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三陽工業株式会社

三陽工業株式会社 代表取締役 井上直之

三陽工業株式会社。何かに捉われず、常に変化を求め、成長してきた企業である。約40年前、兵庫県明石市において製造業をスタートさせた同社。現在は、自社独自のHR事業を中心に多角的に事業を展開している。同社のHR事業では、世の製造業にプロフェッショナルを派遣しており、そのスタッフは全て、同社の正社員として雇用。現在は1000名を超える規模に成長した。また、事業承継等に悩みを持つ企業へM&Aを行うなど、精力的な活動を行っている。今回は、父親から会社を引き継ぎ、同社を牽引してきた井上社長に、同氏が感じている三陽工業についてと、思い描く会社の未来について詳しく伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

従業員を第一に考えるからこそ、つくられた社風

「『楽しい』、『面白い』という雰囲気をつくるようにしている」。井上社長は、三陽工業の社風をこのように語った。リーマンショックが大きな転機となり、その後あらゆることに対して試行錯誤を繰り返すことで、この社風の形成に至ったのだそうだ。大手企業から依頼を受け、オートバイ部品の研磨で、売上全体の95%を占めていた三陽工業。しかし、リーマンショックの影響を受け、売上が60%まで落ち込んだ。この状況を打破するべく、もともと取り組んでいた「人材派遣業」を更に強化する取り組みを行った。しかし、業界的に給料のピンハネや土壇場での派遣拒否など、派遣元、派遣先、派遣者の三者間でのトラブルが相次ぎ、状況はあまり芳しくなかった。負のスパイラルを脱出するため、改善を重ねた結果、着目したのが従業員満足を獲得することであった。従業員満足の追及が真の顧客満足を生み出すと考え、社内環境の整備に注力したのだという。取材の中で、井上社長が社員と会話をする場面があったが、とても和気あいあいとしており、印象的であった。社長自らも「楽しい」、「面白い」を体現しており、素晴らしい社風を感じることができた。

思考錯誤の末に生まれた独自性

「派遣社員を正社員として迎え入れること」、これこそが同社の独自性である。一般的に、一時雇用者に分類される登録制の派遣社員が大半を占める中、同社では登録制を採らず、初めから同社の正社員として迎え入れる制度を整備した。世の中の景気によって仕事が左右され、不安定という印象のある派遣社員だが、同制度の導入により、安心して働ける環境づくりを実現。そのイメージを払拭することに成功した。なお、同制度で入社した社員は、同社の生産推進グループに所属し、各派遣先企業の業務に従事している。また、派遣先で多くの時間を過ごす生産推進グループのメンバー。自社のビジョン浸透が難しいのではと考えられるが、同社ではラインワークスを活用し、会社での取り組みや、今後の展望などを発信している。ビジョン浸透はもちろん、会社への帰属意識を高める取り組みの一つであると言える。井上社長は理想を叶えるため、先入観を捨て、ひたむきに努力した。この独自性は、たまたま生まれたものではなく、社員を第一に考え、試行錯誤を重ねた結果、生まれたものである。まさに努力の賜物と言えよう。

日本の製造現場を元気に!

「この先の未来をどう描いているか」との問いかけに、井上社長は「日本の製造現場を元気にするというビジョンを達成したい」と力強く答えた。これは逆説的に言うと製造現場で働く人は元気ではないということだ。「製造現場を元気にする」とは、まずは製造現場で働く同社の社員が元気であり、豊かな人生を送ることから始まる。それにより、一緒に製造現場で働く他社社員も、彼らの明るい雰囲気につられ元気になるのではないかと考えている。その連鎖が続くことで、人材不足などが社会問題となっている製造業全体を活気づけ盛り上げることができると確信している。「日本の製造現場を元気にする」というビジョンを達成するためには、多くの仲間が必要である。同社社員のESを上げるための取り組みをすることで、多くの仲間が自然と集まっている。一つの取り組みとして、派遣というスキームを使用するが同社の正社員として雇用というスタイルがある。よりESを高めるべく目標設定や昇給制度、福利厚生や立候補制度など、普通の派遣会社ではありえない制度も充実させ、実際に雇用者数が年々増加するなど確かな実績がある。そのパイオニアとして、この取り組みを日本のスタンダードにし、日本の主要産業である製造業を盛り上げていきたいと話した。今後の展開に期待がかかる。
定期的に社員と
コミュニケーションを取る
井上社長
表情からも伺える
明るい社風
会社を良くするために
ミーティングを行う様子

三陽工業が大切にしていること

社内交流について教えてください

現場が休みの時、本社からオンラインで社員に繋ぎ、定期的に研修などを行っています。また、弊社では1000人を超える社員が在籍しているため、そのメンバーをまとめるために、主任が100名程度います。主任の皆様とは、月に一度の定例会議を行い、課題を共有して解決しています。そのため、生産推進グループのメンバーは「派遣社員」というより、「出向社員」に近いイメージだと思います。全社員がしっかりと三陽工業の看板を背負って働いてくれていますし、特に主任の皆様は作業を行いながら、仲間を増やす活動も同時並行で行ってくれるため、出向社員の方が言葉としてはしっくりくるかもしれませんね。

社長の経営哲学を教えてください

進化することです。「進化」とは「変化すること」であると考えており、変化するということは恐らく「素直である」ということだと思っています。日本の製造現場を元気にするというビジョンを掲げて活動をしていますが、製造現場も目まぐるしく変化します。その変化に対し、柔軟に対応することが、我々に求められていることだと思います。そのため、あえて弊社では「確固たる信念」をつくっていません。昨日まで成功していたことだとしても、今後を見据え、ガラッと変える勇気が時には必要です。そのため、あえて「確固たる信念」をつくらず「変化すること」を大事にしています。

働いている社員へメッセージをお願いします

日本の製造現場を元気にするということに対して、具体的に見えている人と、そうでない人がいることでしょう。様々な感じ方があると思いますが、現在の仕組みを整え、スタートしてまだ5年。我々は創業から41年が経過しておりますが、気持ちは5年目のベンチャー企業です。また、日本の製造現場を元気にするという取り組みは、全員でつくっていくものです。一人ひとりの成長が会社の成長に直結しますので、みんなで正しい行動を積み重ね、自分自身を豊かにしていってほしいと願っております。

三陽工業の未来を担うキーマン

三陽工業株式会社 ブランド戦略室室長 淵上和彦

同社代表、井上社長の熱い想いに惹かれ、7年前に入社した淵上和彦氏。現在、ブランド戦略室の室長として、井上社長が社内で最も重要なファクターだと語る、採用および広報部門のリーダーを担い、同社の心臓となる部分をまとめている。入社当時は、営業を担当した同氏。その後、主任、所長代理、支店長、部長代理、室長とキャリアを着実に積み上げ、確かな実力を身につけてきた。今回は、同社で躍進を続ける淵上室長に、どのような想いで働いているのか、そして今後何を目指しているのかについて詳しく伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

井上社長の熱い想いに惹かれ、入社を決意

井上社長の熱い想いに触れ、「自分もその想いを実現する仲間に加わりたい」と強く感じ、入社を決意したという淵上室長。仕事に対して、やりがいを追及する同氏にとって、運命的な出会いだったことに違いない。もともと派遣会社で営業を行っていたが、リーマンショックを経験し、紆余曲折を経て、前職を退職したそうだ。退職後は知り合いのツテにより歩合制で働いていたが、あまりやりがいを感じることができず、ただお金を稼ぎ、衣食住に困らない、そんな日常を送っていたという。そんなある日、共通の知り合いを通じて井上社長と再会。お酒を交え、気が付けば5時間近く語り合っていた。その中で聞くことのできた井上社長の考え。感銘を受けた。「この会社で働きたい」と強く思ったのだという。そろそろお開きとなる時間。井上社長から一言、「一緒に働かないか?」と。「はい!お願いします!」と二つ返事で即答したそうだ。やりがいを感じ、メキメキと力をつけてきた淵上室長。現在は、ブランド戦略室室長として会社の重役を担っており、今後の同社に欠かすことのできない人物である。

手を挙げれば任せられる。それが淵上室長のやりがい

7年前に入社し、確かな実力を身につけてきた淵上室長。やりがいについてこう語った。「業務において自ら立候補し、手を挙げれば任せていただけることです」。なぜこれをやりがいに感じるのか。それには理由があった。同氏は一辺倒な業務ではなく変化を好むためである。井上社長から、社内の根幹をなす重要な任務を一任されることも少なくないという同氏。井上社長も淵上室長のこれまで積み上げてきた実績と、会社の成長のために、任せることで成長を期待する部分はあるのであろう。淵上室長はこう話した。「任せてもらう以上、結果を出さなければならないですし、責任もあります」。同社がここまで成長できた要因が垣間見えた瞬間であった。それと同時に、まだまだ成長を止めることのない同社には、積極的に意見を言う淵上室長の存在が必要不可欠であることは間違いないと確信できた。

井上社長のビジョンの実現に貢献し、部下も成長させる

井上社長が見据えるビジョンや目標に対して、力になることが目標であるという同氏。終始笑顔で取材に応じていたが、この話をする際は真剣な眼差しで、自身の想いを巡らすようにお答えいただいたことが非常に印象的だった。淵上室長は井上社長から誘いを受けたことで入社に至っている。「くすぶっている時に拾ってもらい、とても感謝している」と感謝の念を口にしていた。人から受けた恩を忘れず、仁義を貫き通すという同氏の男気を感じることができた。現在、淵上室長には9名の部下がいる。その部下全員が役職を持つこともまた、目標の一つであるという。同氏も井上社長と同様、部下の成長を切に願っており、多くの権限を委譲していくことを目論んでいる。「最近だと、自分が考えた意見に反対し、アイデアを出してくれることが嬉しいんです」と部下の成長に目を細めて言った。
仲間とミーティングを行う様子
業務に勤しむ淵上室長
冗談を言いながら、
和気あいあいと働く社風

三陽工業の未来を担う淵上室長の想いとは

新入社員に期待することを教えてください

社内でいろいろな形の組織ができ、会社の想いは、少しずつではありますが、一つにすることができてきております。弊社は、すごく進化することができました。今後は、これまで以上の理解力が必要になってくると思います。そして、理解した物事をしっかりと発信する必要があるため、発信力も合わせて必要になります。この両方を兼ね備えた方に入社していただけると、弊社はこれからもどんどん進化していくと思います。また、新入社員は社会経験がない状態で入社をします。そのため、今までのことに捉われず真っ白な状態で迎え入れることで、三陽工業の働き方をスタンダードにしてもらい、理解して発信してくれることを期待しています。

淵上室長が大事にされている考え方を教えてください

私は、現在室長という立場でマネジメントを行っているため、部下のことを第一と考え、行動しています。入社当時は、社長の想いをどう体現するのかに焦点をあて、働いていましたが、立場も代わり、部下を持ち、責任がある今、部下のことを大切にするという信念を持っています。前職で部下を持っていたため、部下のことを考えて行動をしてきたことはありましたが、弊社に入社し、より強く考えるようになりました。誕生日にはプレゼントをあげ、お祝いをしています。些細なことかもしれませんが、こういった活動も時には大事だと思うんですよね。これからも部下を大切にしながら成長していきたいと考えております。

淵上室長の成功体験を教えてください

私が三陽工業に入社した当時、明石支店を任せていただいたんですが、生産推進グループの部署は50名程度の規模でした。私が支店を担当させてもらってから、みんなで協力し、活動を行った結果、350名程度にまで増やすことに成功しました。神戸市、小野市、姫路市など、様々な場所に拠点が増え、どんどん仲間を増やしていきました。どこが一番成功したのかと聞かれると、お答えすることは難しいですが、日々、会社として前進していった結果、ここまでスピード感をもって短期間で成長できたんだと思います。これからも増えていく仲間たちと新しいアイデアを出し合いながら、今以上に進化していきたいと思います。

監修企業からのコメント

本日はお忙しい中、取材にご協力いただき誠にありがとうございました。井上社長の、「我々の取り組みを日本のスタンダードにする」という熱い言葉を聞き、日本の製造現場を元気にする日はそう遠くないと確信致しました。パイオニアとして三陽工業様の名が全国に轟くことを期待しております。

掲載企業からのコメント

この度は、取材をしていただきありがとうございました。
取材を通じて我々のこれまでの取り組みを振り返り、そして今後どんなことを目指すのか、改めて再認識する良いきっかけとなりました。我々の取り組みを日本のスタンダードにするためにも、まだまだ歩みを止めるわけにはいきません。これからも進化し変わり続けますので、今後も皆様には成長を見守っていただけますと幸いです。

三陽工業株式会社
1980年 明石市にて法人設立
1989年 梱包工場操業開始(現西神戸ロジスティックスセンター)
1991年 研磨工場操業開始(現森友工場)
2010年 魚住ロジスティックスセンター操業開始
2010年 ISO9001:2008認証取得(本社、高砂事業所)
2010年 グループ会社・株式会社アイコム設立
2017年 川崎重工業株式会社様より品質優良賞受賞
2018年 株式会社アイコムの事業を三陽工業株式会社へ譲渡
2018年 株式会社サンテックをM&Aにより子会社化
2018年 株式会社サンユウをM&Aにより子会社化(現 長野工場)
創業年(設立年) 1980年
事業内容 ものづくり事業
請負事業
物流事業
人材派遣業
所在地 兵庫県明石市大久保町江井島1388 2F
TEL(078)938-3400
FAX(078)938-3402
資本金 5,000万円
従業員数 1,442名
会社URL

三陽工業株式会社