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富士興業株式会社

社員のモチベーションを 必ず下げない環境づくり

富士興業株式会社 代表取締役社長 宮原 克文

今回、取材させていただいたのは、神奈川県横浜市にある富士興業株式会社である。同社は、軟質ガスケットの製造・加工や四フッ化エチレン樹脂であるPTFE素材(ポリテトラフルオロエチレン)の製造・加工などを行っている。同社の売り上げの70パーセントを占める軟質ガスケットは、ゴムを含んだ特殊な素材であり、主に工業向けに使用されている。石油化学プラントなどの配管の繋ぎ目に用いられており、配管に流れる物質の漏れを防ぐ役割を果たしている。私達が生活する中で欠かせないエネルギー分野において、縁の下の力持ちとして日本を支える富士興業。今回は同社の社長である宮原社長に、お話を伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

働きやすい環境を整えることが、社員の成長を育てる

宮原社長は、同社の社風を「何でも意見が言える風通しが良い環境」と語る。風通しを良くするために、宮原社長は社員に自主性を持たせて、個々の成長を促している。例えば、社員が気づかない点や自らが営業をした時に感じたことを、朝に行われるミーティングで共有している。ポイントを押さえて的確にアドバイスすることで、社員の成長をサポートしている。風通しの良い環境づくりをしている同社は、毎年社内イベントを行うのはもちろんのこと定期的に本社と栃木工場とで合同忘年会を行い、社員のコミュニケーションづくりを行っている。それに加えて、社員自らボーリング大会などのイベントを開催しており、同社の風通しの良さは社員の自主的からもつくられていることがわかる。同社は社員にとって働きやすい環境を整えており、活力がみなぎる会社である。

ただ納期を守るのではなく、迅速かつ正確に

「『納期に間に合わせる』ではなく、『頼まれたら迅速に』提供するを徹底しています」と宮原社長は同社の独自性を語った。製造業において製品の納期を守ることは極めて重要であり、逆に納期を守らなければ会社としての信頼を失ってしまう。同社は納期を守ることは前提としており、それに加えてお客様が望んでいる日時よりも早く納品することを心掛けている。同社は経営理念に、「お客様」・「社員」・「地域社会」の3つに対して責任を持つことを掲げている。その中のお客様に対しての責任には、「常にお客様の立場になって、お客様に喜ばれる仕事をしなければいけない」と記されている。この経営理念が社員に浸透していることもあり、お客様が欲しいと思った時にすぐに納品できる同社の対応力は、全国にあるガスケットを製造している企業でトップクラスである。「私達が作っている製品はなくてはならないもの。だから欲しい時にすぐにお持ちする」と宮原社長が語るように、同社は必要不可欠な製品を製造している責任を常に持って、お客様の期待に応え続けている。

会社のファンを増やしていく

同社の展望を「富士興業のファンを増やしていきたい」と宮原社長は語る。現在行っている軟質ガスケット事業や、PTFE素材の加工事業などの既存事業をさらに伸ばしていくことが狙いだ。同社が製造している製品は、配管の機密性の保持や耐久性を上げる効果のあるものである。需要が無くなる製品ではないが、裏を返すと急激に需要が増える製品でもない。だからこそ、お客様と密接なコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていくことが、一番の同社のファン増加に繋がる。「見積もりまでのスピードや電話、受付でのお客様応対など一つ一つの細かなことが重要」と宮原社長が語るように、会社として細部まで徹底して行うことで、お客様の喜ぶ姿をつくっている。常にお客様のニーズに応え、おもてなしという付加価値がある同社なら、これからもファンが増え続けるであろう。
耐熱性に優れる膨張黒鉛ガスケット
合同忘年会での集合写真
ISO認証を受けている栃木工場

どのような気持ちで仕事をするのかが大切

経営を行う上で、大切にしている考え方を教えてください

社員が良い気分で働いているかを常に考えています。そのために社員の心を整えることが必要であり、加えて会社の環境を整えなければいけないと思っています。なぜなら、一般的には家にいる時間より会社にいる時間の方が長いと言われてますから、会社の環境が良くなければその人の人生にも良い影響を与えることができます。環境を整えることで社員の団結力も深まり、一丸となって会社が進むことができます。心、環境を整えることで、社員が気持ち良く働くことができます。要するに、良い心持ちで働くことができると、質の高い製品を作ることができ、それがお客様に喜ばれる製品と繋がります。この循環になるように、社員が気持ち良く働くことができているのか逐一チェックしています。

社員が良い気分で働けるように行っている具体的な取り組みは何ですか

年に3回、社員全員と面談をしています。一般的に、社長との面談は評価に関する面談だと思われる方が多いかもしれません。しかし、この面談はただの評価面談ではなく個人目標を自分発信で設定する機会を設けて、社員自身の成長を促しているものです。自分で決めた目標には嘘はつけませんから、まず達成しようと思いますよね。これをきっかけに1年経ったら「こんなに変わったんだ」と思ってもらえたら嬉しいですね。更に、社員の会社や仕事に対する悩みを聞いて解決することを行っています。私に直接言う悩みですから、かなり深刻な悩みだと思います。それを迅速に対応することで、より信頼関係が深まります。ですから、社員全員との面談はこれからも続けていきたいです。

富士興業で働きたい方々にメッセージをお願いします

上辺だけではなく、心が綺麗でお客様のために頑張っていきたい、働きたいと思っている人を採用したいと思っています。自分がどのように生きたいのか考えを持っていることが大切ですね。今就いている仕事が本当に好きだと思いながら働いている、そうであればそれが自分にとっての天職だと思います。人は天職に出会えたら仕事もうまくいき、幸福でいることができますね。これも循環で、幸福でいれば良いことがあり、その縁で良い人と出会うことができます。もし、ご縁があって弊社に勤めていただけるのであれば、良い気持ちで仕事をしていただきたいですね。このメッセージを心から感じられた人がいましたら、是非一緒にお話ししてみませんか。

お客様に感謝してもらえる ような仕事をしていく

富士興業株式会社 横浜工場 営業部 主任 齋田 裕平

富士興業は、横浜の本社工場と栃木工場の2拠点に工場を有している。今回、お話を伺ったのは横浜工場に勤務している齋田さんだ。齋田さんは入社8年目の社員であり、現在は営業部に所属している。同社の営業は新規開拓を主に行うのではなく、既存のお客様に対する発注の見積もり作成や納期調整、問い合わせ対応が主な業務内容である。既存のお客様との取引が多い分、信頼関係を築くことがより大切であり、そのためにも取引をしている会社への定期的な訪問は欠かしていない。また、同社の営業は製造を体験する期間を設けているので、お客様の急な製品トラブルも自ら製品を作り対応できる。このように、多くの業務内容を行っている齋田さんに自身のやりがいや夢をお聞きした。

伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い

ものづくりを体験できる環境に惹かれて

齋田さんは、就職活動を行っている中で営業職に興味を持ち、営業職を募集している企業を探していた。様々な企業の求人を見ている中で、同社の案内が印象に残った。なぜなら、製造現場を実際に体験してから営業職に就くことできる環境であったからである。「まずは製品を知るというところからのスタートは良い機会と感じた」と齋田さんは当時の思いを振り返る。大学では機械や工学などを専攻しておらず、同社の製品に関する知識はなかった。しかし、日頃目にする機会がない工業製品に対してどのように使われているのか興味があった。企業を探している中で、まず製造現場を体験してものづくりを実際に行ってから、営業ができる同社に魅力を感じた。また、選考途中から社員や会社の雰囲気の良さを感じており、入社を決意することとなった。入社後も雰囲気の良い同社で、生き生きと働いている。製造過程を体験しているからこそわかる説得力を持ちながら、齋田さんは営業を行っている。

お客様から信頼されている証

自身の仕事に対するやりがいを「実際に自分で製品を作って、自分で販売できること」と語る。製造業の営業職の場合、一般的に会社の製品を売ることが主な業務と言える。しかし、同社の営業職は製造過程から携わることができる環境にある。製品を一から作ることができるため「我が子のように感じ、愛着が湧く」と齋田さんは語っている。自ら手塩にかけた製品が売れれば、強い印象として記憶に残るであろう。また、「お客様から感謝の言葉をいただけること」も齋田さんのやりがいの一つである。製造の現場において、お客様の対応はいつ起こるかわからない場合もある。ただ、そこで何とか納期に間に合わせることで、お客様からの信頼も厚くなり、感謝の言葉をいただけるのみならず、「次もあなたにお願いする」などの言葉もいただける。時にはお客様からお礼の差し入れをいただくことあるそうだ。これはお客様の喜ぶようなサービスができているから、実現できているのであろう。

憧れの工場長のようになる

「現工場長のように全体を見れるようになりたい」と齋田さんは夢を語った。現在工場長を務める先輩社員は全体を見る広い視野を持っており、部下からの信頼が厚い。現工場長が当時主任を務めていた際に、齋田さんは初めて出会ったが、当時から仕事をテキパキとこなしていたという。そのように周りを見渡すことができる現工場長は、憧れの存在となった。この姿に近づくために「1つの部門をマスターしたり、業務の幅を増やしたい」と齋田さんは語る。PTFE素材部門の検査の習得で知識を増やす試みを、社長と面談する際に設定する個人目標に掲げて自身のスキルアップを図っている。今行っている仕事のみならず新たな業務にもチャレンジして、様々な事に対応しようと考えている。また、業務の幅を広げるために品質保証の業務も行っている。決して簡単なことではないが、主体的に仕事を行い会社に貢献している齋田さんなら、必ず実現できるだろう。
柔軟性があるPTFEジャケット形
本社工場での作業の様子
近くに鬼怒川が流れている栃木事務所

お客様との信頼関係を大切にしていく

宮原社長はどのような方ですか

社員一人ひとりを大切にしている方だと思います。社内の雰囲気を良くしていこうとしていますね。社長と行う面談も、仕事をする上で悩んでいることはないか聞いていただいたり、今後のアドバイスをしてくださります。その際に仕事の話のみならず、プライベートの話まで聞いてくださるので、緊張して固くなることなく面談ができますね。少し悩んでいる事があっても、気軽に相談ができ悩みを解消してもらえたり、アドバイスを頂ける環境を社長が作っているので、「次はこのようにしてみよう」とか「変えてみよう」という気になりますね。社長が社員一人ひとりを大切にしているからこそ、社員から信頼されているのだと思います。

仕事をする上で大切にしていることは何ですか

お客様との信頼関係を大切にしています。お客様とのコミュニケーション手段は、電話でのやり取りが基本なので、なるべくお会いできる時は直接訪問するようにしています。やはり、自身の熱意や製品に対する思いなどの気持ちの面は、直接会って初めて伝わると思います。ですから、社長にアドバイスをいただきながら自分が担当させていただいているお客様のところには、最低でも1年に1回足を運ぶように心掛けています。また、緊急の対応でも決められた納期を守り、お客様の期待に応えることは大切ですね。信頼が得られるだけではなく次の仕事も、任せてもらえるようになると思います。信頼関係があるからこそ、お取引ができていることを忘れず仕事をしています。

富士興業の魅力を教えてください

風通しが良くどんな人であっても受け入れてくれる、働きやすい環境だと思います。実際に私も文系出身で何も知識がない状態で入社しましたが、先輩からアドバイスを頂いたり、製造現場を体験できる環境であったこともあり、専門的な知識を吸収することができました。風通しが良いので、こちらから上司に相談がしやすく、社長とも話す機会があるので悩みもすぐに解消できますね。ですから社員同士の仲も良く、コミュニケーションを取る環境も備わっています。また、会社が製造している製品が福島の被災地でも使われており、陰ながら復興のサポートができていることも、社会になくてはならないものを作っていることを実感する瞬間であり、魅力に感じています。

監修企業からのコメント

今回のご取材で、宮原社長が全社員に対して年に3回行う面談など社員が「いい気分で働ける」環境作りを行っているからこそ、風通しの良い和やかな雰囲気な会社であると感じました。創業70年に向けて、常にお客様へのニーズに応え、心から感じることができる貴社の更なる発展に目が離せません!

掲載企業からのコメント

取材をしていただき、ありがとうございました。取材を受けるのも一つの縁だと思います。このような一つ一つの縁を大切にしてきたからこそ、弊社もここまで事業ができていると思います。これからもこのような縁を大切にすると共に、いい気分で、いい仕事をして、いい製品をお客様に提供できるように精進して参ります。

富士興業株式会社
1952年 日本アスベスト(株)(現ニチアス(株))の下請として
        ジョイントシートガスケット加工、
        クッションガスケット加工開始
1989年 栃木工場 稼働開始
        PTFE 製造開始
2005年 栃木工場 ISO9001認証取得
創業年(設立年) 1952年
事業内容 軟質ガスケットの加工、PTFE素材パイプ・ロッドの製造
所在地 神奈川県横浜市神奈川区松見町4-1000
資本金 2,000万円
従業員数 70名
会社URL

富士興業株式会社