ゴムの無限大な可能性を求めて
株式会社江北ゴム製作所 代表取締役社長 菅原 健太
今回取材をさせていただいた株式会社江北ゴム製作所は、ゴム業界に関わる仕事の困りごと解決集団である。その仕事は薬液タンクの防蝕のための内部加工、遊戯施設の安全バー、高機能ゴム部品、ゴルフのティー等々、多岐に渡る。共通しているのは、お客様の困りごとを解決するという仕事への誠実さである。ゴムのような柔軟性を持って仕事をすること、仕事に対する真面目さ、手作業による高い技術力が、型に捕らわれず幅広い仕事に対応するということに結びついている。創業57年を迎える同社ではあるが、まだまだここからがスタートであると菅原社長は言う。今回は「関東No.1の困りごと解決集団」であり、ゴムのような柔軟な発想を大切に、さらなる発展を目指す菅原社長にお話を伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
困りごとを解決するという責任感にあらわれる真面目さ
社風について「真面目に尽きる」と菅原社長は言う。真面目であることがものづくりという仕事の基本であり、根幹となる。ゴム製品は機能性商品であり機能が命である。機能性を保つためには、材料の配合が鍵になる。とはいえ、材料の配合は外から見えるものではない。それでも、確実にお客様の困りごとを解決する製品を生み出すために、見えない部分にも手を抜かないという真面目さ、真摯さが重要なのである。また、自分たちの仕事に誇りを持てるようにどこで使われる製品なのか、しっかりと社員が理解していることも、真面目さの原動力に繋がっていると菅原社長は続ける。さらには、お客様の期待に応える責任感、そのためには現状に甘んじることなく、挑戦し続けている、そういった側面での真面目さも兼ね備えているのだ。真面目を根底に、解決すべきお客様の困りごとを避けるのではなく挑んでいき、それを乗り越えたときに味わうことができる高揚感、喜びを感じられるような会社であり続けることを目指している。ゴムのように柔軟にトライするということ
「何にでもトライする会社」ということが江北ゴム製作所の独自性だ。それは同社の掲げるスローガンでもある。その根底にあるのは、ゴム業界にいるからこそ「やわらか頭で考える」という精神である。ゴムは弾性体でやわらかい、だから伸びたり縮んだりして柔軟に変形して適応する。お客様から難しい仕事を受けたときも、「絶対にできない」とは言いたくないと社長が考えるのも、ゴムのような柔軟性を求めるからだ。一般の人にとってゴムは黒いのだけに思えたとしても、同社ならば配合レシピから工程まで無限大に組み合わせ、お客様がまだ知らない無限大の提案に繋げることができる。前向きに取り組んでいく姿勢さえあれば基本的にやれないことはないのだ。もしもできない仕事にぶつかったら、そのときには新しい技術を学ぶことで乗り越えていく。今できなくても方法を学べば良いのである。「背伸びして届くような仕事なら、トライすればいいじゃないか」という菅原社長の言葉は非常に印象深い。江北イズムをもった人材を海外にも
江北ゴム製作所では、本格的な海外市場への参入へ向けた準備を始めている。それは、今後の国内市場縮小に備えてということでもあるが、会社の可能性を広げるためでもある。例えば、すでにある上海工場は生産機能のみではなく、将来的な海外市場参入の拠点と捉えている。そして海外市場に参入するために必要なこととして菅原社長は、「江北イズムを良く理解している人が、海外拠点の長になってくれること」だという。江北イズムとは即ち、お客様の困りごとに挑んでいく姿勢や、絶対に成し遂げるという責任感である。江北イズムを持った人材が技術営業もできる工場長になってくれれば、同社の可能性は無限大に広がるのである。また、現地人材の雇用が鉄則であるという考えに基づき、将来の幹部候補となる外国人技能実習生の受け入れも進めている。実習生が母国に帰っても、江北ゴム製作所で働きたいと思ってもらえるようにすることも海外市場参入に向けた準備なのである。
同社のWebサイトに掲げられているスローガン
困りごとに応える様々な製品
全社員参加の社員旅行(年1回開催)
一緒に活躍できる職場にするために
江北イズムについてさらに教えてください。
お客様の困りごとに対しては精一杯の仕事をするということや、江北ゴム製作所でできることは絶対にやるということです。「簡単にできない」とは言いたくないから、「何にでもトライする」ことを大切にします。それがお客様に対する江北イズムです。社員に対する江北イズムは、やった仕事に対しての労力についてお客様にしっかりと伝え、正当に評価してもらうということです。逆に、お客様からの感謝の声やどんなことを喜んでいたか、ということも社員間で伝え合います。その場として、朝礼を大切にしています。朝礼の場で、お客様の声等を共有し合うことが誇りにもなるのです。そういった連鎖で、江北イズムをさらに強固にしていきたいと考えています。今後に向けて、実施されている取り組みについて教えてください。
町工場の延長線というところから、もう一段階進んだ組織化を進めること進めていくことです。正直なところ組織化についてはまだまだ転換期です。目指しているのは、江北ゴム製作所の強み生かした組織化と、各個人が幅広く活躍できる環境のバランスを取ることです。技術営業集団であるためには、それぞれが各部門をよく知っていることが大切であり、部門間の隔たりができないようすること重要です。組織化を進める上で、人材教育も重要事項です。人材教育については、江北イズムの浸透を高めることを進めていきます。イズムの浸透が進めば経営理念や方針、行動基準を同じものさしで考えられるようになるからです。それが強みになり、淘汰が始まる国内市場において、さらに当社が存在感を増してお客様から選ばれる存在にもなりますし、将来的に、海外市場においても優位性を発揮できるのではないかと考えています。江北ゴム製作所が求める人材を教えてください。
「チャレンジしてみよう」というプラス思考を持つ人が合っていると思います。それは、仕事を頼まれた時に「難しいかもしれない」という予防線を張らないような人です。もちろん、物理的にできない仕事を断るのは仕方がないと思います。しかし実際は、やってみないと分からないことの方が多いです。だから、頭を柔らかくして考えて、一生懸命に楽しみながら目の前の仕事に取り組んでほしいと思っています。それでやってみて、駄目なら別の方法を考えれば良いのです。そうやって、トライするから「関東No.1の問題解決集団」にもなれるのだと思います。だから、「まずはチャレンジしてみよう」と考えられる人が江北ゴム製作所には合っていると思います。挑戦できる会社の活躍できる環境
株式会社江北ゴム製作所 営業部係長 山口 達也
代表社員として、お話を伺ったのは営業部の山口達也さん。入社7年目を迎える山口さんの仕事は、営業としての技術提案、現場の仕事まで多岐にわたる。入社したキッカケは、小規模で裁量の大きな職場で働きたかったからである。入社後は現場から仕事をスタート。そして今現在は営業部の係長をしている。現場での修行期間があったからこそ、お客様に満足してもらえる提案ができるのだと山口さんは仰っている。また、自分自身の提案でお客様の困りごとを解決したときに最高のやりがいを感じるという。今回の取材では、江北ゴム製作所を社員全員が誇れる会社にしていきたいと語る山口さんに、同社と仕事への思いを伺った。伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
活躍できる機会の多い職場が良かった
入社を決めた理由は、裁量が大きい環境で働きたかったからである。つまり、仕事を楽しむための要素として裁量や自主性の高さを山口さんは求めていたのだ。以前は、300から400人規模の会社で働いていたが故に、同社の小規模かつトータルで仕事のできる環境が決め手になったのである。他にも、元々が文系の出身だったが故、自分自身が全く知らない新しい業界で働けるということも一つの要因となったという。そして、ゴム業界について知識がゼロの状態で入社し、最初は現場での修行からスタートした。今感じていることは、現場経験があるからこそお客様に幅広い提案をすることができるし、どんな困りごとの解決もできるということだ。トータルで仕事をする機会の多い環境を与えてくれる会社だからこそ、日々できることや提案力も向上していくのだ。その結果として「関東No.1の困りごと解決集団」を目指すこともできるのだという。自分自身の提案がお客様の困りごとを解決する
仕事にやりがいを感じる瞬間は、「図面や製品に自身の提案が反映されたとき」であると山口さんは語る。特に一品物の仕事が多いため、お客様の製品に与える影響も大きい。それがお客様の困りごとを解決できた、壁を乗り越えたという達成感を大きくする。そしてお客様に自分の提案が認められたことが嬉しいという。お客様から喜ばれる提案をするときに大切になるのが、自分自身の現場での経験だ。その経験に基づいて即座に図面の修正すべき箇所を理解し、適切な問題解決へとお客様を導いていくのである。現場での修行期間があるから、製品への理解も深く、ゴム以外の製品の仕事に関わることも多いという。その結果、仕事の注文がゴム部品だけでなく設備全体になることもある。現場での経験を通して、創意工夫ができるからこそ、提案が反映され、お客さんにも喜んでもらえるのだ。ゴム業界で日本一を目指して
ゴム業界の中で江北ゴム製作所が日本一と言える仕事を増やしていくことが夢であるという。ベルトコンベアのプーリーについては、今現在江北ゴム製作所が日本で一番仕事を請け負っている自負があるという。しかし、それ以外にも日本一を増やしていくことが夢だ。「日本一と言える仕事を増やす」という夢の根底にあるのは、社員全員が誇れるような仕事を増やして、自慢できる会社にしていきたいという思いだ。そのために営業として山口さん自身ができることは、提案力をさらに強化すること、現場の社員もやりがいを感じるような仕事を獲得することであるという。提案力については、自身の得意領域以外に関しても知識や理解度を深めることが重要、そしてより皆がやりがいを感じる仕事については、目に見える場所の仕事を増やしていくこと、さらにはお客様の喜びの声を現場に届けることだという。日本一と言える仕事を増やすために山口さんの存在はとても大きい。
日本一仕事が来るベルトコンベアのプーリー
幅広い製品に対応できる同社のゴム加工技術
自分で製品の試作を行うこともできる
お客様の困りごとを絶対に解決するという責任感
山口さんが描く江北ゴム製作所の将来像を教えてください。
社員全員が誇りを持ち、自慢できる会社にしていきたいです。そのためにも日本一の仕事を増やしていくということが目標です。他にも江北ゴム製作所のゴム業界での知名度や立ち位置を高くしていきたいということも考えています。例えば、ゴム関係のことで困りごとがあったときに、お客様が「まずは江北ゴムさんに相談してみよう」と思ってもらえるような地位を築いていきたい。そういった地位を業界の中で築くためにも、「江北ゴム製作所と言ったらこれだよね」という製品を生み出すことが重要であると考えています。それらのことが結果的として社員全員が誇りを持って働けて、自慢できる会社に繋がっていくのだと思います。今までで一番印象に残っている仕事を教えてください。
全社一丸となって難しい仕事に取り組んだことが印象的です。その仕事は、お客様の急な困りごとへの対応でした。緊急対応をしないと、お客様に一日に何億円と損害が出てしまうということで、急ぎで全社で対応しました。普段なら準備や段取りにも結構時間がかかる案件だったのですが、社員全員の力があったからこそお客様への高い満足度にも繋がりました。そのときは、お客様からもすごく喜ばれたので印象に残っています。お客様が困っていたら、できることはするというスタンスだからこそ対応できた仕事だったと思います。この積み重ねが、ゴム業界での江北ゴム製作所の立ち位置に結びついていると思います。山口さんから見た江北ゴム製作所について教えてください。
お客様のリアルな声に応えるために、ゴムに関連する仕事ならどんな製品にだって対応できます。何を売ってはいけないという制約がないからです。それに、お客様からどうしてもやってほしいと依頼されて、「それは絶対にできない」とは言いたくない。そういうスタンスで仕事を受けています。そして、仕事の小回りも非常に効きます。加工方法にも決まりきった方法はなく、お客様に合わせて対応することができます。それができるのは、現場と営業が同じ近い場所にいることで、相談や状況の確認がスムーズにできるからです。だから、ゴムについては全部自分たちでできて、小回りが非常に効くのが会社の良いところです。株式会社江北ゴム製作所
1962年06月 足立区西新井本町に(現相談役)金丸茂之により個人創業
1965年01月 西独「スターグルバ社」製の自然加硫接着剤を
コンベヤベルトのエンドレス接着工法に採用
1970年06月 足立区堀ノ内に事務所・工場を新設。
「ジョインタイト」開発
1972年10月 西独の前記会社に従業員を派遣し各種接着工法習得
1981年06月 富士工場(富士吉田市の誘致工場)を建設し
主として工業用型ゴムの生産開始
1987年03月 富士工場に第二工場新設、ボイラー・加硫缶設置、
ポリウレタンコーティング増強。
また練習用野球ボール製造等開始
1990年04月 富士第二工場3階棟増設、 ゴルフショットマット
増産等に対応
1991年08月 菅原孝夫 代表取締役に就任
1992年05月 (社)東京都信金協会より技術革新・製品開発部門で
優秀賞の表彰を受ける
1996年02月 ダイヤモンド社発行『「変化に挑む」ストロング
スモールカンパニー』(東京の強小企業100社)
に掲載紹介される
1998年09月 2,200×2,200の1,500トン圧縮大型成形機を
富士工場に設置
2000年11月 女性による型成形作業体勢導入
2001年05月 日本水道協会より東京工場が検査認定工場として
登録される
2001年08月 富士工場で女性だけの成形作業棟による作業開始
2002年11月 富士第3工場新設 長尺プレス集約などを図る
2003年03月 本社第1工場にゴム研磨内製充実に向け、NC旋盤増設
2003年12月 富士工場ISO9001:2000取得する
2004年05月 東京第2工場隣接地取得し、3階建工場建設、
東京第一工場一部作業を移管し、効率アップとサービス
向上を目指す。又、3階に本社機能移す
2004年10月 金型製作も出来、真空プレス等有する「さいたま工場」稼動
2006年02月 中国 上海市に提携工場を設置
2007年04月 東京第一工場の改造工事を実施
2007年07月 中東ドバイの地下鉄プロジェクトに、
ベルト加工の技術指導を行う
2008年09月 中国より研修生を受け入れる
2013年08月 関連会社、上海喜代蔵貿易有限公司設立
2013年09月 中国江蘇省昆山市の賽格電子市場に出店入居する
2014年02月 上海野村化成橡塑制品有限公司(上海市閔行区)
に資本参加、中国市場確保目指す
2015年07月 東京工場に女性用休憩室・ミーティングルーム新設。
女性の活躍環境整備する。
2016年03月 上海工場を上海市奉賢区にて本格稼動
2016年09月 菅原健太 代表取締役社長に就任
1965年01月 西独「スターグルバ社」製の自然加硫接着剤を
コンベヤベルトのエンドレス接着工法に採用
1970年06月 足立区堀ノ内に事務所・工場を新設。
「ジョインタイト」開発
1972年10月 西独の前記会社に従業員を派遣し各種接着工法習得
1981年06月 富士工場(富士吉田市の誘致工場)を建設し
主として工業用型ゴムの生産開始
1987年03月 富士工場に第二工場新設、ボイラー・加硫缶設置、
ポリウレタンコーティング増強。
また練習用野球ボール製造等開始
1990年04月 富士第二工場3階棟増設、 ゴルフショットマット
増産等に対応
1991年08月 菅原孝夫 代表取締役に就任
1992年05月 (社)東京都信金協会より技術革新・製品開発部門で
優秀賞の表彰を受ける
1996年02月 ダイヤモンド社発行『「変化に挑む」ストロング
スモールカンパニー』(東京の強小企業100社)
に掲載紹介される
1998年09月 2,200×2,200の1,500トン圧縮大型成形機を
富士工場に設置
2000年11月 女性による型成形作業体勢導入
2001年05月 日本水道協会より東京工場が検査認定工場として
登録される
2001年08月 富士工場で女性だけの成形作業棟による作業開始
2002年11月 富士第3工場新設 長尺プレス集約などを図る
2003年03月 本社第1工場にゴム研磨内製充実に向け、NC旋盤増設
2003年12月 富士工場ISO9001:2000取得する
2004年05月 東京第2工場隣接地取得し、3階建工場建設、
東京第一工場一部作業を移管し、効率アップとサービス
向上を目指す。又、3階に本社機能移す
2004年10月 金型製作も出来、真空プレス等有する「さいたま工場」稼動
2006年02月 中国 上海市に提携工場を設置
2007年04月 東京第一工場の改造工事を実施
2007年07月 中東ドバイの地下鉄プロジェクトに、
ベルト加工の技術指導を行う
2008年09月 中国より研修生を受け入れる
2013年08月 関連会社、上海喜代蔵貿易有限公司設立
2013年09月 中国江蘇省昆山市の賽格電子市場に出店入居する
2014年02月 上海野村化成橡塑制品有限公司(上海市閔行区)
に資本参加、中国市場確保目指す
2015年07月 東京工場に女性用休憩室・ミーティングルーム新設。
女性の活躍環境整備する。
2016年03月 上海工場を上海市奉賢区にて本格稼動
2016年09月 菅原健太 代表取締役社長に就任
創業年(設立年) | 1962年 |
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事業内容 | ○工業用ゴム製品 ゴムライニング/ローラーゴムラッキング/芯金・製缶制作 金型成型品/電線端末加工/コンベヤーベルト/接着剤 現地工事 他 ○各種コーティング ウレタンコーティング/フッ素樹脂コーティング ○ウレタンフォーム品 ○スポーツ用ゴム製品 ゴルフ練習用マット/野球ボール/ピッチングドール 他 ○医療用ゴム製品 |
所在地 | 〒123-0874 東京都足立区堀ノ内1-13-34 |
資本金 | 5,000万円 |
従業員数 | 75名 |
会社URL |
監修企業からのコメント
今回は、取材をさせていただきありがとうございました。ゴム業界だからこそ「やわらか頭で考える」というお話や、「困りごとの解決集団」でありたいということを取材でお聞きして、私自身の気持ちも熱くなりました。菅原社長の会社への熱意が伝わってきたのだと思います。お客様の困りごとを解決するという責任感、仕事に対する高い柔軟性で挑戦を続ける江北ゴム製作所の発展が本当に楽しみです。
掲載企業からのコメント
江北イズムを社員にも知ってもらう良い機会になったと思います。私自身も、考えを振り返る良い機会になりました。これからも、「やわらか頭で考える」こと、「何にでもトライする会社」であることを大切にゴムのように跳ねて伸びる会社を目指していきます。