていく、これが我々の使命だと考えています」そう語る廣岡さん。近年ではティッシュペーパーにインテリアの要素を加えたIROMI彩美というオリジナル商品を開発した同社。その開発に携わったのが廣岡さんだ。「紙には可能性があります。紙は日常に入り込んでいるからこそ感じづらい部分ではありますが、弊社はそこを追求します」廣岡さんは強いやりがいを感じながら、同社の今後の為に紙の可能性を追求し続ける。

会社のもう1本の柱を創る

「会社のもう1本の柱を創っていきたいですね」そう強く語る廣岡さんは近年、アンテナショップの展開に携わるようになった。その背景には廣岡さんの強い想いがあった。「BtoCの集合がBtoBだと思うんです。エンドユーザーと触れ合って、その方々のニーズを汲み取ることこそがどの方にも良いと思っていただける製品づくりに繋がると考えています。なので我々がああだこうだと頭を悩ませ新商品を開発するよりも、エンドユーザーの声を集めて、本当に求められているものを開発していきたいんです」そう語る廣岡さん。同社の今後の為に見据える未来の先には、廣岡さんの目指す姿とリンクする。「紙を通じて企業にもエンドユーザーにも『中庄ってあんなに面白いことをやっているんだ』と言われるような会社にしていきたいです」同社の取り組みにより、紙に驚かされる未来が楽しみでならない。
インテリアティッシュ「IROMI彩美」
インテリアティッシュ「IROMI彩美」
社内にはカフェスペースもある
社内にはカフェスペースもある
江戸時代の資料にも残る中庄の名
江戸時代の資料にも残る中庄の名

エピソードを通して聞く、中庄の社是と思い

-印象に残っている仕事を教えてください

弊社の社是『信は万事の本と為す』の大切さを体感したエピソードです。私は当時ある出版会社を担当していました。出版会社でも会社の規模の大小はもちろんあって、装丁を自社で決める会社もあるのです。ある日、そういったお客様から表紙周りの装丁に関して相談がありました。出版会社様が思い描く装丁に合った紙を選定して欲しいと言う依頼でした。どうにかお客様のお役に立ちたいとヒアリングを行い提案させて頂きました。その提案がきっかけとなってお客様から「廣岡君のおかげで思った通りの本が出来たよ」と、とても喜んでいただけて、その後も長い付き合いに繋がりました。お客様からの感謝の言葉を頂きながら信頼関係をつくり、一つ一つの信頼を積み重ねていく。その積み重ねが、お客様にとって中庄への信用と繋がっていくのだと実感しました。

―紙の可能性についてどのようにお考えでしょうか

紙の持つ温かみや、人の感情をより表現出来ることに可能性を感じますね。例えば、幼い頃に画用紙に描いた拙い絵を見て、懐かしみと温かみを感じたことのある方は多いのではないでしょうか。また、メールよりも手紙の方が同じ言葉であっても送り主の込めた想いが、より一層に伝わってきますよね。これは一例ではありますが、私はそのような紙にしか表現できないものに改めて意識を向けることで紙の新たな可能性が拓けると考えます。特に近年ではメールや電子書籍に見られるように電子媒体が主流になっていますが、だからこそ紙のもつ温かみや、より感情を表現出来ることを紙ならではの価値として、多くの人が少なからず感じていると思います。「紙だからこそ出来る」をより一層に広げていきたいです。

―新たな文化を創り上げる、その意気込みをお聞かせください

中庄の歴史に名を残したいです。そのきっかけとなったのが大学のゼミを手伝う機会でした。そこで弊社の社史を改めて振り返る機会を通じて弊社の歴史の長さと、そして何よりその重みを再認識しました。どの時代にも転機があって、危機を乗り越えるために、常に常に時流に合わせた変化をしてきたからこそ現在の中庄があるのだと思います。今、私たちの時代も、まさに転機にあるのではないでしょうか。私の所属する部署も、「この部署を通じてどのお客様にも紙で感動を与えていきたい」と意気込んでいますね。私達も社史の一部として刻まれるように、後世の中庄社員の刺激となるように挑戦していきたいですね。

監修企業からのコメント

同社の230年以上の歴史。それを本取材を通じて改めて知りました。取材をさせていただいた方々は「自分達ではなかなか自覚することはないけどね」と仰っていましたが、聞けば聞くほどにその歴史の上に現在の同社があり、その歴史を活かして今後更なる発展を遂げようとしている、深い歴史を持つ同社ならではの姿勢がうかがえました。ニーズの変化の激しい昨今だからこそ、今後の活動に注目したい魅力的な企業様です。

掲載企業からのコメント

弊社の第三者からの紹介が必要だと感じていた最中に取材の依頼があったのでお受けいたしました。実際に取材をしていただいて、弊社のことについて深くお伺いいただき、弊社の歴史や今後我々が取り組むべきことなどを再確認する良い機会となりました。今後、この時代だからこそ表現できる紙の可能性や、弊社の新たな取り組みを実施して参ります。

中庄株式会社 代表取締役 中村真一
中庄株式会社
1783年 初代庄八、現在地に於て紙店を開業
1824年 江戸買物獨 案内に広告掲載
1864年 中村家の家訓を制定
1890年 商人名家東京買物獨案内に広告掲載
1935年 株式会社中村庄八商店設立
       資本金15万円から逐次増資
1963年 猿江倉庫竣工
1964年 社名を中庄株式会社に改称
1967年 猿江第二倉庫竣工
1971年 株式会社中庄ティシュー設立
1972年 志木倉庫竣工
1974年 本社社屋竣工
1983年 創業200周年記念の会開催
1987年 猿江物流センター竣工
       草加物流センター竣工
1988年 賃貸マンション竣工
1990年 株式会社中庄ティシューを合併
       熱海保養所開設
       那須保養所開設
       シンボルマークを変更
1993年 本社別館に厚生施設を設置
1995年 設立60周年記念の会開催
1998年 創業215年記念の会開催
2000年 8代目中村庄八襲名
2001年 ホームページ開設
2003年 創業220年周年記念の会開催
2004年 ISO14001 及び CoC認証取得
2008年 現社長就任(9代目)
2013年 本社ビル 耐震補強工事実施
2014年 本社事務所 リニューアル
創業年(設立年) 1783年(1935年)
事業内容 印刷用紙・出版用紙・情報用紙及び家庭紙和紙等各紙の総合専門卸商社
所在地 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目5番4号
資本金 4500万円
従業員数 102名
会社URL

中庄株式会社