「自然と調和した暮らし」を日常にする
株式会社ナチュラル・ハーモニー 代表取締役社長 河名 秀郎
衣食住は本来、化学物質に頼らずとも成立するものである。しかし近年では、より便利に、より効率的に生活するために化学物質に依存している。その結果、様々な病気を生み出してしまっているのではないか。この矛盾した世界を正すべく、「自然と調和した暮らし」を提案している企業がある。それが株式会社ナチュラル・ハーモニーだ。同社では、肥料を一切使わない「自然栽培」という異色の農法でつくられた農産物を提供している。
本取材では、「自然界に存在しないものは異物であり毒である」と断言する河名秀郎社長からお話を伺った。自然と調和することの意義、そして自然栽培へかける思いを紐解いていく。
本取材では、「自然界に存在しないものは異物であり毒である」と断言する河名秀郎社長からお話を伺った。自然と調和することの意義、そして自然栽培へかける思いを紐解いていく。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
大自然から学ぶ姿勢を持ち、自然と調和して生きる
同社の社風について、「常に『大自然から学ぶ姿勢』を各社員が持っていること」だと語る河名社長。自然と調和して生きていくためには、「各人が自分の判断軸を自然の中から見出していく必要がある」と説いている。では、自然から学ぶために最適な場所はどこであろうか。河名社長はそれを「大自然の縮図である農地」だと話す。特に、同社で行っている自然栽培は、まさに自然をそのまま反映させた姿である。肥料も農薬も使わずに、大地の力に頼って行う自然栽培は、大いに自然の力を感じられるに違いない。同社の社員も実際に農地で汗を流しているという。
また、日々の生活の中でも自然の力を感じることはできる。例えば、風邪をひいたとしても人工的な薬を使うのではなく、ウィルスと向き合って自然治癒を目指すのだ。河名社長自身、40年間一滴も薬を飲んだことがないというから驚きだ。
自然から学ぶ姿勢を持ち、自ら「自然と調和する暮らし」を体現していることが、同社の社風と言えるだろう。
新たな価値観を0から作り上げていく商品開発
世の中にはなかった世界観を0から作り上げ、かつ、それを自社で担保できる商材があること。これが同社の独自性だ。新しい価値観を作り上げた理由について「『異常な世界』を正したかったから」と語る河名社長。かつてそうであったように、本来ならば衣食住は化学物質に頼らずとも成立するものである。にもかかわらず現代では、効率を追求し過ぎるあまり、化学物質に依存してしまっていると言わざるを得ないだろう。その弊害として様々な病気が生まれているこの世界を、河名社長は「異常な世界」と表現しているのだ。
その「異常な世界」を正す方法の一つが、同社の行っている自然栽培。農薬も肥料も使わないという異色の農法だ。河名社長は肥料を「『自然に存在しないもの』であり『自然界において異物』である」と捉えているため、肥料を使わないのだという。
理想を追い、0から価値観を作り上げてきた同社。そして実際にその価値観を体現していく同社に今後も注目したい。
人間の生き方を変え、「自然と調和する暮らし」を日常にする
「人間の生き方と思考回路を変え、『自然と調和する暮らし』を日常にしたい」と語る河名社長。なぜなら、人間は自然の恩恵がなければ生きていけないにもかかわらず、便利さを追求するあまり、自然を破壊してきているからだ。ますは「本来あるべき姿を感じてもらうこと」が大切だという河名社長は、それが可能になる商材、自然栽培を確立した。そして、ここからさらに一歩踏み込んで、リアリティー溢れる場を構築しようとしている。現在では、商品を「購入」することによって自然を感じる、という形だが、「滞在」することで衣食住を複合的に体感できる自然空間の実現を目指しているのだ。居住空間も食事も自然のものを使った宿泊施設に、農地を併設する予定だという。「自然空間の良さを体感することで、それを日常にしたいと思ってもらいたい」と語る河名社長は、これを「人間復興プラン」と表現する。「人間復興プラン」により、「自然と調和する暮らし」が日常になる日が楽しみだ。
「自然と調和する暮らし」の普及活動
自然栽培でつくられた野菜
自然栽培には大地の力が不可欠だ
自然界に存在しないものは「異物」である
―「病気」に対してどのような認識を持っていますか
一般的に「病気は悪だ」と捉えられていることが多いですが、僕はそうは思いません。異物が清算される一つの姿が病気なのだと考えています。異物、つまり、化学物質などの自然界に存在しないものによって、体が汚れているために病気になるのです。体が汚れていれば発症しますし、汚れていなければ発症しません。汚れているのならば、病気という形で清算した方が良いですよね。だから「悪」ではないのです。僕はこれまで、衣食住で汚れを取り込まない生活を実践してきました。薬などに頼らす生きる、という生き方は、チャレンジするのが怖い生き方だと思います。ですが、僕は自分の生き方を通して、これが間違っていないことを証明してきたつもりです。
―自然栽培をすることで、農業にはどのような影響がありますか
農産物が害虫や病気に蝕まれることが減りますよ。そもそも肥料や農薬は、自然界においては異物なのです。山を見てください。誰も何も手入れをしていないのに、生命を維持し、それが循環していますよね。農地では、肥料や農薬で土を汚しているからこそ、それを清算するために害虫や病気が発生するのです。自然栽培においては、異物を一切使いません。農家の方からは、初めこそ「肥料無しで農業ができるわけがない」と言われますが、自然栽培にチャレンジしていただくと、「害虫や病気が本当に無くなる。今まで何をやっていたんだ」という感想をいただきます。これからも自然栽培にチャレンジしてくださる方が増えていくと嬉しいですね。
―将来に向けて、注力しているポイントは何ですか
「自然栽培」という方法の認知および普及ですね。「自然と調和する暮らし」をコンセプトに事業を行っていますが、衣食住の中でも特に食が中心になるのは間違いないでしょう。まずは食、つまり自然栽培という新しい価値観をさらに広めていかなければなりません。自分たちの主張や思いが世の中にどれだけ受け入れられているかが、我々の存続に直結しますからね。今では自然栽培全国普及会を発足し、創業当時では考えられない多くの方に集まっていただけるようになりました。生き方について、全く別の視点でものを見ないといけない、と考える方が増えている証拠でしょう。弊社の打ち出すコンセプトを、みなさんにぜひ体感していただきたいです。
生きていく上での選択肢を提示する
株式会社ナチュラル・ハーモニー 卸事業部 副事業部長 奥山 宗之
今回お話を伺ったのは、中途で入社して8年目になるという奥山さんだ。入社を決めたのは、同社の野菜ではなく、ビジネスモデルに興味を持ったからだという。市場の2~3倍の値段が付く同社の野菜。それは、その値段であっても売れるほどの価値があることの証である。健康への気遣いが高まっている中で、同社の自然栽培による野菜が高く評価されているのだ。だからこそ、お客様とも対等に向き合うことができ、各々が個性を生かした仕事をしているのだろう。その同社における自身の夢について、「オーガニックな世界観を広め、選択肢を提示していきたい」と語る奥山さん。本取材では、人々に選択肢を提示するべくウェブショップを展開していく奥山さんの思いに迫る。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
高価な野菜を販売できる、ビジネスの仕組みを知りたい
同社に中途で入社して8年目になるという奥山さん。とはいえ、元々野菜に興味があったわけではなかった。将来的に独立することを視野に入れている奥山さんは、同社のビジネスの仕組みに興味を持ったのだ。 奥様が読んでいた本で同社を知った奥山さんは、同社に興味を持ち、実際に本店に足を運んだ。そこに並んでいたのは、市場価格の2~3倍の値段が付いた野菜。奥山さんは驚きを隠せなかったという。それだけ高価であっても販売できるだけの価値・販売力があることに関心を持ったのだ。 というのも、奥山さんは前職で真珠の養殖に関わる仕事をしていた。真珠であれば、綺麗さ・丸さ・輝き・大きさなどの条件が良ければ必ず良い値段が付く。しかし、同社の野菜は、奥山さんの目には、一般的なものと同じものにしか映らなかったのだ。にもかかわらず、明らかに値段だけは違う。その仕組みを知り、将来的には独立したい。それが奥山さんが入社を決めた理由だ。自社商品に自信があるからこそ、個性を生かした仕事ができる
各々が個性を生かした仕事ができること。それが同社におけるやりがいであると奥山さんは語る。例えば、店舗における接客一つとっても、同社では型にはまった接客ではなく、お客様ととてもフレンドリーな会話を行っているのだという。 かつては「同じ組織に所属している限り、全員が誰に対しても同じ接客をできるべき」と奥山さんは考えていた。しかし、必ずしもそうである必要はないと気付いたという。その理由について、「自分たちが思っている以上に、お客様からの評価が高いから」だと奥山さんは語る。健康への気遣いが高まっている中で、自然栽培という手法が高い評価を得ているのだろう。奥山さんは「一般的に、卸はお客様から低く見られることが多い」と話すが、同社の場合は、お客様からの理解も深い。それゆえ、お客様に対してへりくだることなく、対等に接することができるのだ。自分たちの商材に自信があるからこそ、各々が臆することなく個性を生かした仕事ができているに違いない。オーガニックな世界観を広め、選択肢を提示する
自身の目標について「オーガニックな世界観を広め、選択肢を提示すること」だと語る奥山さん。「オーガニック」と聞くと、「ストイックな世界」つまり「それしか食べない」と思う方も多いだろう。しかし、「もっと楽しく気軽に足を踏み込める世界」であると奥山さんは話す。実際、奥山さん自身も、コンビニで売られているものを食べることもあれば、飲酒もするという。必ずしも、オーガニックなものだけを食べなくてはならない、ということではない。多くの選択肢を知った上で選択をすることが大切なのだ。 選択肢を増やしてもらうために、まずは今担当しているウェブショップの売上増加・知名度向上を目指している奥山さん。「頭ごなしにオーガニックな世界を否定するのではなく、試してもらうきっかけになるようなショップを作っていきたい」と語る。奥山さんが展開するオーガニックな世界。ぜひ一度、試してみてはいかがだろうか。
ブログでレシピも公開している
直営店の様子
奥山さんが手がけるウェブショップ
「選択させられる」のはではなく「自ら選択する」
―入社して良かったと思うことは何ですか
選択肢が増えたことですね。その中でも一番大きいのは、子育てに関することです。入社した翌年に一人目が生まれて、今は子供が二人います。 最初は予防接種やワクチンについて、「ワクチンは打つもの。親の義務」という風に考えていましたが、必ずしもそうではないなと気付きました。180度見方が変わりましたね。
また、食事に関しても、学生の頃はお腹が空けば迷わずファストフード店に駆け込んでいました。ですが、今では一呼吸おいて、自分が一番食べたいものは何だろう、と考えるようになりました。
選択肢を全部を知った上で「これにしよう」と選択できるようになったことが良かったと思いますね。
―貴社がさらなる発展を遂げるために、強化すべきことは何ですか
多様性を残すために、新たなアプローチをしていくことですね。近年、農業を継ぐ方が減り、人々の農業への興味が薄れていると感じます。農法についても、一般的な農業や有機農業、自然栽培など、様々な農法がある中で、農業に携わっていない方にとっては全て「農業」という括りになるのではないでしょうか。人手不足を解消するために、大手企業が畑を丸ごと買い取って大型農場にするという場合もありますが、それでは多様性が失われてしまうのです。多様性を残すためには、まずは興味のない人に興味を持ってもらえるような間口を作っていくことが大切だと考えています。一過性のブームではなく、良い距離感を保ちながら、接点を探していきたいですね。
―奥山さん自身の長期的目標は何ですか
長期的には独立したいと考えています。実家が秋田の田舎にあるのですが、実家に帰ると、過疎化の進行に寂しさを覚えます。例えば、三校あった学校が一校に統合されてしまったり、100メートル歩く間に空き家が9件もあったりするのです。一方で、全国的に見れば、行政と民間が協力して盛り上がっている地方もあるわけですから、自分の地元でもそうなって欲しいと思っています。そのためには、地方と都会を繋ぐものとして、インターネットを上手く活用することが必要不可欠になるでしょう。ウェブショップで培った技術や、集客の方法などが生かせると思います。ウェブショップを自分の思うように展開することができたら、独立したいですね。
株式会社ナチュラル・ハーモニー
1985年 ナチュラル・ハーモニー創業 有機農産物の
移動販売を開始
1988年 自然野菜と自然食材の店 ナチュラル・ハーモニー
を世田谷区下馬に出店
自然野菜と自然食材の業務用卸売りを開始
1991年 有限会社ナチュラル・ハーモニーを設立
1994年 飲食部「レストランアンゴロ」を渋谷区神宮前に 出店
1998年 複合店「プランツ」内に「レストランコア」、
自然野菜と自然食材の店「ファーマーズ」、
及び自然生活雑貨の店「キラ・テラ」を出店
1999年 プランツ2階に「ヒーリングバークーカラ」を出店
2000年 自然野菜と自然食材の店「かかしの夢」を
多摩市聖蹟桜ヶ丘駅ビルに出店
プランツより「インターナチュラルガーデンプランツ」
と改名し、衣・食・住・遊・学のトータルなナチュラル
ライフスタイルショップとしてリニューアルオープン
2002年 天然菌の蔵の里味噌(現在の蔵の郷)をマルカワみそにて
製造委託 天然菌の商品開発に取り組みはじめる
2004年 自然栽培と天然菌だけを取り扱う個人宅配「ハーモニック・
トラスト」立ち上げ
2005年 生産者向け自然栽培セミナーを初開催
2006年 「ナチュラル&ハーモニック プランツ」をあざみ野「三規庭」に出店
個人宅配事業「ハーモニック・トラスト」を東京都世田谷区の
本社から千葉県八街市に移転
2007年 「ナチュラル&ハーモニック プランツ」をセンター北駅横
ノースポートモール内に出店
「ナチュラル&ハーモニック銀座」を銀座に出店
2008年 有限会社より株式会社に組織変更
2009年 自然野菜と自然食材の店「グラーノ」自然食レストラン
「種の家」による複合店「ナチュラル&ハーモニック
レイクサイド店」を埼玉県越谷イオンレイクサイドに出店
2011年 日水土塾開校
自然栽培全国普及会 発足
移動販売を開始
1988年 自然野菜と自然食材の店 ナチュラル・ハーモニー
を世田谷区下馬に出店
自然野菜と自然食材の業務用卸売りを開始
1991年 有限会社ナチュラル・ハーモニーを設立
1994年 飲食部「レストランアンゴロ」を渋谷区神宮前に 出店
1998年 複合店「プランツ」内に「レストランコア」、
自然野菜と自然食材の店「ファーマーズ」、
及び自然生活雑貨の店「キラ・テラ」を出店
1999年 プランツ2階に「ヒーリングバークーカラ」を出店
2000年 自然野菜と自然食材の店「かかしの夢」を
多摩市聖蹟桜ヶ丘駅ビルに出店
プランツより「インターナチュラルガーデンプランツ」
と改名し、衣・食・住・遊・学のトータルなナチュラル
ライフスタイルショップとしてリニューアルオープン
2002年 天然菌の蔵の里味噌(現在の蔵の郷)をマルカワみそにて
製造委託 天然菌の商品開発に取り組みはじめる
2004年 自然栽培と天然菌だけを取り扱う個人宅配「ハーモニック・
トラスト」立ち上げ
2005年 生産者向け自然栽培セミナーを初開催
2006年 「ナチュラル&ハーモニック プランツ」をあざみ野「三規庭」に出店
個人宅配事業「ハーモニック・トラスト」を東京都世田谷区の
本社から千葉県八街市に移転
2007年 「ナチュラル&ハーモニック プランツ」をセンター北駅横
ノースポートモール内に出店
「ナチュラル&ハーモニック銀座」を銀座に出店
2008年 有限会社より株式会社に組織変更
2009年 自然野菜と自然食材の店「グラーノ」自然食レストラン
「種の家」による複合店「ナチュラル&ハーモニック
レイクサイド店」を埼玉県越谷イオンレイクサイドに出店
2011年 日水土塾開校
自然栽培全国普及会 発足
創業年(設立年) | 1985年(1985年) |
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事業内容 | ・無農薬農産物卸売り及び小売り(米穀・青果) ・自然食品(加工食品)小売り ・飲食店及び自然雑貨店経営 ・ナチュラルライフスタイル型店鋪企画構成 (自然食品、雑貨店レストラン等のプロデュース) ・ナチュラル&ハーモニックスクール (医者にも薬にも頼らない生き方講座) |
所在地 | 東京都中央区銀座1-23-16 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 45名 |
会社URL |
監修企業からのコメント
化学物質にまみれた現代を否定し、「自然と調和した暮らし」を提案しているナチュラル・ハーモニー様。企業を存続させるためには、利益を上げることももちろん大切ですが、理想を追い求め、それを最大限に表現している河名社長や奥山さんの思いに感銘を受けました。ぜひお店にもお邪魔させていただきたいと思います。
掲載企業からのコメント
肥料に頼らない農業。薬に頼らない生き方。今のあり方を変えるのは、勇気のいることだと思います。ですが、化学物質に依存した生き方こそが、病気を生んでいるのです。「自然に生きた方が健康でいられる」ということは、僕の体が証明しています。この記事を読み、僕たちの考え方に共感してくださる方が増えると幸いです。