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株式会社文星閣

株式会社文星閣 取締役社長 中嶋幸保

1948年、東京都大田区北千束の地において発足した株式会社文星閣。他の印刷会社よりも環境に重きを置き、水なし印刷という新技術分野の開拓に成功。エレベーター横にカブトムシやクワガタ、本社の庭には鯉が泳ぐ池といった自然を感じられる同社。昨今、デジタル化が進みメインである印刷業務以外の取り組みを試みる企業が多い中、文星閣では「印刷」を前面に押し出した施策を行っている。その一つが抗菌ニスでコーティングした紙製のマスクケースを制作するために使用されている抗菌印刷という技術だ。印刷を通じて地元の大田区や現在の社会に貢献できることを考え始められた革新的な取り組みである。今回は、そんな印刷業をけん引する立場にいる中嶋社長に、今までとこれからの印刷業についての考えを伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

明るく元気な職場で働く社員の共通認識について

「文星閣の社風は元気とチームワークを大切にして仕事を楽しもうということです。」と話した中嶋社長。人生において仕事が占める時間的割合は三分の二を占める。仕事が楽しくなかったら、人生が楽しくなくなってしまうという考えである。もちろんそのために社員一人ひとりが技術を磨き業務の精度を向上させることは必須だが、大切なことはどのような意識で業務に取り組むかだという。チームワークを大切にしている文星閣では、人間関係が原因で退職する社員がいない。なぜなら元気で明るい雰囲気の職場を悪く思う社員はいないからだろう。「挨拶、元気、一緒に働いている仲間を大切にするという基本的なことが一番大事だと思っています。」と中嶋社長は話す。仕事を好きになることは難しいことではなく、好きになれたらどんな内容の業務も楽しく感じる。そんな豊かな感性を育んでいきたいという中嶋社長の思いを体現している社員が躍動できるような環境が整っていること。それこそが他社に誇れる文星閣の社風ではないだろうか。

意見を聞き、責任を持つことの大切さを伝える

独自性について中嶋社長はこう話した。「現場の声を聞くことですかね」一見どの企業にも当てはまるような独自性に思えたが、文星閣の場合一味違うことがわかった。現場の声を「聞く」だけでなく可能な限りその意見を採用する。業務に関しても、業務以外の意見に対しても変わらずにだ。「自分がやりたいと思ったことができる環境は社員一人ひとりの成長に繋がります。ただし自分の意見に責任を持つことも重要です。自分の責任で物事を進めていくことで、自分自身を見つめ直し、達成できた時には与えられた業務よりも大きな達成感が生まれ、仕事に対しての愛情も強くなります。そのような環境を意識して構築していることが独自性だと考えています。」昼食や休憩の合間にも機械を止めずに作業をする社員が大勢いるような社内。役職や老若男女分け隔てなく平等に与えられた社内環境で、十二分に力を発揮できる場所が社員全員に用意されているということが、他社と比べても類を見ない独自性と言えるだろう。

100年続く企業とはどのような企業であるべきか

「文星閣を100年企業に成長させていくことです。そのために必要なことはいくつかありまして、一つは文星閣の強みでもある人間関係の良さを継続していくこと、そして社員一人ひとりが次の日にポジティブな気持ちで出社できるような社内環境を作ること、あと目標のような話になってしまいますが、『文星閣は技術力で日本一』と周りの企業様に言っていただけるような会社になることです。」と将来の展望について具体的に語った中嶋社長。社長自身の目標として、文星閣が今後どのような部分でもいいからいずれは日本一になりたいという強い想いがある。日々変わりゆくニーズにしっかりとアンテナを張り、印刷業として今何をしなければいけないかという難題と向き合う。それに対して勇猛果敢に取り組んでいる中嶋社長の背中を見た社員たちは近い将来、必ず「日本一の会社文星閣」を創り出してくれることだろう。
本社社屋
抗菌マスクケース
期待の若手社員

印刷業における今後の在り方~中嶋社長が思う未来は

中嶋社長の経歴を教えてください

文星閣に入社したのは30歳の時です。以前から印刷業に携わっていたわけではなく、もともとは花屋で働いていました。私を幼少期育ててくれた祖母が大のお花好きでその影響があったと思います。花屋の仕事はアルバイトも含めると10年以上勤め、業務自体に何も不満はなかったのですが、徐々にステップアップを考えるようになっていきました。そんなとき創業者と出会い転職を決断したのです。文星閣に入社した当初は、現場でオペレーターを7年ほどやりました。知識もなく未経験で入社したため、ただただがむしゃらに働きました。技術がないなら人の倍動いて補おう。その当時強く思っていたことです。その後、製造本部長など管理職を経て現職の取締役社長に就任しました。私のような全く違う業種から転職をしてきても、どうすれば今以上になれるかを考えて行動することで対応できると思いますし、必死に頑張った分会社に対しての思い入れも強まっていき現在に至ります。

中嶋社長の採用や人材育成についての考えを教えてください

採用する側もされる側も同じように大切にしなければいけないことが気持ちの部分だと考えています。私は毎年全国各地に採用のため足を運びます。Web面接など現地に行かなくても面接の手段はありますが、やはり面と向かって話をするということに重きを置いているからです。内定が決まった学生だけではなく、その親御さんともお会いしてしっかりと挨拶することで安心してもらうことも行っております。育成については、仕事が一番ではなく人生を充実させるために仕事があるということを教えるようにしています。一日の大半を占める仕事に対して、やらされている意識を持ったら好きにはなれないので、どういう気持ちを持って取り組めば好きになれるのかを私も一緒になって考えています。仕事も人生の充実もお互いを支えている大切なものだと思いますし、考え方ひとつでより向上させていけるものだと考えています。

中嶋社長が大切にしている考え方を教えてください

どんなことをするにしても自分が先頭に立って行うことですね。ただ一人では新しいことを始めたり何かを変えていくことは難しいと思います。大切なことは若手を巻き込んでいくことだと思っていて、頑張ったら頑張っただけの評価を正当にしてあげることです。若手が自分のできることを見つめ直して目の前の業務に真剣に取り組むことで、個々の技術がどんどん成長していく。そしてベテランと言われる社員たちが若手に触発されていきその結果、社内全体が活性化されていきよりクオリティの高い製品が製造できるようになります。その根幹にあるのは、仕事を「やらされている」ではなく「自らやりたい」という仕事に対しての愛情をどれだけ醸成できるかだと思います。この考えが私と文星閣に根付いている大切な考え方だと思います。

印刷物に対して愛情をもって接する頼れる現場の総指揮官

株式会社文星閣 取締役工場長  瀬高次郎

今回、お話を伺ったのは23年間文星閣と共に人生を歩んできた瀬高取締役工場長だ。取締役工場長という管理職の視点から考えている文星閣とはどのようなものか。幼少期から機械をいじり分解や組み立てに楽しみを感じていた瀬高工場長はやがて車、バイクなどの趣味を持つことになる。印刷業である文星閣に入社してからは、印刷の道を極めるべく努力を重ねてきた。長きにわたり仕事を大好きでいられるのは、弛まぬ努力を継続してきたからだと容易に想像ができる。そんな瀬高工場長は文星閣や印刷業の今後についてどのような未来があると考えているのだろうか。今回は瀬高工場長の視点からみえる文星閣について伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

人と人との繋がりを感じた23年前の出来事

「常務の人間性に惹かれたからです。」と話してくれた瀬高工場長。「もともと機械に触れることが好きだったということで、自動車関係を第一志望として就職活動を行っていました。ある日、当時の文星閣の常務とコンタクトを取る機会に恵まれ、一度会社見学に来ませんかというお声をかけて頂きました。印刷業界のことは何も知らなかったのですが、一度見に行ってみようと思い常務にいろいろとお話を伺ったところ、すごく話が合い入社に向けて気持ちが動いていきました。常務は自衛隊に所属していたこともあり、白黒はっきりしている性格の方で、その部分も私には魅力的な部分でした。今考えると、人と人との縁のようなものだと思っています。その他にも会社の見学に訪れたとき、社内の雰囲気が、古き良き時代の企業と現代の企業それぞれの魅力が詰まっているように感じ面白い会社だと思いました。現在の中嶋社長にも言えることですが、愛社精神を持って業務に取り組んでいる社員が多くいる会社で働いてみたいと思い、入社をしました。

円滑なコミュニケーションの先にあるみんなの喜び

やりがいという、通常の業務ではあまり意識して考えない質問に対して「社員が喜んでくれた時ですね。部下の一人ひとりが今抱えている悩みを聞いて解決の手助けができたときとても嬉しい気持ちになります。」と答えた瀬高工場長。取締役工場長という立場上、部下が遠慮をしてしまい、抱えている小さな悩みをなかなか打ち明けてもらえないのが現状だというが、相談してもらうこと自体はとても嬉しいことだという。相談されることで自身のモチベーションの向上にも繋がるし、部下の考えていることが把握できればチャレンジしようとしていることに対して背中を押してあげたりアドバイスしてあげられるようになる。個人のやりがいよりもチームとしての連携や成長をやりがいと考える瀬高工場長はこう話す。「全ては共に働く社員を思ってのことです。困っていることを相談されるだけではなく、自分から積極的に声をかけるように意識して、より多くの悩みを解決していきたいと思います。こうした考えこそがいつまで経っても変わらないやりがいだと考えています。」

制作物がより身近に考えられるような職場に

「私の夢は文星閣が発展していくことです。安定よりも挑戦したり成長したりして全社員一丸となって前に進んでいくことです。」卓越したリーダーシップでたくさんの部下を成長させている取締役工場長の肩書にふさわしい夢だ。今も昔も夢の内容は変わらないのかを伺うと、「現場にいるときは、指導をした部下が人間的にも技術的にも成長してどんどんステップアップしていってくれることが夢でした。」と答えた瀬高工場長。今は管理職という他をまとめる立場であるため、個人や部署ではなく全体に重きを置いた夢を描いている。「夢と言えるかはわかりませんが若い社員にものづくりを意識してもらいたいという願望もありますね。自分たちで制作したものが誰にどのような形で届いているかを知ることでよりクオリティーの高い製品作りに繋がると思いますし、それがやがてお客様の喜びになり、次の業務時には前回より良いものを作ろう原動力になっていくと思います。」と話す。文星閣が発展していくうえでチームワークと成長が大切と考える瀬高工場長の夢は、会社や社員全ての夢と言っても過言ではないだろう。
水なし印刷
抗菌パンフレット
最新設備

印刷業の魅力と文星閣の魅力

瀬高工場長からみた中嶋社長はどのような方か教えてください

中嶋社長は古き良き時代に多くいた安心感のある方ですね。物事に対する考え方もはっきりしていて決断力があり、圧倒的な統率力で組織をけん引するパワーがあると思います。部下に対する面倒見がとてもよく、信頼できる上司であると同時に頼れる親分のような感じの人です。仕事やプライベートなど、どんなことにも常に本気で取り組む姿はとても刺激になっています。性格は純粋で、業務においても社内外のコミュニケーションにおいても、一番大切なことは何かという本質を的確に見抜ける方ですね。言葉はもちろんですが、社長の眼から伝わってくることが多々あります。そういう中嶋社長だからこそ私たちの業務が円滑に進んでいると思いますし、具体的なアドバイスをもらうことで社内全体の成長に繋がっていると思います。

文星閣での思い出に残る体験を教えてください

入社以来様々な業務に携わってきまして一番の思い出は、仕事とは少し違うと思いますが久が原に本社があったころ、敷地内に鯉が泳ぐ池を作ったことです。今は久が原から現在の本社に移動させて、飼育しています。中嶋社長が生き物を好きなことや魚が好きな先輩社員がいたという経緯で池を制作することになりました。文星閣では生き物を飼育することが多く、エレベーター乗り場にカブトムシやクワガタを飼っていたこともありますね。いろいろな思い出がたくさんありますが、すべてに共通していえることは「こうやってみよう」や「こうしたらいいのではないか」といったその時の感性を大切にし素朴な疑問や思いつきに対して真剣に取り組んできたことです。積極的にチャレンジしたことは全て思い出に残るいい経験になっていると思っています。

文星閣や印刷業の未来に対して考えていることを教えてください

最近の世の中はデジタル化が進み、紙媒体の利用頻度は減少していくのではないかと言われています。ただ、デジタル化によって紙製品が全て無くなるわけではないと考えているので、紙を必要としているお客様のニーズに寄り添った印刷を続けていきたいですね。自分たちの印刷技術を駆使して作った製品、例えば本や雑誌などが書店に並んでいるのを見るとモチベーションになります。文星閣については印刷会社であるということを世の中に認知してもらえるようになることです。印刷業を想像しづらい社名ではありますが、文星閣の印刷技術や製作物などを知ってもらい世の中にしっかりと印刷会社であることを伝えていきたいという気持ちがあります。どちらも簡単ではない目標のような考えですが、達成できるよう日々の業務に対して真摯に取り組み全力で進んでいきたいと考えています。

監修企業からのコメント

abe

この度は、取材をさせていただきましてありがとうございました。印刷業として現状取り組んでいることや、今後の展望などを伺うことができてより深く理解することができました。時代に合わせて変わらなければいけない部分と、変えてはいけない部分を常に考えながら業務に取り組まれている文星閣様が、印刷業をけん引していく姿が目に浮かびます。今後もご活躍に注目していきたいと思います。

掲載企業からのコメント

この度は取材をしていただきありがとうございました。
会社のことをアイアルマーズ様にご説明することで、改めて私たちが大切にしていかなければいけないことを再確認できました。印刷業として100年企業を目指すうえで、社内の共通認識が大切であり、これからも意識して取り組むべき課題だと思っています。今後の文星閣の飛躍をご期待ください。

株式会社 文星閣
1948年 組織を株式会社文星閣として、東京都大田区北千束にて発足。
1955年 東京都大田区北千束に本社ビルを建設。
1965年 四六全版全自動2色オフセット印刷機を増設。
1971年 東京都目黒区中根に新工場建設・移転。
1985年 東レ製水なし印刷の研究に着手。新技術分野の確立を目指す。

1990年 東京都大田区久が原に久が原工場建設・移転。
1996年 久が原第2工場が完成。
1999年 環境対応印刷システムBEPSを開発。

2006年 (社)日本印刷産業連合会より「グリーンプリンティング工場」に認証を受ける。
2018年 奥 継雄 代表取締役会長 就任
   中嶋 幸保 取締役社長 就任
創業年(設立年) 1948年
事業内容 ・印刷業
・上記に付帯する一切の業務
・貸室業務
所在地 東京都大田区昭和島1丁目5番32号
資本金 72,000,000 円(授権資本 144,000,000 円)
従業員数 事務・営業:29名  製造:63名 計92名
会社URL

株式会社 文星閣