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長野オートメーション株式会社

長野オートメーション株式会社 代表取締役社長 山浦研弥

今回お話を伺った山浦社長は、1981年に創業した長野オートメーション株式会社の2代目社長である。若かりしころ、地元長野を離れ、都会で自身の見分を広げ、さまざまな経験を積んできた。社会人としてのスタートは企業に勤めるサラリーマンだったが、一念発起し自身の会社を設立。ITエンジニアとして山あり谷ありの企業運営の中で、「社長」としての経験値を蓄えてきた。満を持して地元長野に凱旋し、180名の長として現在奮闘している山浦社長。何事にも「挑戦すること」、決して「諦めないこと」という考えを大切にすることで、これまで発展してきた長野オートメーション。今回は、老舗として活躍してきた同社の社風や独自性、さらには山浦社長が思い描く展望について詳しく伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

例えるなら宮大工の集団。機械に対して真剣に向き合う職人たち

長野オートメーションの社風を伺うと、こんな答えが返ってきた。「宮大工のような職人の集まりですね。みんな機械が好きで、好きだからこそ真剣に取り組んでいます」山浦社長曰く、社員のみんなが機械に対する思いが非常に強く、時には強すぎて喧嘩に発展することもあるのだとか。自社の製品に対して誇りを持ち、自身の製品に自信を持ってものづくりに励んでいる同社の社員たち。各工程でプロフェッショナルな人材が揃っているため、問題が起きた時の解決策は多岐に渡る。それぞれが自身の経験値を活かした解決策を提案することで、全員で問題に対して向き合っている。各々がさまざまな角度から解決策を提示するが、そこは職人集団。こだわりが強すぎて前述の様に喧嘩になってしまうこともある。それでも山浦社長は胸を張る。「強すぎる熱い想いが職人一人ひとりを突き動かして、切磋琢磨して激しい意見交換のもと、新しい”アイデア生まれる社風”を頼もしく感じています」職人集団ならではの社風と言えるのではないだろうか。

利益?欲しいのは成長に繋がる経験値。何事も断らないスタイル

「我々の独自性は、お客様のご依頼を決して断らないことです」と同社の独自性に対して淀みなく答えた山浦社長。長野オートメーションでは、出来ませんという言葉を発することはない。ここまでは出来ますという、あくまで挑戦する気持ちを前面に押し出している。挑戦することが経験値になり、中長期的に考えたうえで、会社としての財産になることを重要視しているそうだ。中には、請け負うことで思ったような利益が出ない案件もあるが、それも全て未来のための経験であり投資だと割り切っている。またお客様との人間関係も非常に大切にしている。同社の製品は、原価が決まる前に売値が決まってしまうことが多いため、慎重に価格設定を行う必要があるが、山浦社長は笑いながら語った。「弊社は仕事の取り方が手堅くないんです。お客様とのコミュニケーション、未来への経験、そういった部分を大切にしているからです」なるほど、同社がここまで発展してこれたことを垣間見るような独自性だ。

長野にとって誇れる企業に。売上倍増が超えるべき目標

長野オートメーションの展望をどのようにお考えなのか。未来に対して、自身の思いを確認するかのように話してくれた山浦社長。「現在の売上を倍増させ、100億円企業になること、それと全ての製造業に携われるような存在になることです」この答えの裏側には、これまで経験してきたたくさんの努力が見え隠れしていた。100億円企業になるためにはさまざまな要素が重要となるが、山浦社長は現有戦力で達成可能だという。詳しく伺うと、現在は試行錯誤して製品の設計や製造に取り組んでいるため、「必要」なロスが発生しているとのこと。ポテンシャルは充分にあるため、ロスを減らすことが達成までの近道だと考えている。そしてこれから先、全ての製造業から相談を持ちかけられ頼りにされる、そんな企業になりたいと展望を語った山浦社長。同社に期待せずにはいられなくなるような、具体的な展望だ。
社屋
働く社員
整備された工場内部

製造業として躍進を続けるための秘訣。大切なのは「諦めないこと」

山浦社長の経歴を教えて下さい

地元長野から上京し、学生生活を経て兵庫に行きました。社会人になり10年ほどサラリーマンとして働きましたが、その当時行っていたITエンジニアの業界で活躍したくて、自身で会社を設立しました。その時、社長とはどうあるべきかという考えを学びました。自社の経営を5~6年行いその後、長野に戻り父の会社である長野オートメーションに入社しました。39歳の時です。最初は営業部で1年ほど勤務し、役員、専務を経て現在に至ります。長野へ戻ってきた時に思っていたことは、自分が会社を継ぐにふさわしい人間かを、父に判断してもらいたいということでした。こうして社長として勤務ができているということは、少しは認めてもらえたのかなと思います。自身のこれまでの経験をどのような形になるかはわかりませんが、自社に還元していきたいと思っております。

現在、山浦社長が課題に感じていることを教えて下さい

弊社の製品はお客様によって変わります。お客様の要望はそれぞれ違いますからね。例えばニーズに合わせた製品を設計して作っても、他に使い回しが効かないんです。一般的には自社で開発した製品を売るのが基本だと思いますが、弊社では各々が0からお客様に合わせた設計をして作っています。汎用性のある製品を作った方が利益の安定に繋がるので、利益重視で考えれば今のやり方は厳しいと思います。ですが、エンジニアが試行錯誤して新しいものを作り上げることで、大きな成長に繋がっていくと考え、そこに重きを置いた場合、現在の取り組みは大切だと思っています。成長と利益のバランスを取ることが難しく、今後の課題になると考えています。

将来、どのような人と一緒に働きたいですか

一緒に働きたいと思える人は、自分自身の設計したものを本気で世の中に出したいと思っている人ですね。一般の製造メーカーでは、自分が手掛けた製品を世に出すまで10年くらいはかかるのではないでしょうか。ですが、弊社としては、目の前にいるお客様のニーズに対してどうやって答えるかが重要だと考えているので、やる気があれば誰にでもチャンスがあります。お客様の喜んでくれる顔が見たいと思える人と働きたいと思います。弊社で一緒に働いてくれる人に約束できることがあります。それは他社でも活躍できる技術レベルまで成長できるということです。広く深く知識や技術を学び、いずれは独立できるような人になってもらいたいですね。

長野オートメーションの「今」とこれからを担う精鋭たち

長野オートメーション株式会社
取締役 平井健一
設計技術2グループ 井出宏貴

今回、代表社員として伺ったのは、これまでの長野オートメーションを支えてきた平井堅一取締役と、新卒入社8年目の井出宏貴さんだ。普段は設計技術部の中でも違うグループに属しているお二方だが、話を伺っていくうちに、多くの共通点があることに気づいた。平井取締役は、ベテランとしての視点から会社のことを考えており、井出さんは若手としての視点で同じように会社のことを考えているということだ。入社時期も理由も違う両者に、同じ質問を投げかけることで見えてくる新しい発見。今回はお二方に入社理由ややりがい、今後の夢に至るまでさまざまな質問に答えていただいた。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

設計に携わりたかった平井取締役と、同社に魅力を感じた井出さん

入社理由についてお二方に伺うと、それぞれ入社に至るまでのストーリーを語ってくれた。平井さんはもともとカネボウの繊維部門に就職をしたとのこと。職場で充実した毎日を過ごしていたが、ある時工場が閉鎖してしまった。 そのタイミングで自身がやりたいことをやってみようと思い、以前から興味を持っていた設計に絞って求人を探したところ、長野オートメーションに出会ったそうだ。井出さんはというと、就職活動時、主に首都圏の求人を中心に探しており地元長野の企業は1社しか受けなかったという。その1社が同社なのだが、選んだ理由は会社の見学会だった。それまで特段興味をもっていたわけではなかったが、見学会の内容が非常に魅力的だと感じ、条件面も良かったことから迷わず入社を決意したとのこと。お二方とも異なる入社の理由だが、共通していえることは、「働きたい」と思える企業に出会えたことではないだろうか。

共通していえること。それは設計技術の進化

平井取締役と井出さんのやりがいは、機械好きという部分が根底にある。平井取締役は、お客様に自社の製品を評価してもらい、長野オートメーションのファンが増えていくこと、そして業務に対する思いが若手社員と同じだと知った時にやりがいを感じるという。同社の製品は他社と比べて非常に難易度が高い。なぜなら、他社で対応できなかったニーズに対して、常に挑戦しているからだ。「製造業の駆け込み寺のような会社」と自社について語る平井取締役。これまで納入できなかった製品はなく、技術的にできないと思ったことでも諦めずに挑戦を続けてきた。その気質が会社を発展させ、社員を育ててきた。 平井取締役の後進として活躍する井出さんは、「自分の設計した製品がお客様のニーズと合致して喜んでもらえた時にやりがいを感じます」と発言するなど、同社特有の企業文化が脈々と受け継がれていることを表すような両者のやりがいである。

会社が発展するために、それぞれが思うこと

井出さんの夢は、利益を生み出せる機械を作れるようになることだそうだ。夢について伺った時、ものづくりのプロとしての発言が印象的だった。利益を生み出すためにはさまざまなアイデアが必要になり、井出さん自身が現在力を入れて取り組んでいることでもある。「知識や経験の引き出しがないと感じるので、たくさんの事を学び活用するために日々チャレンジ精神をもって取り組んでいます」と成長の先にある想いを語ってくれた。一方、平井取締役は管理職としての視点からの夢だ。「製品の社内納期が伸びないように調整することです。業務の効率が飛躍的に向上することで、社員の成長に繋がる指示が今以上に出せるようになると考えております」と、現状の課題を解決した先にある進化した同社を思い描く。現状の課題を解決しながら新しい知識や経験を積み上げていき、会社発展していくこと。両者の言葉は違えど、目指すものが同じだと感じる夢である。
CMマスコット
製品例
社内イベント風景

「諦めない」スタイルはどのように醸成されたのか

山浦会長、山浦社長はどんな人ですか

平井:山浦会長は非常にパワフルな方です。挑戦しないという選択肢は初めから持ち合わせておらず、「やってみなければわからない」という意志で、常に現場の先頭に立って引っ張っていく部分が凄いと感じています。熱い気持ちを持った技術者で、的確な指示を出しながら全体をコントロールしている方ですね。

井出:山浦社長とは同期で入社しており、そのころの印象は落ち着いていてフラットにものごとを見ている、視野の広い方だと感じました。現在、業務で直接関わることはありませんが、設計なら設計と細部を見るのではなく、全体を俯瞰で見れる方だと思います。システム関連に強いという部分も印象的ですね。

今後、どのような会社にしていきたいですか

平井:従業員が300人~500人規模の会社を目指していきたいですね。そのために取り組まなければいけない現状の課題も把握しています。改善と挑戦を繰り返しながら、世の中のためになる製品を作り続けることができる会社であることを継続していきたいと思います。

井出:製品全体の利益率向上や作業効率の向上、そして最先端の情報を常に取り入れることで、日本の企業のみならず、世界の企業と戦えるような会社にしていきたいと思います。そのためには他社に負けない技術力を身に付けることが重要で、それを意識して取り組んでいきたいと思います。そして弊社自慢の技術や良い企業文化などを継承していけたら嬉しいです。

目指す会社に必要だと思うものを教えて下さい

平井:なによりも、若い社員の力が必要で、新しい技術を取り入れていくことが大事だと思います。もちろんこれまでの古き良き部分を大切にしながら、新しいことにも目を向けていく。欲を言えば、若手の社員から「こういうのはどうでしょうか?」なんて提案が挙がるようになり、その数が多ければ多いほど良いと思います。

井出:個人の技術向上ももちろん大切ですが、会社としての力も蓄えていく必要があると思います。それには現状よりも社内の連携力を強化し、標準や基準を明確に定めることによる全体の底上げ、レベルアップをするために取り組んでいくことが必要だと考えています。自分達に何ができるかを日々考えながら業務を行うことで、より具体的な施策も見えてくると思いますね。

監修企業からのコメント

abe

この度は、取材をさせていただきましてありがとうございました。長野の地で発展してきた同社の根幹に「諦めない」という強い想いがあり、長野オートメーションが成長を遂げてきた理由の中で、非常に大きな要素だと感じました。100億企業、そしていずれ世界へ飛び出していくであろう貴社の動向に注目し続けたいと思います。

掲載企業からのコメント

この度は弊社を取材をしていただきありがとうございました。
全ての製品はお客様のニーズを基にして製造しており、より良いものを発信していくためには、これまで以上の努力が必要であると感じております。この先、社員全員で「諦めない」気持ちを大切にしながら進化していきたいと思います。
より成長した未来の長野オートメーションを楽しみにしていて下さい。

長野オートメーション株式会社
1981年 長野県小県郡東部町(現東御市)にて創業
1985年 機械組み立て工場を設置し、部品加工・組立分野に進出
1996年 長野県小県郡丸子町下丸子401(現上田市)に移転
2002年 中国 遼寧省 瀋陽市に現地法人を設立
2004年 大型自動機械組立に伴い第3工場竣工
2006年 業務拡張に伴い第4工場竣工
2010年 業務拡張に伴い第5工場竣工
2014年 開発棟を竣工
2017年 地域未来牽引企業に選定
2018年 業務拡張に伴い第6工場竣工
2019年 長野県SDGs推進企業登録制度に登録
創業年(設立年) 1981年
事業内容 金属工作機械製造
所在地 長野県上田市下丸子401
資本金 1億3,500万円
従業員数 171名
会社URL

長野オートメーション株式会社