光軽金属工業株式会社 代表取締役社長 鴻上浩之

「晴れの国」と呼ばれ、温暖な気候と豊かな自然が特徴の岡山県。そんな岡山県で、大型設備を揃え、大きな工場を構える会社こそ、光軽金属工業株式会社である。1950年に設立し、3工法と呼ばれる「ダイカスト鋳造・金型重力鋳造・砂型鋳造」の異なる工法を用いて、日本のアルミニウム合金鋳物づくりを支える同社。そんな同社に、祖父である初代、父である2代目からバトンを受け継ぎ、2012年に3代目代表取締役社長に就任した鴻上浩之社長。今回は、そんな鴻上社長のこれまでの想いと社員への想い、これから先の未来に対してどのようなことを考えているのかなどを中心に話を聞いた。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
お客様に寄り添うフレンドリーさ
鴻上社長が考える光軽金属工業の社風として挙げられたものは、「明るい・フレンドリー」である。全国各地の様々なお客様と取引をしている中で、「光軽金属工業の社員は、とてもフレンドリーだよね」と言われることが多いとのこと。その理由として、光軽金属工業はどんなお客様からの要望に対しても”できる・できない”はさておき、”なんとかしよう”という気持ちを強く持っているからである。社内で検討し、足掻いたうえで、製造をスタートさせるか判断している。一見、簡単そうに聞こえるかもしれないが、この姿勢を75年貫くことは決して容易ではない。このようなお客様に寄り添う姿勢がフレンドリーと言われる所以だろう。この代々受け継がれてきたフレンドリーさは活かしつつ、よりチームを尊重できる社風にしていきたいと鴻上社長はいう。内と外に活きるフレンドリーさを基に、今後どのような進化を遂げるか大いに期待したい。3工法を用いたアルミニウム合金鋳物づくり
光軽金属工業の大きな特徴は、「3工法」である。アルミニウム合金鋳物を製造するうえで、基本的に用いられる工法は「ダイカスト鋳造・金型重力鋳造・砂型鋳造」の3つである。この3つの工法を「3工法」と呼ぶ。一つの製造会社でこの3つの工法を扱えるのは、全国でも約10社ほどと言われている。異なる工法を扱えることによって、お客様の要望に合わせた対応が可能となり、様々な提案が行えるのだ。鴻上社長は、この3工法も今後さらに本気で磨きをかけていきたいと考えているという。「当たり前のことを当たり前にやる」を意識して、3工法における”スピード”と”品質”を追及していきたいとのこと。この「当たり前のことを当たり前にやる」ということを意識することによって、お客様の信頼に繋がり、さらなる受注増が見込めるだろう。3工法という既存の独自性に胡坐をかくことなく、光軽金属工業はさらに磨きをかけていく。管理能力を向上させ、より楽しい職場へ
鴻上社長が見据える未来の姿とは、ものづくりの会社であるため、10年後、20年後と時代の変化、お客様のニーズの変化に対応する会社にしたいとのこと。そのために、鴻上社長が必要だと感じているのが「管理能力」である。おそらく今後、製造業は”省人化・機械化”といった風潮がさらに強まるのではないかという。そんな中で人の力で価値を見出せるものが管理能力であるとのこと。何かが起こってから動くのではなく、常にトラブルや変化のタイミングにアンテナを張り、事前に情報を集約、可視化していくことが大切である。「これまでの時代では…」といった固定概念は捨て、出来る限り新たな当たり前を根付かせ、社員が成長を実感し、仕事を楽しめる環境をつくることが今後の自分の仕事だと鴻上社長はいう。そのためにも、可能な限り意思決定を早くし、社員の成長に今まで以上に目を向けていきたいとのこと。時代の変化とともにこれから先の光軽金属工業がどのように変化していくのか、楽しみで仕方ない。

5つ以上の工場を構える

最大規模のダイカストマシン
未来を見据え、社員へ抱く想い
光軽金属工業おける”人財の価値”とは
どのようなものか教えてください
光軽金属工業おける”人財の価値”は、「新たな創造をもたらしてくれる機会」だと思っています。新卒入社、中途入社関係なく、新たな人財の考え方や姿勢に触れると「あ、そんなことを考えてるんだ」と驚きと気付き、学びを与えてくれます。私にとって、それは非常に貴重なことだと思っています。そのため、これから先、光軽金属工業に入社してくれた人が「こうしたい、こんなところを変えたい」など意見や思っていることがあれば、どんどん発信してほしいです。社内には、複数の部署が集まるプロジェクトが多くあるため、そういった場で持ち味を遺憾なく発揮してほしいと思います。活躍している社員の特徴について教えてください
活躍している社員の傾向としては、とても明るい方が多いと思います。仕事に対して、真剣に向き合いつつ、アクションするときはとても明るい。そんな方が活躍しています。どうしても暗い人っていうのは、何かと理由を付けて行動しないように感じます。それに対して、活躍している方は、「まずはやってみる」を意識して、ポジティブな明るいマインドを持っています。そういったマインドを持ち合わせた方が集まり、光軽金属工業に入社したことによって、さらにその部分を伸ばすことができたと感じてもらえるようにしていきたいです。やりたいを実現できる会社になれるように、私自身も明るく成長していきたいと考えています。社員に期待していることを教えてください
現在の光軽金属工業は、場面に応じて部分最適、属人化している文化が残っています。今後は、これをチームとして解決し、互いを尊重している成熟した関係性を築いていきたいと思っています。そのために、社員には部署間の壁を壊して、先ほど述べた通り、既存の仕組みに満足することなく、チャレンジしてほしいと思います。光軽金属工業は75期目を迎え、次の100年に向けて更なる発展、進化を遂げるために、社員とともに成長することを楽しんでいきたいと思います。社員の成長が光軽金属工業の成長に直結します。これからの未来に大いに期待しながら、日々精進していきたいです。
お客様に寄り添い 世の中に必要とされる会社へ
光軽金属工業株式会社 営業部 谷全悠花
光軽金属工業に入社したのは2021年のこと。岡山県で生まれ育ち、地元に貢献したいという想いと社内の雰囲気の良さから入社を決めた谷全担当。入社後は営業部に所属し、努力を積み重ねてきた。現在では、先輩社員たちから次世代リーダーとして期待されている。そんな谷全担当は、入社して3年目を迎え、後輩もでき、徐々に社内での立ち位置も変わり、見え方も変わってきたという。営業部という光軽金属工業の”顔”という自覚を持ちつつ、日々どのような想いで仕事と向き合っているのか。今どのようなことを考え、どのような未来を見据えているのか。次世代リーダーとして期待される谷全担当の内なる想いに迫る。伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
地元への想い
入社した理由、それは「地元岡山に貢献したい」これに尽きると話す谷全担当。短期大学では、主にPCスキルや正しい言葉の使い方など生活に関わることを学んでいたという。就活生のころは、漠然と生まれ育った岡山県で働きたいという想いを抱いていたとのこと。そんな中、光軽金属工業に出会い、工場見学をした際に社員の方々がフレンドリーに雰囲気良く話をしてくれたり、規模の大きい設備を目の当たりにしたりと好印象だったこともあり、入社を決意した。元々は、事務職を視野に入れていたとのことだが、蓋を開けてみると配属されたのは営業部であった。初めは、自分に務まるかと不安もあったとのことだが、営業部の先輩社員の方々は、とても話やすく、全員がお客様のために責任感を持って仕事をしているという印象を受け、すんなりと馴染むことができたという。谷全担当は、入社したてのやりやすさがあったからこそ、今日まで努力することができたと懐かしそうに当時を振り返ってくれた。結果に繋がるベストな提案
谷全担当は、日々お客様に寄り添うことを大切にしている。光軽金属工業にどれほどの利益が生まれるかなどは二の次であり、金額や納期などがお客様にとってベストとなるような提案ができるように日々訓練している。そのため、お客様にとってベストな提案を行うために、製造部との連携を意識している。基本的にお客様と直接やり取りをするのは営業部であり、その分新たな情報を得ることが多い。新たな情報を得たら、とにかく製造部に伝える。情報はすぐに伝えて、相違がないスムーズな仕事を心掛けている。そういった背景があるからこそ、お客様にとってベストな提案ができ、受注に繋がったときが何よりもやりがいを感じることができるのだと思うとのこと。お客様にとって、光軽金属工業にとって、製造部の方々にとって何がベストなのかを常に模索しながら、営業部として常に仕事に励んでいる谷全担当の姿勢は、今後入社する未来の後輩社員たちに大きな影響を与えるだろう。お客様に必要とされる営業マンへ
谷全担当の夢は、「お客様に愛される営業マン」になることだという。その夢を抱くようになったキッカケとして、過去の失敗が影響しているという。以前、営業担当としてお客様と接している中で、新たな製品を受注したとのこと。通常通り、受注した内容を製造部に共有し、製造をスタートさせ、完成した製品とお客様の要望を照らし合わせたところ、お客様の要望とは異なるものを製造していたことが発覚した。大きく凹んでいると、現課長に、「大きな失敗も中々できることではないし、ポジティブに考え、今できることを全力でやろう」と声を掛けられたとのこと。そこから考え方を改め、お客様に愛される営業マンになるために、些細なコミュニケーションにおいても妥協することなく、試行錯誤を重ね、日々精進することを誓ったという。3年目にも関わらず、多くの成功と失敗を積み重ねてきた谷全担当は、今後光軽金属工業をリードする、愛される営業マンになるに違いない。


期待以上の価値を残していきたい
自身の展望について教えてください
仕事とプライベートを完璧に両立できる社員になりたいと思っています。どちらかが良いときはどちらかが悪いなどではなく、妥協せずに取り組んでいきたいです。私自身、出来れば光軽金属工業で長いこと勤めたいと思っています。その中で、ほかの部署に異動することもあると思いますし、どこに配属されたとしても全力でお客様のため、会社のため、自分のために頑張っていきたいです。光軽金属工業は、若手のうちから活躍できるチャンスを多く与えてくれる会社ですし、そこからは自分自身の努力次第なので、目の前のチャンスを逃すことなく、私を含め若い世代が中心となって、これから先のビジョンに向かって、盛り上げていければなと思っています。光軽金属工業の課題を教えてください
課題と聞かれてすぐに思いつくのは、コミュニケーションに関することですかね。先ほど述べた通り、お客様から得た情報は基本的には全て製造部の方々に共有しているつもりですが、それでも「聞いていない」、「知らなかった」などの声が出ることがあります。直接お客様と関わっている以上、お客様の生の声を可能な限り、伝える責任があると感じています。理想の状態としては、「どんなことでも光軽金属工業のみんなが知っている状態」です。関係者全員が同じ情報を共有していて、いつでも対応できる状態をつくれるように、私自身も仕組み化、見える化できるものはないか模索し、できることから実行に移していきたいと考えています。鴻上社長への印象を教えてください
鴻上社長は、とても優しい方であり、常にアンテナを張り巡らしている方だと思います。仕事中に関しては、「今、どういう状況?」など気軽に声をかけてくれて、気を遣っていただいているなと感じる場面が多いです。営業部なので数字に関する話をすることも多く、目標を達成することができているのか、目標と現状で開きがある場合はどうすればいいのかなどアドバイスをくれます。その他にも、幹部メンバーで定期的に飲みに行かれてるのもよく見かけますし、若手主体で進めているプロジェクトなどには積極的に参加してくれます。鴻上社長を中心に、3工法やお客様に寄り添うといった強みを活かして、発展していきたいなと思っています。光軽金属工業株式会社
1950年
光軽金属工業株式会社を設立
1968年
ダイカスト部門を開設
1971年
瀬戸工場を開設
1988年
加工部門を開設
2002年
技術開発課を開設
2015年
2250トン大型ダイカストマシン導入
2021年
生産管理課を開設
2022年
20トンクレーン導入
光軽金属工業株式会社を設立
1968年
ダイカスト部門を開設
1971年
瀬戸工場を開設
1988年
加工部門を開設
2002年
技術開発課を開設
2015年
2250トン大型ダイカストマシン導入
2021年
生産管理課を開設
2022年
20トンクレーン導入
創業年(設立年) | 1950年 |
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事業内容 | ダイカスト鋳造、金型重力鋳造、砂型鋳造(生砂型鋳造、自硬性鋳造 |
所在地 | 〒709-08548 岡山県岡山市東区瀬戸町江尻1050 |
資本金 | 9,000万円 |
従業員数 | 146名(2023年4月1日現在) |
会社URL |
監修企業からのコメント
今回の取材を通して、鴻上社長より「人財の価値」について学ばさせていただきました。多くの社内プロジェクトが活動しており、明るさを持ち味としている光軽金属工業の社員の皆さまが、今後どのような進化を遂げるのかとても楽しみにしております。鴻上社長、谷全担当、今回は取材をお受けいただき、ありがとうございました。
掲載企業からのコメント
今回の取材を通して、自分が大切にしている想いや社員に対して自分自身が抱いている感情などを改めて、振り返ることができました。多くの社員がこれから先活躍できるように、サポートしていきたいと思います。今後の光軽金属工業にご期待ください。