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株式会社インフォマージュ

どんな難しい仕事にも、遊び心があっていい。そう思っている。

株式会社インフォマージュ 代表取締役社長 井上雅晶

株式会社インフォマージュ 代表取締役社長 井上雅晶
国の重要文化財など、歴史的資料を後世へ残していく仕事を請け負う企業がある。取材させていただいたインフォマージュこそがその一社。過去の重要資料を後世に残していく事業を95年という長きに渡って続けてきている。代表の井上氏は7年前に同社へ入社し、先代である父親から2年前に会社を受け継いだ。入社当時から同社の改革を進め、社員の平均年齢を約15歳引き下げる若返りなど、大手企業での就業経験とインフォマージュでの現場経験を元に描いてきたビジョンを次々に実現させてきた手腕には、目を見張るものがある。本取材では、これからのさらなる変化や発展の構想を中心に、井上氏の考えを幅広く伺った中より、特に筆者が読者に伝えたいと思った個所を抜き出し、まとめさせてもらった。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

マジメなだけじゃつまらない。

インフォマージュで働いている人たちは、どんな人が多いのですか? この質問に対する返答は、即答で「マジメ」であった。歴史的な書物などを扱い、非常にハイレベルなクオリティ(丁寧さと慎重さ)を求められる同社にとって、真面目さは大切なことであろうが、井上氏から続けられた言葉は「マジメすぎちゃって、つまらない」である。この会社の社長は社風改革に精力的だ。「遊びだよ、遊び」。時に、社長室から出て現場へ。社員の近くにいって笑いを取る。その和やかなひと時は、その後の集中力を高めるだけでなく、場の雰囲気を明るいものに変えていく。息が詰まると生産性が悪くなる。場の雰囲気が暗いと人間関係が悪くなる。「まじめ」が悪ではない。まじめすぎるのはあまりよろしくないということらしい。遊びと言いながらも続けてきた社長の現場訪問により、「マジメ一徹」だった現場に柔らかな雰囲気が生まれてきたという。どうやら根気強く遊び続けた行動は実を結んでいるようである。これからも「遊び」続け、遊びの輪を社内に広げていく予定とのこと。1年~2年したら再訪させてもらおう。どんな雰囲気の会社になっているのか・・・いまから楽しみである。

丁寧さと慎重さの日本一。そう胸を張っていいと思っている。

普通に触ると崩れてしまうような資料。一度、解いたら元に戻すのが困難な巻物。徹底された丁寧さと慎重さを持ち合わせていることが、選ばれる所以であり、独自性にまで昇華されている。扱うのは、何百年も昔の資料。触れることさえ困難な状態の物もある。そんな資料の全ページを写真に収め、データ化し、預かった時の状態に戻すことは、誰にでもできる簡単なものではない。例えば、古い巻物の紐をほどき、巻物を広げる。作業が終われば、広げた巻物を丸める。この際、求められるのは左右の端をミリ単位のズレもなく戻さなければ許されないということ。該当する資料の扱い方を座学で勉強するだけでも3日かかるそうで、独り立ちできるまでには、少なくとも3年はかかる。これほどの期間をかけてハイレベルの技術を習得することで、資料の扱いの質を担保している。今では日本のどこかで新たに歴史的書物や巻物などの資料が見つかると、様々な機関や団体が同社を紹介してくれるとのこと。同社は、日本の歴史を残すために、必要な存在であり、その信頼を得ている根底には、どこよりも資料大切に扱う「丁寧さ」がある。

夢を叶える土壌になりたい。

社長が社員に言い続けていることがある。それは「人生で一つ夢を叶えなさい」そのために「夢を叶えるための目標を立てなさい」。ここ3年間は、特にこの言葉を多用し伝えているとのこと。この夢を叶えて欲しいという気持ちは、社長になるまで、そして社長になった時の人生経験から湧き出てきた想いである。 その夢の実現という感覚を社員にも味わって欲しい。そう考えるからこそ、想いも大きくなり、今では3か年計画の中に「自己実現(成長)ができるプロフェショナルな社員」として明文化されるほど、会社のオフィシャルな方針になっている。「仕事はあくまでも生活のため。会社の業績を良くするために働くよりも、自分の夢を叶えるために働いて欲しい」。そう語っている時の真剣な表情がとても印象的だった。スタッフそれぞれの夢を叶えるプラットフォームになる。それが、展望であり経営指針であると感じ取れた。
その確かな技術で歴史を残す
その確かな技術で歴史を残す
多くの案件を行うの設備も万全
多くの案件を行うの設備も万全
立体のデジタル撮影技術も有す
立体のデジタル撮影技術も有す

たとえ、残業時間を削減してでも、夢を考える時間を増やしたい。

-10年後の貴社はどうなっていますか。

理想は、今の事業から派生した事業に加えて、全く新しい新規事業を手掛け、倍の規模の会社にしていくことですね。この業界は、大きな成長を望むことはできません。しかしながら、丁寧さと慎重さという品質により更なるシェアの向上が実現できると思います。今の事業で安定した収益を上げ、それを資本に新規事業を展開していきたいと思っています。私が入社してすぐにイメージし作り上げてきたのが今の会社の状態ですが、これからはある種、未知の領域です。改善から進化のステージに入るところですからね。これからどういう事業をつくりあげていくのか自分でも楽しみです。

-社員が夢を叶えるために会社として行っていることは何ですか。

意識して取り組んできたことは、社員にプライベートの時間を増やすことですね。この3年で残業を60%カットして「夢を叶えるためのアフター5」を促進しています。また、資格手当の制度を変えて色んなことに挑戦できる環境にしようとしています。将来は直接会社のためにならない資格でも手当の対象にすることで、自由度を高めたいですね。もし社員が自分の夢の実現のために事業を起こしたいと言ったらそれをサポートすることもありえます。たとえ弊社とは全く違う業態でも良いんです。それだけ社員の夢を応援する姿勢が弊社にはあります。でも、会社のために働こうとしてくれる良い社員が多いことが、ある意味課題なのかもしれませんね(笑)。

-入社を希望する人に伝えたいことは何ですか。

会社は自分たちで創って行きなさいということですね。入社前に仕事について知っておいて欲しいことは特にありませんが、弊社は社員が自分たちで作り上げてきている会社ですので、弊社に入る以上は他人にしてもらうのではなく、自分たちで自分たちの働きやすい環境を創っていきなさいということは伝えています。普段の仕事も、言われたからやるというのはNG。自分でやりたいと言って仕事をしていく姿勢が大事ですね。また、会社に入った後のことにはなりますが、個人の夢の実現のために会社を辞めることになった場合でも、胸を張ってその理由を言えるようになってほしいです。入る人にも辞める人にも、自分で環境・仕事をつくっていくという姿勢が大事だということを伝えたいですね。
株式会社インフォマージュ 生産部 制作グループ グループ長 羽生田智貴

私達にしか残せない 歴史がある

株式会社インフォマージュ 生産部 制作グループ グループ長 羽生田智貴

羽生田さんは入社5年目の社員。第一印象は物腰が柔らかで、非常に優しい方だった。しかし、その柔らかそうな印象とは裏腹に、胸の内には『当社が歴史を残さねば』という仕事に対する確固たる信念がある。現在は生産部制作グループに所属し、書類の電子化して画像にする『ドキュメントスキャン』に従事している。また、社内のシステム構築まで手掛け、社内業務の効率化にも貢献する。羽生田さんは情報、歴史を後世に残すというインフォマージュの仕事に対して日々使命感と誇りが高まっている。インフォマージュにしか出来ない価値をどんどんお客様に提供し、今まで以上に様々な領域の技術を身に付け、インフォマージュの進化に尽力したいと語る羽生田さんの目は静かに燃えていた。

伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い

伝統とそれに甘んじない進化への意欲。

羽生田さんがこの業界に興味を持ったのは大学時代の経験が背景にある。羽生田さんは、大学時代から文書保存などの効率化や、情報を引き出す際の利便性の追求に興味を持ち、画像処理や保存についての研究をしていた。そして、大学で学んだ知識や経験を仕事で生かしたいと考え、文書情報マネジメントの道を探す。そんな中で何故インフォマージュを選んだのか。それは同社の飽くなき向上心にあると言う。 インフォマージュは創業から90年以上の歴史があり、顧客からの信頼も厚い。しかし同社は、それに甘んじることなく、常に時代の先端の技術の取り入れを意識し、業域を拡大してきた。マイクロ撮影などの画像処理だけでなく、IT化も積極的に進める。入社して5年目になった今も、羽生田さんは入社当時感じた感情は変わっていないという。『3Dプリンターなど最新の技術の向上も積極的に進めたりと、積極的な進化と時代に合わせる姿勢への印象は今も変わっていません。私も進化に対して貪欲でありたいです』と羽生田さんは熱く語る。

自分の提案で社に貢献できる喜び自分の提案で社に貢献できる喜び。

若手として、社に新しいものを生み、貢献をしたいと考えを巡らす羽生田さん。羽生田さんは自分から業務効率化などの提案をし、受け入れられた時に非常にやりがいを感じる。一例として、中綴じ書籍の電子化がある。中綴じとは開いた状態の紙を重ね、中央に沿ってホッチキスなどで留めるものだ。これを電子化する場合、ホッチキスを外さず一ページずつ電子化していた。しかし、羽生田さんは『もっと効率化して、社の負担を減らしたい』と模索をした。そこで、ホッチキスを外して紙を開いた状態で先に保存し、後から真ん中で分割し、自動的にページ順に並び替えるというシステムの開発を提案。例えば、従来ならば16枚スキャンする必要があるもの場合、羽生田さんのシステムなら、8枚のスキャンで済むので効率は倍になり、人為的な工程が減るためミスが減る。この提案は会社から認められ、社員からも感謝の声が上がっている。『自分の提案が受け入れられて、社員の負担が減ることが非常に嬉しいですね』羽生田さんはインフォマージュのために、日々進み続ける。

より技術を磨き、より多くの業務をこなし、より高みへ。

羽生田さんの夢は2つ。1つ目は、情報マネジメントのプロとなること。長年蓄積してきた同社のノウハウを自分のものにし、今以上に多岐にわたる業務にも携わりたいという。『マイクロフィルムの作成やマイクロ撮影、デジタル撮影などの技術も磨き、より高みを目指します』と羽生田さんは意気込む。 2つ目は、今までに無いソリューションの開発だ。『ただ納品するだけでなく、納品後のお客様へのソリューションも提案したいですね』と羽生田さん。例えば、同社が顧客に納品した後、顧客先でも状況によっては情報を再度調整する作業や、それに伴うシステムの導入の必要性が出てくる。納品後、顧客自身で問題を解決できるようにする提案を行うことで、顧客の仕事を効率化したいと羽生田さんは考えているのだ。『納品後のソリューションまで提案出来れば、お客様は当社に頼らなくても仕事が出来ますし、この提案によって一層お客様の信頼を得られると考えています』自身を高みに、そしてお客様にとっての最高とは何かを常に考えながら、羽生田さんは明日への一歩を踏み出す。
企業の報告書や計算書も扱う
企業の報告書や計算書も扱う
情報の検索システムも構築
情報の検索システムも構築
勉強会も開き、日々研鑽
勉強会も開き、日々研鑽

歴史を重んじながらも、時代に柔軟に対応したい

-仕事をする上で心掛けていることは何ですか?

日々の業務の記録をしっかりと残すことですね。今は一緒に働く派遣社員の管理・マネジメントもやらせていただいています。通常業務もある中で、派遣社員の状況も把握しなければならないので、必ず各自の業務実績や仕事の進捗をしっかりと記録に残すようにしています。記録を残すことで、次回以降の仕事のコミュニケーションも円滑になりますし、派遣社員一人ひとりの強みや弱みを知ることが出来ます。『ここの記録速度を上げよう』『この業務に無駄があるから省いていこう』など記録をもとにしてアドバイスをすれば、お互い納得の行く仕事の進め方が出来ますし、各自の個性を生かせるので、効率化も進みます。これからも記録を大事にしながら、より管理能力を洗練させて成長していきたいですね。

―羽生田さんが感じるインフォマージュの社風を教えてください。

風通しが非常に良いと感じています。年上年下の垣根も無いですし、日々の業務で分からないことがあっても直ぐに先輩に聞ける雰囲気があります。それが意思疎通の速さに繋がり、お客様への素早い対応へと直結していると思いますね。この雰囲気があるのは、社内勉強会による情報共有や知識の共有、また業務外でも、社員全員で行うイベントがあるお陰だと思いますね。現在社員は100名ほどいるのですが、普段なかなか関わらない部の方ともコミュニケーションが取れますから。こういった機会を会社が作ってくれるので、風通しが良くなり、非常に円滑なコミュニケーションができていると感じますね。

―インフォマージュをどのような会社にしていきたいですか?

よりIT化、効率化を進めていき、どんなお客様からの依頼が来ても、今まで以上にスピード感をもって対応できる会社にしたいですね。当社の業界の企業はあまり多いとは言えません。ですが、だからこそ当社は今まで以上に無駄を省き、技術に磨きをかけ、どんな要望にも直ぐにお応えできる企業でありたいのです。そのために生産部として業務の中でシステムやツールを作成して業務効率を上げていますが、いずれは社内全体の業務に関わるようなシステム開発を行いたいです。社全体の工数の削減や、効率化をより図って一つでも多くの案件を請け負い、ひとりでも多くのお客様のニーズを満たしたいのです。歴史ある当社だからこそ、スピード感をもって、業界の先陣を走り続けることができる会社にしたいです。

監修企業からのコメント

私自身、大学時代に西洋史を学んでいたので、卒業論文を書く時には当時の資料や古い文献は何度も活用しました。中には本当にボロボロの物もあり、このままではこの文献は無くなってしまうのではないかと考えたこともあります。それだけに今回インフォマージュ様の歴史や事業に掛ける想いをお聞きして、非常に社会貢献性の高い事業をされていらっしゃると感じましたし、高い使命感のもと事業をしていらっしゃると感じました。先人達が残してくれた知識、当時の人々の息使いを後世残すため、これからもインフォマージュ様には走り続けて欲しいです。

掲載企業からのコメント

当社の様な業域の企業は数少ないと思いますが、それゆえに私どもが無くなっては、残されるべき情報、歴史が消えてしまいます。歴史、情報とはその時代の人達が生きた証。それを後世に残すという使命の下、当社は発展を続けます。

株式会社インフォマージュ 代表取締役社長 井上雅晶
株式会社インフォマージュ
1923年 創業、東京本郷に創業者高橋哲二郎の個人経営で開業
1945年 戦後、内務省写真部廃止により、
       設備一切の払い下げを受け神田水道橋にて業務再開
1947年 株式会社へ改組、社名を『株式会社高橋写真製作所』に変更
1957年 日本原子力研究所のマイクロ写真関係ほか
       写真全般の請負製作を受注同研究所東海研究所内に
      「東海出張所」を設置し作業開始、現在に至る
1965年 社名を『株式会社高橋写真』に変更
1985年 社名を『高橋情報システム株式会社』に変更
1994年 本社および営業部を東京都目黒区中目黒に移転
1995年 マイクロフィルムスキャナー設備導入、
       デジタル変換の受託サービス開始
2003年 資本金を2593万2千円に増資。井上信男 代表取締役就任
2004年 茨城マイクロレコーディング株式会社と合併。「東海ラボ」設立
2005年 社名を『株式会社インフォマージュ』に変更。
      「高円寺ラボ」を「MGセンター」へ、
      「東海ラボ」を「東海センター」へ改称
2008年 本社・MGセンター・DMSセンターを東京都中央区勝どきに移転統合
2016年 井上雅晶 代表取締役に就任
      東海センターの拡張とリニューアル
創業年(設立年) 1923年(1947年)
事業内容 企業情報、公文書などの管理及び電子化作業、マイクロフィルム関連業務、BPO作業など
所在地 東京都中央区勝どき2-18-1 黎明スカイレジテル 3F
資本金 2593万円
従業員数 約100名
会社URL

株式会社インフォマージュ