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三起精工株式会社

三起精工株式会社 代表取締役 仙波勝弘

のどかな田園風景が一帯に広がる栃木県足利市県町。そんな地に、ひときわ目を引く大きさ、そして綺麗な工場がある。それが、三起精工株式会社だ。油圧プレス機の製造・販売を行う同社は、今年で創業から44年目を迎える。その歴史の中で、こだわり続けてきたものは品質だ。「良品を通して社会に貢献する」という社是を掲げ、細部までこだわった製品をつくり続けてきた。同社が品質にこだわるのには、この会社が立ち上がったことに関わるある理由があった。なぜ、品質にこだわり続けるのか。「良品を通して社会に貢献する」という社是が意味するものは何か。同社が大切にしてきた思いを伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

「良品を通して社会に貢献する」ために

「良品を通して社会に貢献する」を社是として掲げ、この社是が社員にも浸透している同社。創業から今年で44年目となるが、仙波社長は創業当時から幾度となくこの言葉を口にしてきた。同社では品質に強いこだわりをもっているが、社是にある「良品」とは、ただ品質が良ければ良いというわけではない。社員の仕事に向かう姿勢や、お客様にいかに満足していただけるかを追及することなどが、「良品」に繋がっていくのだ。そして、この社是を体現するために、重要なカギを握っているのが、5Sの徹底だ。整理・清掃・整頓・清潔・躾、5つの言葉の頭文字を取った5Sだが、同社のある足利市では、街をあげて5Sを推進している。同社でも5Sに力を入れており、社員一人ひとりが5S活動への意識が高いのだろう。取材時、5Sの行き届いた工場、事務所、敷地に驚かされた。「5Sがきちんとしていれば、丁寧に仕事をすることにも繋がる」と話す仙波社長。日頃の心掛けが、社是の体現に繋がっているに違いない。

お客様の困りごとには即時対応

同社のつくるプレス機は、何十~何千トンもの力がかかる機械。そのため、品質にこだわり抜いた同社の製品であっても、使用する中で、予期せぬトラブルや故障はつきものだ。もしお客様先でトラブルがあった際はすぐに動く。この点において、特に同業他社には負けないと力を込めて語る仙波社長。即時対応を行うきっかけは、創業時までさかのぼる。設計者のみで創業し、製造は外注していた時代、お客様先でよく聞く声があった。それが「どこどこのメーカーはトラブル対応が遅い」というもの。お客様にとって、プレス機は生産の要。1日でも早い復旧を求められることは言うまでもないだろう。「ならば、我々はそれをやろう」。自社でメーカー機能を持ってから、トラブルがあった際の即時対応を徹底している。対応先は国内だけでなく、例えば、イギリスに納品した製品のトラブルが発生した際にも、翌日には現地に飛んでいたというから驚きだ。品質に加え、この即時対応があることで、お客様の信頼に繋がっているのだろう。

少数精鋭で永続する企業へ

2022年4月で社長交代を控えている仙波社長。そんな仙波社長が願うのは、良いところを受け継ぎ、会社を永続させてほしいということ。三起精工が大切にし、こだわってきたものは品質。「より良いものをつくりたい」という思いから三起精工は立ち上がっている。だからこそ、44年に渡って品質にこだわり続け、品質で他社に勝ち続けてきた。今後は、より激しい競争の中を生き残り続けなければならない。そのためには、これまで大切にしてきた品質を貫き続けることが重要なのだろう。会社の規模を大きくするよりことよりも、品質へのこだわりをもった少数精鋭で、お客様の期待に応えていくを優先している。今、三起精工は創業社長から2代目社長へとバトンを受け継ぎ、また新たなステージを歩み始めようとしている。少数精鋭でこだわり抜いた品質を受け継ぎながら、新たな時代に適応するための進化を遂げていくことだろう。新たな時代を走り抜ける三起精工の未来に期待したい。
工場内の至るところに
掲げられたスローガン
オーダーメイドの
製品写真を会議室に掲示
綺麗さに目を奪われる
本社外観

永続する企業を目指して、これからも大切にしたいこと

創業の背景を教えてください。

私は元々油圧プレス機の製造会社で設計を行っていました。しかし、オイルショックを機に不況の波に飲まれ、営業中心へ舵が切られました。設計担当としては、前回よりも良いものをつくりたい、改善改良をしたいという思いが強くあるのですが、当時はより良いものづくりを追及することよりも、効率が重視されました。より良い製品をつくりたい、お客様に喜んでもらいたい。そんな思いを叶えることができなかった悔しさから、設計出身の3名が集まって、今の三起精工が立ち上がりました。3名で起こしたということが社名の由来です。今も社員全体のうち3割が設計担当です。油圧プレスが好きで好きでしょうがなくて、今の仕事に繋がっています。好きなことをできている今、周りの皆さんに心から感謝しています。

社内の教育はどのように行っていますか?

当社ではよく会議が行われていて、その中で社員が自然と育っていると感じています。例えば、毎週月曜日の朝7時からは、早朝役員会議というものを行っています。これは、創業間もないタイミングからずっと行っているものです。また、毎月1回、営業戦略会議というものも行っています。ここでは、営業の情報を共有します。創業当時、営業は私が全て担当していました。しかし、会社の規模が大きくなるにつれて、他の担当者がどのようなことをしているのか、お互いに把握するために創業後10年経った頃から実施しています。その他にも、小さな打ち合わせや会議はたくさん行っていて、そこで自分が発言することや周りの人の意見を聞くことが教育に繋がっていると思います。

5Sの取り組みについて教えてください。

当社には5S委員会というものがあります。毎年6~7名、私が選定したメンバーで構成されています。委員会のメンバーは、月に1回腕章をまいて、社内全体をパトロールします。その中で汚れているところなどを写真に撮り、文章とともに資料にまとめます。その資料を翌週の朝礼で全社員に発信し、改善を促しているのです。当社にはたくさんのお客様が来社されます。来社されるお客様の中には、工場が綺麗だと驚かれる方もいらっしゃいます。そして、それがきっかけで実際に製品を購入していただいたお客様もいます。全ての根幹にある5Sは創業当時から大事にしており、これからも大事にし続けたいと思っています。

三起精工の未来をつくる次期社長

三起精工株式会社 専務取締役 大関敏也

同社では、1から会社をつくりあげた仙波社長から、間もなくそのバトンが渡されようとしてる。そのバトンを受け取るのが、今回お話を伺った大関専務だ。四半世紀に渡って同社を支えてきた大関専務は、2代目社長として三起精工の未来を描き、それに向けて準備を進めている。三起精工へ入社する前には製造も経験し、入社後は設計や営業など、会社の中枢の役割を担ってきた。仙波社長も、社長交代後は全て大関専務に任せたいと絶大な信頼を寄せている。そんな大関専務だからこそ見えている三起精工の魅力や大切にしてきた伝統がある。これまでの三起精工とこれから描く三起精工のビジョンについてお話を伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

0からものづくりができることが楽しい

大関専務が三起精工への入社を決めた理由は、「設計から一貫してものづくりができる」という点だ。三起精工に入社する前は、群馬県にある製造業の会社に勤め、製造現場で働いていた大関専務。しかし、設計と営業、製造が一緒になってより良い製品を追い求めることができることに面白さを見出し、三起精工への入社を決意。26歳で、それまで未経験だった設計の世界へと足を踏み入れた。そこから約10年間設計を担当し、その後営業へ異動。営業担当になってからは今年で14年目となる。25年間ものづくりに携わってきた中で、自分が思い描いたものが実際に形になること、そしてそれがお客様に直接喜んでいただけることが醍醐味だと語る大関専務。お客様の理想を形にするために、各担当が知恵を出し合って製品をつくることに魅力を感じている。そんな大関専務は今年4月に2代目の社長に就任する。これからの三起精工を新しいステージへとステップアップさせる、まさに三起精工の未来を担う存在に違いない。

徹底的に品質にこだわり抜き、お客様に良いものを届ける

同社では、品質に強いこだわりをもち、ものづくりを行っている。その中で、現在営業を担当している大関専務は、「良いものをつくるためには、お客様が求めているものをきちんと聞き出すことが必要。それができなければ良い機械はできない」と力強く語る。お客様にとってより良いものを届けるための最初の一歩となるのは営業担当者のヒアリング力だろう。どんなものをつくりたいのか、そのためにはどんな機械が必要なのか、そこにはどんな仕様やオプションが必要なのか。お客様の要望を聞きながら、自社でいかにしてそれ実現できるかを考える。大関専務は、そこに営業担当としての強い責任感をもっている。そして、細部まで品質にこだわっているという自信があるからこそ、それに見合った値段を提示できる。値段だけで見れば、他社製品の方が安いことも多いという。それでも、徹底的に品質にこだわり抜いているからこそ、国内はもちろんのこと海外でも同社が選ばれることに、大関専務はやりがいを見出しているのだ。

三起精工を新たなステージへ

同社では今年4月に社長交代を控え、大関専務が新社長へと就任する。先を見据える大関専務は、新体制で会社を新しいステージへ進めながらも、少数精鋭というこれまでの流れは踏襲するという。その少数精鋭を維持するために、これまで以上に「一人の社員が何でもできる体制を整えたい」と話す大関専務。同社では、1台の製品をつくり終えるごとに反省会を実施し、次により良い製品をつくることに繋げている。そんな積み重ねを糧に、これからは新素材に対応したプレス機にもチャレンジしていく。また、これまでは自動車部品メーカーを中心に機械を納めてきたが、徐々にその領域も広がっている。今後は新たな分野への挑戦も視野に入れているという。少数精鋭で品質にこだわり続けてきたという伝統を守りつつ、社員一人ひとりの進化や会社の取り組みとしての進化を目指す。今後の三起精工がどのような進化を遂げ、「良品を通して社会に貢献する」会社になるのか楽しみでならない。
設計担当が描いた
図面をもとに
製品を形にする
5Sが徹底された工場
設計を行う部屋には
過去資料がずらりと並ぶ

品質にこだわり抜き、メーカーとしてのプライドをもち続ける

技術や品質に対してのこだわりを教えてください。

こだわりと言えば、お客様がより長く使い続けることができるような工夫をする、より綺麗に見えるような加工をするなど、たくさんあります。これらのことは、代々先輩方から受け継がれてきたもので、三起精工で働く中で自然と身に付いたと感じています。長く働いてきた中で印象に残っているのは、入社当時の設計メンバーが、みんな厳しかったということですね。いわゆる「職人気質」で、わからないことがあって聞いても教えてくれないなどということもありました。しかし、そのような経験が今ではバネになっているなと思います。形は変わっても品質にこだわるという姿勢は変わりません。今後は、この品質という面に対してもみんなで意見を出し合っていける体制をつくっていきたいと思っています。

大関専務から見て仙波社長はどんな人ですか?

すごい人だなって思いますね。何がすごいって、この会社を立ち上げることを1から始めてきた人であるため、考え方がとてもしっかりしています。芯が強いです。会社が創業したのは高度経済成長期の真っ只中だったのですが、これだけの会社にしたことを尊敬しています。今では想像もできませんが、当時、社長は自分で営業をして仕事を取ってきては、設計から組立まで全て一人でやることもあったようです。それだけやっていれば、当然思い入れも強くなりますよね。今も社長自身が営業で新規の受注をしてきたり、現場を回ってはより良い加工をするためのアドバイスをしているところをよく見かけます。

今の仕事の醍醐味はどんなところにありますか?

自分で言うのもなんですけど、メーカーって良いですよね。全部1からだから。当社の場合は、機械の一部ではなく全てを一貫してできるので、やりがいも感じますし、何よりやっていて純粋に楽しいです。設計段階から、お客様が何を求めているのか丁寧に打ち合わせを重ね、理想を聞き出して、図面に落としていきます。お客様と一緒につくり上げていくという感覚は何にも代えがたいものです。そして、何度も繰り返しているように、品質は他社には絶対に負けません。ものづくりに手を抜かないというか、お客様の理想を形にしていく中で、妥協することは一切ありません。それが我々の誇りでもあります。

監修企業からのコメント

この度はお話を伺わせていただき、ありがとうございました。
ものづくりへの愛、そしてお客様により良いものを届けたいという熱い思いに感銘を受けました。今後、仙波社長から大関専務へとバトンが受け継がれ、どのように進化をしながら、「良品を通して社会に貢献する」を体現していくのか期待したいと思います。

掲載企業からのコメント

この度は取材をしていただき、ありがとうございました。
取材を通して改めて当社で大切にしてきたもの、そしてその根幹には油圧プレスが好きだという思いがあったことを再認識できました。
今年、当社はまた新たなステップへと歩みを進めます。その成長を見守っていただけますと幸いです。

三起精工株式会社
1978年11月 資本金650万円にて三起精工設立
1981年4月 工場及び事務所新築。
1982年9月 東京国際金属加工展(晴海)に
      反転式ダイスポッティングプレスを初出品し好評を博す。
1983年5月 大型ダイスポッティングプレス5台輸出開始。
1984年4月 名古屋営業所開設。
1984年11月 第12回日本国際工作機械見本市(晴海)に
      反転式ダイスポッティングプレス2台を初出品し、
      国内外に好評を博す。
1986年8月 海外展示会(台湾国際自動化機具大展)初出品。
      会場に於いて2台成約し、本格的に輸出業務を開始。
1986年10月 第13回日本国際工作機械見本市(大阪)に
      反転式ダイスポッティングプレスを出品し、
      国内外に好評を博す。
1989年4月 組立工場新築1087㎡(330坪)
1996年3月 米国営業所開設。
1999年9月 工程業務進捗ネットワークシステム導入
2000年5月 米国シカゴに現地法人 SANKI USA INC.を設立
2002年6月 文書管理データベースシステム再構築
2004年5月 DIE&MOULD CHINA 2004(上海)に出品し好評を博す。
       期間中に展示機を成約し終幕する。
2004年10月 社内5S委員会設立
2005年10月 本社新社屋完成
2007年11月 組立工場に30TON天井走行クレーンを増設
2008年8月 塗装専用工場の新築完成
2010年5月 DIE&MOULD CHINA 2010(上海)に出品する。
2015年7月 第二組立工場竣工
2016年4月 社員駐車場と三起グリーン完成
創業年(設立年) 1978年
事業内容 油圧プレス総合メーカー
所在地 栃木県足利市県町890-4
資本金 3,900万円
従業員数 45名
会社URL

三起精工株式会社