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株式会社会津工場

株式会社会津工場 代表取締役社長 鈴木 直記 

株式会社会津工場は、福島県南会津郡只見町に拠点を置く企業であり、地域に根ざした企業活動を続けている。設立から30年以上の歴史を持ち、精密鋳造部品の製作を主業務としている。創業当初はわずか10名程度の従業員でスタートしたが、現在ではその規模が大幅に拡大し、地域の経済と産業を支える重要な存在へと成長した。
会津工場の技術力と品質の高さは広く認められており、これまでに多くの大手企業との取引実績を誇る。特に注目すべきは、Hプロセス工法による独自の技術である。この工法により、高精度な製品を安定して供給することが可能となり、顧客からの信頼を獲得している。そんな会津工場の魅力を鈴木社長に語っていただいた。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

失敗を恐れない、何事にもチャレンジする会社

会津工場の社風は「何事にもチャレンジする精神」である。創業当初、会津工場は素人集団として始まり、内外マリアブルからの指示を受けながら運営されていた。Hプロセス工法の開発時には、多くの失敗を経験しながらも、そのたびに次のアクションを決定し続けることで、独自の技術を磨き上げた。このプロセスが、現在の会津工場のチャレンジ精神の基盤となっている。
現在、会津工場では「勝手に試作」という独自の取り組みが根付いている。これは、見積もりをいただいた製品に対して、さらに良い製品を試作し、顧客に提案するというものである。この自発的な試作活動は、社員一人ひとりの創意工夫と技術向上の機会を提供し、結果として新しい技術や製品の開発を促進している。
こうした社風が、会津工場の数々の技術革新と高品質な製品を生み出す原動力となっているのである。鈴木社長のリーダーシップのもと、社員全員が挑戦を恐れず、自発的に取り組む姿勢が、会津工場の成長と成功を支えているのだ。

高品質な製品を短納期で対応

会津工場の独自性は、Hプロセス工法を中心とした製造技術にある。この技術によって、高品質で精度の高い製品を提供することが可能である。特に、自動車業界向けのエンジン部品において、その精度と品質が高く評価されている。
営業面でも積極的に市場に出向き、新しい技術や製品を発信している点が強みである。例えば、見積もりをいただいた製品に対して、より良い製品を試作して提案する「勝手に試作」という取り組みを行っている。このような自発的な活動が、会津工場の技術力向上と市場での競争力を高めている。また、独自の技術を駆使して設計から切削加工まで一貫製作でできることも強みであり、効率的な生産管理体制により、見積もりから納品までほぼ2週間程度で対応可能である。
会津工場は、これらの技術力と営業力を駆使して、数々の技術革新と高品質な製品を生み出している。

新しい時代を担うメンバーへの期待

会津工場は、次世代の経営陣を育成し、事業承継を進めている。昨年10月に行われた役員交代では、30代、40代の若手メンバーが新たな役員として任命され、次世代のリーダーシップを発揮することが期待されている。鈴木社長自身は、地元の温泉ホテルの経営を開始し、新たな挑戦を始めている。一方で、日本の鋳物業界は逆風に立たされていると鈴木社長は言う。そこで、中国やインド市場をターゲットにし、グローバルな展開を目指している。これにより、国内外での事業拡大を図り、持続可能な成長を実現する計画である。特にインド市場においては、現地企業との提携を通じて、生産拠点の確立を目指している。海外進出について鈴木社長は、新幹部が中心となってやってほしいという強い想いがある。鈴木社長は次世代にバトンタッチし、自身は新たな分野での挑戦を続ける方針である。
数々の輝かしい受賞歴
高品質の製品を世に送りだしている本社
2019年に新設された南郷工場

確かな技術だからこそ、自分の製品に自信を持ってもらいたい

鈴木社長の入社の経緯は何ですか?

私は高卒で会津工場に入社しました。当時は大学に進学したいと考えていましたが、兄が私立大学に通っており、農家の家庭にとっては経済的に厳しかったため、就職を選びました。高度経済成長期の真っ只中で、とにかく忙しく、毎日寝る間も惜しんで働きました。そういった働き方をしていたものですから受験勉強はできずに大学進学は諦めましたね。入社当初は従業員数も少なく、10人程度でした。私も現場で毎日鉄を溶かしていました。その後、様々な部署を経験しながら技術を磨き、現在に至ります。今振り返ると、その時の経験が私の基盤を築いてくれたと思います。

Hプロセス工法の開発はどのように行いましたか?

Hプロセス工法の導入は、本当に苦労の連続でした。イギリスで開発されたHプロセス工法の特許を購入し、ビジネス化できるようにする開発が始まりました。しかし、工法的にすごく難しく、当時、外注で金型をつくってもらっていたのですが、思い通りにならなかったため、自分たちでつくるしかないと決断しました。機械を購入し、友人を誘って金型工場を立ち上げました。試行錯誤を繰り返しながら数年かけてようやく形にしました。全くの未経験から始めたため、多くの失敗を経験しました。どれだけ失敗しても「次どうする」というアクションを決める必要がありました。その経験が技術力を大きく向上させましたね。

OEM製品をやることになったきっかけは何ですか?

自動車の部品だと組み込まれてしまうと、自分がつくったものが目に見えないじゃないですか。そこで、何か目に見えるもので、自分がつくったと自慢できる製品があれば良いなという想いがあったんですよ。そこで大手メーカーのダッチオーブンの製造に挑戦しました。イベントでその社長と話をし、1週間で試作品を作って持ち込みました。それが評判となり、正式にOEM契約を結ぶことができました。この成功は、私たちの技術力とスピードを証明するものとなりました。現在では、自社ブランド「会炉(AIRO)」も立ち上げ、ジンギスカン鍋などの販売を行っています。この挑戦が、私たちの新しいビジネスモデルの一環となっています。

「人生一度きり」好奇心が会社を担う

株式会社会津工場 製造部リーダー 斎藤 竜二

斎藤リーダーは地元の同級生からの誘いにより、会津工場に入社した。一度は新潟の企業に転職したが、地元に戻ってきた際に再び会津工場に再入社した。現在、斎藤リーダーは第二製造グループのリーダーを務めており、生産調整を主に担当している。また、製造グループのリーダーとしての経験が評価され、品質保証部のサポートも行っている。斎藤リーダーにとって会津工場で働くことは、地元への愛着とものづくりへの情熱を体現する場である。彼は地域の経済発展に貢献し、地元の若者に夢と希望を与えることを目指している。斎藤リーダーのリーダーシップと専門知識は、会津工場の成長と品質向上に大きく寄与している。そんな斎藤リーダーに、会津工場で働く想いと展望について話を伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

地元でも名前の知れた企業と偶然の出会い

斎藤リーダーは高校卒業後、お父様が働いていた建設会社に入社した。その後、町で偶然出会った同級生がきっかけで、その同級生が働いていた会津工場に興味を持ち、入社を決意した。当時、会津工場は地元でも名の知れた企業であり、斎藤リーダーにとっては新たな挑戦の場であった。 しかし、リーマンショックの影響で会津工場の業績が悪化した際、斎藤リーダーは「人生一度きり」という思いから県外への転職を決意。新潟の水力発電の企業に転職し、設備点検の業務に従事した。この経験は彼にとって、新たなスキルと知識を習得する貴重な機会となった。 2012年、家庭の事情で地元に戻ることになった際、実兄が働いていた会津工場に再び入社することになった。地元への愛着と安定した経済基盤が再入社の決断を後押しした。彼は「どんな仕事をしても、こんな仕事があるんだと新しい発見になる」と語り、その好奇心が彼の原動力となっている。

日々の業務の中で達成感を感じる

斎藤リーダーにとって仕事のやりがいは、日々の業務を通じて得る達成感である。特に品質管理業務においては、常に新たな挑戦が待ち受けており、異常品の判断に頭を悩ませることも多い。しかし、こうした困難な状況が彼の成長の機会となっているのだ。斎藤リーダーは、高い専門知識とリーダーシップを発揮し、チームを効果的に導いている。製品の品質向上に向けた取り組みは、会社全体の信頼を築く上で重要な役割を果たしており、彼の日々の業務にもその責任感が色濃く反映されている。 斎藤リーダーが見せる責任感と情熱は、仕事に対する姿勢の一貫性を示している。彼は、どんな困難にも立ち向かい、常に前向きに業務に取り組むことで、自己成長を遂げている。こうした彼の姿勢は、会社全体の成長にも直結しており、斎藤リーダーはまさに欠かせない存在であると言える。彼の取り組みは、これからも多くの人々に影響を与え続けるだろう。

大人らしい姿でふるまえるように

斎藤リーダーは、将来「大人らしい姿」を目指している。彼は現在のリーダーシップをさらに進化させるために、新たな業務や責任を引き受けることで自己の成長を図っている。斎藤リーダーは、様々な部署と関わりを持ちながら、まずは不良を減らすことを至上命題と考えている。彼は製造と品質保証の架け橋となり、より高品質な製品を作り出すために日々努力している。 斎藤リーダーの意欲とリーダーシップは、会津工場の未来において重要な役割を果たしている。 斎藤リーダーの将来のビジョンは、会津工場の成長と品質向上に大きく寄与するものであり、その意欲とリーダーシップは、長期的な成功の鍵となる。彼の取り組みは、これからも多くの人々に影響を与え続けるだろう。彼の熱意とリーダーシップは、会津工場の未来を明るく照らし、会社の発展と共に地域社会にも貢献していくことが期待されている。
高品質、高性能を誇るHプロセス工法
大型かつ複雑な形状も作成できる砂型コア
複雑な形状と剛性が求められる自動車のエンジン部品

会津工場で働く環境とは

会津工場はどのような会社ですか?

会津工場で働いている人は、ほとんどが地元の人なんですよ。だから、社内の雰囲気はとてもフレンドリーで、カチッとした堅苦しさは全然なくて、みんなが世間話を楽しみながら仕事をしているんです。忘年会やお花見なんかのイベントもあって、いつも大いに盛り上がりますよ。
会津工場の一番の強みは、製品の一貫体制です。設計から製造、加工、そして出荷までをすべて自社内で行っているので、納期が早くて、品質の一貫性も保たれています。この体制のおかげで、お客様からの信頼も厚いんです。
さらに、技術的な挑戦を惜しまない姿勢も特筆すべき点です。自社製品の「会炉(AIRO)」をはじめとして、新しい製品開発に常に取り組んでいます。こうした姿勢が、市場での競争力を支えているんですよね。

鈴木社長はどのような人ですか?

鈴木社長って、本当に地元に密着した経営をしている方なんですよね。フレンドリーで親しみやすいんですけど、その一方で強いリーダーシップを発揮しているんです。社員一人一人とのコミュニケーションをすごく大切にしていて、特に会津工場の社員たちからは本当に尊敬されているんです。
社長のすごいところは、会社の発展だけじゃなくて、地域貢献も同時に考えているところなんです。
そんな鈴木社長の姿勢って、ただの経営者ってだけじゃなくて、地域全体のリーダーとしての役割も果たしていると思うんです。だから、会社の発展と地域貢献をうまくバランスさせた経営をしているところが、本当に特筆すべき点だと思います。

今までの仕事でぶつかったことは何ですか?

第一製造グループのリーダーに任命されたとき、右も左もわからない状態で非常に苦労しました。それまでは現場で検査員として指示を受ける立場でしたが、リーダーになったことで、指示を出す側に回り、全く新しい業務を経験することになりました。特に人間関係の調整や業務の進行管理が難しく、時にはメンバー間の言い争いの仲裁にも関わりました。幸い、グループのメンバーは比較的若く、指示には従ってくれましたが、リーダーとしての責任感を強く感じました。コミュニケーションを円滑にするため、あいさつや日常的な対話を意識し、技術的な課題に対しても、製造の予定を立てるなど積極的に取り組みました。毎日がむしゃらに業務に向き合うことで、次第に状況を乗り越えていくことができました。

監修企業からのコメント

この度は、取材にご協力いただきありがとうございました。Hプロセス工法の商業化を通じて、「どれだけ失敗しても、次の取り組みを決める」といった経験が今の会津工場様の文化をつくられたと感じました。また、自分がつくった製品が見えるようにするために、OEM商品や「会炉(AIRO)」などの独自製品を手掛けられていることで、社員様のモチベーション向上も図られており、今後の発展に注目していきたいと考えております。

掲載企業からのコメント

この度は弊社を取り上げていただきありがとうございました。弊社は創業依頼、高品質で、高性能の製品をお客様に届けるべく、Hプロセス工法を主軸とした鋳物に挑戦してまいりました。これからもお客様の声に耳を傾け、より良い製品をお届けできるよう、社員一同取り組んでいく所存でございます。また、社員にもより働きがいのある会社にしていけるように取り組んで参ります。

株式会社会津工場
1973年11月 内外マリアプル㈱千葉工場へ研修のため社員派遣
1975年1月  鋳造工場として創業開始
1977年10月 内外マリアプル㈱会津工場より独立し「株式会社会津工場」となる
1983年10月 新鋳造技術(Hプロセス)を導入し、精密鋳造の量産体制を確立
1988年1月  機械加工工場を新規設立
          シニングセンター、CNC旋盤等を導入し、
          鋳造から加工完成品までの一貫生産体制の確立を図る
1995年2月  高周波誘導炉を導入し、溶解能力の向上を図る
1997年7月  3次元CAD/CAMによる金型の設計製作の体制を確立
2001年9月  Hプロセスの増産に対応する為シェルマシンを増設(全11台)
2003年1月  ISO9001-2000を認証取得し、品質保証体制を強化
2004年10月 新工場増築し、2t電気炉1台、横形マシニングセンター7台、シェルマシン3台増設し
           増産体制を図る
2005年5月  更に工場を増設し、熱処理炉を設置
2015年3月  「がんばる中小企業、小規模事業者300社」選定される
2015年10月 新工場を増設し操業開始
2017年12月 「地域未来牽引企業」に認定される
2018年12月 「ふくしま経済・産業・ものづくり賞」金賞を受賞
2019年8月  南郷工場を新設し操業を開始
2021年2月  遠藤工業㈲をM&Aにより全株式を取得、100%子会社に
創業年(設立年) 1977年
事業内容 Hプロセスによる精密鋳造部品製作、シェルモールド用金型、グラビティ用金型、各種鋳造用金型の製造販売、NCデータサービス及び部品加工、装飾品、調理器具の開発及び販売
所在地 福島県南会津郡只見町大字二軒在家字上タモ721-1
資本金 4,800万円
従業員数 155名
会社URL

株式会社会津工場