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株式会社セイビドー

株式会社セイビドー 取締役社長 輿石あやか

今回取材させていただいたのは、山梨の地で創業125年を迎える老舗中の老舗企業の株式会社セイビドーだ。眼鏡や補聴器の小売りを行っている。同社は、明治28年に水晶細工屋として屋号「精美堂」を掲げ創業。大正10年には水晶レンズ以外の一般眼鏡販売を開始。それが同社の原型となった。地元山梨に密着して早125年。セイビドーの名前は、山梨県民なら誰もが一度は聞いたことがあるという。
お話を伺った輿石あやか社長は5代目社長だ。先代の社長が急逝され、急遽社長に就任された。急な交代ではあったが、社員に支えられ上手くいっている。取材を通し"山梨県民なら誰もが一度は聞いたことがある理由"など同社の魅力が少しでも伝えられればと思う。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

お客さまのことが好き

「お客さまのことが好き」同社の文化についてそう輿石社長は表現する。
お客さまとのコミュニケーションが好きで働いている社員が多くいるというのだ。そのお客さまが好きという気持ちが伝わるのか、スタッフにそこまでの用事がないのにわざわざ会いに来ていただけるお客さまもいるという。あるお客さまは、スタッフがいつ出勤するかも把握されているというから驚きだ。
元々接客が好きで同社に入社する方も多い。だが、「お客さまのことが好き」というところまで高じるのは、同社の雰囲気により醸成されたものだ。
「先輩方がお客さまを大事にする姿や、お客さまから好かれてわざわざ会いに来てくれている姿を見ていると、自然とお客さまを大事にしていますね」こう輿石社長は語る。
先輩スタッフとお客さまとの関係性を後輩が見て、その後輩が育ち、またその姿を見た新人が育っていくという好循環が生まれている。同社の「お客さまのことが好き」という文化は永く続いていくことだろう。

知識に裏打ちされた高い専門性

同社の独自性、それは専門性が高いことだ。同社は、目や耳に関する知識が非常に深い。これは他社と比較しても高い。それは、同社の知識量に裏打ちされている。
同社のほぼすべてのスタッフが、認定眼鏡士という資格を取得している。この認定眼鏡士とは目や眼鏡に関する知識を習得し、ただ単に眼鏡を販売するだけではなく、一人ひとりに最適な眼鏡を提供することのできる、眼鏡のスペシャリストだ。
この知識量に裏打ちされた専門性の高さがあるため、お客さまに非常に感謝されることが多くの店舗で起こっている。
また、同社は、地域における眼科や耳鼻科とも連携を取っている。専門性が高いからこそ連携ができ、目や耳に関しての情報交換をし、お客さまに病気の予兆があった際には病院の検査を勧めることができる。
知識を向上しようという意欲がある限り、高い専門性は揺らぐことはないだろう。

さらなる地元密着愛され企業を目指して

同社の展望、目指すところは、社風である"お客さまのことが好き"と"専門性の高さ"を掛け合わせ、"今よりももっとお客さまに好かれる"お店づくりをすることだ。
今は、インターネットで眼鏡を購入できる時代だが、同社は、インターネットに出店する予定は、今のところはないという。それは、同社の考え方によるもので、お客さまとのコミュニケーションを重視し、地元に密着していこうという思いからである。
また、地域病院との連携をさらに進めていき、専門性の高さを生かし、お客さまに貢献していきたい、お客さまに寄り添っていきたいとのことだ。
お客さまがいかに喜ぶか。お客さまが何を求めているか。目の前のお客さまに真剣に向き合い、お客さまの要望に応えること、そして、それ以上の価値を提供することがセイビドーが向かう先だ。ますます地元に密着し、愛される企業を目指していく。
知識が豊富な専門スタッフによる徹底サポート
認定補聴器技能者によるカウンセリングも実施
明治42年の精美堂。現存するもっとも古い写真。

専門性と社風をさらに紐解く

お客さまに感謝されたエピソードについて教えてください

ただ視力検査をするだけでなく、しっかりと問診したことで、とても感謝していただいたことがありました。
実際に私が対応させていただいたお客さまの中で、車の大型免許の更新で視力検査に引っかかり、当社に来店した方がいました。まずは通常検査を行いましたが、問題は見当たりませんでした。そこで、追加の、目の位置や両眼視と呼ばれる検査を行った結果、異変が見つかったため眼科を紹介しました。すると、視力に問題はなかったのですが、両眼視と呼ばれる項目に問題が認められました。免許は諦めざるを得ない状況だったのですが、「良く見てもらったお陰で原因も分かったし、ここまで丁寧に説明してくれれば諦められるよ。ありがとう」と仰っていただきました。その言葉は今でも忘れられません。

専門的な資格を持っている方が多いんですね

当社のほぼすべてのスタッフが、認定眼鏡士という資格を取得しています。この認定眼鏡士というのは、目や眼鏡に関する知識を習得して、眼鏡を販売するだけでなく、処方することもできる資格です。
専門学校に出張して、勉強をし、課題をこなしながら資格の取得をします。学校を通い終えるとSS(ダブルエス)という資格がもらえます。更にその上のSSS(トリプルエス)もあります。もちろん難しい試験をパスしなければならないんですが、当社にはSSSが3人在籍しています。
私自身は、それとは別に視能訓練士という国家資格を持っています。視能訓練士は、眼科で検査の専門スタッフとして勤めている人材で、医者と相談しながら治療の方針を決めたりもする、看護師の眼科専門版といったイメージですね。

社員さん同士の関係性について教えてください

皆、距離が近く話しやすいです。会社ですので、幹部やスタッフと役割は分かれているのですが、新入社員含め、様々な意見が言える環境です。意見は全社のいたるところから出ます。それは、先代社長の影響もあると思います。人が好きな方で社員との距離も近く、様々な相談を受けていました。そのなごりで、1年に1回全員と個人面談をしています。1対1の面談です。面談というと堅苦しいのですが、要は、お話しする機会です。
他には、毎年、納涼会や新年会を企画しています。各店舗同士の社員が会う機会は多くないので、イベントを通して交流を図っています。一人ひとりが長く勤めていることもあり、全員が全員のことを知っています。そのようなこともあり、社員同士の雰囲気はすごく良いと思います。

お客さまに 喜んでもらうために

株式会社セイビドー CS委員長・双葉店 依田健太郎

今回お話を伺ったのは、入社12年になる中堅社員の依田さん。店舗にてお客さまの対応をするスタッフの1人で、依田さんも例外なく"お客さまのことが好き"な社員の1人だ。お客さま好きが高じて、同社のカスタマーサービス委員長まで務めている。また、株式会社セイビドーのある山梨県に小さな頃から住んでいる、生粋の地元人でもある。眼鏡への愛も溢れており、現時点で所持している眼鏡だけでも13本ある、筋金入りの眼鏡好きだ。
今回の取材では、お客さまへの思いや、なぜ同社に入社したのかなどを聞いていく。依田さんへの取材を通じて、同社の考え方や社風を伝えていく。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

地域への愛着

依田さんは、同社の掲げる"地域密着"の考え方に惹かれ入社を決めた。同社は出張サービスや地域病院との連携など地域に密着したサービスを提供している。その"地域密着"という考え方を知ったきっかけは、ふとした好奇心からだった。 ある日、依田さんは、新しい眼鏡が欲しくなり、お店を調べていた。その中で見つけたお店の1つが同社だった。依田さんはちょうど、眼鏡だけでなく仕事も探しているタイミングだった。同社のことが目に留まったのは、同社が山梨県で"高い知名度を誇る"ことによる。 「山梨の眼鏡屋でセイビドーといったら、皆聞いたことがあります」依田さんはこう語る。 転職先は、同社以外にも全国有名眼鏡チェーンを複数検討していた。調べていく上で、同社の地域密着の考え方や経営理念を知り、それに惹かれた。それが入社の決め手となった。 同社は、125年に渡り地域密着で眼鏡販売店を営み、地元に愛されている。依田さんも知らず知らずのうちに深い愛着が湧いていたのかもしれない。

嬉しそうに帰っていくお客さまの姿

やりがいは、お客さまの嬉しそうな顔を見ること。それは、輿石社長の取材でも出てきた、"お客さまのことが好き"を体現しているからに他ならない。 「出来上がった眼鏡をお客さまが掛けて、『良く見える』と言っていただけることや、デザインを気に入っていただいて購入された眼鏡が出来上がり、お渡しして嬉しそうに帰っていく姿を見ることにやりがいを感じます」そう依田さんはにこやかに語る。 他にも、こんなエピソードがある。お子さまは、眼鏡を曲げたり、壊したりすることが多い。それを少しでも減らすために、眼鏡の掛け具合を合わせるフィッティングという作業を行う。そのフィッティングをしっかりできないと、落としたり、壊したり、曲げたりということが増える。そのフィッティングを通じて依田さんはお子さまとも仲良くなる。毎週来店してくれる元気の良い子までいるほどだ。 "お客さまのことが好き"な依田さんだからこそ、それがお客さまに伝わり、笑顔があふれているのだろう。

誰もが気軽に立ち寄れるお店づくり

「眼鏡と補聴器の資格を勉強して取得し、スキルを高めて、店長になり、よりお店に入りやすい雰囲気づくりをしてみたいです」依田さんは夢をそう語る。 同社は、店舗ごとに"特色"が違う。それは店長ごとに違う店舗のつくり方をするからだ。空間をより良く演出するためのライティングや商品の陳列の仕方、季節ごとによって変えるディスプレイ演出など、その一つひとつの要素が積み重なり店舗ごとの"特色"になっていく。 依田さんはこうも語る。「眼鏡は、最近だとお洒落の1つになっています。高品質やファッション性の提供は今後もしていきます。それにプラスして、ショッピングセンターにあるお店としても入りやすいような雰囲気にしてみたいと考えています。」 店長になれば、依田さんが思い描いているお店の雰囲気をつくることができる。ぜひ依田さんの"色"に染まったお店を見てみたい。
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お客さまのことが好き

お客さまと接する上で意識していることはありますか

僕は昔から喋り過ぎるクセがありますので、意識して聞くことを心掛けています。お客さまとお話する際は、眼鏡と関係ない質問もします。例えば、おしゃれな方でしたら洋服好きなんですか?とか綺麗な色の洋服ですねとか。そういう会話にも眼鏡を選ぶ要素が隠れていたりしますので、特に初めての方の場合は聞くように心掛けています。この心掛け以外にもお客さまにアドバイスする際に気を付けていることがあります。お客さまは、眼鏡を新調する際に似たようなものを選ぶ傾向があります。ですので、今の使われている眼鏡とは、少し変わるものを提案したりします。学生の場合だと私服を着ているか学生服を着ているかで全体のイメージが変わってしまうので、今度私服で来店してくださいとお伝えすることもあります。

お仕事で力を入れられていることはありますか

今年、CS(カスタマーサービス)の委員長になりました。そのCS委員会で、顧客満足に繋がることをいろいろ考えています。今、自分の役割として、お店やお客さまに一番貢献できるところではないかと思っています。お客さまがうちの会社を選んでもらえるようなサービスを考えて、お店を盛り上げて、お客さまに還元していきたい。それを実現できるようなことを考えていこうと思っています。具体的には説明しにくいのですが、社内に対していろいろ働きかけをしています。僕らの動き方とか考え方とか、そういったところに反映されることが多いです。ものができるという訳ではないので、うまく説明しづらいのですが、今よりも顧客満足を高めていきたいと思います。

依田さんから見た社長の人物像を教えてください

社長がうちの会社に来る前は、国家資格の視能訓練士として眼科で働いていました。ですので、眼鏡屋だけで働いている僕らとは、目に関しての知識量が圧倒的に違います。困ったことがあった際は、よく相談しています。社長は、年齢が近いことと、先代の社長に似た雰囲気があってとても話しやすいです。先代の社長は、社員との距離が近くすごく話やすくて、仕事の話だけでなくいろいろな話をしていました。
突然の世代交代があって、社長はすごく大変だと思います。けれど、急な交代によって、社長だけでなく僕らとしても会社を護っていかなきゃいけないという思いが全体的に強く芽生えました。僕らも頑張りますので、社長も一緒に頑張りましょうという気持ちで皆頑張っています。

監修企業からのコメント

輿石あやか社長、依田様、この度はお忙しい中にも関わらず、取材を快くお受けいただきましてありがとうございました。お客さまのことが大好きな思い、知識に裏打ちされた高い専門性、他社に類を見ないほどの風通しの良さや従業員同士の良好な関係性に感銘を受けました。今後も末永く地域に愛されるお店であってください。

掲載企業からのコメント

この度は、取材していただきありがとうございました。
取材を通じ、当社の思いや考えていたことを言葉にし、また文字にしたことで、改めて整理されたように思います。
今後も、「お客さまのことが好き」な企業として地域に密着していきたいと思います。
引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

株式会社セイビドー
1885年 創業者輿石勲が、水晶細工屋を屋号「精美堂」を掲げて創業
1921年 眼鏡部を作り水晶レンズ以外の一般眼鏡販売を開始
1930年 輿石有 2代目社長就任
1930年 桜町から銀座通り 1丁目へ移転し、眼鏡店「精美堂」が始まる
1948年 現在の本店がある「オリオン通り」へ店を移転
1973年 輿石陽 3代目社長就任
1973年 岡島百貨店に3号店を出店
1980年 アメリカニューヨーク5番街に「KIMBE OPTIC-キンピーオプティック」として出店
2001年 輿石丈夫 4代目社長就任
2019年 輿石あやか 5代目社長就任
創業年(設立年) 1885年(明治28年)
事業内容 メガネ・補聴器の販売
所在地 〒400-0031 山梨県甲府市丸の内1-15-8
資本金 5,000万円
従業員数 33名
会社URL

株式会社セイビドー