お肉の力で支えるのは幸せな家族の団欒
株式会社天池 専務取締役 大島 義之

1936年の創業以来、半世紀以上に渡って食肉のプロフェッショナルとしてお客様の食卓に美味しいお肉と感動を届けてきたのが株式会社天池(あまいけ)である。埼玉県新座市で創業した同社は現在、関東を中心に28店舗を展開している。その28店舗がある各地域で「肉といえば天池」と言われるほど信頼が厚い。それは、創業当時から変わることなくお客様の声や反応を大切に、一貫して期待に応え続けてきたからだ。そして、天池はこれから先もそのために飽くなき挑戦を続けていくのである。今回の取材では、「お肉で幸せな家族の団欒をつくる」という信念を持つ代表の大島義之様に、天池がお客様から支持され続ける理由について伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
それぞれが一人の商売人として
「社風は、自由度の高いところですかね」と大島社長は話す。それは、お客様にとって魅力的な商品を提供するために、社員に主体的な取り組みを推奨しているからである。そして、大島社長は「社員それぞれが一人の商売人として仕事をしている」とも語った。それぞれの店舗で、陳列やポップといった売り場づくりから自由にできることに加え、肉の仕入れや売価の決定、パックのアレンジまで各店の社員に任されていることがその証拠である。本部からの指示でただ肉を切って売る会社もある中で、それ以上のことができる環境があるから、社員も仕事に主体性を持って挑戦的に取り組むことができるのだ。それもまた、社員がシーズンに合わせた特色ある商品の提案ができる機会に繋がっているのである。社員一人ひとりが自分自身で商売をしているという実感を持ち、主体的に働くことができる環境があるからこそ、チャレンジできる自由さが天池の社風になったのだ。お客様のニーズに先回りすること
同社では「それぞれの店長が商売人として高い能力を持っている」のだと大島社長は話した。「チャレンジできる自由な社風」の中で、それぞれが主体的に仕事に取り組むことで積み上げてきた多くの挑戦と経験が、その高い能力を育んだのである。だからこそ、実際の店舗運営においても、地域の特徴や時期に合わせたニーズを敏感に察知し、お客様の欲しいものに先回りするような提案ができるのである。各店舗の店長自らが問屋で厳選した肉を目玉商品として販売するのもその先回りした提案の一つである。それはお客様が年末の集まりで食べるような豪華な商品には、求める美味しさ以上の特別なストーリーを提供しているのだ。美味しさ以上の提案ができる背景には、普段から店長に仕入れが任せられており、肉を見る目が養われているからである。天池がお客様から選ばれる理由には、高い能力を持った店長がそれぞれの店舗で凝らす創意工夫の数々があるのだ。お客様に感動を与えるお肉屋さんであるために
「天池で大切にしたい”天池イズム”に対する意識をもっと強めていきたい」と語った。”身近な街のお肉屋さん”としてお客様に信頼されるためには、お肉を通じてお客様に感動を与え続けることが大切だという。天池は、肉を売っている会社である以上に、感動を提供している会社であるということがイズムの根底にある。だからこそ、料理の食べ方に合わせたオーダーカットが出来ることを発信することや、お客様の要望に合わせて品揃えを増やすことなどを積極的に行っている。そんな天池が求めるブランド像は、「天池」という店名がお客様にとって信頼の証であり続けるということだ。良い肉を売っているということが重要なのではなく、お客様に感動を与えることこそが天池のブランディングである。そのためにも、ハレの日に最高の品を提供するのはもちろんのこと、日常的に食べる肉でも満足感を損なうことがあってはならないのだ。社員が日々お客様に感動を与えるためには、社員一人ひとりが天池イズムを深く理解することが重要である。

商品の魅力を際立たせる陳列

ポップでもお客様の心を掴むのだ

お客様の声が社員のやりがいである
お客様に感動を与えるプロ集団
お客様への感動を与えるとはどういうことでしょうか。
お客様のことをどこまでも深く考える、ということだと思います。ある日ラジオで、「牛肉には人を幸せにする力がある」という話を聞いたことがあります。その時に、「やっぱりそうなのか」と納得してしまったことを覚えています。お肉の中でも高級とされる牛肉、それを家族で囲んで食べる時の特別感。たしかに、自然と笑みが広がり幸せな気分にさせてくれます。だからこそ、肉を切って売っているという意識だけでは、お客様に感動を与えることはできないと改めて思うのです。よく社員には、「切るときに、買って帰って調理するときや食べるときのことまでを考えて切ることが大事だ」と話しています。特別な日の料理から日常の食事まで、買うときから調理して食べたあとまで、妥協することなく考え、寄り添うことを天池では大切にし続けたいですね。そのためにも社員に天池イズムを浸透させることが必要だと考えています。どのような経営者でありたいですか?
少し大袈裟な言い方になってしまうかもしれませんが、経営者でありつつ、その分野の哲学者のような存在になりたいですね。肉の特性を深く考えて追及して、本質を考え続けたい。そのために、どうやったら他にはないお肉屋さんをつくってお客様に感動を与えられるか、どうやったら従業員にもっともっと天池イズムを伝えられるかを考えています。天池が身近な街のお肉屋さんであるためにも、自分自身がお客様について、お肉について考え続けることを大切にしたいですね。入社する方に、「これは約束できるよ」ということはありますか。
どこに出ても活躍できる社会人になることをお約束できます。天池では、肉屋として高い技術を学ぶことができるのはもちろんのこと、挑戦できる環境で主体性を持って仕事をすることができるからです。社会人として、常にお客様のことを考えながら挑戦的に自分自身のアイディアを実践していく環境こそが人を育て、天池で活躍しているようなプラスアルファの提案力を持った社員に成長できます。その力は、弊社に限らずどこでも必要になる能力だと考えています。だから、天池に入社した暁には、肉屋として一流の技術や知識、商売という実践を通してこそ得ることができる経営視点や経験など、社会人としてどこに出ても恥ずかしくない活躍できる人間に成長できることをお約束します。
人一倍の思いがあるから、成長をサポートしていきたい
株式会社天池 本庄店店長 関谷 誠二
今回お話を伺った関谷誠二さんは入社してから20年目を迎える、天池屈指の精鋭だ。家業も肉屋であったという関谷さん。肉屋という仕事にかける思いには人一倍の厚みがある。それは亡きお父様への思い出があるからだ。その思いがあるから、お客様に美味しいお肉を届けることを常に考え続けているのである。お客様の声や反応を敏感にキャッチしニーズに先回りした提案ができるのもそのためだ。そして、今は店長としてその思いや職人として関谷さん自身がこれまでに磨いてきたスキルと経験をどのようにして伝えていくかが大切なのだという。お客様にも部下に対してもそんな熱き思いを持つ関谷さんに同社の魅力とこれからの取り組みについて伺った。伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
父が仕事に掛ける思いを知りたかった
「父が仕事にかける思いを知りたかったから」と関谷さんは語る。その言葉は、父が家業である肉屋で働く姿をずっと間近に見てきたからこそだろう。さらに続けて、「病気になってからも、自由に動かない体で働き続ける父の姿が印象的だった」とも話した。「何故そこまでして肉屋を続けるのか、そこまで掛ける仕事とは一体何なのだろうか」と気になっていたのである。そして、天池に入社して20年近くたった今、関谷さんは父の凄さを実感しているという。それは、自分自身が同じ仕事に就き、簡単な仕事ではないと理解しこともあるが、父が肉屋として独立した年齢を知ってどれほどの努力があったのか分かったからだという。今、関谷さんの中には当時の父と同じく肉屋という仕事にかける熱い思いが流れている。だからこそ、これからもお客様に喜びや感動を届けるために一流の肉屋を目指して、現状に満足することなく日々成長し続けるのだと話した。肉のプロフェッショナルとして
売り場に出たときに見るお客様の笑顔や「美味しかった」と言ってもらえることが関谷さんのやりがいになっているという。関谷さんにとって、自身が肉のプロフェッショナルとして行った仕事の成果がお客様の反応を通して実感できる瞬間なのである。そのためにも仕事では専門家としての知識や経験、こだわりを活かしながら、お客様のことを考え続けて行くことが必要なのだという。なによりも「同じ商品でも気持ちが込められているのか否かでお客様に届けられる感動が全く違う、商品価値もそこに生まれるのだと思います」と語った関谷さんの言葉に全てが詰まっている。仕事に妥協することなく工夫し続けられるのは、お客様の笑顔を見ることを嬉しいと感じる関谷さんだからこそである。そして、商品にかける思いも日々強くなっていき、さらに感動を届けられる商品を提供できるようになるのである。関谷さんはこれからもずっと、肉のプロフェッショナルとしてお客様に感動を提供し続けるだろう。やりがいと誇りをもって成長できることをサポートする
「従業員が、仕事にやりがいや誇りを持って成長してくれることが夢である」と関谷さんは話した。会社の発展も従業員それぞれが主体性を持って働いた先にあるからだ。そのためにも部下が主体性を持って仕事ができるような環境作りをサポートしたいと話す。仕事には必ずしも正解があるわけではない。だから、戸惑いや迷いを感じる社員のために、自分の経験を交えながらアドバイスをしていく必要性を感じたのだという。関谷さんは部下がチャレンジしたいという姿勢を大切にしている。これは、会社にチャレンジを推奨する自由な社風が根付いているからである。私たちは、ただの肉屋さんではなく季節やイベント、そしてお客様から感じ取れる日々の変化を捉え、ニーズに対して柔軟な対応ができる肉屋さんでありたい。そんな肉屋さんでこそ、お客様の満足や感動に繋がるからである。そのためにもスタッフそれぞれが積極的に仕事へ取り組む主体性を持った集団である必要がある。もちろん関谷さん自身も成長しながら、部下の成長を見守りサポートしていくつもりなのだ。
年末の目玉、店長厳選の武州和牛

同社の社員は高いカット技術を持っている

店長自身も売り場に出てお客様の反応をチェック
成長できる環境をつくる
人を育てるためにどのようなことをされていますか。
店舗で挑戦できる環境をつくるということを意識しています。その上で適宜、社員に合わせたアドバイスします。最初から事細かに全てを言わないのは、言われたことだけをする人になってほしくないからです。もちろん重要なことはしっかりと伝えるようにしていますが、その人自身の今後のことも考えた適切なアドバイスをできるようにしています。他には、仕事にやりがいを見つけられるようなアドバイスを心がけています。何でも良いのではなく、その人の中に残り、お客様や仕事に対する思いに育つかということが重要なのだと考えています。すぐにはそうならないかもしれませんが、いずれは自立自走してくれるように育っていって欲しいです。どんな人と働きたいでしょうか。
たまに「やっちゃったかな」というくらいの勢いと元気を持っている人が良いと思っています。それは、それくらいの積極性や行動力を持って仕事に挑んでほしいからです。そしてその2つが弊社で求められる姿勢でもあります。いずれキャリアアップをし、管理職に就くときには必須となるスキルでもあります。実際に管理職に就くと、人をまとめたり、指示を出す場面が増えていくので主体性が求められことになります。今後の天池の発展にも関わっていって欲しいからこそ、元気と勢いを仕事を持って仕事に取り組むことができる人、そして積極性と行動力を仕事に向けられる人と一緒に働いていきたいです。お客様への提案として行っている取り組みを教えてください。
お客様への感動を提案する取り組みです。お客様へのおもてなしでもあるのですが、喜ばせたりびっくりさせたりしたいのです。バーベキューの時期になると、通常よりもかなり厚切りで大きくて迫力のある肉を提供したり、同じ牛タンでも厚みの違うものを同じパッケージに入れることで数種類の食感を楽しめるようにしています。また肉の切り方については、お客様からオーダーカットを承っているので、お好みに合わせてご用意しています。その他にも、本庄店では武州和牛という埼玉県の指定農家でのみ育てられている黒毛和牛の取り扱いを始めました。こういった提案や取り組みがお客様の感動に繋がりますし、肉の専門店として天池があるべき姿だと考えています。株式会社天池
1964年 代表取締役大島康正が、新座市西堀に「天池精肉店」を開業する
1970年 株式会社天池を設立
1972年 北町店(現本社)開店
1980年 対面販売からパック販売へ
対面方式を、セルフ販売方式に切り替え、消費者の買い易さと信頼を得る
1987年 光が丘店(5店舗目)開店
1983年から仮設店舗にて営業
テナント出店の足掛かりとなる店舗
1994年 本格的にテナント出店を始める
1996年 店舗数を15店舗に拡大
1999年 店舗数を20店舗に拡大
2001年 生鮮館世界市新座店開店、デベロッパーとして初めてスーパー運営
2012年 各テナント要請を受け、現在29店舗と発展を続けている
1970年 株式会社天池を設立
1972年 北町店(現本社)開店
1980年 対面販売からパック販売へ
対面方式を、セルフ販売方式に切り替え、消費者の買い易さと信頼を得る
1987年 光が丘店(5店舗目)開店
1983年から仮設店舗にて営業
テナント出店の足掛かりとなる店舗
1994年 本格的にテナント出店を始める
1996年 店舗数を15店舗に拡大
1999年 店舗数を20店舗に拡大
2001年 生鮮館世界市新座店開店、デベロッパーとして初めてスーパー運営
2012年 各テナント要請を受け、現在29店舗と発展を続けている
創業年(設立年) | 1963年 |
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事業内容 | 食肉小売店・鮮魚小売店・飲食店・スーパーマーケットの経営、食肉小売業、卵・鳥肉小売業 |
所在地 | 〒179-0081 東京都練馬区北町2丁目31番13号 |
資本金 | 1,500万円 |
従業員数 | 172名(他パート・アルバイト198名) |
会社URL |
監修企業からのコメント
今回は取材をさせて頂きありがとうございました。「ただの肉屋ではなく、肉を通して感動を提供する肉屋になる」という言葉がとても印象深かったです。商品の先で、お客様が何を感じるのか、どう感じてほしいのかという思いを強く感じました。肉のプロフェッショナルとして、目の前の商品以上の価値を提供する貴社のこれからのご活躍が本当に楽しみです。
掲載企業からのコメント
取材して頂きありがとうございます。今後の天池について考え直す良い機会にもなりました。また、多くの方に天池イズムを知っていただくことに繋がりましたら幸いです。これからも天池では、お客様に感動を提供することを目指して、現状に留まることなく挑戦していきます。