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株式会社第五電子工業

「欠品率0.1%以下」 高品質を追求する

株式会社第五電子工業 代表取締役 水田 光臣

「欠品率0.1%以下」という極めて高い品質保持目標を掲げる電気機械器具製造会社が存在する。それが今回お話を伺った第五電子工業だ。同社はこの目標を達成するために最新鋭の設備の導入を積極的に行っているが、何よりも重視しているのが「人」の部分だ。同社のつくる電気機械器具はミクロ単位のイレギュラーを許さない。さらには外装にまでこだわり、傷1つ残さずに出荷する「職人」の意識を全社員が持っている。また、生き生きと働くことができる環境が整備されているため、全社員が挑戦と改善を日々行っている。「人」に重点を置くからこそ高品質な商品をつくることができるのだ。業界の未来を見据え、さらなる発展へ会社を導く水田社長に、お話を伺っていく。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

挑戦ができる場所

同社の社風として「積極的にチャレンジができる環境」を挙げた水田社長。同社には社歴は関係なく、積極的な姿勢を受け入れ、成長することができる環境があるのだ。この環境の根源には、水田社長の「まずやってみる」「高い壁でもとにかく挑戦してみる」の姿勢がある。目の前に壁が立ちはだかっても、どうすれば越えることができるのか思考し、果敢に立ち向かう。この考えが社内にも浸透しており、社員一人ひとりが「どうすればこの課題を解決することができ、お客様にさらなる付加価値を提供できるのか」を考え、行動に移すことができるのだ。実際に同社には、20代で工場の役職者に抜擢された社員も存在する。この社員の指揮の下、現在工場が稼働している。20代という若さでも、積極的な姿勢があればそのチャレンジを後押しする環境が整備されているのだ。社員一人ひとりが生き生きと働く同社。同社はその社風を土台とし、今後さらなる跳躍を行っていくのだ。

高品質を追求する

「品質保証の徹底」が独自性だと水田社長は語った。同社は「欠品率0.1%以下」という極めて高い品質保持目標を掲げている。ただ同社であれば、この目標を達成することは不可能ではない。まず同社は業界でもトップクラスの化学物質管理能力を持っている。同社は独自のグリーン調達ガイドラインを持っており、遵守している。そのため化学物質管理に対してのクレームは皆無と言っても過言ではない。また、部品完成度も高い。同社は社員一人ひとりが少しの傷や1つのホコリを許さない意識を持っている。ミクロ単位のイレギュラーが致命的なミスに繋がるからだ。さらにはその職人の姿勢は外観にまで至る。バリを全て取り除き、傷一つなく表面を磨き上げる。同業他社が第五電子工業の製造現場を見ると、その手の込みように驚くであろう。化学物質管理、完成度に一切手を抜かない意識が高い品質保持能力に繋がっている。この高い品質保持能力でお客様の信頼を勝ち取り、同社は現在の地位を築いてきたのだ。

キャパシティの拡大

「高品質商品をつくるキャパシティを拡大させていきたい」と水田社長は展望を熱く語った。近年、例えば家電業界でIoTを取り入れた冷蔵庫や、自動車業界でAIによる自動運転技術を取り入れた車が脚光を浴びている。IoTやAI技術の進歩は、必ずや半導体のニーズ向上を引き起こす。高まる半導体のニーズに対応するため、同社は高品質商品をつくるキャパシティの拡大が必要なのだ。具体的に、同社は現在、人とロボットの融合に力を入れている。半導体は非常に繊細なものである。手作業で行わなければならない部分もあれば、ロボットで行った方が適している部分もある。それらの境界線を見極め、今ある設備を最大限稼働させ、最新鋭の機械も導入しつつ、熟練の技で完成させていく。適材適所の人員配置・設備配置を模索することで、生産力を向上させる方法を見極めているのだ。高い品質を保ちつつキャパシティを拡大する、他の追随を許さない同社の姿が目に浮かぶ。
作業風景
溶接ロボット
丁寧に組み立てていく

隅々までこだわる「プロ」の姿勢

―第五電子工業の「営業力」の秘訣を教えてください

「相手本位のコミュニケーション」と「見積もり対応のスピード」は当社の営業力のカギとなっています。営業時、意識すべきは「相手が本当に求めているものを理解し、叶える」ことです。相手の深層ニーズを引き出すためには冒頭でインパクトのある会話を入れ込み、話しやすい雰囲気をつくることが必要です。お客様のニーズを引き出すことができれば、これまで培ってきた技術力・生産力を駆使し形にすることが可能なのです。また見積もりも2割程度は即日、半分は翌日までに出すことができます。雰囲気をつくり、相手が求めるものを理解し、提案し、スピーディに対応する。これが当社の営業力の秘訣です。

―製造環境整備に力を入れているのですね

「設備」と「社員教育」に関しては重きを置いています。社内にお客様がいらっしゃる際、必ずと言って良いほど設備と人の部分には驚かれます。設備に関して特に驚かれるのは「クリーンルーム」です。弊社は自社でクリーンルームを保有しており、組立はクリーンルーム内で行います。社員教育に関しては「挨拶」です。当社は社会人としての基本姿勢を徹底させています。当社はサービス業ではありませんが、お客様には「いらっしゃいませ」と言います。また「良いオアシス」という挨拶の基本(よ→よろしくお願いします、い→いらっしゃいませ、お→おはようございます、あ→ありがとうございます、し→失礼します、す→すみませんでした)を工場内に掲示し徹底しているのです。製造環境整備に余念がないため、お客様から高い信頼をいただいています。

―若い社員でも活躍できる秘訣を教えてください

ざっくばらんにコミュニケーションを取ることができる雰囲気があるためです。当社は社員全体の3分の1が20代という、業界内で比較すると非常に若い人員構成になっています。だからこそ仕事中、何かわからないことがあれば部署内の先輩に気軽に相談することができ、先輩も真摯に答えています。休憩時間には他部署の社員の下へ行き、談笑している風景も見られます。私も若手社員を3、4人連れて飲みに行くことがあります。部署や社歴の垣根を越えたコミュニケーションを取ることができるからこそ、若手社員は伸び伸びと働くことができ、様々な価値観を得ることで活躍に繋がっていくのです。コミュニケーションが活発な社内の雰囲気はこれからも大切にしていきます。

ものづくりの「カッコよさ」を発信していく

株式会社第五電子工業 製造部 製造課長補佐 中原 啓貴

「ものづくり」と聞いて、どんなイメージを持つだろうか。今回取材した第五電子工業の中原さんは、ものづくりに憧れて同社に入社した。中原さんはものづくりに対するマイナスなイメージを払拭し、「カッコいい」イメージを自分から発信していくという夢を持っている。完成像を描き、自分の手でつくり上げていく創造性豊かなものづくりという仕事を世に広めていきたいのだ。実際に中原さんが全力で仕事に取組み、製品を創造する姿を見ればものづくりの「カッコよさ」も伝わるはずだ。中原さんの仕事に対する想い、今までの経験を紐解いていく。

伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い

ものづくりに憧れて

「ものづくりに憧れていたから」と入社理由を語った中原さん。自らの手で様々な製品を組み上げていくことに魅力を感じていたからだ。前職は全く別の業界で働いていた中原さん。働きながらものづくりに携わりたいという気持ちが膨れ上がり、転職を決意した。ものづくり企業を探していると、ふと同社が目についた。面接に行き、まず感じたのは水田社長のフランクで話しやすい雰囲気だったという。少しずつ同社を理解していくと、努力次第で様々なことに挑戦することができる会社だということが分かった。それがきっかけで入社を決めた中原さん。実際に働き始めてさらにその社風を実感した。新たなアイディアや改善案を出すと、積極的に取り入れてもらえたのだ。また、主体的に仕事に取り組む姿勢が評価され、着実に成長の歩を進めている。徐々に扱うことができる「ものづくり」の範囲が増え、さらなる挑戦を続けている中原さん。憧れていたものづくりに携わり、輝く未来を手繰り寄せている。

第五電子工業にしかできない技

仕事のやりがいとして「お客様からの難しい要望を叶えることができた瞬間」を挙げる中原さん。お客様から前例のない要望があることは少なくはない。今まで蓄積してきた膨大なデータを参考にし、試行錯誤しながら完成を目指さなければならない。例えば、過去に複雑な形の金属加工を依頼されたことがあった。その加工は、同じ設備で行ったとしても板の種類が違うだけで、そして板厚が1ミリ違うだけで別の形になってしまう。その状況下、今まで積み上げられてきたデータを参考にし、様々な種類・厚さの板を試していかなければならない。暗中模索で進み続けた結果、何とか期限内に要望通りのものを完成させることができた。その際にお客様から言われた「第五電子工業にしかできない技だ」の言葉に何にも代えられない喜びとやりがいを感じたのだという。お客様からの要望に柔軟に応え続け、中原さんはこれからも自らの手で価値を創出し続けるのだ。

「カッコいい」ものづくりの発信

「ものづくりの魅力を日本に発信していきたい」と中原さんは夢を語った。近年、ものづくりにおける若者離れが取りざたされている。日本経済が飛躍的に成長した高度経済成長期はものづくりによって支えられていた。「ものづくり大国」として発展してきた日本であるがゆえに、若者からは「古い業界」というイメージがついているのかもしれない。中原さんは「ものづくり=古い」のイメージを払拭し「カッコいい」に変えていきたいのだ。実際に、ものづくりとは頭で完成像をデザインし、自らの手により形にする創造性あふれる仕事である。そして現在、IoTによりものづくり重要性は増している。日本の未来を切り拓く将来性豊かな分野である。そのようなクリエイティブで影響力のある、ものづくりは「カッコいい」仕事なのだと中原さんは熱く語った。第五電子工業からものづくりのイメージを発信し、中原さんは若者を魅了していくのであろう。
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好きな仕事で、自分を進化させる

―中原さんが感じるものづくりの楽しさを教えてください

一番の楽しさは「材料に命を吹き込むこと」です。最初はただの一枚の板です。それが最終的に機能を持つ製品に変わります。その間に何があるのか、そのように単純に考えると、多くの人がそこに興味を持つと思います。ただの一枚の板に板金加工・機械加工・溶接加工等様々な加工を行い、それらを組み立てることで、例えば真空をつくる機能が備わったり、熱を冷ます機能が備わったり、命が吹き込まれ様々な機能を持つのです。それを間近で見ることができるだけでなく、自らの手で命を吹き込みつくり上げていくのです。魅力的だと思いませんか?「材料に命を吹き込むこと」これが私が感じているものづくりの楽しさです。

―中原さんの信念を教えてください

「変化」を大切にしていきたいと考えています。自分をどれだけ変えることができるかは、どれだけ成長できるかに比例しています。自分が変わっていく姿はワクワクしますよね。当たり前に毎日やっていることだと、何故その行為が必要なのかを忘れてしまい、思考を停止させてしまうこともあると思います。しかし、時代は少しずつ変化しています。変化に取り残されないよう、例えルーティンワークでも日々進化できる柔軟性は大切になります。また、自分を変えてくれた人も大切にしないといけません。その人の想いを無下にしてしまうと、後に必ず後悔します。柔軟に、素直に変化していく、この考えは私の深い部分にある信念です。

―会社の良いところを教えてください

自由度がとても高いところです。何をやりたいのかを発信しやすい環境が整っています。水田社長は表裏のない真っ直ぐな人です。そのためどんな意見でも必ず耳を傾け、積極的に取り入れてもらえます。例えば「この設備を新たに購入すれば今までできなかった加工をすることができます」と提案し、実際に導入してもらったこともあります。マシニングセンターという、コンピューター制御により金属の切削や研削など複合的な精密加工ができる設備が使いこなせなかった際に、「外部講習に行きたい」と伝えるとすぐに行かせてもらえます。自分の意志を尊重してもらうことができるところが、第五電子工業の良いところです。

監修企業からのコメント

お客様から絶大なる信頼を得ている第五電子工業。その信頼の背景には、社員を大切にする水田社長の「想い」があるのだと感じました。教育を徹底し、社員の意欲を引き出す。それが実現されているからこそ、現在まで発展を続けてきたのだと感じました。業界の動向を見据え、来たる半導体のニーズ拡大に備え、今後さらなる跳躍を果たしていく同社。今後の展望に目が離せません!

掲載企業からのコメント

取材時は、いろいろ語りましたが、よく当社の状況を把握され、まとまっていて、すばらしい出来になっていると思います。ありがとうございます。社風は変えてはならない伝統的な精神と時代の変化に合わせてチェンジしなければならないことがうまくかみ合って良き方向に向かうのだと考えています。自分を変え、やり方を変え業績を向上させようのスローガンを日々唱和しています。『伝統と変革の融合』を意識して、これからも、人に満足を与える企業であり続けるよう精進していきたいと思います。

株式会社第五電子工業
1960年07月 第五プレス工業 設立
1962年02月 有限会社第五プレス工業所に改組
1965年04月 精密順送型で製造開始
1969年07月 有限会社第五電子工業に改組
1973年08月 本社工場新設移転(現在の場所)
1979年    半導体、真空分野に進出
1992年12月 資本金1,000万円に増資
1993年01月 株式会社第五電子工業に改組
1995年07月 ニュークリエイティブプランツ工場増設(組立工場)
2006年11月 新工場建設(クリーンルーム増設)
2006年12月 増設組立工場閉鎖(本社工場に集約)
2009年07月 代表取締役に水田 光臣就任
2013年02月 KES(環境マネジメントシステム・スタンダード)ステップ2
         認証取得
2016年10月 第二工場増設(溶接工場)
創業年(設立年) 1960年7月
事業内容 半導体製造装置・真空装置の部品加工
所在地 神奈川県相模原市緑区橋本台2丁目7番23号
資本金 1,000万円
従業員数 58名
会社URL

株式会社第五電子工業