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深田パーカライジング株式会社

深田パーカライジング株式会社 代表取締役社長 深田明生

今回取材させていただいたのは、創業86年の歴史を誇る深田パーカライジング株式会社。創業以来、手作業のめっき加工で技術力を高めてきた。同社の技術力は業界内でも評判が高く、競合他社からもクライアントを依頼され、「このめっき加工は深田さんにお願いすると良いよ」と言ってもらえる技術力がある。現在は時代の進化に合わせて最新のシステムの導入にも力を入れており、まさに「伝統と挑戦」を体現している企業であると言えよう。お話を伺ったのは2020年に社長就任し、深田パーカライジングの次世代を牽引する深田社長。大手メーカーに従事した後、2016年より同社にジョイン。同社に抱く思いや、これまでの経験や先見の明をもとに改革を行っていく様子について伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

「素直」で「一生懸命」な姿勢で未来へ

同社は、「素直」で「一生懸命」な姿勢を持つ社員が多く、会社の示す方向性に対して真っすぐに向かう姿勢を持っている。「正直、社風はこれから創っていくタイミングだと思っています。」そう語る深田社長は、変わりゆく時代の中でもしっかりと対応できるようにと、2016年に深田社長が入社してから、生産管理システムの導入や福利厚生の見直しなど多くの改革を起こしてきたという。その中でも、会社の示す方向性に向かって「素直」に「一生懸命」頑張る社員がとても多いそうだ。「きっと、変わらない方が社員にとっては楽だと思うんです。でも、1人ひとりが当事者意識を持って変わらないといけないと感じる社員が多いのは、これまで会社が培ってきた86年の歴史のおかげですね。」そう語る深田社長率いる同社の未来は明るい。

新しい形の技術伝承

手作業でめっき加工を行っている同社。高い技術を持ち合わせる職人集団が織りなす丁寧な手作業は、これまで業界内でも高い評判を得てきた。しかし、職人の技は属人化しやすいもの。これまで「背中を見せる」形で脈々と受け継がれてきた技術であったが、今後は進化する時代に合わせ、属人化した技術が衰退しないようにと、同社では新しい取り組みとしてITやIoTを推進している。これまで培った伝統ある技術を、進化する時代に合わせて伝承していく、まさに「伝統と挑戦」を体現している同社。今後、業界内で活躍している姿が目に浮かぶ。

商品の拡充、組織の拡大

これまでの伝統を大切にしながら時代に合わせてどんどん邁進している同社。今後の展望は大きく2つあるという。それは、「新商品の開拓」及び「組織的な拡大」。昨今、製造業における若手の人材不足が叫ばれているが、同社では技術力を持った未来ある若手が多く在籍している。そのため、若手人材を登用した更なる拡充を図っていくべく、新しい商品群の開拓を目指して動いている。また、深田社長は「今働いてくれている社員に、将来の不安を感じさせたくない」という思いを強く持っており、「会社の利益体質をもっと上げていきたい」と語ってくれた。そのためには会社の規模を大きくしていくことが必須。深田社長が入社してから社員は40人から60人と1.5倍の規模となり、着実に拡大に向けた動きが進んでいる。
めっきをつけている様子
生産技術システムを活用
若手社員が活躍

運命共同体の社員と未来を創る

社長にとって社員はどのような存在ですか

運命共同体ですよね。同じ会社で働く仲間って、家族よりも一緒に過ごす時間が長いじゃないですか。でもそれぞれの生活の基盤を持っていて。その中で1つの目標に向かってそれぞれが自己実現するための運命共同体なのかなって思います。共同体なので上から命令されるのではなくて、それぞれの軸を持って進めていけると良いですよね。それで会社として大きい目標が達成できたら、皆が楽しい気持ちで仕事ができるじゃないですか。これまでは会社の規模としてトップダウンで指示していく必要があったと思うんですけど、ここからは共同体として一人ひとりが判断することのできる集団でありたいなと思っています。

会社を良くしていくために、幹部社員に求めていることは何ですか

月並みな言い方にはなってしまいますが、全員が起業者になって欲しいですね。起業者の精神を持って自分のお城を築いて欲しいと思っています。深田パーカライジングは1つの組織ですけど、幹部がそれぞれ持っている部署だって立派な1つの組織。自分の組織は自分で自由に変えて良いわけですから、自分たちで組織の改善をしてマネジメントして、自分のお城を築いて欲しいです。会社としての大枠の方針はこっちで決めるので、そこに大きく逸れない程度であれば…(笑)。そっちの方が活き活きと働けるんじゃないかなって思うんですよね。

どんな方に入社してきて欲しいですか

「ものづくりが好きな人」ですね。「ものづくりが好き」というのは、自分で工夫して創っていくのが好きな人。めっきは自分の力を加えることで多様に変化していくので、そんなところに面白さを感じる人にとってはこの仕事はすごく良いなと思いますね。ちなみに、文系でも理系でも全く関係ないです!薬品の相性や仕組み等、難しさを感じてしまう人もいるかもしれませんが、ものづくりのストーリーを理解して創意工夫することが大切なので、専門知識の有無で壁を感じる必要はありません。国文科出身だったりアパレルの勉強をしていた女性社員も、今バリバリ活躍してくれています。

理想のものづくりを追求し 会社の未来を創る

深田パーカライジング株式会社 化工3課 係長 尾熊健一

今回、お話をお伺いしたのは入社7年目で化工3課の係長を務める、尾熊健一氏だ。現在係長として日々技術を磨き、3人の部下の教育に奮闘している。尾熊氏にお話を伺っていく中で見えてきたのは、仕事に対する情熱と会社に対する愛情、そして、ものづくりに理想と誇りを持って取り組む姿勢。より良い会社を目指しながら、理想のものづくりを探求し続ける尾熊氏は、まさに深田パーカライジングの未来を背負っていく次世代のホープである。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

理想のものづくりが叶う場

学生時代、化学系の勉強をしていたことからものづくりに興味を持った尾熊氏。就職活動時に「自身の描く理想のものづくりができる会社はないか」と探していたところ、同社と出会ったという。尾熊氏の描く理想のものづくりとは、「自分の手でつくりあげることができること」「創意工夫を凝らしたものづくりができること」。就活生として訪れた同社の工場見学で、実際に製品に合わせて手法を変えながら手作業を行っている社員の姿を見て、ここでなら自分の理想とするものづくりができると強く感じたそうだ。現在は学生時代に学んだ化学の知識を活かし、理想のものづくりとする「自分の手で」めっき加工の作業をし、製品1つひとつに「創意工夫を凝らしながら」日々仕事に邁進している。

創意工夫を凝らして、最良のものづくりを

「どうやってめっきをつけようかと悩みながら作業することが楽しいですね」尾熊氏は仕事でのやりがいについて、そう語ってくれた。「自らの手で」「創意工夫を凝らす」ことが理想のものづくりと語る尾熊氏は、製品1つひとつへのこだわりを強く持っていた。筒状の製品にめっきをつける際、内側にはめっきがつきにくい。なぜなら、外側と内側と電圧が均等に流れなければめっきが上手くつかないからだ。外側と内側に均等に電圧がかかるようにするためには、めっきのつけ方を製品に合わせて創意工夫をしていく必要がある。そういった創意工夫を凝らす時間が尾熊氏は何よりも楽しいという。つい先日、難しい技術を要する重さ10kgもあるひょうたん型の製品の加工を任された。何回もめっきを行いながら、改善を繰り返し上手く加工ができたそうで、そのときには自身の成長を感じたそうだ。日々トライ&エラーを繰り返しながら技術を磨く尾熊氏に、今後も期待したい。

社員にとって、もっと働きやすい職場へ

尾熊氏は、「社員が働く環境をより良いものにしていきたい」という思いを強く持っていた。係長に就任し、「部下がもっと働きやすいように」という思いを持ち始めてから、会社の改善点が見えてきたという。例えば、薬品を扱っている関係上、薬品が飛散してしまうことを防止するために冷暖房を設置することが難しく、夏は暑く冬は寒い状況があるという。「薬品の管理がきちんとできるようになれば、冷暖房の設置もできてもっと働きやすい環境になると思うんです。」と語る尾熊氏。社員の働きやすさの実現のために、現在は安全衛生管理者という立場として見回りなどのチェックを行っている。会社の改善を目指して、自ら行動する尾熊氏から、部下を抱える係長としての責任が感じられた。
尾熊係長によるめっき作業
安全衛生管理者としての業務
社員と連携して仕事を進める

良いチームづくりから良い会社づくりへ

会社のもっと良くしていきたいところはありますか

部署間の連携をもっと強めていきたいなと思いますね。部署によって仕事の状況がもっと見える化できたり、状況に応じた協力体制をつくることができれば生産性も上がっていくのではないかと思います。
あとは、もっと教え合う文化があったらより良いかなと思いますね。うちは薬品を扱っているので、そういった指導をもっと徹底的に行っていく必要があると感じています。現在は外部の研修を活用した知識習得の場があるので、そういったものに自ら手を挙げて学びに行く社員が増えれば良いなと思います。

部下の教育で気を付けていることを教えてください

自分の意見を押し付けないことですかね。自分がこう思うからこうしろ、ああしろ、とは言わないようにしています。もちろん危ないことやいけないことに対してはきちんと伝えるようにしています。自分自身、理想のものづくりの1つが「創意工夫を凝らすこと」なので、それは部下にも体現できるようになって貰いたいなと思っています。創意工夫を凝らして自分自身の手でものづくりをする喜びを、上司である自分が奪ってしまってはいけないですからね。めっきは性質上やり直しが効くので、何度もトライ&エラーで挑戦し、自分で考えて工夫することを大切にしています。

係長としてどんなチームを作っていきたいですか

それぞれの強みが生きているチームを作っていきたいなと思います。そのためにはまず、それぞれ自分で考えて、率先して動けるようになってもらいたいです。「自分がこんな知識を身につけたらチームがさらに良くなるな」とか、「この技術をもっと伸ばそう」とか、そういったことを考えて動けるようになって欲しいですね。それぞれの得意分野や苦手分野を理解して、得意分野はどんどん伸ばして苦手分野を補えるようなチームが理想です。個々というよりは、チームとして最大化を図っていきたいですね。

監修企業からのコメント

この度、取材させていただきありがとうございました。長い歴史の中で培ってこられた高い技術を時代に合わせて伝承していく姿は、まさに「伝統と挑戦の革新企業」を体現されているなと感じました。また、働いている社員様が運命共同体として1つの目標に向かって真っすぐ進んでいく姿勢に感動いたしました。これからの深田パーカライジング様の更なるご活躍を楽しみにしております。

掲載企業からのコメント

取材をしていただき、ありがとうございました。取材を通して、改めて会社のことを見つめ直し、考えを言語化する良い機会となりました。この記事を通して、社員に思いを発信するきっかけが作れたと思うので大変良かったです。社員と共により良い会社づくりを進めていければと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

深田パーカライジング株式会社
1934年 深田クローム工業創業
1938年 深田金属防銹工場と改名
1953年 深田アンチロースト株式会社設立
1959年 深田パーカライジング株式会社と改名
2001年 溶融亜鉛めっきの日本工業規格表示認定を取得
2004年 3価化成処理(亜鉛めっき)に着手
2007年 深田パーカライジング株式会社 サイトリニューアルオープン
2008年 溶融亜鉛めっきの日本工業規格適合性認証を取得
2009年 エコアクション21認証取得
2014年 無光沢銀めっきライン 新設完成
2016年 光沢すずめっきライン 増設完成
2017年 軟質銀めっきライン  新設完成
2018年 溶解亜鉛めっき棟 耐震補強実施
大田区初 ユースエール認定 取得
2019年 新社屋(事務所・研究・福利厚生棟) 完成
新排水処理設備 完成
2020年 新工場建屋 完成
創業年(設立年) 1934年
事業内容 溶融亜鉛めっき、光沢銀めっき、無光沢銀めっき、光沢すずめっき、無光沢すずめっき、電気亜鉛めっき、はんだめっき、酸洗い ほか、各種表面処理
所在地 東京都大田区東糀谷1-6-16
資本金 1,000万円
従業員数 60名
会社URL

深田パーカライジング株式会社