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フジテック株式会社

社員と向き合い 未来の後輩の為に良い会社を残す

フジテック株式会社 代表取締役社長 藤田昭一

フジテック株式会社 代表取締役社長 藤田昭一
1963年、現社長の父である創業者が1人で製缶業の会社を立ち上げ、フジテック株式会社の歴史が始まった。時代の流れと共に事業形態を変化させた同社は、現在では「曲げ」に特化。鋼材を曲げて、筒状や波状にする、文字通り「曲げ」の分野で事業を展開している。そして同社のある川口市は、日本で一番多く曲げの会社が存在する激戦区。「顧客満足」と「社員満足」の重要性を見出し、この両軸に重きを置いた会社づくりを通じてこの激戦区を生き残ってきた。今後とも激戦区である川口にて確固たる地位を築いていくことを目標に、躍進を続ける同社のこれまで、そして未来に向けた展望について、藤田社長に伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

楽しく意見を言い合いながら、会社の課題と向き合う

藤田社長が何よりも大切にしていることがある。それは、「社員満足の追求」。顧客が高い満足を抱くようなサービスを提供するには、社員の成長が何より大切。そのためには、社員が成長しやすい環境づくり、成長したいと思う環境づくりが重要であると考え、「社員満足の追求」を大切にしている。その結果、同社には社員が主体性を持って考え、話し合う風土ができつつある。一体どんな取り組みをしたのか。例えば、委員会活動。学生時代、委員会活動では誰かに言われるまでもなく、自ら発言し、同級生と話し合い、楽しみながら物事を前に進めてていき、クラスが良くなっていく。そこにヒントを得て、学生時代の様に、楽しく意見を言い合いながら、会社の課題を考えることができれば、と委員会活動に取り組んだ。それが結果として、社員が主体性を持って考え、話し合える環境へとつながった。 単なる社員満足の追求だけでなく、社員の成長を後押しする環境は、一人ひとりの自主性に火をつけたのである。

人材に特化してお客様に選んでもらう

藤田社長の社員教育にかける思いは並大抵のものではない。この思いの根底にあるものは何か。それは、「社員教育は”先行投資”である」という藤田社長の考え方だ。そこに同社の独自性がある。また、その考え方がある同社だからこそ、どんなに経営状態が苦しい時にでも、絶対に社員教育に使う費用や時間を削ることはしないという。 そこまでしてでも、社員教育に力を入れる理由を藤田社長は「社員1人ひとりがお客様と真摯に向き合うための心の教育」と語る。例えば社員が、外部の交流会や研修に参加し、異業種の人間と交流することで、お客様に対する心構えのヒントに気付く。その人から言われたことでない自らの気づきにこそ価値がある。実際に、こういった取り組みの結果、多くのお客様に満足され、同社にお願いする会社が増えたという。 藤田社長が強い思いで取り組む社員教育。その投資の結果が、社員の成長、そして多くのお客様からの満足、ひいては激戦区である川口で勝ち抜く原動力でもあるのだ。

人ひとりの社員に目を配り、向き合うことが大切

同社がある川口市は、日本で一番多く”曲げ”の会社が存在する地域。その地域の中で「最後の1社になれるまで勝ち残っていきたい」と改めて思いを語る藤田社長。「その為には、拡大の路線は取らず、一人ひとりの社員にきちんと目を配り、向き合うことが大切であると考えます」と藤田社長は言葉を続ける。下手に背伸びをするのではなく、一人ひとりの社員と真摯に向き合い、今いる社員の成長を大切にし、次世代につながる人材をつくっていくことを大切にしているのだ。実際に同社では、年に2回、社長との個人面談の機会を設けている。社員が抱いている思いや悩みを聞くことで、社員が成長し輝やくための後押しをしているのだ。 社員に寄り添い、人材の成長に力を入れることで、良い会社を作って行く。それが激戦区、川口を生き残って行く為に何より大切なこと。未来の同社の為の、未来の同社の後輩の為の人材育成。それが今後の肝となる。
全社員での定例会議
全社員での定例会議
親睦委員会主催の全社員伊勢参り
親睦委員会主催の全社員伊勢参り
社員が作る本社前の掲示板
社員が作る本社前の掲示板

激戦区を勝ち残る老舗企業の経営者に聞く

-藤田社長が社員に日々伝えていることを教えてください

私が社員に常日頃から話していることがあります。「上司の顔は見なくてもいいから、お客様に向き合いなさい」と社員に口酸っぱく伝えていますね。社員がお客様満足を追求していかなければ、良い仕事はできないと思っています。そして、お客様満足を追求することを通じて、お客様からの感謝を経験する。その感謝の経験を通じて、体の底から湧き上がってくる思いを知る。そうやって自分自身の成長につなげてもらいたいです。そして、行く行くはお客様はもちろんのこと、世の中や社会に貢献ができる人材に育ってもらいたいです。もちろんその際には、「フジテックにいた社員だからね」と言ってもらたいですね。

―外部交流会等に社員を参加させる目的は何でしょうか

先述の通り、社員の成長の為に、外部の交流会にどんどん参加をしてもらうようにしています。これらの取り組みは社員が学ぶ機会を作ることが大きな目的です。社内の人だけではなく、社外の人と交流を持ち、客観的に自分の会社の事を知る必要があると思うんですよね。また、交流会に参加する事は、自分の知らない世界に行くという、ものすごく勇気が必要なことです。そして、そういう所に飛び込んでいくことで、主体性が身に付き、日々の仕事の中での挑戦心・向上心にもつながっていきます。過去には、私自身も経営者の交流会などに参加し、いろんなことを学んできた経験があるので、とても有効な学びの機会だと自信を持って話をすることが出来ますね。

―藤田社長の考える理想の社長像を教えてください

社員に夢と希望を与えて、輝く人材づくりをしていくことが社長の使命です。私が夢・希望を社員に伝えることを通じて、社員が前向きな姿勢で仕事に取り組めるようになり、それがお客様にも良い影響をもたらすと考えています。夢・希望を語ることが、社員満足、顧客満足につながるのです。逆にもし夢や希望を見せなければどうなるのだろうか、と考えると恐ろしいです。きっと、一人ひとりの社員が本来できたこともできなくなり、その人材の力を100%発揮させてあげることができないこともあるのではないでしょうか。だからこそ、一人ひとりの社員がその才能を発揮して輝いてもらうためにも、これからも夢・希望を与えられる理想の社長像に向かって精進して参ります。
フジテック株式会社 営業部配送課リーダー 木澤伸二

「社員を引っ張る」そんな存在になる

フジテック株式会社 営業部配送課リーダー 木澤伸二

日本で一番多くの曲げの会社が存在する川口市に根を張り、その激戦区で確固たる地位を築いているフジテック株式会社。今回は、同社を支える配送課のリーダーである木澤さんにお話を伺った。同社の配送課は、配送課と言えど、ただ配送をしている訳ではなく、工場で曲げた製品をサービスとして、お客様の元へ直に届ける役割を担っている。その為、配送課ではあるものの、営業に近い形態なのだ。それが故、配送の際には、社内の誰よりもお客様との接点を持ち、お客様の喜びの声やお客様からの要望の声を直接受ける。 そのように、まさに同社の最前線でお客様と直接接点を持っている木澤さんに同社の魅力や若手への思いを伺った。

伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い

自分の技術を生かせる環境がここにあった

元々は運送会社に所属し、同社の担当として製品を運んでいた木澤さん。その際に、藤田社長に製品の積み込みに必要なクレーンを操るプロとしての技術を認められ、藤田社長に誘われ同社に入社をした。入社の決め手となったのは、「自分の技術を生かせる環境がここにはある」と感じたから。同社には、加工した製品をトラックに積み込む、積み荷作業と言われるものがある。この積み荷作業は、曲げた製品をクレーンによって持ち上げる為、正確に重心の真ん中を把握し、釣り上げる必要がある。非常に難しく、特殊な技術が必要になる作業だ。正確に重心を取れないと、積み込みの最中に製品が落下してしまったり、積み込めたとしても、綺麗に積めていなければ配送中に製品に傷がついてしまうこともある。しかし、木澤さんは、前職の運送会社での経験を通じて、その特殊な技術が磨かれていた。自らが持っている特殊な技術を最大限に生かすことのできる環境に飛び込んでいく決意をし、入社に至った。

異業種交流会がきっかけ

配送課のリーダーとして社員を束ねる木澤さん。仕事のやりがいは配送課に関わるメンバーの成長を感じることだ。木澤さんは配送課のメンバーの配車の管理からトラックへの積み込みなど、配送課の司令塔として、責任ある仕事を任せられている。今では全員が協力的でまとまりのあるチームとなったが、それまでには悩んだ時期もあった。実は年下である木澤さんが上司にあたるポジションになり、年上の方々とギクシャクした時期があったという。その時に異業種の交流会に参加し、自分の中の何かが変わったという。同じ悩みを抱える人と話を進めていく中で気付いたことがあったそうだ。「それまでは、自分の気持ちばかりを押し付けるだけであったが、相手の気持ちを尊重するようにすることで、部下が自分のことを理解してくれるようになったんです」と語る木澤さん。今では、お客様からも評判高い良いチームに成長。お客様アンケートでも「配送課の笑顔が良い」という声をもらうなど、非常にやりがいを感じるそうだ。

社員代表として、社長を支える存在に

「夢は配送課の枠を超えて会社の幹部になりたいです」そう笑顔で話してくれた木澤さん。その中でも、自分が社員を束ねる位置に立ち、社長を支える立場として社員の声を拾い上げ、上に挙げていく機能を担っていきたいという。そして、社員全員の幸せ作りに貢献し、より一層、良い会社を作っていきたいと考えている。以前はそこまでのことは考えていなかった木澤さん。会社全体を考えるきっかけを得たのは、外部の勉強会。外部に目を向けると同じような立場にいる人間がいて、互いに会社のことについて話をしたことが会社のことを考えるきっかけになったという。それ以降、会社全体のこと、特に若手に目を向けて、日々の業務を行っている。「生活の為だけの仕事ではなく、仕事に対して楽しいっていう思いを持って仕事をして欲しいですね」木澤さんは力強く思いを話す。若手にとっては頼れる存在として背中を見せつつ、経営陣と社員の架け橋となれるような存在となるために、今後も成長を続けていく。
特殊な技術を要する積み込み作業
特殊な技術を要する積み込み作業
『曲げ』加工中の工場
『曲げ』加工中の工場
同社を支える配送課のメンバー
同社を支える配送課のメンバー

次世代のリーダーに聞く老舗企業の魅力

-フジテックの良いところを教えてください

社員全員がとても真面目であるというところですね。全社員、社長から教えてもらったことは継続して実践しようと心掛けていますね。一例として、挨拶が挙げられます。一般的に弊社のような鉄工所では、お客様が来ても全く気にせず、自分のことに夢中になっているところが多くあるのですが、弊社の場合は、お客様が来た時には必ず全員で挨拶をするという習慣が身についています。これは社長がとても重要視して教えていることなんですよね。そういった真面目な姿を見て、お客様から「良い会社だね」って褒められることが頻繁にあるんです。社長に教えてもらったことを社員一人ひとりがしっかりと実践しているところを見ると、本当に社員全員が真面目なところを感じますね。

―委員会活動があるとお聞きしましたが、どんな役割を担っているのか教えてください

今、社内には4つの委員会が存在しています。各委員会、月に1回ぐらいの活動ですね。例えば、環境委員会があり、その委員会では、毎朝の愛社周辺の掃除や工場内の清掃などを企画・運営しています。「皆でやっていこう」と、いかに社員を巻き込んで実践していくかということを考えていくことが委員会の特徴です。私が感じる弊社の社風として、「決められたことはしっかりとやろう」という社風がありますが、委員会活動を通じて日々社内のレベルが上がっているように感じています。委員会活動があるからこそ、会社全体や個人のレベルアップにつながっていると私は思っています。

―木澤さんの若手への思いを教えてください

今、社内の20代社員はすごく力があるなって感じているんです。この世代が会社の中心になってきているので、非常に良い状況にあると思います。また、若手の存在が、中堅層にとって良い刺激となり切磋琢磨していくことにつながっていますし、若手の元気の良さが会社を明るくしていると感じています。この世代をもっと活躍させていくことが自分の使命であると考えています。若手の皆が楽しく仕事をして日曜日になると次の日が楽しみになる、そんな考え方を皆に持って欲しいですね。今以上に若手が輝くことで、会社全体に対しての影響も大きくなり、会社を大きく動かせる存在になると思っています。これからも若手が活躍できるように良き相談相手として、私を使ってくれればと思います。

監修企業からのコメント

今回、藤田社長のお話をお伺いさせて頂きまして、藤田社長の「人」に対する強い思いを感じることができました。社員に寄り添い、成長して欲しいと願うからこそ、独自の取り組みを行い、社員の成長を後押ししているのだと思いました。改めて人材の大切さに気付かされ、人こそが顧客満足につながっていくのだと認識することが出来ました。ご多忙の中、お話をさせて頂きまして、ありがとうございました。

掲載企業からのコメント

今回の取材を通じて、私が大切にしていた社員教育に対する考え方や社員に対する思いを振り返る良い機会となりました。社員に対する思いを大切にしながら今後も社員が輝ける会社、そして300年後の後輩に良い財産を残していけるように全社員と一緒になって、良い会社作りに精進していきます。

フジテック株式会社 代表取締役社長 藤田昭一
フジテック株式会社
1963年 埼玉県川口市飯塚町において創業者藤田昭男が
      製缶業を個人経営として発足する
1966年 会社組織に変更、有限会社藤田製作所となる
1976年 川口市飯塚町から川口市東本郷に移転
1987年 従来の製缶業、プラント工事業の受注不安定化に伴い
      新たに鋼材曲げ加工業を始める
1988年 製缶業とプラント工事業を廃業、鋼材曲げ加工業に一本化
1990年 埼玉県北川辺町に業務拡張のため、北川辺工場を設立
1995年 埼玉県岩槻市(現さいたま市)に岩槻工場を設立
1995年 株式会社に組織変更 「フジテック株式会社」に社名変更
2002年 本社工場と岩槻工場を合併し川口市江戸に移転
2004年 藤田昭一 二代目社長に就任
2005年 川口工場が埼玉県知事指定「彩の国工場」に認定される
2006年 「企業イメージ画」が第44類金属加工部門で商標登録取得
2007年 ISO14001(環境マネジメントシステム)取得、業界初
2007年 本社を川口市東本郷に移し総務部と営業部の拠点とする
2010年 「川口の元気な企業」に認定される
2012年 「埼玉県多様な働き方実践企業」に認定
2013年 創業50周年
2014年 「川口市技能振興推進モデル事業所」に認定
2014年 各種鋼材のR曲げ加工技術が「川口i-wazaブランド」に認定
創業年(設立年) 1963年(1965年)
事業内容 種鋼材R曲げ加工
所在地 埼玉県川口市東本郷1-6-27
資本金 1,000万円
従業員数 33名(2019年7月現在)
会社URL

フジテック株式会社