愛し愛される「地域事業」
松井産業株式会社 代表取締役社長 松井宏之
90年以上の長きに渡り、三郷という地域に根差して事業を行ってきた松井産業。
始まりこそは呉服屋であったが、その時代と地域に合わせて業態を何度も転換し、今では地域性の強い不動産業を 中心に事業を展開している。取材中、松井宏之社長の口からは、幾度となく、「地域へ密着」「地域へのお役立ち」「お客様の信用」という言葉が出てくる。それこそが、日本を襲ったバブル期の混迷や、その後の不況の中で、 地域から愛され、56期連続黒字決算、無借金経営という安定性を実現している秘訣なのだろう。
5年前に社長へ就任し、経営者として松井産業を支える松井社長に、松井産業の歩んできた歴史や、 大切にしている想い、そして今後の展望をお伺いした。
始まりこそは呉服屋であったが、その時代と地域に合わせて業態を何度も転換し、今では地域性の強い不動産業を 中心に事業を展開している。取材中、松井宏之社長の口からは、幾度となく、「地域へ密着」「地域へのお役立ち」「お客様の信用」という言葉が出てくる。それこそが、日本を襲ったバブル期の混迷や、その後の不況の中で、 地域から愛され、56期連続黒字決算、無借金経営という安定性を実現している秘訣なのだろう。
5年前に社長へ就任し、経営者として松井産業を支える松井社長に、松井産業の歩んできた歴史や、 大切にしている想い、そして今後の展望をお伺いした。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
親子三代に渡るお付き合いの秘訣 「信用とお役立ち」
お金儲けに走るのは簡単だ。しかし、もし松井産業の文化がそこに根差していたら、 バブル経済の混迷に飲み込まれ、90年という歴史を紡ぐ前に姿を消していただろう。 松井産業では、多くの社員が、単純なお金儲けではなく、「いかにお客様から 信用されて、お役に立てるか」ということを大切にしながら、仕事に励んでいる。 結果として、親子三代に渡って、松井産業へ仕事を依頼するお客様も多い。 何も、複雑高度な話ではない。お客様への心があれば、 自然とお客様に対する細やかな気遣いや、お客様を思いやる親切な対応が出てくる。 だから、松井産業では、若い人でもお客様から信頼されて大きな仕事を任せてもらえたり、お客様に「また松井産業に仕事をお願いしたい」と思っていただけるのだ。 「この文化はこれからも大切にしていきたい」と語る松井社長。経営計画書の随所に 「お客様からの信用と、お客様へのお役立ち」が反映され、毎朝の朝礼でも社員全員が この考え方を確認している。まさに、社員全員がお客様への真摯な気持ちを共有し、 毎日の仕事に励む文化が、松井産業の90年を支えてきた大きな力の源だ。「地域密着・地域事業」お客様から本当に求められる事業を展開
「三郷という地域の皆様に、今お役立ちできることは何か」90年という変遷の中で、松井産業の原点はいつもそこにあった― 時代に応じて、お客様が求めるものは刻々と変化していく。 三郷という地域に深く深く入り込む松井産業では、その地域の変化の機微を敏感に 感じ取り、地域に貢献するために、呉服、農業、養鶏、飼料、そして不動産へと、 その業態すらも大きく転換してきた。
2001年から介護事業を始めたのも、三郷市の2005年から2025年の高齢化率が 日本で一番高いという状況を受け、何かできないかと考えたからだ。 結果として、今では賃貸不動産から新築住宅、古くなった住宅のリフォーム、 そして介護事業と、地域のお客様の状況に合わせた総合支援ができる体制が 整備されている。「地域事業ですから。地域に根差して地道にやっている企業が辿る 道ではないでしょうか」と語る松井社長の語り口からは、三郷という地域に長らく 密着し、貢献してきたという誇りが感じ取れる。 地域と真摯に向き合い、地域のお客様が必要としているサービスを提供する。 このぶれない軸がある限り、地域に貢献し地域から愛される松井産業は、 これからもその歴史を刻んでいくに違いない。
三郷市に新たなお役立ちを、土台も大切にしながらの挑戦
「100周年までに新しく3つの事業をつくりたいと考えています」松井社長は、今後の展望について、こう明かした。今まで、その時代の経営者が次々と新しい事業を つくってきた歴史が松井産業にはある。松井社長も先代に倣い、色々とチャレンジして いきたいと意気込みを語る。三郷市に根差しながらも、これから挑戦できることは、 まだまだたくさんある。例えば、今は個人のお客様をメインとしているが、 三郷市の法人に向けて貢献できることもあるはずだ。 しかし、一方で忘れてはならないこともある。新しいことだけに目を向け、 今まで松井産業が築いてきた事業や大切にしてきたお客様を疎かにすることはあっては ならない。既存の事業も同時に高めていくことで、新しい事業を始める土台をつくって いきたいと松井社長は考えている。例えば、国も推進しているリフォームの需要は、 当然、この三郷市でも高まっている。リフォームの質を高めていくことで、 その声にもっと応えていくつもりだ。
時代と地域のお客様に合わせて大きく変化してきた松井産業。 これからさらに激動の時代に入っていく日本経済の中で、既存事業も大切にしながら、 どのような挑戦をしていくのか、注目が集まっている。
創業者松井宇一が始めた地域事業
リフォーム事業の拡大を狙う
地域イベントも地域貢献の1つだ
松井社長に伺った地域に根差した歴史と取組み、若者への想い
松井産業が辿ってきた事業の変遷について教えてください
ンパク質の需要が急激に拡大したんです。その時代の中で、創業者が鶏を飼っていて、 周囲に養鶏事業を勧めたところ、周囲で養鶏ブームとなり、その地域の方々から「餌の世話をしてほしい」という 声があがったんです。ここから養鶏関連事業として、飼料を扱う仕事も始めました。そして、養鶏のブームも落ち着いたころ、今度は当時総理であった田中角栄の「日本列島改造論」が出た時代に なりますが、土地が高く売れるようになってきました。地域の農家の方から、「土地を売りたい」という相談を 受けるようになりまして、そこから、今の不動産事業が始まったということです。
地域で催しものを多数実施されていますが、どのような背景で始められたのでしょうか
現場見学会などのイベントは元々実施させていただいていたのですが、ご来場いただけるお客様に全面的に楽しんでいただくことが大切だろうということで、4代目の社長が、地域の皆様を巻き込んだゲートボール大会を催したのが 始まりです。それを先代の社長(現会長)が引き継ぎまして、お正月の感謝祭や、業者間で色々なものを持ち寄って 市に出す掘り出し物市など、それこそ色々なイベントを開かせていただくこととなりました。一番最初に実施した時は、大渋滞を引き起こしてしまうほどの盛り上がりで、それ以降、地域の楽しみの1つとして、 毎年開かせていただいております。
これから働き始める若者へ、メッセージをお願いします
仕事というのは、私達の人生において、大きな時間を占めることになる大切なものです。その仕事がつまらなかったら、きっと、苦しい思いをしてしまうと思います。
だから、自分の仕事に"夢"を見出して、仕事を通じて"夢"を実現するということを念頭に、 仕事をしてほしいと願います。その気持ちがあれば、「自分の仕事や自分の会社に就いて良かったな」と 思うことができます。私も、松井産業で働く社員の皆さんがそう思いながら働けるように、教育の仕組みや 働く環境の整備など、引き続きあらゆる角度からサポートしていきたいと思っています。
お客様の想いを形に さらなるお客様満足へ
松井産業株式会社 部長 山田雅貴
松井産業の住宅部における仕事は、新築住宅の提供を通じて、まさにお客様の人生に深く関わる重要なものだ。 だからこそ、同社では、地域に根差し、お客様一人ひとりを大切にしながら、お客様の求める住まいを提供している。その住宅部の部長を務める山田雅紀さん。柔らかい笑顔と人柄が魅力的であるが、お客様の話となると、 その語り口調には一気に力が入る。お客様に最高の住まいを提供するために、どのようなことを大切にしていて、 そこにはどのようなやりがいがあるのか、そして、お客様満足をさらに高めていくために今後どのようなことを 考えているのか―住宅部を牽引する熱き部長に、お話をお伺いした。
伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
「信用と和」地域に根差して人々の暮らしを支える
「信用と和」を大切にしながら、地域に根差し、人々の暮らしを支える仕事ができる。 それが、松井産業の大きな魅力であり、山田さんも、そこに惹かれて入社した社員の 1人だ。親戚が建築の仕事をやっていた影響で、元々は設計事務所に勤務していた 山田さん。ところが、その職場があるのは、自分の住まいから遠く離れた地。 そろそろ、愛着のある近所で働きたいと考えていた時に出会ったのが、 松井産業だった。三郷という地域に根差しながら、人々の住まいに関わる仕事を 展開している松井産業。 ここならば、大きなやりがいを持って働けると山田さんは考えた。 そして、さらなる決定打となったのは、相手を大切にする「信用と和」という 当社の経営理念にもなっている考え方だ。当時、まだ設計事務所で関わっていた案件が あった山田さんを、松井孝司社長(現会長)が気遣って、「それが落ち着いてから 入社しても良い」と申し出てくれたのだ。その心遣いに感銘を受けた山田さんは、 松井産業に入社することを決意したのである。 山田さんが松井産業に入社し、早16年― 山田さんは地域を、そして「信用と和」を大切にしながら、住宅部の部長として 松井産業を牽引している。お客様の想いを形にする 寄せられる最高の笑顔と「ありがとう」
新築の住まいを建てる― 人生に一度あるかないかの、とても高い買い物だ。「先を見据えてアパートの 賃貸生活から持ち家に切り替えたい」「結婚を機に新たな住まいを造りたい」など、 お客様は様々な想いを抱えて、松井産業を訪れる。 だからこそ、その提案をする自分達の"心"が大切であると、熱を入れて語る山田さん。 決してお客様に自分達の考え方や商品を押し付けるのではなく、お客様に寄り添い、 何を求めて松井産業を訪ねてきたのかを深く汲み取ることが重要だ。 その上で、プロとして、お客様の予算の中で、どれだけそのお客様にとって 最高の住まいを提供できるかが、腕の見せどころである。 図面からお客様と一緒に未来の夢を共有し、打合せを重ね、お客様の想いを形に していく。そうして出来上がった新築の住まいをお客様に引き渡す際に、 家族全員が満面の笑顔でテープカットをする姿を見たときに湧き上がる感動や、 お客様から頂ける心からの「ありがとう」は、これ以上ない喜びだ。 お客様のライフスタイル、そして人生に、深く関わることができる。 そんな仕事に大きな誇りを持ちながら、山田さんは今日も、 お客様の想いに耳を傾ける。お客様満足のために 「造る過程を進化させる」
「商品の良さだけでなく、造る過程にもこだわりたいと思っています」 山田さんは、お客様満足をさらに高めるためのキーポイントを、このように語る。 松井産業がお客様に提供する商品の品質が高いことは、もはや大前提だ。 これからは、お客様に商品を納品するまでの過程においても、 お客様に対してあらゆる取組みをしていきたいと山田さんは考えている。 例えば、お客様との打合せは図面がベースになるが、お客様としては、 自分の理想と、実際に建つ住宅とが、かけ離れたものにならないか、 どうしても不安になってしまうものだ。そこで、月1回の現場立合での検査や、 週1回の現場パトロールで、しっかりとお客様が求めている品質の住まいに なっているかどうかをチェックし、お客様にご報告する活動を数年前から始めている。 このような活動を推進することで、「松井産業で建てて良かった」という声を 増やしていく狙いだ。「それが結果的には、1年間の仕事がご紹介で埋まってしまう ような状態につながれば良いですね」と山田さんは笑顔でそう話す。 既に、新たな取組みの成果は出始めている。 山田さんが語る未来が実現するのは、そう遠くないかもしれない―
総合不動産を展開する松井産業
お客様の住みよい住宅を提供
お客様満足が一番のやりがいだ
お客様からの信頼と、新たな取組み。そして、若手人材へのメッセージ
お客様からの信用を感じる場面を教えてください
90年以上もこの地域に関わらせていただいていて、代々お付き合いのあるお客様もいらっしゃるので、 私以上に松井産業のことを知っているお客様から、逆に松井産業のことについて教わることがよくあります。 「あの時は松井さんにお世話になって」などといった話をお伺いした時は、長い歴史の中で築き上げてきた、 お客様とのつながりや信用をとても感じますね。また、先日、とあるお客様からお仕事をご紹介いただいたんです。そのお礼としてご紹介料をお支払いしますと 申し出たのですが、断られまして。そのお客様からは、「俺はお礼が欲しくて紹介しようと思ったんじゃない。 建ててもらった家が本当に良かったから紹介したいと思って紹介したんだ」と言っていただけました。 自分の仕事に満足していただいて、信用していただいたからこそのお言葉だと思うので、 その時は本当に嬉しかったですね。
造る過程をお客様に伝えるための取組みを教えてください
1回の現場立合検査や、週1回の現場パトロールを行い、その様子をお客様にご報告しています。 立合検査は、元々間違いがないようにということでやっていたんですが、お客様がもっと安心できるように、 プラスアルファで何かできないかということで、現場パトロールも追加で始めたんです。かなり頻度が多いと お感じになられると思いますが、一人ひとりのお客様を大切にしたいという考え方から、高頻度で実施しています。 あとは、お客様にインタビューさせていただいて、それをHPで伝えられるようにしています。 これにより、お客様にはより安心して当社にお仕事をお任せいただけるのではないかと思います。 1年半前から始めましたが、他社と比べても、お客様インタビュー掲載数は上位に来ていますので、 これを継続していきたいと考えています。これから入社する若手人材へ、メッセージをお願いします
松井産業は、「実直にやる」ということを、とても大切にしている会社なんです。だから、仮に何かできないことがあったとしても、一生懸命にやり続けることができる方であれば、 きちんと認めてくれる会社です。
短距離走というよりも、長距離走が肌に合う人であれば、きっと活躍することができます。
また、当社には色々な部署がありますので、様々な仕事を幅広く経験できるということも魅力の1つです。 それは言い換えますと、その方の特性に合った、活躍できるフィールドがたくさんある、 可能性のある会社であるとも言えます。そのような姿勢や、考え方に共感していただける方であれば、 是非、当社でご活躍いただきたいと考えております。
松井産業株式会社
1922年 松井商店設立
1955年 有限会社松井商店に改組
1959年 松井産業株式会社設立
1960年 有限会社松伏飼料店設立
1965年 松井商事(株)設立
1966年 松井自動車株式会社設立
1973年 有限会社松井精肉店設立
1976年 松井不動産株式会社設立
1977年 松井産業(株)建設部設置
1998年 リフォーム専門店「ホームデコアクト」三郷店開店
2001年 介護事業(介護のゆめこうぼう)を開始
2011年 おうちの情報館開設
2014年 社会福祉法人立上げ事業に関わる
2015年 地域密着型特別養護老人ホーム立ち上げ事業に関わる
1955年 有限会社松井商店に改組
1959年 松井産業株式会社設立
1960年 有限会社松伏飼料店設立
1965年 松井商事(株)設立
1966年 松井自動車株式会社設立
1973年 有限会社松井精肉店設立
1976年 松井不動産株式会社設立
1977年 松井産業(株)建設部設置
1998年 リフォーム専門店「ホームデコアクト」三郷店開店
2001年 介護事業(介護のゆめこうぼう)を開始
2011年 おうちの情報館開設
2014年 社会福祉法人立上げ事業に関わる
2015年 地域密着型特別養護老人ホーム立ち上げ事業に関わる
創業年(設立年) | 1922年(1959年) |
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事業内容 | ■豊かな暮らしの提案業 ・不動産売買 ・土地活用(マンション、アパート、店舗の設計・施工) ・賃貸仲介、管理 ・土地付き分譲住宅 ・注文住宅(設計、施工)、オリジナル家具 ・ガーデニング、エクステリア、外構及びそれに付随する商品の販売 ・リフォーム、増改築 ・太陽光発電、資金運用のコンサルティング ・介護リフォーム、介護用品の販売 ・介護 ■介護事業 ・小規模多機能型居宅介護施設 ・老人ホーム |
所在地 | 埼玉県三郷市彦成1-1 |
資本金 | 9,728万円 |
従業員数 | 53名 新卒・中途比率=5:5 男女比=8:2 平均年齢:32歳 |
会社URL |
監修企業からのコメント
「地域に密着し、一人ひとりのお客様を大切にしている」
この松井産業様の根底にある考え方が、松井社長、山田部長両名の取材を通じて
伝わってきました。 90年という歴史の中で大きな変革を繰り返してきた松井産業様が、
次にどのような挑戦をしていくのか、とても楽しみに思える取材でした。
掲載企業からのコメント
この度はありがとうございました。創業93年目の今年も地道に経営を続けて、
まずは100年継続する、その先には200年企業へと目指していきます。
今後も地域密着業で地域のお客様に喜んでいただける仕事をしてまいります。
何卒よろしくお願いいたします。