地域に愛される藤榮商事へ
株式会社藤榮商事 代表取締役 新藤 友啓
株式会社藤榮商事は1981年に造成工事の会社として創業し、そこから道路工事や外装工事、解体業とサービスの幅を拡大させていった。さらには事業の垣根を越え不動産事業を展開し、現在では持ち込まれた生木や根株等を再資源化する環境事業に力を入れている。高いチャレンジ精神を持ち会社を導いているのが、今回取材した新藤社長だ。新藤社長は2代目社長として「社員が働きやすい会社」を目指し会社を創り上げている。今後さらなる発展をしていく同社。新藤社長がどのような想いを、どのようなビジョンをもっているのか明らかにしていく。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
ベテランと若手の融合
同社の社風として「ベテランと若手が融合したアットホームな雰囲気」を挙げる新藤社長。同社は元々土建業からスタートした、複数の職人が在籍している会社である。昔からいる職人はベテランの域に達している。その職人の中に、事業拡大に伴って若手社員が続々入社するに至る。ベテランの職人からすれば、若手社員は自身の実子と同じような年齢にあることから、子供を育てるように、親身になって接しているという。その接し方によって年代の垣根が取り払われ、意見交換が活発になされているというのだ。例えば、重要な決めごとがある際、会社やベテラン社員に対して、若手からアイディアが提出され、それが採用されるというケースも珍しいことではなく、同社では当たり前の風景なのだ。このアットホームな社風を生かし、「次世代の藤榮商事」を築き上げるべく、新藤社長陣頭指揮のもと、全社員一丸となって仕事に邁進しているのだ。幅広い工事分野の担い手
「工事に関するほとんどの部分を請けることができること」、これが同社の独自性だと新藤社長は語った。創業当時は造成工事を主に請け負っていた同社であったが、お客様の広い要望に応えるべく、道路工事を行える土台を築き上げていき、外装工事、解体業とできることを徐々に増やしていった。創業から現在まで「この工事に特化して行っている」という時期がない同社。絶えず複合的にお客様の依頼に応えてきたため、工事に関するほとんどの部分を請けることができる現在の形態が誕生したのだ。そしてその拡大の勢いはとどまることを知らず、土建業に関連が深い不動産事業、工事現場から出る生木や根株の再資源化を行うことができる環境事業を展開させている。このようにお客様の要望を広く請け負うことができる体制が、同社の独自性なのだ。地球にやさしい、環境事業の拡大
「さらに環境事業を伸ばしていきたい」、それが同社の展望だ。「現状、生木のリサイクルといっても認知度が低く理解が得ることができないため、周知を徹底していかないといけない」と新藤社長は熱い想いを語った。工事現場から出る不要な生木や根株は専門業者が引き取り、破砕処理を行い産業廃棄物として処分することが一般的だが、同社はそうではない。破砕処理を行った木のチップをたい肥や脱臭剤、またバイオマス化することで、産業廃棄物の出ないモデル作りに取り組んでいる。一方、この再資源化可能なモデルは珍しく、世に広めていく必要がある、ということだ。現在では同社が作ったたい肥を使った千代田区役所の屋上緑化や、代々木公園でのエコライフフェア出展等、様々な形で周知を行っている。このように同社は再資源化可能なモデルを確立させ、さらにその周知を広く行うことで地球にやさしい環境事業を拡大しようとしている。
日本に2台しかない藤榮商事自慢の破砕機
脱水装置
千代田区役所の屋上緑化
「人」を大切にしている会社
―どんな会社を作っていきたいか教えてください。
社員がゆとりをもって仕事ができる会社を作っていきたいと思っています。オンとオフをしっかり分けられるような会社、とも言い換えることができます。例えば週末に旅行が控えている、そのような状況だと週末前の仕事の楽しさは増すと思っています。また実際休日に旅行へ行ってきたとすると、その後の仕事に対するモチベーションも上がってくると思います。休む時はしっかりと休み、リフレッシュした身体で仕事に挑む。このサイクルができるからこそ社員が心に余裕をもって仕事に取り組むことができ、仕事に対するモチベーションも上がっていくためサービスの質も向上していくと考えます。「社員がゆとりをもって仕事に取り組める会社」、この考え方は大切にしていきたいです。―「ベテランと若手の融合」について、技術継承の観点からお聞かせください。
当社のベテラン職人が有する技術は、長年の経験によって培われた熟練の技であり、継承することは容易いことではありません。一方で、当社はベテランと若手の関係性が非常に良好であることから、ベテランが進んで若手を育てようと、各現場において技を伝授しています。現在ベテランとなった職人も、昔は「THE職人」というイメージの方が多く、「背中で語る」というタイプでしたが、若い世代とコミュニケーションを取ることによって、接し方が徐々に変化していきましたね。若い世代を知り、若い世代に合わせた指導を心がけているようで、多くの企業が苦労される技術継承に関しては、現在のところスムーズにいっていると感じています。―大切にしていきたい考え方を教えてください。
地域に貢献していく、この考え方はうちの会社でも年々強くなっていて、大切にしていきたい考えだと思っています。人との関わり合いというものは生きていく上で切っても切れないものです。周りとの付き合いを大切にしていくには、地域への貢献というものは重要だと感じます。実際に地域への貢献を目指し産業廃棄物業者で行うゴミ拾いや、災害時の折れた街路樹の引き取り。他にも薪がなかなか集まらなくて苦労しているボーイスカウトの組織への薪の提供などを行っています。会社単位だとできる地域貢献も限られてしまうので、まずは団体で行うことで大きな貢献をしていきたいと考えています。地域に貢献していくという考え方は、これからも大切にしていきたいです。自身の経験を生かしさらなる挑戦を
株式会社藤榮商事 環境事業部 酒匂 義徳
持ち込まれた生木や根株等を、産業廃棄物が出ない形で再資源化する同社の環境事業に魅力を感じ、入社を決意した酒匂(さこう)さん。現在は環境事業に所属し、お客様とのコミュニケーションを大切にしながら日々仕事に取り組んでいる。酒匂さんは将来、工事現場から出る生木から作るたい肥を使い、植物を育てて売買する新しい事業を立ち上げていきたいという熱い想いを抱いている。「食料自給率を上げ、日本再生に繋げていきたい」という意志をもち、壮大なビジョンを描く酒匂さん。本記事では、藤榮商事という舞台を生かし、夢に向かって邁進する姿に迫る。伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
地球環境への貢献
「藤榮商事の事業内容に惹かれた」、そう入社理由を語る酒匂さん。一般的に、工事現場から出る生木や根株等はごみとして扱われ、破砕処理を行い、産業廃棄物として処理されれる。しかし、同社は破砕処理を行った後、チップとして再資源化し、再活用できる仕組みを構築している。そのような産業廃棄物が出ない同社の環境事業に魅力を感じ、入社を決意したのだ。酒匂さんは前職時代、イチゴ栽培農家に勤めていた。一見、現在の携わっている環境事業と関係ないように思うが、現在でも前職で培った知識を発揮できているという。例えば、破砕処理を行った後のチップをたい肥として畑に巻く。その畑で栽培することで、よりおいしい野菜や果物が育つことがある等、前職のイチゴ栽培で培った知識をと同社で得た知識を融合させ、環境事業の普及に努めているのだ。より知識を広げて地球環境に貢献すべく、酒匂さんの挑戦は続いていく。日々の気づきで、サービスの質を向上させる
「様々な人と触れ合い、見識を広めることができること」、それがやりがいであると酒匂さんは語った。酒匂さんが勤める現場には、1日に生木や根株を積んだ、50台前後のトラックが訪れるという。訪れるお客様とのコミュニケーション、これが自身の見識を広げると同時に、サービスの質を向上させることに繋がると酒匂さんは言う。例えば同社が作るたい肥を農家の人に使ってもらった時の話だ。実際に使った農家の人から「この土は水はけがよい」という感想を聞くと、別の農家の方にもこの知識をアドバイスできる、このように好循環を生み出すことができているのだ。自身の見識が広がると同時に、サービスの質が向上することで、お客様に満足をしていただける、それが会社の成長にもつながっていく。このグッドスパイラルを生み出すべく、酒匂さんは仕事に邁進しているのだ。新事業の立ち上げにより、会社、日本、地球へ貢献
「藤榮商事で農業の事業を立ち上げて、植物を育て売買していければ面白いのではないか」と酒匂さんは熱い眼差しで語った。同社で作ったたい肥を使い、実際に植物を育て、販売する事業を立ち上げていきたいと志しているのだ。同社のたい肥は水はけに優れており、根が水に弱い植物に特化することで、事業の展望は開けるという。日本には使われていない畑が多く存在する。「年をとってしまったので耕せない」「あとを継ぐ人がいない」等の理由で使われていない畑は、日本全域で38万ヘクタール以上。これは埼玉県とほぼ同じ面積だ。その使われていない畑を活用し植物を栽培していくことで日本の自給率向上にも寄与することができ、さらには地域創生にも貢献することができるのだ。前職で培ったイチゴ栽培の経験から今の仕事につながる点を見つけ出し、それを生かして新しい事業を立ち上げたいと志す酒匂さん。目指す夢に向かって、日々進化し続けている。
山梨旅行の集合写真
道路工事の風景
会社の忘年会風景
全社員で、創り上げる未来
―仕事で、今一番力を入れていることを教えてください。
今一番力を入れていることは、生木や根株等の見極めと交渉です。トラックで運ばれてきた木や草、根や竹等値段がバラバラなものを総合的に判断し査定額を決め、それをお客様と交渉していかないといけないことから、経験が必要になってきます。これが不安定な値段設定になってくるとクレームにつながりますから、この工程は慎重に行う必要があります。見極めと交渉にはお客様からの信頼が絶対条件であり、その関係性を築くことができなければ、なかなかこの世界で通用することは難しくなります。現在私は見極めに多くの時間をかけてしまうのですが、先輩方は少し見ただけで査定額を確定させていて驚きます。私もそこにたどり着けるよう日々取り組んでいます。―酒匂さんから見た藤榮商事の雰囲気について教えてください。
明るく、社員同士の仲が良いことが会社の特徴です。実は私の兄も藤榮商事に勤めているのですが、家族ぐるみでの交流が持たれています。年に2回行われる社員旅行では、社員と家族も参加することが特徴です。ちなみに去年は社員旅行で千葉の外房にビワ狩りに行きましたし、今年も山梨に行ってきました。社員旅行先も社員の行きたいところをヒアリングし、それを踏まえて決めてもらえます。そういった雰囲気があるからこそ仕事にも熱が入りますし、家族から仕事の理解も得られることから、長く勤めている社員が多いのだと思います。さらには、このような環境下であるからこそ、私自身も生き生きと仕事に取り組むことができているのだと感じます。―会社の良いところを教えてください。
若手でも意見を言いやすく、仕事がやりやすいところです。何か社内で決めるべき項目があった際には、全社員が意見を出せる環境があります。そしてその意見も、ものの例えではありますが、3つに1つは採用していただけます。実際にあった例として、現場の機材の配置を話し合う機会がありました。どうすれば生木や根株等の処分しに来られたお客様とのやり取りがスムーズになるか、限られた敷地内でどこにどの機材を置くのが業務の効率がいいのか等を考え、自分の意見を出しました。すると私の意見が採用され、今でもその機材配置で仕事を行っています。そのような大きな決め事にも自分の意見が出せることは嬉しいことですよね。全社員の意見を積極的に取り入れてもらえる、仕事がやりやすい環境があることがこの会社の良いところです。株式会社藤榮商事
1981年 有限会社藤榮商事設立
1993年 埼玉県産業廃棄物収集運搬許可取得
建設業許可取得
1997年 宅地建物取引業免許取得
2001年 株式会社藤榮商事に組織変更
環境リサイクル新規事業参入 岩槻リサイクルセンター開設
2003年 土壌汚染改良事業参入
2008年 東京都・茨城県 産業廃棄物収集運搬許可所得
2015年 リサイクル事業拡大のため、佐野リサイクルセンター開設
2017年 エネルギー使用合理化等事業者支援補助金交付を受ける
代表取締役会長に新藤和夫、代表取締役社長に新藤友啓就任
1993年 埼玉県産業廃棄物収集運搬許可取得
建設業許可取得
1997年 宅地建物取引業免許取得
2001年 株式会社藤榮商事に組織変更
環境リサイクル新規事業参入 岩槻リサイクルセンター開設
2003年 土壌汚染改良事業参入
2008年 東京都・茨城県 産業廃棄物収集運搬許可所得
2015年 リサイクル事業拡大のため、佐野リサイクルセンター開設
2017年 エネルギー使用合理化等事業者支援補助金交付を受ける
代表取締役会長に新藤和夫、代表取締役社長に新藤友啓就任
創業年(設立年) | 1981年 |
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事業内容 | ◆環境関連事業 環境関連機械設計製作・販売 堆肥/改良土 製造・販売 ◆建設関連事業 宅地造成工事 建物解体工事 舗装工事 盛土・埋立工事 一般土木工事 ◆不動産関連事業 土地売買 賃貸管理 資産運用 |
所在地 | 埼玉県さいたま市緑区中尾943-2 |
資本金 | 1000万円 |
従業員数 | 20名 |
会社URL |
監修企業からのコメント
取材させていただきありがとうございました。土建業から始まり、不動産事業や環境事業と拡大されてきた藤榮商事様。その拡大の背景には「地域に貢献していきたい」という意志があることがわかりました。全社員一丸となり未来を切り開き続ける藤榮商事様、要チェック企業です!
掲載企業からのコメント
取材をしていただきましてありがとうございました。私たちが大切にしていることや これまでの歴史を振り返るいい機会になりました。今後さらなる発展のため、私たちは今までのやり方をさらに進化させ、新たな成長を遂げていきます。