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株式会社知財コーポレーション

社員全員で目指す更なる進化

株式会社知財コーポレーション 代表取締役社長 冨田 修一

創業以来、特許翻訳をコア事業として現在まで歴史を築きあげてきた同社。実はかつて、外国へ特許出願するときの翻訳はメーカーから代理人へ、代理人から翻訳者へという仕事の流れであった。この流れに課題を見出した同社は翻訳会社として直接メーカーと取引をするビジネスモデルを確立させ、業界に新しい道を示した。特許翻訳という、翻訳能力に加え最先端の技術情報と海外出願するための法律知識が必要とされるプロフェッショナル集団の同社。近年「受注型」ビジネスから、お客様にニーズがあっても言語上の障壁などで入手困難な市場情報を提供する「発信型」ビジネスへの展開を図っている。本取材では2代目社長として会社の進化を見据える、冨田社長にお話を伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

「学び」と「人」を大切に

「『学び』と『人』を大切にする、この考えは会社の根幹です」と冨田社長は語る。特許翻訳の仕事はただ翻訳をするだけというものではない。新たな発明を理解し、技術・法律・言語の三つの面から検討して、翻訳をすることが要求される。だからこそ同社は「学び」を大切にし、そしてそのサービスを生み出す「人」を大切にする。この社風のルーツを辿ると、創業者である浜口現会長の姿が見えてくる。浜口会長は2013年まで同社に知財翻訳研究所という社名を用い、学ぶことの大切さを強く意識していた。また研修費をサポートすることで「学び」を促進してきた。そうして高い教養を得た社員が高品質な同社のサービスを生み出す。だからこそ社員が気持ち良く働ける環境づくりを徹底している。例えば、産休、育休、時短などの制度についても早くから意欲的に社内に採り入れ根付かせている。同社はこのように「学び」と「人」が両立する環境を作り出すことでサービスの質を向上させ、お客様からの高い満足度を勝ち得ている。

ニーズに合わせてポイントを捉えた事業展開

同社の独自性として、業界の転機ごとに新しい事業を展開する挑戦の姿勢が挙げられる。その背景には他社がやっていないことを先取って行い、お客様へ高付加価値を提供しようとする思いがある。例えば外国への特許出願時は「メーカー→代理人→翻訳者」というビジネスモデルだった当時、代理人を通すためメーカーの要望が翻訳者に正確に伝わらず費用も高いという課題があった。そこで同社は翻訳会社として直接メーカーと取引をする革新的なビジネスモデルを確立させ、業界に新しい道を築き上げたのだ。また、情報ツールの充実により特許翻訳業界の参入障壁が下がってきた現在、同社は従来の「受注型」ビジネスの殻を破り、特に中国などの国外市場における訴訟情報を独自ルートで入手し提供する「発信型」ビジネスを展開している。現時点ではまだ同社の中で走り始めたビジネスであるが、冨田社長のお話を伺うと、このサービスの需要が今後更に高まっていく姿が目に浮かぶ。このようにポイントを捉えた事業展開で、今後もお客様の信頼を獲得していくに違いない。

社員全員で創る未来

「今会社は別の展開を迫られている。これまで功を奏していたことだとしても、今の会社に適切ではないものは進化させていきたい」と冨田社長は熱く語る。参入障壁が下がりつつあるため新規参入が増えてきたという業界の変化に加え、規模の拡大や新しいビジネスの展開といった同社の変化。この流れを汲み取り、同社はまさに変革しようとしている。例えば、これまでは全てのプロセスに専門職がいることで高品質なサービスを提供していたが、その専門性の高さから他部署のフォローができないという側面もあった。しかし現在は他部署のフォローを通じて、部署ごとの忙しさを均等化させることにより、より一層に高品質なサービスを提供しようとしている。だからこそ一つの部署の繁忙期には他部署が手伝えるような体制が求められている。その変革期の中において、人を大切にする同社だからこそ、まず社員が将来何を実現したいのかをもとに方針を決定しようとしている。そうして全員で共有された方針を旗印として、同社は益々の発展を遂げていくであろう。
一つ一つを正確に
業務で扱っている外国の特許明細書
全社一体となり、新たな展開へ

常に、業界を引っ張るリーダーである

―社長の大切にしている考えを教えてください

私にとって「誠意」という言葉が大切です。誠を尽くすという言い方があります。「幸せ」というのはいつも既に存在しているものではなく、人の幸せのために誠を尽くした接し方をすると、自分も相手も幸せになれる、そういうものだと考えています。だからみんなが誠意をもって人に当たれば、みんなが幸せになれるんです。先日社内のプロジェクトで社長は何を考えているのかと聞かれたことがありまして「社員に幸せになってもらいたい」と伝えました。ただその時は気持ちを全て伝えきれておらず、このように誠を尽くしていきたいという気持ちをしっかりと伝えられていればなあ、まだ言葉が未熟だなあ、と感じましたね。こう考えていますので、会社に関係する人とは誠意で繋がっていきたい、幸せを広げていきたいと考えています。

―冨田社長の入社の経緯を教えてください

2004年頃から日本知的財産翻訳協会という非営利団体の仕事で当時の当社について多少の知識はありました。当社が特許翻訳の一流会社であり、先進的な考えで事業を進めており、その総帥たる浜口さんの高潔な事業家精神に大いに魅力を感じていました。また、当社では社員全員が大きな机とツインディスプレイを使いとても余裕のある職場環境に見えたことからも好印象を持っていました。あるとき、前職の同僚数名と浜口さんを訪問した際、浜口さんが一言目に「日頃ご迷惑をお掛けしていることはありませんか?」と問われ大変驚きました。第一に相手への配慮を示す謙虚な精神に感銘を受けたのです。その後、2006年の暮れに浜口さんより一緒に仕事をしないかと誘われたことから2007年4月に入社することとなりました。

―今後の強化ポイントについて教えてください

人事交流の機械を増やしたいと考えています。私の前の会社では4回ほどあり、そのお蔭で様々なことを会社に教えていただいたと感じています。だからこその考えです。先ほど、当社ではそれぞれの部署が専門職化していると言いました。同じ業務を長年担当していると当然専門職化し互いに他部署の業務に対する理解が不足する状態になります。会社も人も変化を経験することで成長するものと思います。変化から安定へ、安定から変化へ、という流れです。これまでの一定期間は専門職化の流れがありましたが、これから会社がさらに成長するにあたっては人が成長する時期を経なければならないと考えています。各人のそれまでの経験を生かして他部署の業務を経験し業務知識の幅を広げることが各人のそして会社の力となります。

大好きなこの会社を さらに大きくしていきたい

株式会社知財コーポレーション 取締役 清野 安希子

2002年に同社に入社をした清野さん。翻訳コーディネーターとして入社してからは営業本部に12年ほど所属し、今年の4月に異動。現在は取締役、そして経営企画室の室長として多忙な日々を送っている。4月からは会社情報の整理と分析を行い、今まさに中期経営企画を作るために、プロジェクトを立ち上げ、経営理念の見直しを含め、同社の変革を進めているところだ。今は日も浅く手探り状態ではいるが、会社を変えたい、他の会社ではなく将来的にはこの会社の社長になりたい、と同社への愛が強い清野さんに、仕事のやりがい、今後の目標、そして「社員から見た知財コーポレーション」について様々なお話を伺った。

伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い

会社にもらったもので会社に恩返し

前職は教育関係の仕事をしていたが一念発起、転職を選択した。英語が好きで、英語を武器にできる会社を調べていると、たまたま同社を見つけたことがきっかけであった。そして特許翻訳の専門性の高さと個性的な内容に惹かれ応募し、入社。そんな清野さんが、入社してまず感じたのが社員への優しさである。「とにかく待遇が良いと感じました。私が昨年の4月に取得した中小企業診断士の資格も、仕事終わりに学校に通い取得した資格なのですが、学校に通うための時間に融通を効かせていただき、学校に通うための研修費も会社がサポートしてくださいました。時間面、金銭面共にサポートしていただきましたね」と語る清野さん。そして清野さんは現在、経営企画室室長として会社を変えようと奮闘している。同社のサポートによって取得した中小企業診断士の知識を用い、組織開発を行っているのだ。この会社が好きだから、この会社に貢献したいという強い意志を持つ清野さん。社員を大切にする会社は、社員にも大切にされているのだ。

真摯に取り組み、ステップアップしていく

清野さんが仕事をする上で一番やりがいを感じたのは、何年も時間をかけてアプローチをした会社から受注を得ることができた時だ。既に他社に特許翻訳を頼んでいる企業が多く、同社のサービスはなかなかすぐに売れるものではない。ただ何かのタイミングで思い出してもらうために何回も訪問し、何年もかけ覚えていただくのだ。その結果スイッチングしてもらえた時に感じるやりがいは非常に大きなものだと清野さんは語る。また現在任されている経営企画室の室長については「今年就任したものなので、現時点ではやりがいというよりも難しさの方が多いです」と清野さん。現在中期経営計画に取り組んでおり、プロジェクトを立ち上げ、創業者が作った経営理念をもとに現代に合わせた行動指針を模索中だ。試行錯誤を繰り返す毎日であるが、好きな会社をより一層に良い会社へ進化させるべく、今日も清野さんは走り続けている。

知財コーポレーションの社長を目指して

「いつかはこの会社の社長になろうと、日々仕事に取り組んでいます」と清野さんは夢を語る。そして清野さんは単に社長になりたいというわけではない。同社の社長にこそなりたいという強い思いを持っている。その根底にあるのはやはり同社への愛。だからこそ清野さんは将来、社長になった後に同社をいかに発展させていくかの絵を描いている。清野さんが社長になった際に取り組みたいと考えているのが、会社の規模の拡大だ。これは人員規模ではなく売上規模である。「適正規模というのももちろん大事ではありますが、売っているものが本当に良いものだと感じておりますので、それを使う人が増えたらより社会に貢献できると考えております。あと、単純に会社が大きくなった方が持てる夢の幅が広がりますよね。できることが増えますから」と清野さんは語る。同社の社長となり、同社をより多くの夢が実現できる会社へ成長させようと大きな目標を掲げる清野さんの目は非常に力強かった。
風通しの良いオフィス
同社が出版している書籍
世界の知財をつなぐ仕事

清野さんが語る知財コーポレーション

―知財コーポレーションの好きなところを教えてください

一番大きいのは働きやすい会社であるところです。基本的に社員には知的な方が多く、一人ひとりがプロフェッショナルなので社内の雰囲気は穏やかです。なので社内の人という視点で見てもとても働きやすいですね。加えて産休などの休みが取りやすい待遇面での働きやすさもあります。事務的な業務が多いので、特許翻訳の業界全体に言えることですが女性の社員が多いんです。現在当社も社員全体のうち女性が6割程を占めています。なので社内に産休の要望が多いですし、それを気持ち良く認めていただけるので、産休を取った後も戻ってきやすい環境です。色々と手厚いですね。そのような優しい社風であることが、この会社の好きなところです。

―待遇が良い背景をどのようにお考えですか

創業者の思いから人を大切にする社風が根付いたと考えております。物を売っている会社ではないので、社員の状態や知識でサービスの善し悪しが決まります。製造業が機械に設備投資をして品質を維持しているように、社員がサービスを生み出すからこそ社員に投資してくださっていますね。そして社員に困ったことがあれば対応してくださいます。例えば家庭の事情で短時間勤務にしたいという人がいた時に、本来であれば規定に合わせると難しいところですが、すぐに要望通りに対応してくださいます。さらにそれに合わせて規定も変えてくださいます。これからも、私としても大切にしていきたい社風です。

―会社のより良くしていきたいところはどこですか

より一層に組織を活性化させていきたいです。そのために現在では当社のクレドを作成するプロジェクトを発足させました。世の中も当社もどんどん変化していく中で、今一度経営理念を見直し、当社が大切にしてきた思いや考えを現代の言葉に合わせた行動指針にすることで、当社の社員一人ひとりが共通の認識をもって業務に取り組み、組織が一丸となって未来に向かっていきたいと考えたからです。そして、クレドが完成し、全社に配る際に社内の士気をより一層にあげるためにも今の取り組みをもっと社内に浸透させていきたいですね。個人の能力は高いと思っているので、その個人の能力の高さを生かしながら組織として仕事をすれば会社としてさらに大きな力を発揮できると考えております。

監修企業からのコメント

株式会社知財コーポレーションは特許翻訳業界の先駆けとして創業し、業界を牽引し続けている歴史のある会社です。今回冨田社長と清野様にお話をお伺いする中で、一番強く感じたのは「社員への愛」でした。社員と向き合い、一人ひとりを大切にする姿勢が同社の社風、そして実績に繋がっています。知財コーポレーションが今後どのような進化を遂げていくのか、とても楽しみにしています!

掲載企業からのコメント

取材をしていただきましてありがとうございました。私たちが大切にしていることやこれまでの歴史を振り返るいい機会になりました。現在私たちは今までのやり方をさらに進化させ、新たな成長を遂げようとしています。この意志を社内の共通認識にしていきたいです。

株式会社知財コーポレーション
1976年12月 各国語翻訳業を主業務とする株式会社ビジネスアソシエーツを
          東京都千代田区2番町1番地に設立
1977年 1月 複数の特許事務所、翻訳会社から特許翻訳受注開始
1980年 4月 国内大手企業知財部から受注開始
1990年 1月 英国子会社テクトランスをロンドンに設立
1991年12月 社名を「株式会社知財翻訳研究所」に変更
1992年 7月 業容拡大により本社を東京都新宿区に移転
1992年11月 第1回特許翻訳講座開催
1993年 4月 海外大手企業知財部から受注開始
1994年 7月 業容拡大に伴い本社を東京都新宿区新宿1丁目に移転。
          技術分野別社内翻訳態勢(電気・電子工学翻訳業務部、
          機械工学翻訳業務部、化学・生化学翻訳業務部)確立
1995年12月 第1回知財フォーラム「改正米国特許制度下における新しい
          特許戦略のあり方と効果的な翻訳・鑑定方法」開催
          於:赤坂東急ホテル 講師:米国特許弁護士 服部健一氏
1996年11月 「特許翻訳者の会」設立
          機関誌「パテント・トランスレーターズ」創刊号発刊
1997年 2月 初の出版物としてアービング・ケイトン著
          「パテント・プラクティス」日本語版刊行
1997年12月 社内OJTシステム「翻訳インターン」制度発足
1998年12月 書籍:「CAFC年報ーCAFC Yearbook」刊行
          共著:米国特許弁護士 服部健一、Alex Chartove
2001年 1月 英国支社を現地法人「Chizai Europe」に改組
          書籍:「米国ビジネスメソッド特許英文明細書の研究」を
          編著(発行ダイヤモンド社)
2001年12月 教育・情報提供部門「知財アカデミー」発足
2003年 6月 米国支社をニューヨークに開設
2004年 1月 中国事業専門部署「中国室」設置
2004年 7月 NPO法人日本知的財産翻訳協会(NIPTA)事務局受託
          海外出願図面内製化開始
2004年 9月 NIPTAと共同でODA平成16年度先導的貿易投資環境整備実証
          事業
2005年 1月 「日中知的財産翻訳者育成事業」を中国北京で実施
2005年 1月 事業強化のために社内機構改革し「知財翻訳センター」、
          「知財システムセンター」、「知財事務センター」、
          「営業本部」ならびに「企画調整室」を設置
2005年 7月 「特許翻訳者の会」をNIPTAに移管
2006年 2月 中国に現地法人【知財信息諮詢(上海)有限公司】を設立
2006年 3月 海外出願事務代行事業開始
2006年 7月 米国支社をボストン(MA)に移転
2006年 9月 海外出願事務グループ設置
2007年 3月 当社他編著書籍:「日中韓英知的財産用語辞書」を
          日刊工業新聞社より発売
2007年 4月 品質管理・教育センターを設置
2008年 4月 ISO9001認証取得に向けて活動開始
2008年 6月 専務取締役を置き役員体制を強化
2009年 4月 品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001:2000」の認証取得
2010年11月 業務拡大のためオフィス移転
2012年 3月 中国に共同出資会社【雅訳諮詢(大連)有限公司】を設立
2013年 6月 社名を「株式会社知財コーポレーション」に変更
創業年(設立年) 1976年(1976年)
事業内容 特許翻訳を始めとする知的財産関連の翻訳
所在地 〒160‐0023 東京都新宿区西新宿6‐10‐1 日土地西新宿ビル7F
資本金 1,000万円
従業員数 86名
会社URL

株式会社知財コーポレーション