株式会社友安製作所 代表取締役社長 友安 啓則
大阪の町工場から始まった一つの小さな会社が今や人々のライフスタイル全体を提案するまでに成長を遂げた。それが今回取材させていただいた株式会社友安製作所だ。その歴史は初代社長である友安正美氏が木ねじを製造したことから始まる。時代が和室から洋室へと変わりゆく中で、同氏の手掛けた商品は大ヒットし、会社は急成長を果たした。その後、3代目社長の友安啓則氏が2004年にアメリカから戻り、父親から事業を引き継いでさらに新規事業を展開した同社。現在ではインテリアやエクステリアなどの6つの事業を展開している。こうした多角的な事業展開により、同社は生活に彩りを与える存在としての地位を確立しているのだろう。今回は友安啓則社長に同社ならではの社風や魅力について伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
独自の文化が創る創造的な職場環境
同社には非常にユニークな文化が根付いている。まず、社員同士はビジネスネームで呼び合い、心理的距離を縮めているという。それには、社長も例外ではなく、「ボス」と親しみを込めて呼ばれている。この文化が、コミュニケーションを円滑にし、フラットな関係を築いているのだろう。また、そんな同社の理念は「ADD COLORS TO EVERYONE’S LIFE」。同社では、この理念と10個のコアバリューを大切にしており、これらは全社員が共通して持つ価値観として浸透している。実際に、3年前に社員全員でコアバリューを見直し、より多様な価値観が反映された。このように、同社では社員が自分たちの役割やカラーを最大限に活かしつつも、風通しの良い職場環境を築いている。そしてさらに、会社全体のビジョンを共有することによって、一つの大きなファミリーのような組織となっているのだろう。お客様に合わせたカスタマイズで生まれる価値
独自性の核として「お客様一人ひとりにカスタマイズした商品を提供できること」と答えてくれた友安社長。同社では、空間ひとつとっても壁紙から照明まで取り扱っており、他社にはないオリジナル商品も扱っている。また、お客様のニーズに合わせて柔軟に商品を調整することが可能である。例えば、施主が工務店に看板をつくりたいと言った場合、通常は工務店から看板屋やデザイナーへと依頼が回り、製作する。しかし、同社はデザイン部隊や工務店に加え、自社工場も持っているため、伝言ゲームにならずに社内でスムーズに製作まで進めることができるのだ。さらに、多岐にわたる事業展開により、WEBやカフェ、イベントなど、さまざまな場面で同社と出会う機会が多く存在する。この体制により、お客様のニーズと接点を持つ機会が増え、それに応じた細やかなサービスを提供し、同社の「世界観」が表現された「唯一無二の空間づくり」を支えているのだ。
地域に根ざし、さらなる成長を目指す
同社は自社の理念やミッションを実現するため、今後も成長を続け、地域に根ざした企業として影響力を拡大していくことを展望としている。特に本社のある八尾市で、地元の人々に愛される企業であり続けることが目標だ。友安社長は「馴染みのお店がなくなると寂しいように、『八尾市には友安製作所がないと困る』という存在になりたい」と語ってくれた。友安社長によると、現状、同社の認知度はまだ「3合目」だという。その影響力は確実に広がっているが、地域での拠点の拡大や行政との協力によるプロジェクトなど、今度はさらに地元に根ざした事業にも取り組んでいきたいという。同社の商品やサービスを多くの人に知ってもらい、彼らの人生に彩りを加えることができるようになれば、地域の暮らしがより豊かになり、人々の日常に欠かせない存在として認識されるだろう。これからも地域に寄り添い、支える企業としての役割を果たしていく同社に今後も大きな期待が寄せられる。ファンを増やすことで実現する地域貢献と成長
社長自身は社内でどのような存在になっていきたいですか?
私は、社長業を60歳をめどに引退しようと考えているので、その間にやりたいことを少しでも達成できたらと考えています。その中でも、特に海外展開に力を入れていきたいですね。今は台湾に拠点がありますが、これをヨーロッパやアメリカにも広げていきたいと思っています。私が大切にしているのは、企業として儲けを出しつつやりたいことを実現することです。例えばまちづくりなどはボランティアのような奉仕的なイメージを持たれがちですが、そうは考えていません。サービスや商品を安く提供するだけでは、会社が成り立たなくなり、将来的にお客様へのサポートもできなくなります。だからこそ、経済合理性を常に意識しながら、事業と地域貢献の両立を進めていきたいと考えています。友安製作所が町に欠かせない存在になるためのカギは何ですか?
インテリアや内装商材をできる限り自分たちでつくり、売上を上げることだと思います。そのためには弊社のファンを増やすことが大切です。弊社の「ものづくり」に向かっていく姿勢はコアバリューにもあるような「いちいちかっこいい」でありたいと思っています。この姿勢をお客様に伝えることができれば、さらなるファンを獲得でき、企業としての成長をより強固なものにできると思います。また、弊社ではお客様に自社の魅力を発信する体制を20年前から築いてきました。その結果、商品が売れるだけでなく、弊社の世界観も世の中に広まっているのではないかと思います。この勢いをさらに伸ばし、町に欠かせない企業として成長していきたいです。友安製作所をどんな組織にしていきたいですか?
クラブ活動のように、その時のメンバーでベストを尽くすことができる組織にしていきたいです。そのためには、ゴールを共有したうえで各メンバーが自分のポジションや役割をしっかりと理解し、それぞれが責任を持って行動することで一つの目標を目指すことが大切だと思います。また、事業を考えるうえでは経済合理性を重要視していますが、それを支える組織づくりには感情の部分も大切にしています。そうすることで、物理的にも心理的にも距離が近い組織がつくれると思うからです。会社全体が一つの方向に進みつつも、各メンバーの個性や強みが生かされる組織というのが、弊社の強みでもありますし、今後もこの考え方を曲げずに続けていきたいと思っています。友安製作所を世界中に広げ 人生に彩りを届ける
株式会社友安製作所 ソーシャルデザイン部 広報課 チーフ 松本明莉
広報や採用など幅広い業務を担っている松本さん。広報としては、取材対応やメディアとのやり取りだけでなく、自社SNSの運用やブログ発信、イベント企画などの多岐にわたる業務を担当している。リアルなイベントやワークショップを通じてお客様と直接触れ合い、商品そのものだけでなく、同社のあたたかな空気感などの魅力を届けているのだ。そして、同社の強みや価値を伝えることができる存在として採用担当に抜擢され、新卒の採用計画の策定から面接、入社後の研修の企画までも手掛けている。仲間と一緒に常に新しいアイデアを生み出し、同社の魅力を発信し続けている松本さんに同社で働く上でのやりがいや夢について伺った。伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
一貫性が生み出した新たな挑戦の舞台
松本さんが友安製作所に入社を決意した理由は、その一貫した事業展開に大きな魅力を感じたからだ。前職でインテリアメーカーの広報を4年間務めており、もともとものづくりに強い興味を持っていたが、そこはあくまでデザインと販売に特化した会社であった。そんな中で、実際に工場を自社に持っている会社に興味を持ったタイミングで同社を紹介され、工房を見学し、製造から販売までを自社で一貫して手掛けるビジネスモデルに惹かれたのだ。これまでの経験を活かし、自分の仕事の幅を広げることができるだけでなく、社内に新たな化学反応を起こし、会社全体に貢献できると考え、思い切って入社したという。実際に入社後は、仕事の幅も広がり、八尾市の会社ともつながりが増えた。松本さんは「一人で戦っているのではなく、仲間と共に戦っていると実感するようになった」と語ってくれた。同社の一貫した事業展開は、松本さんにとって自己成長と会社や地域への貢献として新たな可能性を広げるきっかけとなったのだ。広報として伝えることで広がる世界
松本さんは二つの面でやりがいを感じると語ってくれた。一つ目は自身の発信がお客様の気持ちや生活に直接影響を与えることである。つまり、松本さんが発信するイベントやSNSをきっかけに実際にお客様が商品を購入し、生活の中で同社の商品を使用してもらうということだ。特に過去に開催したイベントで出会ったお客様から、後に家を建てる際に内装を頼まれたこともあったというエピソードは、松本さんの広報活動への強いモチベーションとなっている。二つ目は商品、そして会社の魅力をクリエイティブメンバーと一緒に伝えていけることだ。お客様へ同社の世界観をうまく魅せるために、様々なツールを活用し、発信することに広報としてのやりがいを感じるという。これからも、松本さんは自分の仕事を通じて多くの人々に幸せを届けてくれるだろう。未来を彩る会社のファンづくり
松本さんの夢は、同社のファンを増やすことだ。というのも同社は多くの商品やサービスを提供しており、松本さんは、それらが「友安製作所が好きだから」という理由で選ばれる存在になりたいと考えているためだ。今以上にお客様に愛され、心地よさや愛着を感じてもらえる商品を提供することで、ファンを増やし、お客様の人生にも豊かさをもたらしたいという。そのため、SNSやイベントを積極的に活用し、同社の魅力を広めている。実際、カフェに何度も訪れてくれるお客様や、商品を使い続けてくれるお客様の声が、松本さんの活動の成果を示しているのだろう。商品がどこでつくられているかを知り、その背景に興味を持つお客様こそが、本当のファンであると松本さんは感じている。最後に松本さんは「今後は八尾市だけでなく日本中、そして世界中に友安製作所のファンを広げ、世界中の人々の人生に彩りを与える企業を目指したい」と語ってくれた。スパイスのように会社に刺激を与える広報の役割
今後、ご自身はどのような存在になりたいですか?
私は自分の存在が「クミン(松本さんのビジネスネーム)」というスパイスのように、会社に刺激を与える存在でありたいと思っています。広報という仕事は、会社の魅力を外に伝える役割を担っていますが、それと同時に、社外の視点を社内に持ち込むことも大切だと考えています。加えて弊社の広報は社内の様々な部署と関わりを持つ役割を担っています。例えば、工場でのものづくり体験やワークショップの企画は、製造メンバーと一緒に考えて形にしています。これらの活動を通じて、私は社内外に刺激を与える役割を果たし、より魅力的な会社づくりに貢献したいと考えています。友安製作所のどんなところが好きですか?
弊社の一番好きなところは、社員それぞれの個性が活きている点です。個性豊かなメンバーが多いですが、皆がお互いを理解し、受け入れている環境が心地いいですね。先日行われた新入社員による提案がありました。これは、それぞれの得意分野を活かし、「生きるをあそぶ」会社として、ファンを獲得するための提案をテーマにしたプレゼンで、非常にユニークで実現可能なアイデアが多く、弊社らしさを感じました。新しいアイデアや提案がどんどん出てくる環境が弊社の魅力だと思っています。
こんな風に、社員全員が自分らしさを発揮できる会社だからこそ、私も弊社が好きなんです。
友安社長とはどのような人ですか?
友安社長は、一言で言うと懐が深い人です。社員一人ひとりの個性を受け入れ、様々な方向性のある社員をしっかりとまとめていただいています。それだけではなく、誰よりも現場で働き、荷物運びなども率先して行う姿勢が、全社員に大きな影響を与えているのだと思います。まさに、リーダーシップを体現している人ですね。また、社長は趣味も多く、好奇心旺盛で、それが事業展開にも反映されています。社長がおっしゃる「進みながら考える」という言葉が示すように、常に新しいことに挑戦し、柔軟に対応していく姿勢が弊社にはあります。
このように、相手を受け入れ、フットワーク軽くチャレンジし続けていくところが、社長の魅力であり、会社全体にもいい影響を与えていると思います。
株式会社友安製作所
1948年 創業者 友安正美氏が木ねじ、ヒートンの製造を始める
1963年 有限会社 友安製作所設立
1985年 現所在地に移転
2004年 友安啓則氏が入社しインテリア事業部を立ち上げる
自社ブランド「Colors」を立ち上げる
2012年 有限会社から株式会社へ組織変更
2014年 東京営業所を開設
2015年 東京に「友安製作所cafe浅草橋」開店
2016年 友安啓則氏が代表取締役に就任
2017年 大阪に「友安製作所cafe&Bar阿倍野」開店
2018年 工務店事業を開始
2019年 株式会社エディオンと業務提携締結
レンタルスペース事業を開始
2020年 メディア事業を開始
2021年 福岡博多に「友安製作所とハンバーガー」開店
2022年 福岡営業所を開設
福井県に物流センターを開設
2023年 大阪府にロールスクリーン工場を開設
福井県にキャンプ場「友安製作所モリノネカワノネIWAYA」をオープン
1963年 有限会社 友安製作所設立
1985年 現所在地に移転
2004年 友安啓則氏が入社しインテリア事業部を立ち上げる
自社ブランド「Colors」を立ち上げる
2012年 有限会社から株式会社へ組織変更
2014年 東京営業所を開設
2015年 東京に「友安製作所cafe浅草橋」開店
2016年 友安啓則氏が代表取締役に就任
2017年 大阪に「友安製作所cafe&Bar阿倍野」開店
2018年 工務店事業を開始
2019年 株式会社エディオンと業務提携締結
レンタルスペース事業を開始
2020年 メディア事業を開始
2021年 福岡博多に「友安製作所とハンバーガー」開店
2022年 福岡営業所を開設
福井県に物流センターを開設
2023年 大阪府にロールスクリーン工場を開設
福井県にキャンプ場「友安製作所モリノネカワノネIWAYA」をオープン
創業年(設立年) | 1948年 |
---|---|
事業内容 | インテリア・エクステリア・DIY用品の輸入、製造、インターネット通信販売、レンタルスペース事業、飲食事業、工務店事業 |
所在地 | 大阪府八尾市神武町1番36号 |
資本金 | 300万円 |
従業員数 | 132名 |
会社URL |
監修企業からのコメント
この度は取材をさせていただき、ありがとうございました。地域への愛着が深く根付いている点が特に印象的でした。従業員一人ひとりがデザインに関わり、活発に意見を交わしている様子から、会社全体に流れる自由でクリエイティブな文化を感じます。このような環境が、社員の成長だけでなく、企業のさらなる発展にもつながっているのではないでしょうか。今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
掲載企業からのコメント
今回の取材では、同社のビジョンや事業の詳細に興味を持っていただき、ありがとうございました。特に、社員同士の関係性や独自の企業文化についても理解いただけたことが嬉しかったです。インタビューを通じて、同社の強みや日々の取り組みを改めて振り返る貴重な機会となり、非常に有意義な時間でした。