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スズキ機工株式会社

スズキ機工株式会社 代表取締役 鈴木豊

近年自社ブランドの看板製品である「ベルハンマー」をはじめ、事業展開をしてきたスズキ機工。現在は「ガイアの夜明け」や「がっちりマンデー」などメディア進出し華々しい活躍をしている同社の目標は、ホールディングス化である。そんな順風満帆に見える同社も10年前に本業製品の売上が0になったという辛い過去を経験した。そこで諦めることなく試行錯誤し、新たに自社ブランド製品の開発と、食品事業の開発の2軸によって売上を伸ばしてきた。そんな波乱万丈な人生を送る同社の鈴木社長に今回お話を伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

オープンでのびのび働く環境

鈴木社長は「経営企画書を軸にしたオープンな社風です」と語った。最初からオープンな会社だったわけではなく、今まで様々な挑戦を繰り返してきた経験に基づいた結果、行きついた答えが「オープンな会社」であった。なぜオープンな会社にする必要があったのだろうか。答えはとてもシンプルで、会社が生き残るには、「働く環境づくり」を整備する必要があると考えたためである。そこで行きついた結果が社内ルールを明文化することであった。実際、経営計画書には、経営や教育に関する方針のみならず、コミュニケーションの方針など細部にわたることまで幅広く明文化している。あえてルールを細分化し明文化することによって社員はより納得感を得て自走している。オープンな状態でのびのび働くことができる同社はこれからも業績を伸ばしていくのだろう。

経営計画書を中心とした価値観の共有

「当社の独自性は、経営計画書を社員に共有する取り組みだと思います」と鈴木社長は語った。同社は様々な事業戦略を持っているが、あえてそこを独自性と言わない理由は、鈴木社長が事業戦略の根幹である「社員の方向性の一致」が一番大事だと考えているからである。社員に事業内容を細分化したものを、実際に経営計画書を共有し、社員に浸透させることで、価値観に統一性を持たせ、事業運営における方向性を一致させることが可能になった。経営計画書を作って満足するのではなく、運用にも相当な力を注いでいる。取り組みの一環として、週に一回ほど。経営計画書の内容についてテストが行われ、テストの結果次第で賞与を渡すことがあるほどの徹底ぶりだ。これなら新入社員が入ってきたとしても即座に価値観を共有し、いち早い戦力化が実現することだろう。

強みを活かし日本を代表する企業へ

スズキ機工はホールディングス化を目指している。同社は過去に、本業である一斗缶の製造装置に関する売上を失うという大きな挫折を経験している。その挫折を糧に、人材育成と強い組織形成にかける思いは並大抵ではないことが容易に想像できる。今後は、事業継承などによる問題で、廃業に追い込まれる企業に対し、自ら手を差し伸べ強い組織を作りをサポートしていく構想もビジネス展開のひとつとして考えられている。同社は「開発力」「周辺地域開拓」「自社運営」「情報発信」など数多くの強みを持っている。実際に自社ブランドである「ベルハンマー」という超極圧潤滑剤は海外展開を狙うほど売上が好調である。今後規模を拡大し、新たな挑戦を続ける同社は、これからも我々が想像しえないイノベーションを起こすのだろう。
ガイアの夜明けの出演時の海外での写真
定期的に行われる工場見学
和気あいあいと話す社員たちと鈴木社長

スズキ機工の想い~鈴木社長自ら語る社員や経営戦略への想い

社員に求めていることは何ですか?

この会社で働いていてよかったと思えるキャリアを歩んでほしい。ただそれだけです。実務の部分や会社の売り上げの部分だけ考えていては、人の上に立つことはできないと思います。会社の中で大切にされていたり、信頼関係を構築しなければ絶対にうまく回らなくなると考えていますね。もちろん、ノルマ等の会社における利益だけで縛ってもきっとうまくいかなくなる。やはり人と人のつながりは大切にしていかなければならないと思いますし、過去にたくさん失敗してきたことから、ここの根幹の部分を学んできましたね。

今の人員でどのように売り上げを伸ばしているのですか?

今も継続して行っていますが、様々な情報発信や広告、宣伝ツール、ソーシャルメディア等を用いてユーザー数をとにかく増やすことが大事になってくるのです。ユーザー数を増やすことで、販路の拡大につながります。通常の製造業ですと、物を作って製造量を増やし、工場を建て、機械を入れ、オペレーターを採用することが必要になるのですが、我々の自社ブランドはタブレスで行うことを決めています。そうすることによって物作りのセクションを増やす必要がなくなるのです。ソーシャルメディアをうまく活用することで、今の少数精鋭の社員で売り上げの確保につながっています。

なぜ移動1時間以内のみのお客様取引になったんですか?

移動時間を多くとられているとビジネスにならないと感じました。顧客接点も低いですし、勝てない土俵で戦っていたと気付きました。そこで移動時間を1時間以内に絞ったことで、お客様は約4割減りましたが、売上は数か月で収益が好転しました。その理由は、移動時間が減ることで、お客様の今まで拾えていなかったオーダーを拾えるようになったからです。案件が増えても、以前より圧倒的に少ない時間で対応することができました。そのような背景があったので、今は移動時間を1時間以内に絞った事業戦略を進めています。

故郷を愛し、 地域に密着した企業へ

スズキ機工株式会社 電機制御チーム 安倍 勇介

スズキ機工には「機械設計」「製造」「営業サポート」「電機制御チーム」「完全PP事業営業チーム」の5つの部門が存在する。その中で安倍さんは電機制御チームで働いている。
大学時代の同期が「機械いじりは単純作業の繰り返しでやりがいを感じない」と話すことが多いと言う。その中で安倍さんは同社で裁量権をもって働いている。普通の会社ではここまで任せてもらえないと、毎日やりがいをもって仕事に取り組んでいる。そんな活き活きと働く安倍さんに「会社の魅力」や「今まで働いてきた中で最も印象深いエピソード」などをお伺いした。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

生まれ育った故郷で働きたい

入社の決め手は「スズキ機工で様々な経験を積むことができると思ったからです」と取材をする我々が心躍るような笑顔で安倍さんは語った。大学は東京工業大学の電気電子工学科に在籍し、昔から機械をいじることが好きだった。今まで培った技術を活かした働き方を行いたいという思いがあったそうだ。更に安倍さんは働く地域も同様に深いこだわりを持つ。故郷を愛し、生まれ育った環境で暮らすことに魅力を感じていた。だからこそ、行動範囲を会社から一時間に定め、お客様と深いコミュニケーションから得られる新たな商品づくりやサービス開発行う同社に魅力を感じたことも入社した理由の1つだと言う。今までの概念にとらわれず、どんどん新たな取り組みを行う同社で働く安倍さんは、今後も今と変わらない笑顔で活き活きと働いているのだろう。

お客様の期待に応えるために全力投球

現在安倍さんは電機制御チームという形で働いており、機械の動きを制御するプログラムや本体を制作している。そのような仕事の中で最もやりがいに感じる部分はチーム員と試行錯誤しやっとの思いで完成したものを見届けることだと言う。有名店舗の商品加工による制御盤を制作する機会があり、実際に、町で加工された商品を目の当たりにする機会があった。その際に味わった感動が印象的だったと言う。お客様の要望も高く、苦戦することが多いそうだ。しかし幼少期から「できないことに対してはとことん突き詰めてやり抜く性格でした」と語っており、お客様が納得のいく製品作りには誇りを持っているように感じた。お客様と関係性構築を行い、多くの人の期待と信頼を築きながら制御盤チームとお客様両方が満足のいく製品開発を行う。そういったところに大きなやりがいがある仕事だと安倍さんは教えてくれた。

多くの人から信頼される人に

「円満な家庭を持つことに加え、様々な人と仲良くなりたいです」そう語る安倍さんは今後の未来を明確に描いていた。夢の実現に対し、将来のビジョンと今できる具体的な行動を明確に定めている。安倍さんは「特に人からの信用を得たい」と考えており、そのビジョンを叶えるための具体的な行動として「自分の現在できていないことをできるようにする必要がある」と語った。「人からの信頼」について、簡単に得ることができないものだと感じている。現在は、今できることをコツコツ積み上げることが一番の近道だと考え、行動に移している。実際にお客様との信頼関係も深いコミュニケーションを取ることで得ることができた。常に笑顔で話し、物腰が柔らかい雰囲気を持つ安倍さんが今後様々な人と出会い信頼を勝ち取っていく姿が目に浮かぶ。
安倍さんが社内の工場で作業している現場
図面を見ながら作業している現場
5Sが整っている工場内

安倍さんからスズキ機工◇安倍 勇介

会社の魅力を教えてください

他の会社に勤めたことがないので、分からない部分があるんですけど、メディア等で見る会社のイメージは、冗談さえ交わすことができない程、部下が上司に怯えた状態をイメージしていました。しかし、うちの会社を見て、ぼんやりながら思うのは「人と人の間に垣根」を全く感じないということ。「申し送り」や「このようにしてほしい」と先輩にも気軽に言うことができます。ざっくりとした言い方にはなってしまいますが、うちの会社は風通しが良く、社風が素晴らしい。そう思っています。働きやすさを常に感じられるのは魅力だと思います。

会社に入って一番印象に残っていることは何ですか?

自分がプログラム制御盤を行った装置をお客様先に入れたとき、プログラムに不備があったため、お客様に生産を止めると言う事件が起きました。自分は頭の中が真っ白になって、上司に頼り、その場は何とかしのげたんですね。そこですごく感じたことは「自分がやっていることはとても責任ある仕事なんだ」と思いました。そこからかなり仕事に取り組む姿勢と意識が変わり、以前より更に集中して仕事に取り組むようになりました。その後同じような装置をお客様に納品する機会があったんですが、その時はうまく装置を入れることができて自信に繋がりました。

会社が成長するには何が必要だと感じますか?

自分的に今の会社に不満がないんですよね。会社に「このようなものが必要でこういうものが足りていない」という考え方は不満からくるものだと思っています。私は会社に不満がないですし、社員が経営計画書に基づいた行動をしているので、会社的な問題点も少ないと思っています。例えば不満に繋がり易いのは、会社で「イレギュラー」や「問題」が起こった時だと思うんですけれど、経営計画書を見ることで問題解決の糸口になっています。そのような要素も含めて会社に不満がなく、のびのび働くことができています。

監修企業からのコメント

この度は取材をさせていただきありがとうございました。「鈴木社長の社員への想い」から「経営計画書の活用方法」まで幅広くお話しいただきました。鈴木社長の飽くなきまでの挑戦力などは唯一無二だと感じました。
今の現状に満足することなくまだまだ挑戦を続けるスズキ機工に注目です。

掲載企業からのコメント

この度は取材いただきありがとうございました。弊社の取り組みなどを明文化し、発信できる良い機会になったと思います。今後も「ベルハンマー」に続く、世界が驚くような自社製品を開発し、スズキ機工が発展し続けるために尽力していきます。

スズキ機工株式会社
1976年 創業者 鈴木道弘がスズキ機工(株)を設立
18L缶(5ガロン缶)の製造機械の修理メンテナンスを主要事業として事業開始

1979年 松戸市松飛台工業団地内に新工場竣工

1990年 当時のスズキ機工(株)の全売上の9割を占めていた関東圏の製缶会社が
バブル経済崩壊後、約10年で厳しい価格競争(価格破壊)のため廃業・倒産する

2002年 食品製造メーカーとの取引を拡大してゆき様々な自動機械検査装置の設計製作を手がける

2006年 全国の食品メーカーに納品する業態になる

2007年 鈴木 豊  代表取締役就任

2012年 極圧潤滑剤 LSベルハンマー製造販売開始
経営計画書作成37期目に初じめて経営計画書を作成

2014年 FOOMA食品機械工業展(東京ビックサイト)に出展

2017年 第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 審査委員会特別賞を受賞
テレビ東京系「ガイアの夜明け」にてベルハンマーの海外進出について放送される
創業年(設立年) 1971年
事業内容 1. オーダーメイド産業用自動機械の設計・制作 2. CCDカメラ検査装置の設計・製作 3. ハイブリッド式自動粉掛け装置HS-101 の製造・販売 4. 極圧潤滑剤LSベルハンマーの製造・販売 5. 食品機械用潤滑剤H1ベルハンマーの製造・販売 6. パケットリールの製造・販売 7. 独立型振動ふるいNS-450 の製造・販売 8. 土井式ライニングマシン部品の製造・販売 9. プロ仕様工業用ハサミ「ベルシザー」の製造・販売
所在地 千葉県松戸市松飛台316-3
資本金 3.000万円
従業員数 16名
会社URL

スズキ機工株式会社