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株式会社トーン・アップ

思い描いたものを、目に見える形に

株式会社トーン・アップ 代表取締役社長 富田 和伸

今回、取材でお伺いしたのは東京都銀座に本社を構える株式会社トーン・アップである。その歴史は100年前の大阪に遡る。創業当時は活版印刷で原版の複製を作るための紙型(しけい)を製造していた、という同社。その後先代が、当時アメリカで最新機械だったモノクロ印刷機に目を付け、網点の技術を日本に輸入し、新聞広告のモノクロ製版事業を始める。「入稿されたデータを各新聞社用にカスタマイズし送稿する」新聞広告製版。この事業で勢いをつけ、カラー化やデジタル化と、時代の流れと共に進化していった。現在は広告製版で培ったノウハウを生かして、デザイン、映像、レタッチ、3DCG、ノベルティ、イベント、印刷、出力など、広告に携わる様々な事業を展開している。創業100年を迎える同社のこれまでの歴史や、これからのトーン・アップについて代表の富田社長にインタビューをした。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

活発な社員同士の交流

社風について、富田社長は「社員の交流が活発」と語る。東京と大阪合わせて約20ほどあるクラブ活動や、その年に目覚ましい実績を上げた社員を表彰するトーン・アップ賞など、他部署とのコミュニケーションの機会が多く、社内は活気に溢れている。また、社員の特徴として、富田社長は「単一の業務だけやっていればいいと思っている人がいない」と語っている。一つの業務にこだわらず、「他の業務もやってみる」という風土が社内には根付いている。日々の業務以外に自分に課題を設定して行動する「プラスワンチャレンジ」や、異なる業種の担当者が協働でプロジェクトを推進していく「コラボチャレンジ」などが評価指標の対象になっているので、自分で手を挙げれば様々な業務に携われる環境が整っている。

新聞広告業界の基準をつくる誇り

独自性を、「新聞カラー広告の色の基準をつくっていること」と富田社長は語る。同社が100年余りで培った、広告製版の「カラーマネジメント技術」。この技術が日本新聞協会に高く評価され、新聞カラー広告の業界標準となる色、「NSAC(エヌザック)=日本新聞アドカラー」を生み出しているのだ。「NSAC」とは、新聞カラー広告の高品質化・安定化を実現するために、日本新聞協会推進のもと、日本広告業協会・日本新聞広告製版会が共同で策定しているものである。広告という特性から、そこにはとてもシビアな色の再現性が求められる。色の基準そのものをつくっているので、日本全国に出版されている新聞のカラー広告には全て、同社の技術が反映されている、と言っても過言ではないだろう。元号が昭和から平成に変わる頃、業界に先駆けてデジタル製版技術を導入し、ノウハウを蓄積できたことが現在の強みにつながる、と富田社長は語る。これからも今まで培ってきた高い技術力とノウハウを活かし、広告業界の縁の下の力持ちとして独自性を追求していくという。

高い技術力で新しいビジネスモデルを確立していく

今後の展望として富田社長は「現在お付き合いしているお客様と、広告製版事業以外でも取引をしていきたい」と語る。同社は広告製版をはじめ、レタッチ、映像、デザイン、3DCG制作など、広告に関してあらゆることがワンストップで行える環境にある。ノベルティ制作や展示会場のブース設営などにまで守備範囲が及ぶのも、同社の強みの一つだ。「受注」する仕事から「獲る」仕事へ、今まで培ってきた蓄積を元に、クリエイティブで勝てる会社に変わろうとしている。ゆくゆくは広告業界では珍しいストックビジネスのようなモデル展開を確立して、お客様の多くの問題を解決していきたい、と富田社長は語る。急速に進むデジタル化の波に呑まれ、激変の時代を迎えた製版業界。高い技術力と挑戦する姿勢を忘れない同社の動向に、今後も注目していきたい。
自社工場である新虎スーパーラボ
本社の一部スペースを来客用にショールーム化
東京、大阪ともにクラブ活動が積極的に行われている

100周年のその先に向けて行っていくこと

人材育成に関する取り組みを教えてください

人材育成の一つとして、3ヶ月おきに私と役員で全社員と面談をしています。弊社では「プラスワンチャレンジ」を設定して、社員一人ひとりが通常業務の他に何か一つアクションを起こすことを目標としています。面談の場では、掲げた目標に対しての進捗状況を確認したり、現在取り組んでいる業務についてヒアリングするなど、社員の成長を促しています。チャレンジ目標で決めた目標は、人事考課にも反映されるので、達成するために皆さん頑張っていますね。後は、社内イベントとして、社員を集めて飲み会を年に4回開催することや、外部での研修にも取り組んでいます。また、改めて評価指標も変更しようとしている最中です。人材育成は短期間でものすごく成果が出るものではないので、コストと負荷をかけてでも行っていきます。

創業100周年に向けて行っている取り組みや挑戦したい事を教えてください

創業100周年に向けては、構想の段階ですが100周年記念社員旅行や、社史の編纂、お客様に向けてパーティーなどを開催することを考えています。これらの運営や企画も、社員のプラスワンチャレンジの一環として、主体的に動いてもらいます。今後、挑戦したいこととしては、海外拠点をつくることです。コストダウンを目的として海外に拠点を置くのではなく、ヨーロッパをはじめとする西洋に海外拠点を持ち、西洋の芸術的な観点や文化を取り入れていきたいですね。また、今はお客様からオーダーがあり納品していますが、納品してから、次のお話をいただくのに、タイムラグがあります。毎月のようにお客様と関われるビジネスモデルを確立していきたいですね。

今後、会社が更に発展するために必要なことは何ですか

本当に皆さんから、様々なアイデアが必要だと思います。皆さんが驚くビジネスやお客様のためになるビジネスのアイデアが社員から上がってきて、それを具現化していく会社にしていきたいですね。現にお客様のためになるビジネスを実現できる素地があり、具現化する環境がこの会社にはあると思います。今よりも様々なアイデアが社内で行き交うようになれば、新しいビジネスモデルも確立できると思います。そのためにも活発に意見が出るような環境も必要ですね。後は、会社としてダイバーシティを強化していきたいと考えています。

色の翻訳家として働く

株式会社トーン・アップ アカウント第3セクション シニアスタッフ 西原 喜之 / 山崎 真由美

今回、インタビューさせていただいたのは、入社10年目の西原さんと入社4年目の山崎さんのお二人である。お二人とも、現在はアカウント第3セクションに所属しており、お客様の要望や表現したいものをWEBや新聞、雑誌、交通広告など様々な媒体で具現化していく仕事を行っている。アカウント第3セクションは、お客様とクリエイティブチームの橋渡し役、いわゆるディレクションの役割を担っている。社内外の多くの人とコミュニケーションを取る機会があり、会社を引っ張って活躍しているお二人に、入社の経緯や自身の夢等のお話を伺った。

伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い

将来を見据え行動していく

同社の入社理由を西原さんは「広告に興味があったこと、トーン・アップの創業が長く安心感があったこと」と語る。前職ではバーテンダーをしており、勤務時間も今とは真逆であり長く続けられる新しい仕事を探していたところ、同社と出会った。「営業は未経験だった」と入社当時を振り返る西原さん。しかし、前職での仕事柄、社長や役員などの要職に就かれている方や幅広い年齢層の方とコミュニケーションを取る機会が多かったこともあり、現在は培ってきたコミュニケーション力を生かして業務にあたっている。 山崎さんは前職では金融関係の仕事に就いていたが、「何か小さなことでも、形に残る仕事がしたい」と思い、転職を決意した。山崎さんの入社の決め手はずばり「富田社長の人柄」。面接時にとても親身になって自分の意見に耳を傾けていた富田社長の人柄に惹かれたという。 お二人とも、常に学ぶ姿勢を忘れず主体的に考え行動できているからこそ、入社時の思いと変わらず、仕事ができている。

自身がつくったものが多くの方の目に触れる喜び

自身のやりがいに関して「自分のつくったものを目にした時」と西原さん。同社の広告は、新聞や雑誌、電車の中吊り広告、パンフレットなど、生活しているなかで目にする機会が多い。社内外の橋渡し役として、多くの方と携わり試行錯誤しながら良いものをつくり上げ、広告が消費者に届けられるまでの一翼を担う。ふと街中で自分が携わったものを見つけた時には、やりがいを実感できる。 「お客様に感謝の言葉をいただいた時」と自身のやりがいを語る山崎さん。クライアントと一緒になって一つのものをつくり上げ、喜んでもらえたときは何より嬉しい。また、各新聞社が開催している広告賞にエントリーし受賞した時にも「やってて良かったなと思う」と山崎さん。広告賞は、”作品”として出稿することもあり、原稿段階からシビアにつくられる。その中で自分の携わったものが受賞した時は喜びも大きい。 お二人が共通していることは、携わったものが形になる瞬間や過程でやりがいを感じている。今日も、お客様のイメージや要望を具現化するため、縁の下の力持ちとしてたゆまぬ努力を重ねている。

会社での存在価値を高めていく

「会社の成長に貢献していきたい」と夢を語る西原さん。同社は、映像制作やスペースデザインなど様々な事業を展開している。現在はグラフィック広告の製版をメインとして仕事をしている西原さんだが、今後はグラフィック広告以外の業務にも積極的に携わり、「何でもこなすプロデューサーになりたい」と目標を掲げる。会社の中で自身の存在価値を高めていくことをめざし、常にチャレンジする姿勢を崩さない。 山崎さんは自身の夢を「お客様が困った時に相談してもらえる存在になりたい」と語る。今でも実際に、担当者伝いに新しい仕事の声掛けをもらう機会があるが、今後はさらに「とりあえずトーン・アップの山崎さんに相談しよう」と言ってもらえるような信頼関係を築いていくため、真摯な姿勢で仕事に取り組んでいく。 営業として、お客様に寄り添いながら、双方が満足するものをつくり上げているお二人なら、必ず夢を実現して、会社の発展に貢献していくに違いない。
社内設備によりハイクオリティな印刷が可能
個人やプロジェクトを表彰するトーン・アップ賞
会社全体で交流の場を設けている

社員一丸となり、会社をつくっていく

富田社長はどのような方ですか

<西原さん>
本当に社員思いな社長です。仕事の関係上、出稿の納期が短い時や複数案件が重なる時は、残業をする場合や朝早くから仕事をすることがありますが、そのような時には社員が集まった時など、体調管理に関して声がけをし、社員の体調を気にかけています。
<山崎さん>
私も社員思いの社長だと感じています。本当に些細なことでも気づき、「いつもありがとう」と一言添えています。会社全体を見ているので、忙しい部署があればすぐに気付いて声をかけていますね。また、富田社長は常に10歩先を見ているので、話していて面白く魅力的です。

トーン・アップのいいところ教えてください

<西原さん>
社員同士の仲がいいところですね。クラブ活動も盛んに行われています。営業も事業によって分かれているので、中には社内では関わりがない人もいるのですが、クラブ活動を通じて一緒に遊びに行ったり、目的を持って取り組んでいることもあり、社内の雰囲気は比較的いいと思います。
<山崎さん>
創業100年を迎える歴史ある会社ですが、新しいことに挑戦し続けているところです。変化を恐れず、映像の企画・製作など、新たな事業に取り組んでいることもいい例だと思います。後は、東京本社と大阪本店合同で行われるトーン・アップ賞で、その年に成果を上げた社員やプロジェクトを表彰するイベントがあることも社員のモチベーションが上がるいい取り組みだと思います。

どんな方に入社してもらいたいですか

<西原さん>
目標に対して努力していく人に入社してもらいたいですね。明るくて素直な人だと、入社してすぐに活躍できると思います。自分としては誰とでも順応できると思うので、正直なところ、暗くなければ誰でも歓迎です。目標に対して努力している人は周りから見ても応援したくなると思いますし、一緒に働きたくなりますね。
<山崎さん>
私は固定概念を持たず、ポジティブに動ける人ですね。この仕事は、常に前向きで人のために役に立ちたい気持ちが人一倍ある人が向いていますね。多少危なっかしくても、チャレンジ精神があり、好奇心旺盛な人のほうが情報をキャッチするアンテナを張ることができるので、一緒に働きたいなと感じます。

監修企業からのコメント

トーン・アップ様は、取材までに富田社長をはじめ、5人の方とお会いしましたが、皆さん明るく仲が良い印象を受けました。おそらく、社員同士のコミュニケーションがしっかり取れる環境づくりを富田社長がつくっているからだと思います。この度は100周年を迎える歴史あるタイミングで、取材させていただきありがとうございました。

掲載企業からのコメント

この度はありがとうございました。取材を受けたことで、自社の歴史を振り返るいい機会となりました。創業100年に向けて、様々な取り組みを考えていますが、お客様との関係を大切にしながら、次の100年に向けて精進して参ります。

株式会社トーン・アップ
1919年 先々代富田厳により大阪市南区に富田製作所を創業
1950年 大阪市天王寺区に移転
1958年 大阪市東区に移転
1959年 2月9日に大阪製版所に社名を改める
1961年 6月1日に株式会社大阪製版所として法人化、先代富田進吉が代表取締役社長に就任
1963年 東京都中央区築地に広告製版会社、株式会社東京トーンを設立
1970年 10月に株式会社大阪製版所が大阪市中央区に移転
1989年 8月1日に株式会社大阪製版所と株式会社東京トーンが合併し、
       株式会社トーン・アップを設立
2000年 10月12日に100%子会社として株式会社イメージ・ラボ設立、広告画像制作を強化
2001年 10月1日に富田和伸が代表取締役社長に就任
2003年 デジタルセンドクリエイティブパートナーズに認定
2007年 株式会社トーン・アップがプライバシーマークを取得
       10月1日に株式会社イメージ・アップを設立、サイネージ制作、SPツール制作業務を強化
2009年 12月:株式会社インディアン・サマーの株式を取得、デザイン制作会社を
        連結子会社とする
2011年 5月:東京本社を東京都港区虎ノ門に移転。
        グループでISO27001取得
        11月11日に株式会社インディアン・サマーを社名変更し、株式会社ポイント・セットを
        設立、プロモーション及びコンテンツ企画事業を強化
2013年 10月1日に広告制作リソースを統合し強化を図るため、
        株式会社トーン・アップが株式会社イメージ・アップを吸収合併
2014年 2月1日にグループのリソース強化を図るため、
        株式会社イメージ・ラボのデジタルイメージング部門を株式会社トーン・アップに、
        株式会社イメージ・ラボは、キャリアプロモーション会社として引き続き運営
        2月:東京本社を東京都中央区銀座に移転
2015年 3月:ISO9001取得
        4月:東京都中央区日本橋茅場町にペーパーポード、
        UVプリンター等ものづくりの拠点を開設
        11月:大阪本店を大阪市西区土佐堀に移転
2016年 4月15日に株式会社イメージ・ラボをグループ外に株式譲渡
        5月:大型デジタル印刷機JetPress720Sを導入、日本橋茅場町のものづくり拠点を
        移転し、港区新橋に"新虎スーパーラボ"を開設
2017年 1月:品川区西五反田に映像制作ブランチ“VCS701”を開設
        2月:新虎スーパーラボのJetPress720Sにおいて、Japan Colorプルーフ運用認証を
        取得
        6月:NSAC2017(日本の新聞広告色基準)キットの製造及び運用をスタート
        12月1日、株式会社ポイント・セットの広告・SP・映像・
        ノベルティの企画制作事業を株式会社トーン・アップに統合
創業年(設立年) 1919年
事業内容 広告製版、印刷・大判出力、各種デザイン制作 映像制作、レタッチ制作、3DCG制作、ノベルティ作成
所在地 東京都中央区銀座7-13-8 第2丸高ビル
資本金 4,800万円
従業員数 145名
会社URL

株式会社トーン・アップ