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株式会社半澤鶏卵

株式会社半澤鶏卵 代表取締役 半澤清彦

食卓に欠かすことができない存在である「卵」。そんな卵に関する様々な商品を世に送り出し続けて60年以上の歴史を紡いできた企業が、山形県天童市にある。その名前は株式会社半澤鶏卵。一度食べたら他では物足りなくなってしまうような濃厚な味わいの生卵や、全国にファンを持つ大ヒット商品である、黄身がとろける香ばしい香りの燻製半熟卵「スモッち」を始めとし、卵を通じて人と社会のしあわせをつくってきた会社だ。今回、同社の陣頭指揮を執り様々な挑戦をし続ける半澤社長にお話を伺う機会を得ることができ、半澤鶏卵ならではの社風や独自性、さらに半澤社長が思い描く未来について詳しく語っていただいた。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

やりたいことにチャレンジできる

半澤鶏卵の社風について、半澤社長はどうお考えなのか。伺うとこのような答えが返ってきた。「社員がやりたいことに主体的にチャレンジする社風があります」。なぜそのような社風があるのか、その社風の源泉には半澤社長自身の姿勢がある。まず半澤社長が様々な新しい取り組みを積極的に行っている。そして社員に対しても「してはいけない」ではなく「卵を通して地域社会への貢献につながればして良い」という挑戦を歓迎するコミュニケーションを日々取っている。そのような積極的な姿とコミュニケーションにより、社員のチャレンジしやすさにつながっているのだ。例えば卵を使ったスイーツの商品開発では、アイデアが社員からどんどん出て形になるため「いつの間にできていたのか」と驚くことも多いとのこと。販促における新しい企画も社員が自主的に進め、実現に至っている。このような同社の社風が生む様々な挑戦の先には、多くの人の笑顔が生まれていることだろう。

歩みを止めずに進化する組織こそが半澤鶏卵

半澤鶏卵の独自性。鶏卵一筋で発展してきた同社はどのような独自性を持っているのか、伺うと興味深い答えが返ってきた。「時代に左右されないような事業の柱をつくることが常に意識しているところです」と語る半澤社長。外的要因に左右されない強い基盤をつくるために必要なこと、それは複数の柱を確立させていくことと語る。鶏卵の生産・販売から事業が始まった同社は少しずつその事業の幅を広げていき、卸、加工、小売、飲食店運営と様々な事業の柱を確立させてきたからこそ、現在の確固たる基盤ができているのだ。その基盤のもと、現在は海外輸出にも力を入れており、その取り組みは多くのメディアに掲載されているとのこと。決して守りに入らず、新しいことに取り組み続け、日々会社を進化させ続けてきたからこそ、同社の独自性である「時代に左右されない様々な事業の柱」がつくられてきたのだ。

卵を通じて、地域を盛り上げる

「卵を通じて、というところはブラさず、いろいろなことに挑戦したい」今後の展望について半澤社長は開口一番そう答えた。そして大変興味深い発言が続いた。「最終的には、農場型テーマパークをつくりたいと思っています」。休日に家族で訪れて楽しめるような、そして地域が盛り上がるような空間をつくりたいと語る半澤社長。実際に2018年にオープンした「いではこっこ」という鶏卵の直売所とカフェが並列した施設にも、家族で中に入れるような卵のオブジェがあり、その想いが反映されていることが分かる。農場型テーマパークには、農産物を地域の農家の方々が持ち寄り販売できるようなスペースや、それら地域の農産物を使った卵料理を提供することで地域の活性化も狙っていきたいとのこと。大きな展望を描く同社は、どのような形で世の中に貢献していくのだろう。卵を通じて様々なことに挑戦し貢献していく同社から、当分目が離せそうにない。
農場直送の生みたて卵と
スイーツのお店
いではこっこ
自慢の逸品!
半熟燻製卵の「スモッち」
半澤鶏卵が運営する農場

全国にファンを持つに至ったこれまでの経緯とは

半澤社長の歴史を教えてください

小さい頃、農業をしていた父が自宅の裏に鶏を500羽くらい飼っており、地域の方に卵を販売していたんです。そんな環境の中で育ったので、今の仕事に携わるのは運命だったかもしれません。でも、私が小学校6年生くらいの頃に一時期、父が鶏を飼うことを止めたことがあったのです。餌やりやベストな環境を整えてあげないと鶏はなかなか卵を産まないのですが、その環境づくりと農業の両立が難しくなってしまったので。そこから事業として卸に特化して会社が発展していったのですが、私が会社を継ぎ社長に就任してからは、卸の他にも様々な事業展開を進めてきました。平成18年にスモッちの製造販売を始めたことは大きな出来事でしたね。私と会社の大切な取り組みになりました。

半澤鶏卵の商品について教えてください

半澤鶏卵で製造する商品には大きな特徴があって、マヨネーズにしてもチキンにしても無添加であることにこだわっています。また、お客様のニーズにお応えできるような、魅力的な商品を提供していくという大きな目標があるものですから、商品開発にも特に力を入れています。卵を使った商品を全面に押し出しアピールするうえで、スイーツづくりにも着手していますね。パティシエと協力して、様々なアレンジを加えながら商品化に取り組んでいます。TKGケーキという面白い商品も開発しており、たくさんのアイデアから商品化されていますが、主にスイーツは感性が豊かな社員に一任しており、私はその他の商品に対してしっかりと携わることで良いバランスになっています。

社長として大切にしていることを教えてください

会社というのは、しっかりと利益を出したうえで社員の家族や生活を守っていかないといけないと思っています。そのためには、これまでの歴史を大切にしながらも、常に新しいことに挑戦し続けることが大切になってくると思います。私はもともと、そこまで口を出す方ではないものですから、若い感性もどんどん取り入れて会社の未来をつくっていきたいと思っています。商品開発はもちろんのこと、これまで行ってきた様々な取り組みには自信を持っており、今後の取り組みに関しても「半澤鶏卵の商品の魅力を発信する」ということを意識しながら新しいことに挑戦して、より多くの方々の幸せをつくっていければと思っています。

世界との橋渡しも行い
さらなる発展を担う

株式会社半澤鶏卵 総務部 総合企画室 室長 山室好史

半澤鶏卵の中核を担い、会社を支えている存在が今回お話を伺う山室室長だ。入社してから3年余りで同社にとって必要不可欠な存在となった同氏は、輸出関連を担当するなど、海外への戦略にも携わっている。その活躍は多岐にわたり、昨今、食品製造業界で大きな注目をされているHACCPの取得にも尽力したという同氏。さらに、総務や経理のフォローを行うことも多いことから、社内のIT化も推進しており、非常に幅広い領域を担っている。今回は、同社が今以上の進化をしていくうえで重要な存在となるであろう山室室長に、これまでの経緯や同社との出会い、そして現在のやりがいや自身が思い描く夢などを詳しく伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

根本課題を解決し、良い商品を世に広めたい

「私が入社したのは3年2ヵ月ほど前になります」と思い返しながら話し始めた山室室長。前職は仙台で広告代理店に勤めていたと言い、震災復興のマルシェを企画立案したり、埋もれている素晴らしい食材をプロモートしたりと、幅広い領域で活躍していた。食材のアピールを含め、自身の企画を成功させてきた同氏はある時、多くのメーカーが直面している課題に気付く。「今どれだけ良い商品があったとしても、それを生み出す”人・組織”に問題があったらその商品はこの世からなくなってしまう」。人に関する課題を目の当たりにし、解決したいと感じた同氏は、より深く課題に取り組むためにメーカー自体に勤めたいと考えた。当時、新しいことに前向きに取り組んでいた半澤鶏卵を見つけ、同社自慢のスモッちも知っていたことから入社を希望したとのこと。現在では営業や流通に携わりながらも経理や総務の領域を担当し、良い商品を広めるための組織の基盤づくりに尽力している。

チャレンジの向こう側にあるのは、お客様の喜び

山室室長が感じている仕事のやりがいとは何か。複数の業務に携わる同氏はやりがいについてこう答えた。「新しいことを含め、いろいろなことにチャレンジできるという部分にやりがいを感じています」。具体的に行っているチャレンジを伺うと、一つは海外との貿易だった。自らを英語が堪能ではないと話す同氏が、世界を相手に輸出等の交渉に取り組むことは難易度の高い任務といえるだろう。だが、そこにやりがいの根幹がある。チャレンジすることで得られる知識こそ、大きな財産であり自身の成長を実感することができる重要な要素だと考えている。そしてもう一つ。農場HACCPに関しても、大きなチャレンジだった。一つひとつの知識を積み重ねていき、取得に至るという成果を挙げてきた。「知識をつけることで、お客様に喜んでもらえるきっかけになればいい」と話す同氏のやりがいの先には、半澤鶏卵を愛してくれているお客様の姿があり、何よりの原動力となっているのであろう。

お客様も、社員も、しあわせに

「社長がよくおっしゃる言葉なんですが」と前置きをして自身の夢について話し始めた山室室長。「『卵を売るためには、そのひとづくりが重要である』という部分に通ずるものがあります」。詳しく伺うと、卵を売ることや加工することは業務としてもちろん大切ではあるが、それを通じて人間的な成長をしてほしいという。さらに続けて、自身が思い描く長期のビジョンについても話してくれた。「食べるだけではなく、家族が楽しめるような農場型のテーマパークをつくりたいという社長の想いは実現したいです」。社員の成長や、お客様の楽しめる場所について考えるなど、同氏の夢には多くの人々のしあわせが溢れている。「お客様に満足してもらうことは、利益率も高まり、社員の成長につながる、全てが良いサイクルになると思います」。人に関する課題を解決することで商品を世に広めたいという入社理由を実現しようとするその取り組みの先は、同社のさらなる発展につながっていることであろう。
卵で人と社会をしあわせに
半澤鶏卵の卵を買うことが
できる自動販売機
一つひとつに
愛情を込めて

進化を続けていく半澤鶏卵の魅力とは?

半澤鶏卵の魅力を教えてください

一番の魅力は何と言っても商品です。生卵はもちろんですが、加工品のスモッちも非常に美味しいと思います。自分で食べる分を買って帰ったり、お友達へのプレゼントにする社員も多く、自分たちがつくる商品に自信を持っているという部分は大きな魅力の一つだと思います。生卵はご家庭の日常に欠かせないものであり、馴染みがあるものだからこそ難しい商品でもあります。ですが、半澤鶏卵の卵は非常に好評で、一度食べると他の卵が薄く感じてしまうほど濃厚だという特徴もあり、百貨店の催しに出た時もかなり好評で、お客様の良い声のアンケートもたくさんいただいております。当社のホームページからも購入ができますので、ぜひご覧ください。

半澤社長はどんな人ですか?

いくつかありますが、一番はやはり卵のことが大好きな人だと思います。お客様に喜んでもらえるように、大小様々なチャレンジをしている方だと思います。自社の工場や直営場を新たに設立したことは大きなチャレンジでしたし、また、それが例え利益につながらないようなものでも、世の中に美味しい卵を生み出すための研究に積極的に携わっており素晴らしいと日々見習っています。大学の研究所から研究の依頼があった際も快諾し、餌を変えたらどう美味しくなるのか、何をどうしたら卵の味はどう変化するのか、密に連携しながら研究に携わっていました。好奇心を持ち、卵を通じて人や社会に貢献するためのチャレンジを積極的にし続ける人です。

これから取り組んでいきたいことを教えてください

基本的なことをいうと、全ての事業所でIT化を整備し、業務を効率化することです。場所が山奥にある事業所もあり、IT関係の整備が進んでいないところもあるのですが、IT化が進んでいる現代では早めに改善して対応できるようにしていかないとという思いがあります。社内に関しては、社長の思いや弊社の社風を、より深く社員に浸透させていくことも必要だと思っています。もちろん、すぐにできるような簡単なことではないので、何年かかかるとは思いますが、会社として成長するうえで欠かせない要素だと考えています。半澤鶏卵の商品をより多くのお客様に満足していただけるように、チャレンジをしていきたいと思います。

監修企業からのコメント

この度は取材をさせていただき誠にありがとうございました。卵一筋で様々な挑戦をされてきた歴史があるからこそ、今のヒット商品の数々や、いではこっこ・スモッちファクトリー等の展開が実現されたのだと実感いたしました。貴重なご機会、ありがとうございました。

掲載企業からのコメント

取材をしていただきありがとうございました。卵を通してより多くの方へ幸せをお届けすることが私たちの幸せです。現状にとどまるではなく、これからも様々な取り組みにチャレンジしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

株式会社半澤鶏卵
1960年 創業。養鶏業と卵の販売
1970年 卵の卸販売に事業変換(養鶏業は廃止)
1992年 設立。有限会社に組織を変更
2006年 スモッちの製造・販売を開始
2007年 出羽の郷しあわせファームで養鶏(約2万羽)を再スタート
2016年 株式会社に組織を変更
2018年 しあわせファーム河北農場(約2万羽)を開始
     いではCOCCO(直売所)を開始
2019年 山米商事より村山農場と大森農場の事業譲渡
2020年 地域未来牽引企業に選定
2021年 農林水産大臣賞を受賞
     東根農場・河北農場が農場HACCP認証を取得
創業年(設立年) 1960年
事業内容 鶏卵の生産、卸、加工、販売
農場直送の産みたて卵とスイーツのお店「いではこっこ」運営
所在地 山形県天童市大字高擶北2050
資本金 2,000万円
従業員数 60名
会社URL

株式会社半澤鶏卵