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株式会社清水組

株式会社清水組 代表取締役 清水隆成

古来より「なまはげ」の文化が有名な秋田県男鹿市。そんな男鹿市で、118年という長い歴史を持ち、建設業でありながら”陸”の建設のみならず、”海”の建設まで幅広い案件を受け持つことを特徴としている会社こそ、株式会社清水組である。同社の5代目として平成31年4月、まもなく平成が終わるというときに代表取締役に就任した清水隆成社長。清水社長は、これまで先人たちが築いてきた歴史に感謝をしつつも、あぐらをかくつもりは全くないと言う。そのような清水社長の想いの根底には何があるのか。今回は、そんな清水社長が感じてきた歴史の重みや未来に対してどのような想いを抱いているのかなどを中心にお話を伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

真面目な仕事でゆたかさ創造、優しさ創造

清水社長に社風を伺うと「真面目な仕事をする、信頼を大事にしている」と話してくれた。創業から118年の歴史を紡ぐ中で自然と清水組の社風がつくられていったのであろう。清水社長は、「人に恥ずかしくない行動をとるのが一番だと思う」と話す。仕事においても失敗はあっても、ズルいことや自分だけ得になるような目先のことだけを考えるのではなく、業界や取引先関係各所との信頼関係を築くために誠実な対応をするという雰囲気が清水社長の入社前からあったのだという。そんな清水組の行動指針が記されている最後の一文は「そして信頼される社員であること」。清水組は、公共工事だけでなく民間工事の下請けも行っている。だからこそ、お互いに信頼できる関係で仕事をはじめ、信頼できる関係のまま仕事を終えるという仕事をしていきたいと清水社長は語った。

歴史が培ってきた幅広い技術力

清水組の特徴を語るうえで触れなければいけない要素の一つとして、”陸”から”海”の建設を可能にする技術力が挙げられる。建設業と聞くと一般的には陸上で、建物をつくるといったことを思い浮かべるだろう。そんな中、清水組は海や川の上に船を浮かべて工事を施工することが可能なのである。建設業の中でも、元請けとして役所と契約を交わし、一般的な土木建築から海洋土木まで行える会社は秋田県の中でも10社~15社程度だと清水社長は言う。そんな工事の幅広さを可能としているのが、これまでの培ってきた118年もの歴史である。5代目まで受け継がれてきたノウハウをさらにこれから先の若い世代へと伝承していくことで、清水組はさらに発展していくだろう。118年もの歴史を築き、老舗と呼ばれる清水組が今後どのような姿に変化していくのか。どのようにして技術を受け継いでいくのか、清水社長の話を聞いて期待せずにはいられない。

秋田県から環境問題に挑戦

清水社長は近い将来、秋田県沖で洋上風力発電が盛んになると言う。洋上風力発電とはその名の通り、海上に風力発電の設備をつくり、通常の風力発電同様、風車が風の力によって回転するときに発生するエネルギーを発電に活用するものである。この洋上風力発電に対して、現在日本で活躍している大手商社が参入しているとのこと。そんな状況に対して清水社長は、秋田県の海や川に118年も携わってきたからには何か力になりたいと考えているのである。もちろん会社のために利益を生むことは大切だが、生まれ育った秋田県から環境問題に取り組めることが喜ばしいことだと言う。これまで培ってきた技術力を活かし環境問題に取り組もうとする姿など、現状に満足する気は全くない清水社長。150年、200年とこれから先の未来を築いていくためにも、現状維持ではなく、さらなる挑戦を続けていくのである。

建設人材育成優良企業表彰
優秀賞を受賞

清水組で活躍する女性社員

消波ブロックなどを運ぶ
『第七十八清水』

未来に向けて、会社と社員へ抱く想い

清水組の強みを教えてください

今強みと聞かれるとパッと思いつくのは、やはりこれまで清水組が歩んできた歴史ですね。周辺地域の中でも一番歴史がある会社なので、お客様と固い絆で結ばれていると思います。先人たちが数々の困難を乗り越え、会社を守ってきてくれたからこそ今があります。そんな先人たちに甘えてばかりはいられないと、私自身も秋田県建設業協会の青年会長やPTA会長を通して地域へ貢献することを大切にしています。この街の支えがなければ清水組は118年という歴史を築くことは不可能だったと思います。長い年月をかけて清水組とこの街が築いてきた関係値こそが、清水組の持つ強みではないでしょうか。

大切にしている考え方を教えてください

大切にしている考え方は、「まずはやってみよう」ということです。多くの人が困難な壁やこれまで経験していないことに直面したときに逃げたくなってしまうと思います。そんなときにネガティブな感情を抱くのではなく、むしろワクワクするようなメンタリティが大切です。採用活動においても、学生に対してはそういった志向を持っているかを大事に見ています。「まずはやってみよう」という考え方ができる若い世代が増え、清水組の発展に貢献してくれるようになれば、こんな幸せなことはありません。現状の社員にもこういった考え方が浸透するように、取り組んでいきたいと思っています。

社員に期待していることを教えてください

特に若手社員には、先ほど述べた「まずはやってみよう」という考え方のように、より意欲的になってくれることを期待しています。時代と言われるかもしれませんが、私は苦しんだ先に得るものがあると信じています。日々の業務に加え、調べ物をして知見を深めたり、長年勤めている先輩社員の話を聞くこと。そういった積み重ねが成功体験を生み、仕事が面白くなってくるキッカケをつくると思います。若手社員を中心に、社員一人ひとりが仕事に対してやりがいを持ち、ポジティブな感情で働いてくれることを願っています。そのために自分自身ができることがあれば、何でもする所存です。

清水組の未来を担う若手のエース

株式会社清水組 建築部 小野航

2016年、清水組に入社した小野様は、前職が保育士という異色のキャリアを持つ。前職を離職後、父親が電気関係の仕事を営んでいたことから「電気関連の仕事を目指そう」と思い職業訓練校に通った。そこで電気の勉強をしてきたが、就職活動をする中で清水社長と出会い、これまで想い描いてもいなかった建設の世界へ飛び込んだ。そんな小野様は、若き施工管理技士として、現場監督として、自身よりも年齢が高い職人と関わる中で、お互いに気持ち良く円滑に仕事を進めるため常にコミュニケーションを大切にしているという。入社から6年経過し、今では清水社長からも期待される若手のエースとなった小野様。そんな小野様に、ご自身と清水組、二つの観点から現状とこれから先の未来に向けた思いについて伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

清水社長との出会い

清水組に入社した理由を伺うと、「正直明確な理由が見たらないですね」と話し始めた小野様。そもそも清水組との出会いのきっかけは、職業訓練校在籍中の情報交換会。「恐らく清水社長は僕の経歴を面白いと感じて声をかけてくれたんだと思います」と話す小野様。前職は保育士をしていたが、職業訓練校ではご自身の父親が電気屋であることから電気関係の勉強をしていたという。就職活動は自身のペースで行っており、まだ就職先が決まっていなかった中、清水社長に出会った。清水社長から会社見学の誘いをもらった小野様は、新しいものが好きな性格であり、参加を二つ返事で決定したのだ。そして後日、会社見学に参加し面接を受け、清水組への入社が決まった。入社後は、業界未経験で右も左も分からない中であったが、先輩にひたすら教えてもらいながら現場監督として多くのことを学んできたという。入社から6年が経過し、今では清水組を支える若手として日々活躍している。

1つの現場が終わるごとに感じる達成感

工期に合わせて現場と職人を調整し工程を組み、指示を出す。現場監督の仕事を文字にすると一見簡単そうに思えるが、実は難しい仕事である。周辺環境への安全に配慮したり、工事内容に応じて予算組みや資材発注、そして職人の手配など細かな調整をしているのだ。そんな中で小野様は、全ての現場に対し自身が組んだ工程通りに事が進んだ時にやりがいを感じるという。これまで担当した中で特に印象深い現場は、「最初に担当したバイオガス発電所の改修工事ですね」と話す小野様。当時、入社間もなく、全く知識や能力を持ち合わせていない小野様は、ただひたすら先輩の後ろについて一緒に仕事をすることで精一杯だったという。工事を終え、いざお客様に引き渡すとなった瞬間、小野様は「この工事終わったんだな、頑張ったんだな」という気持ちとともに「自分でもできた」という達成感を感じたという。それ以降、「どの現場においても自身が組んだ工程通りに工事を終えられた際は嬉しいです」と小野様は話してくれた。

1日でも早く一人前の現場監督として一つの現場を納めたい

「まだ今は上司に確認をしながら自分ができるところをやるという状態なので一つの現場を自分で納められるようになりたいですね。あとは、新築の大きい物件にも携わってみたいです」と小野様は明るく話し始めた。もちろん個人差はあるが、一般的に見積りから全てを自身で行えるようになるには10年ほどかかるという。1日でも早く先輩に追いつくために、小野様が意識していることは二つ。一つ目は、予算よりも少しでも多く利益を残せるようにすること。そして二つ目は、職人がいてこその現場であり工事が成り立つため、1日終えた際には朝来た状態と同じ状態で帰宅してもらうこと、つまりは安全に1日を終えるということだ。取材をする中で、小野様は「職人の人たち皆良い人なんです」と一緒に現場を作り上げる仲間としての熱い思いも節々で話してくれた。今後、小野様の人柄も含め、上司や職人との関わりや現場を通じてたくましく成長しているのであろう。また、それにより清水組の未来もさらに進化、変化を遂げるのであろうととても楽しみである。

田んぼの区画整備を行なっている
土木現場の様子

和気あいあいとした雰囲気で
話し合う社員

早朝のクリーンアップ活動も
積極的に実施中

清水組と清水社長について

日々、職人のまとめ役として意識していることを
教えてください

まずは、職人さんがいないと何も始まらないので職人さんのことを一番意識していますね。職人さんには朝来た状態と同じ状態でお家に帰ってもらうこと、そしてお互いに良い現場をつくり上げるために密にコミュニケーションを取ることも意識しています。職人さんの休憩時間には、休憩している職人さんたちのそばに行って一緒にコーヒーを飲んだりしながら他愛のない話をしています(笑)。その中で、現場からの意見をいただき反映することもあれば、僕自身から提案をさせてもらって職人さんに理解してもらったりしていますね。自身の理想としては和気あいあいとした現場で何でも話し合える環境をつくることです。

清水組の良いところを教えてください

業界の性質上、怖い先輩とかたくさんいそうなんですけど、清水組は自分に対してもそうですし、分からない人に対して丁寧に教えてくれるところが良いところだなと思います。基本的に現場に直行直帰なので会社で会うということは少ないのですが、電話でも優しく教えてくれます。あとは、良い意味で自分にも仕事を投げてくれるのでやったことのないことも経験できて、それによって自身が成長できているなと思っています。良い意味で放し飼いというか、やらせてくれてます(笑)。また、会社自体も休みがしっかりしているので、工事の関係で土日に働いた際には「代休取ろう」とか声をかけてくれますし、休みも取りやすい環境があるのも良いところの一つですね。

小野様から見た清水社長はどんな人ですか

社長はとにかくアクティブですね。新しいもの好きというか、結構ハングリー精神が旺盛というのか、新しいことに対する挑戦心や行動力がある方だと思います。社長ではあるんですけど、会社に本腰を据えるというよりは、自分から行動をしてやってみるタイプの社長だなって思っています。あとは、結構気軽に声をかけてくれますね。僕は普段現場にいることがほとんどですが、たまに会社に行った時には「最近、元気している?」と気にかけてくれますね。清水社長がこういう方だからなのか、他の社員も清水組としての芯はブラさずに、でも個性豊かに自分色に染めながら思い思いの現場をつくることができていると思っています。

監修企業からのコメント

今回の取材を通して、清水社長の「まずはやってみよう」という考え方はとても勉強になり、その通りだなと痛感いたしました。今後どのような歴史をつくっていくのか、とても楽しみにしております。今回は取材をお受けいただき、ありがとうございました。

掲載企業からのコメント

今回の取材を通して、改めて清水組が築いてきた歴史を思い返すことができました。社員一人ひとりが明るく前向きに働ける環境をつくれるように、これから先も力を注いでいきたいと思います。今後の清水組の成長を楽しみにしててください。

株式会社清水組
1905年 創業(初代組長 清水利市)
1949年 建設業 秋田県知事登録
1958年 株式会社清水組 設立(初代社長 清水富蔵)
1962年 清水重明 社長に就任
1971年 内航海運業 開業 東北海運局許可 第新C0006号
1972年 建設業 秋田県知事許可(般・特-48)第804号
1978年 一級建築士事務所 開設
    秋田県知事登録 第3A-71号
1984年 産業廃棄物処理業(収集・運搬) 開業
1988年 建設業 建設大臣許可(特-63)第11421号
1990年 貨物運送事業 開業 新潟運輸局許可 第新W0016号
1992年 産業廃棄物処分業(中間処理) 開業 秋田県知事許可 第0524000637号
1996年 清水重輝 社長に就任
    宅地建物取引業 開業 秋田県知事免許(1)第1630号
2001年 JQA品質マネジメントシステム『ISO 9001』認証取得
2012年 JQA環境マネジメントシステム『ISO 14001』認証取得
2015年 JQA品質マネジメントシステム 『ISO 14001:2015』へ移行 JQA-EM6800
    適用範囲:公共土木及び建築工事の施工
2016年 JQA品質マネジメントシステム 『ISO 9001:2015』へ移行 JQA-QM7521
    適用範囲:公共土木及び建築工事の施工
2019年 清水隆成 社長に就任
創業年(設立年) 1905年
事業内容 総合建設業(土木、建築、管、舗装、浚渫、造園、水道、その他)
内航海運業、貨物運送取扱事業、産業廃棄物処理業、宅地建物取引業
所在地 秋田県男鹿市船越字船越285番地
資本金 8,600万円
従業員数 67名
会社URL

株式会社清水組