株式会社東洋化学商会 代表取締役社長 酒巻博
夏はアジサイが満開になり、観光名所にもなっている川沿いからスカイツリーが眺望できる亀戸に本社を構える東洋化学商会本社。工業用ケミカル製品を中心に取扱商品の数は、なんと20,000点にも及ぶ。同社は商社としての機能だけではなく、シリコンエアゾールを始めて世に生み出し、印刷・製本業界に大きな影響をもたらすといったメーカーとしての機能も兼ね備える。あらゆるニーズに応えるべく、挑戦を続けた企業に2021年4月、就任した代表、酒巻博氏。大阪支店の営業マンとして入社し、60年以上もの歴史を持つ企業の3代目として代表に就任された酒巻社長に同社について語っていただいた。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
何事にも全力で取り組む
「何事にも全力で取り組むところが東洋化学商会らしさ」と話す酒巻社長。同社は、どんな状況であっても全力で仕事に取り組む社風がある。その社風は、東洋グループの経営理念「当社が提供する商品・サービスを通して社会に貢献し、係わる全ての人が幸せになること」の浸透によってつくられている。酒巻社長自ら、朝礼や掲示板で毎日発信をし、社員一人ひとりが日々の仕事の中で「経営理念に基づいて考えたらどのような行動をするか」という判断軸を持って仕事に臨めるようにしているという。たとえ仕事において目標達成が難しいと感じてしまう状況になったとしても、提供する商品やサービスを通じて社会に貢献するという考えを持ち続け、少しでも目標に向かって最後まで諦めずに食らいつくという姿勢で働く。この社風が東洋化学商会を発展させてきたのである。お客様と我々が共に喜び合えるよう工夫をする
「扱う商品数が多く、お客様の需要に合わせてサービスを提供できること」が同社の独自性だ。なんと、東洋化学商会は20,000点以上の商品を扱っているのだ。良い仕事をするための心得として、東洋グループの社訓「お客様と我々が共に喜び合えるよう工夫をする」つまり、「お客様が喜ぶこと」「共に働く仲間が喜ぶこと」「工夫をすること」を大切にし、お客様にとって必要と感じたらすぐに形にすることを繰り返してきた。お客様にとって必要と感じたことを形にするために大切にしていること、それは「答えは現場にある」という考え方。お客様の需要を最も理解しているのはお客様と直接関わる従業員である。だからこそ、お客様からのニーズをダイレクトに反映できるよう、現場からの声を大切にし、商品数を増やし続けているのだ。その結果、売りたいものを売るのではなく、現在の社会やお客様のニーズに合わせた提案をすることができている。経営理念、社訓にあるように、「係わる人の幸せ」をこれからも創出し続ける。一人ひとりが精鋭となり、自立自走する組織に
「一人ひとりが精鋭となり、自立自走する組織にする」と話す酒巻社長。最適な提案をしてお客様に喜んでもらうためには、豊富なバリエーションの商品を持つことに加え、その商品を理解し、お客様に合わせて提案できる人材が必要である。そのためには、社員一人ひとりが向上心を持ち、自己研鑽をしてお客様に貢献できる能力をさらに高めていくことが重要である。そのための取り組みの1つとして、資格手当という制度がある。実際に、会社の将来を見据え、「衛生管理士」の資格を取得した社員がいるなど、資格取得のために自己研鑽する社員が現れているという。また、自立自走するには、社員が主体的に考えて行動することも大切だ。東洋化学商会では、会社の株を社員が保有できるため、トップの考えに対して社員が意思表示をすることが可能である。社員の自己研鑽と主体性を大切にし、東洋化学商会はさらに発展を続けていく。東洋化学商会が
発展してきた理由は『精鋭』で
あり続けているから
スカイツリーを眺望でき、
横には川が流れる。
そんな美しい風景の中に馴染む
東洋化学商会本社
係わる全ての人を幸せに!
社員一人ひとりの
行動の源となっている
経営理念と社訓
精鋭の集まる自立自走する組織へ
会社として取り組んでいることを教えてください
現在、村上会長が講師となり、精鋭塾という学びの場を設けております。「プロとしての意識を持つことによって、お客様など関わる全ての人を幸せにすることができる」という想いによって始まったのが精鋭塾です。「プロの仕事とは」という考えを土台に、会社の歴史、創業者の想い、理念や社訓の意味などを学ぶ場所です。業績を伸ばすためには、ちょっとしたスキルを身に付けるよりも、「どのような想いを持って仕事に臨むのか」や「関わる人にどのようにして喜んでもらうのか」を考えることの方が大切です。このようにして、社員一人ひとりがプロとしての意識を持ち、関わる全ての人に貢献できる会社づくりを進めております。自立自走の組織をつくるために取り組むことを教えてください
意識と仕組みの両方からのアプローチが必要です。意識という点では、コスト意識を高めることが重要です。東洋化学商会は商品数が多いため、原料などにかかるコストが常に変化しています。「どの商品をメインで取り扱うか」という1つの判断によって、何千万円という規模の売上に影響があります。だからこそ、自身で正しい判断ができるようにコスト意識を高めることが大切です。また、仕組みとしては、ジョブローテーションを取り入れていきます。あらゆる部署で様々な経験を積むことによって、会社全体のことを見て仕事をできるようになると同時に、あらゆる社員と関わることができるため、常に新しい気付きや学びを得られます。社員に求めることを教えてください
社員には「自分の幸せのために働いてほしい」ということは常々伝えています。もちろん、お客様の喜びを大切にするという社訓はあるのですが、自分の生活を豊かにすることができてこそ、仕事をする意味を感じられると思います。もちろん、自分の生活を豊かにするためには仕事においてもそれなりの成果は必要です。そのためには、まずは日々学ぶことや努力をすることを忘れずに自身の人間力を高め、お客様から感謝される存在になることが重要です。より多くのサービスを提供すれば、お客様に貢献することができると同時に、自身の報酬にもつながり、自身や家族の幸せをつくり出すことであると考えています。「精鋭」を体現する酒巻社長の右腕
社長室室長 兼 広島支店課長 大石喜之
「この会社を守っていきたい」、そう熱く力強く語ったのは酒巻社長が大阪支店の支店長時代から酒巻社長の右腕として活躍し続けている、課長の大石喜之氏。2013年に同社の営業職として大阪支店に入社してから、めきめきと頭角を現わし、今では広島支店の課長兼社長室室長の役割を担う大石課長。一営業マンとしての業務から、全社の営業の統括補佐、支店業務の再構築、人材の採用育成まで、多岐にわたる業務に携わっている。「皆に楽しく仕事をしてもらいたい」と笑顔で語る大石課長が目指す会社像は「社内外共に自慢できる会社」。大石課長がどのような想いで入社し、どのような想いで働かれているのか、詳しくお話をお伺いした。伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
「とりあえずやってみよう」からすべてが始まった
「働かなければいけなかったんです」と語る大石課長。約8年半前、東洋化学商会に入社するに至るまでの経緯は苦労の連続であった。新卒で着物屋に就職するも、当時の着物業界のあおりを受け、なんと1年で社長が経営から降りるという事態が発生。それに対し先行きの不透明さを感じた大石氏はわずか1年で退職を決意。その後運送業、ベッドメーカーと務めるも、持ち前の元気さから、上司からの当たりは強く長続きしなかった。しかし、結婚・出産を受け、働かなければならないと探し、見つけたのが同社の大阪支店だ。当時の選考官は、当時の大阪支店長 酒巻現社長と、当時の社長の村上現会長だった。大石課長の持ち前の明るく元気なところ、そして面接時の問答から伝わってくる取り繕わない誠実さに惹かれ、同日中に内定を通知。大石課長は「とりあえずやってみよう」の想いでこの会社を勤めることを決意したのだという。この出会いは、今や酒巻社長の右腕としての東洋化学商会の未来の担い手へとつながり、東洋化学商会の未来の創造へ、大きな進化へとつながっている。あらゆることにやりがいを感じる
「業務内容によって異なりますね」と答えた大石課長。同社における大石課長の役割は多岐にわたる。時には一営業マンであり、時には一課長であり、時には広島支店の営業の責任者であり、採用プロジェクトの一人であり、営業統括補佐としての顔も持つ。営業マンとしては、お客様の「困った」を解決することで「お客様から頂く『良かった』という言葉」は今もなお大石課長の原動力だ。また管理職としてはメンバーからの「良かった」の報告や同じ思いを持つ仲間と働けることもやりがいの一つであり、仲間との仕事の楽しさを語った。また、新たに挑戦を始めたのは「会社全体の営業統括補佐」としての役割だ。大石課長は今、この役割においても酒巻社長の理想とする営業チームをつくることにワクワクしている。あらゆる業務に対してやりがいを感じ、楽しみながら仕事をされる大石課長からは、同社の未来の明るさが感じられた。社員の誰もが友人に自慢できる会社にする
「知る人ぞ知る東洋化学商会」から、「一般市場でも名が知れている東洋化学商会」へ。「社員が皆、東洋化学商会で働いていることを友人に自慢できるような会社にしたい」というのが大石課長の目標だ。そこからは酒巻社長が大切にしている「社員の幸せ」を形にしたいという想いが垣間見えた。続けて、「同業他社から『うちは東洋化学商会のような会社だ』と表現されるような知名度の会社にしたい」と、大石課長は語る。将来的には海外進出を狙っているが、扱っている商材上、海外進出はハードルが高い。それでも挑戦したいという野心を燃やし続ける大石課長の想いの背景には、子供たちの存在がある。「色々なことに挑戦しなさい」と子供たちにと伝えているからこそ、自分自身も夢を抱いて挑戦していこうという気持ちを持ち続けられているという。「知る人ぞ知る会社」から「一般市場で名の知れる会社」になるべく、日々挑戦を続けていく。世界初!
東洋化学商会が開発した
「シリコンエアゾール」
入社時から二人三脚で
酒巻社長と2ショット
社員の幸せを大切に
社員旅行で社員の
つながりを深めます
東洋化学商会を「ナンバー1」「オンリー1」にする存在として
会社として目指していることを教えてください
「ナンバー1」か「オンリー1」が東洋化学商会の目指すところですね。つまり、工業用スプレーの世界で最も有名な企業か、自社にしかない強みがたくさんある企業になっていきたいです。そのレベルを目指すために大事になることが圧倒的な「営業力」と「開発力」となります。どんなに良い営業マンがいても商品の質や種類で劣っていればナンバー1にもオンリー1にもなれないですし、どんなに良い商品があっても営業マンにお客様の困りごとを解決する力がなければ売ることができません。今では、「新商品プレゼン大会」を実施し、現場の声を聴いた営業マンが商品を開発する機会を設けています。あらゆる取り組みを試みて「ナンバー1」か「オンリー1」の企業になれるように日々の仕事に取り組んでいきます。ご自身の使命を教えてください
私の使命は、酒巻社長の想いを形にすることです。10年近く酒巻社長と共に歩み続けてきたからこそ、「誰よりも頑張ろう」「誰よりも酒巻社長を支えたい」と想いが溢れますね。実は、酒巻社長が大阪支店の支店長時代は、酒巻社長と事務の方と私の3人のみで拠点を動かしていた時代もありました。酒巻社長にはその時からの思い入れがありますし、入社時からずっとお世話になっている方が社長として会社を引っ張ってくれていると思うと、自分自身も気が引き締まります。私が酒巻社長の目指す会社像を代弁し、「自分で会社をつくっていくんだ」という気持ちの社員で溢れる会社にしていきます。酒巻社長と共に、社員の声をもっと反映し、社員が当事者意識を持ち、共に働く社員全員で理想の会社をつくっていきます。会社の未来を大切にしていきたいことを教えてください
我々の強みは、「圧倒的な発想力」と「圧倒的な営業力」です。この2つを受け継ぎ、継承していくことこそ、本当の意味で弊社の商品を通じてお客様を幸せにすることができますし、お客様からの感謝によって働く社員の幸せにもつながっています。時代の変化のスピードが速い現代でもこの強みを残し続けるためには、柔軟性も必要です。その変化に対応する中では誰もが「自分たちが何をしているのか、どこを目指しているのか」を常に理解していられるよう、私が会社の社員をつなぐ役割を担い、社員同士が近い距離感で仕事をできるようにしていきます。「係わる全ての人が幸せになること」を体現し続けるために、「圧倒的な発想力」と「圧倒的な営業力」を受け継ぎ、継承していきます。東洋グループ
株式会社東洋化学商会
株式会社東洋化学商会
1961年 商会を創立。
洗浄剤、防錆剤、スパール、エースクリーンなどを開発し
印刷・製本紙工・プラスチック業界を開拓。
拡販業務を社員4名で開始。
1967年 法人株式会社東洋化学商会を設立。
1970年 本社を東京都江東区に新築移転。
1973年 東京都江東区亀戸に本社社屋を新築。
1989年 名古屋支店を開設。
2001年 東洋化学商会創業40周年。資本金を5,000万円に増資。
2007年 マリンスポーツ専用ケミカルとして『Vipro's』ブランドを開設。
2010年 関連会社株式会社ヴィプロスを設立。
2011年 創業50周年。(東武ホテル レバント東京にて記念式典)
2013年 株式会社東洋化学商会東日本販売の資本金を1,500万円に増資。
株式会社東洋化学商会西日本販売の資本金を1,500万円に増資。
2018年 株式会社イワックスを東洋グループ傘下に。
株式会社TKSCホールディングス設立。
2021年 株式会社東洋化学商会東日本販売/西日本販売2社を
株式会社東洋化学商会に統合合併
洗浄剤、防錆剤、スパール、エースクリーンなどを開発し
印刷・製本紙工・プラスチック業界を開拓。
拡販業務を社員4名で開始。
1967年 法人株式会社東洋化学商会を設立。
1970年 本社を東京都江東区に新築移転。
1973年 東京都江東区亀戸に本社社屋を新築。
1989年 名古屋支店を開設。
2001年 東洋化学商会創業40周年。資本金を5,000万円に増資。
2007年 マリンスポーツ専用ケミカルとして『Vipro's』ブランドを開設。
2010年 関連会社株式会社ヴィプロスを設立。
2011年 創業50周年。(東武ホテル レバント東京にて記念式典)
2013年 株式会社東洋化学商会東日本販売の資本金を1,500万円に増資。
株式会社東洋化学商会西日本販売の資本金を1,500万円に増資。
2018年 株式会社イワックスを東洋グループ傘下に。
株式会社TKSCホールディングス設立。
2021年 株式会社東洋化学商会東日本販売/西日本販売2社を
株式会社東洋化学商会に統合合併
創業年(設立年) | 1961年 |
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事業内容 | エアゾール製品 シリコンエアゾール シリコンオイル 洗浄剤 特殊潤滑剤 接着剤 梱包資材 製本 プラスチック 印刷・製本資材等の開発・製造・販売 |
所在地 | 東京都江東区亀戸9丁目37番1号 |
資本金 | 9,800万円 |
従業員数 | 60名 |
会社URL |
監修企業からのコメント
今まで東洋化学商会が残してきた伝統や文化を継承しながらも、新しい文化をつくりあげている酒巻社長の想いの強さを感じられた時間になりました。東洋化学商会を本気で愛し、本気で良くしていきたいという想いがあるからこそ、酒巻社長に社員がついてきて一体感のある会社になっていると感じられました。
掲載企業からのコメント
普段から発信を大切にしていますが、会社として何を目指しているのか、どうなっていきたいのかが改めて言語化されました。自社のことを話してみて、「東洋化学商会を良くしていきたい」という気持ちがさらに強くなったと感じています。さらなる発展をしていけるよう、日々精進してまいります。