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ウエノテックス株式会社

ウエノテックス株式会社 代表取締役社長 上野光陽

広大な大地に多くの農家の方が暮らしている新潟県上越市。そんな上越市で一際大きな工場を構える会社こそ、ウエノテックス株式会社である。破砕機やAIによる廃棄物選別支援システムなどを設計・開発から生産まで一貫して行っており、今年で創業85年を迎える。2011年に同社の4代目代表取締役社長に就任した上野光陽社長。今日に至るまで、どのような想いを抱き、どのような苦悩を乗り越えてきたのか。上野社長はこれから先、創業100周年などを控えている同社を進化させるためには「柔軟な発想力」が大切であるという。その理由とは。今回は、上野社長のこれまでの想いとこれからの意気込みを中心に話を伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

柔軟性を重視する新たな姿へ

上野社長が大切にしていることは、「柔軟性」や「自由」という言葉である。理由としては、変化を恐れて型にハマったままでは、時代に取り残されてしまうからだという。そのため、社長に就任した2011年から現在まで、先代の世代と新たな若い世代がいかに上手く交わることができるかを考えてきた。世代間のギャップを埋めることは決して簡単ではない。そういった状況の中で、社員一人ひとりが、世の中のために何が必要か。何を今求められ、何をすべきかを理解し、自由な発想が湧くような雰囲気をつくることが課せられた使命であるという。柔軟な発想力を武器に、業界内で常に新しいことにチャレンジしていく存在であり続けるために、これから先もできることなら何でもするといった姿勢で、上野社長は日々取り組んでいくだろう。この「柔軟性」や「自由」を重視したスタイルがどこまで進化していくのか、大いに期待したい。

AIを活用した技術革新

これまで数々の挑戦を続けてきた同社。その根幹には、上野社長の失敗を恐れず、常に前を向いて取り組む姿勢が影響しているのだろう。その取り組みの一つとして、廃棄物処理機にAIを活用したことが挙げられる。廃棄物は様々な場面で発生する。廃棄する側は分別しているといっても、実際のところ、燃えるか燃えないかの2択くらいである。しかし、こうして何も考えずに出された廃棄物をさらに細かな種類に選別することを仕事にしている方々がいる。これから先の未来を考えたときに、こういった仕事はモチベーションが上がらず、クオリティが落ちるのではないかと上野社長は危惧していた。そこで、試行錯誤を重ね、遂にAIを組み合わせた廃棄物処理機を発明したのである。このような取り組みも含めて、上野社長は新たなチャレンジを続け、人々がより快適になるような技術革新に尽力しているのである。

廃棄物を扱う仕事環境の変化

上野社長の見据える未来の姿とは、「廃棄物を扱う仕事環境を働きたいと思える環境にする」ことだという。正直、こういった仕事をやりたいという人とやりたくないという人では、やりたくないと思う人の方が多いだろう。上野社長は、そういったイメージを少しでも払拭すべく、豊かな発想をもとに革新的な機械の開発に励んでいる。その努力の結晶の一つが、「エレナ」と呼ばれるプロジェクションマッピングを応用した廃棄物選別支援システムだ。この「エレナ」は、選別を容易にし、様々な映像や情報をスクリーンに投影することができる。さらに清潔感と作業者の空間が確立されているため、従来の選別とは働きやすさが格段に異なるのである。このように「廃棄物を扱う仕事環境」を改善するための取り組みが、ゆくゆくは地球環境問題の改善に繋がるという。仕事環境や地球環境などに対して、発想力やチャレンジ精神を武器にこれからも立ち向かっていくのである。

チャレンジを続けてきた広大な工場

建築廃材や粗大ゴミの処理に
特化した『一軸破砕機』

廃棄物選別を行う画期的なシステム『エレナ』

共に歩むこれから先の未来に向かって、会社と社員へ抱く想い

社長に就任したときの想いを教えてください

ウエノテックスに就職する前は、商社とソフトウェア関連の会社で営業マンとして働いていました。後継ぎとしてのプレッシャーは感じていましたが、当時の私は継ぐ意志がなく、帰らないようにするためにはどうすればいいかということを考えていました。しかし私も会社を継ぐことを決め、後を継いだときには芽生えた想いがあります。それは社訓にある「創意は未来への挑戦」という言葉のように、新しい取り組みに挑戦している様子が全社員に伝わる会社にしたいということです。全社員とともにチーム一丸となって、挑戦を楽しむことができるような組織にするべく取り組み続けたいと、社長に就任して11年経った今でも思っています。

社員に期待していることを教えてください

社員には、自由な発想を活かして新たな事業を創造してほしいです。ただ事業を創造するだけでなく、お客様のためを思って取り組んでほしいと考えています。先程述べたように、私はウエノテックスに勤めるまでは営業に励んでいました。その中で、ただ製品を販売するのではなく、お客様のためにちょっとした工夫をするだけで結果が大きく変わる経験を多く積んできました。こういった経験を弊社の社員にも味わってもらいたいです。お客様を第一に考えることに加えて、「柔軟性」や「自由」な発想を取り入れた製品を開発してもらいたいです。これらの想いを胸に、新たな事業を創造してくれることを期待しています。

モノづくりをするうえで大切にしていることを教えてください

モノづくりをするうえで大切にしていることは、未来に何を残せるかということです。我々の製品の中には、働く環境や地球環境など環境面に関わるものがあります。事業なので、利益を求めることは大切です。しかし、環境などを考慮せずに利益ばかりに捉われていては、売れたとしても、製品の寿命は短くなってしまいます。せっかくつくるなら、これから先の未来に役立ち、長く愛されるような製品にしたいです。新たな技術を取り入れることは好きですし、大切にしていますが、ただ自分がやりたいことを自己満足に押し付けるのではなく、どういったモノを残すことができるか。どういったモノなら残っていけるのかを常に考えています。

熱い想いを胸にウエノテックスの未来を担う人財

ウエノテックス株式会社 技術部 部長 水澤貴彦  

水澤部長は、技術部の部長として活躍し、上野社長を日々支えている。14年前に設計をやりたいという学生時代からの想いを胸に入社し、今日に至るまで高いモチベーションと野心を持って取り組んできたという。AI関連の装置の開発に先進的な技術を取り入れるなど、その仕事ぶりは幹部たちに高く評価されている水澤部長。現在は技術部の核として活躍しているが、その胸の内には様々な熱い想いを抱えている。新時代に即した生産体制の構築を実現するために、DX化の推進に取り組んでいる同社に対してどのような想いを抱いているのか。これから先の会社の未来、自分自身の将来像を中心に話を伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

尽きることない地元への想い

「自分は地元愛に溢れた人間だ」と話す水澤部長。そんな水澤部長は大学進学と共に、初めて新潟県を飛び出した。そこで気付いたのは自身の地元への想いであった。この想いに気付いた水澤部長は、就職先は新潟県以外では考えられなくなっていた。水澤部長が高校から大学時代まで学び続けたのは、機械工学であり、設計をすることが好きな学生だったという。学生時代に学んできたことを活かせる会社、好きな設計に携わることができる会社はどこかと探していた時に出会ったのが、ウエノテックスであった。また、ウエノテックスと水澤部長には実はある繋がりがあった。その当時、水澤部長のお父様は仕事の都合でウエノテックスと取引があったのである。自分が気になっただけでなく、取引のある実の父親からもウエノテックスは良い会社だと勧められ入社を決意したという。「入社してからは、想像以上に大変なことばかりだったが、その分、何より地元に貢献できる喜びは非常に大きかった」と水澤部長は懐かしそうに語ってくれた。

お客様の喜びの声が何よりも大きなモチベーション

ウエノテックスの製品は、お客様の要望に合わせたオーダーメイドの製品を製造することは少なくない。新たな製品をつくることをやりがいとする社員も多いが、その分、困難な壁にぶつかることも多いという。水澤部長もまたその一人だ。困難な壁にぶつかりながらも、お客様のことを第一に考え、これまでに誰も思いつかなかった要素などを駆使して、製品をつくり上げている。こうして完成した製品をお客様へ届けたときに、驚いたり、喜ぶリアクションを見て、頑張りが報われたと感じるのだと水澤部長はいう。このようなお客様の声が水澤部長のモチベーションに繋がる最大の要因である。リアルな声を聞けることは、製造業でありながら、お客様と接する機会が多いウエノテックスならではのことではないか。これからもオンリーワンな製品をつくり、お客様の声を力に変えて、水澤部長はこれまでと変わらない姿勢を貫いていくのだろう。

成し遂げたい野望

ウエノテックスが取り扱っているような、環境問題に関わる製品を主力としている大手メーカーは全国に10社ほどある。それらの大手メーカーが、あっと驚くような製品を開発することが今の水澤部長の成し遂げたい野望だという。その野望を成し遂げるために、部全体のレベルを上げること。デジタル化という時代の流れに沿った設計を手掛けていくことが必要であると感じられている。もちろん育成に着手しつつ、自分自身がさらに成長するための努力を水澤部長は惜しまないだろう。水澤部長は、社員一人ひとりがこのような野望、野心を持って業務に励んでいれば、上野社長がやりたいと思ったことをもっと実現できる体制になれると確信している。近い将来、野望に満ち溢れたウエノテックスがどのようにして大手メーカーを驚かせ、さらなる飛躍を遂げるのか、熱意に溢れる水澤部長の話を聞いて、期待せずにはいられない。

日々開発が行われている
『技術開発センター』

環境展にてAIを活用した
廃棄物選別ロボットを発信

チャレンジを続ける社員たち

会社と共に学び、成長していくために

これからウエノテックスでどういった人財になりたいですか

ウエノテックスには約80年の歴史があり、数多くの先輩方が残してくれた財産ともいえる製品があります。その財産をみていくと、ユニークなものが多くて、昔の方がレベルが高いなと感じてしまいます。そういった貴重な教科書から貪欲に学べることは学んで、自分のスキルアップに活かしつつ、後輩たちに多くを伝えられる存在になりたいと考えています。伝えるということがウエノテックスの技術を未来永劫守っていくことにも繋がりますし、そういった役目が自分に課せられていると感じています。過去と未来、両方に目を向けて、自分なりに価値を見出せる存在を目指して、これから先も日々勉強し、引き出しを増やしていくことを心がけていきたいです。

ウエノテックスの強みと弱みについて教えてください

強みって聞かれてパッと思いつくのは、設計・開発から製造に至るまで全て自社でできることですかね。一部他社に委託するなどは、他の会社では一般的なのかなと思います。そういったスタイルでモノづくりに励んでいるため、もちろんのしかかる責任も大きいですが、その分やりがいも大きいです。全ての工程を自社で行うということを誇りに感じ、そのこだわりはこれから先も会社に持っていてほしいと思います。一方で、弱みに関しては全てのことをやる分、対応が追いつかないケースなど、成長速度が遅い部分ができてしまうことにあると思っています。トラブルが起きた際の対応力や解決へのスピード感など、まだまだ伸びしろだらけだと感じています。

上野社長への想いを教えてください

先程も述べたように、上野社長がやりたいと思うことをもっと実現できるようになりたいと思っています。上野社長は「自由」な発想や風潮を大切にされている方なので、私たち以上に「○○がやりたい」などといったイメージが頭の中に浮かんでいると思います。そんな上野社長のアイデアについていけていない部分がまだまだ沢山あるので、そこは申し訳ないなと常に感じています。昨日より今日、今日より明日と常に成長意欲を高く持って業務に臨み、少しでも早くアイデアを具現化できる体制をつくるので、私たち社員へ期待していてほしいと思っています。上野社長を筆頭に、「柔軟性」あるモノづくりを今後も続けていきたいです。

監修企業からのコメント

今回の取材を通して、上野社長の「柔軟な発想力に関するお話」はとても勉強になり、見習いたいと感じました。発想力やチャレンジ精神を武器に、今後ウエノテックスが未来にどのようなモノを残していくのか、大変楽しみにしております。今回は取材をお受けいただき、ありがとうございました。

掲載企業からのコメント

今回の取材を通して、ウエノテックスに就職するまでの想いに始まる自分自身の原点に回帰する良い機会となりました。価値あるモノを未来に残していけるように、これからも挑戦していきたいと思います。今後のウエノテックスにご期待ください。

ウエノテックス株式会社
1937年 上野鐵工所 創立
1965年 有限会社上野鐵工所に組織変更
1976年 株式会社上野鐵工所に組織変更
1982年 中小企業庁合理化推進優良企業賞 受賞
1982年 製缶工場 建設
1985年 新製缶工場増築
1987年 創意工夫功労者として社員2名が科学技術長官賞 受賞
1991年 組立工場 建設
1992年 社名をウエノテックス株式会社に変更
1996年 本社移転
2004年 第37回中小企業センターグッドカンパニー大賞 受賞
2005年 大型工場 建設
2008年 新潟県技術賞 受賞
2011年 代表取締役会長 上野秀正 就任
2011年 代表取締役社長 上野光陽 就任
2013年 第30回新潟県経済振興賞 受賞
2014年 グループ会社 サカモトテックス株式会社 設立
2016年 技術開発センター 建設
2018年 グループ会社 Rita Technology株式会社 設立
創業年(設立年) 1937年4月
事業内容 環境機械(粉砕機)製造
産業機械製造
大型機械部品加工
所在地 新潟県上越市柿崎区柿崎7396‐10
資本金 7,500万円
従業員数 118名
会社URL

ウエノテックス株式会社