株式会社ハイサーブウエノ
代表取締役社長 小越 元晴
寛永期の和釘製造以来、鍛冶職人の町として栄え、金属加工のメッカと呼ばれている新潟県燕三条。そこに本社を構える厨房の板金メーカーがある。それが今回取材させていただいた、株式会社ハイサーブウエノだ。同社では、板金によるハード面はもちろん、安全かつ効率的な厨房にするためのアドバイスによるソフト面でも、質の高いサービス=ハイサーブを提供している。飲食業界に特化し、安全を最優先に考えた同社の板金製造。一貫生産をすることで安全に対する自社の信念を貫き、あえて自社ブランド商品を持たないことで設計自由度が高い厨房の仕組みを提供可能にする。 本取材では、同社の2代目小越元晴社長から、板金製造、そして厨房の仕組みづくりにかけるこだわりを伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
社員が働きやすく幸せになる環境を追求し続ける
同社の社風について「いい雰囲気になってきましたよ」と小越社長が話すように、同社では社員が働いていて幸せになるような環境を追い求め続けている。 元々は、先代社長がトップダウンで指揮を取っていたが、小越社長は社員の自主性を重んじているという。小越社長が「考えるべき問題が、『生きるか死ぬか』から、『どうやったら利益が上がるか』に変わってきている」と自負するように、経営基盤が安定している企業においては、社員に仕事を任せ、経験を積ませることが大切となるのだ。実際、同社においても若手社員が工場長を務めており、世代交代が進んでいる。また、社員旅行や社内勉強会を実施するなど、風土改革にも着手している。 このように、社員が働きやすい環境を追い求めている同社では、明るく、ものを言いやすい関係が実現され、安心して定年まで働けることであろう。全社で一致団結して、さらなる成長を遂げていく同社の今後が楽しみでならない。50周年に向けて、より良い環境づくりは続いていく。
利用者の安全にこだわり抜いた厨房を生み出す
製造において、「納期やコストなど様々な要素があるけれども、うちが一番大事にしていることは安全です」と小越社長が語るように、同社の「安全」に対する配慮は並大抵ではない。 一体なぜ同社では「安全」への強いこだわりを持つに至ったのであろうか。実はかつて、お客様の大手チェーン店において、同社が納入した製品で従業員に怪我をさせてしまうという事故があったのだ。事故が与える影響の大きさを痛感した小越社長は、二度と同様の事故を起こすまいと決意し、「安全」を最優先に考えるようになったという。 また、以前は協力会社の力を借りていたが、同社とは業界が異なるため、板金の角の形状一つ取っても安全性にこだわる同社の考え方はどうしても浸透しづらかった。そのため、同社では厨房板金に特化することにより安全面において差別化を図り、それが同社の強みとなっている。 事故を乗り越え、飲食に特化している同社だからこそ、利用者にとって高い安全性を誇る製品を提供できているに違いない。
お客様のためになる仕組みに、磨きをかけていく
小越社長が「お客様のお困りごとがあるところに、我々がお役に立てるフィールドがある」と話すように、同社はお客様のためになる仕組みづくりに磨きをかけていく。 その一つにお客様の海外展開のサポートが挙げられる。日本の外食産業は海外からの評価が高く、今後海外の規模を増加させていくことが予測される。とはいえ、日本のクオリティを海外で担保することは容易ではない。なぜなら、日本発の大手レストランでは扱っている商品が多く、どうしても現場でのオペレーションが複雑になってしまうためだ。オペレーションが複雑だと、店舗によって味が違うなどの現象が起きてしまいかねない。 このような飲食チェーン店に厨房の仕組みを提供しサポートするべく、同社においても海外進出を視野に入れているという。「日本発のチェーン店のサポートが、我々の生きる道の一つです」と小越社長が語るように、徹底的にお客様に寄り添った仕組みを提供している同社は、今後もさらに発展を遂げていくだろう。



50周年に向けてさらなる改革を進める
―生産性を高めるために意識していることは何ですか
知恵を出して工夫することはもちろん、投資すべき部分には投資をし、適切に機械化を進めることですね。世の中には素晴らしい工場が溢れているので、常にアンテナを張っていますよ。そして、お客様のためになるものであれば取り入れています。もちろん投資計画もありますが、あまり決めつけすぎると本当に必要なものは何なのかを見失ってしまいかねないですからね。全てを機械化することはできませんが、昔から当たり前にやっていることが、必ずしも今も最善であるとも限らないので、お客様のためになるのならば、積極的に投資をしていきます。これにより生産性を上げ、空いた時間で付加価値を追求していきたいですね。
―板金製造におけるこだわりを教えてください
飲食に特化すること、自社ブランド商品を持たないこと、そして、一貫生産をすることですね。 あくまでも我々が大切にしているのは、お客様が安全に働くことのできる環境を作ることです。自分たちのブランド商品を売り出していくことよりも、お客様ごとに本当に必要なものを提供したいと考えているため、自社ブランド商品を持たないのです。お客様が求めていることを実現しようと思ったら、設計自由度が高くないといけないですからね。 また、お客様に提供するものに対して、自分たちで責任を持つために一貫生産を行っています。飲食に特化し、徹底的に安全にこだわっている我々だからこそ、最後まで責任を持ちたいと考えています。
―板金製造を通して、達成したいことは何ですか
板金をただ売るだけではなく、厨房の仕組みを提供し、繁盛店を作っていきたいです。一時的にではなく、永続的に利益の上がる繁盛店を作りたいと思っています。我々の製品を使ってくださるお客様の笑顔が見たいですからね。長く続くためには、やはり安全が大切となります。もちろん、「社員に安心して働いてもらうために、安全を第一に考える」という我々の考えを、世の中全ての飲食店様に理解してもらうことは困難です。ですが、その考えに共感していただけて、これから伸ばしていこうとしている飲食店様のサポートをしていきたいですね。30年、40年と続いていくようなビジネスモデルを作り、繁盛店を増やしていきたいと考えています。
お客様の理想を具現化する
株式会社ハイサーブウエノ
東京営業所 高橋 和也
今回お話を伺ったのは、東京営業所の高橋さんだ。新潟本社で採用され、1年目から東京に配属となった。「配属当初は1年で新潟に戻るつもりだった」と話す高橋さんだが、入社して丸7年が経つ今では、住所を東京に移し、新しい家族もできたという。それほどまでに現在の仕事にのめり込んでいるのだ。 その理由について「良いお客様に出会えたから」と高橋さんは語る。入社当初の何も分からない時に支えてくれたお客様。そのお客様のためにもっと良い仕事がしたい、もっと自分の専門性を高めていきたい、という熱意が原動力となっているのだ。常にお客様のことを第一に考えている高橋さん。本取材では、高橋さんとお客様との繋がりを紐解いていく。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
支えてくれたお客様や業者様のために、良い仕事がしたい
仕事を探していた際に、たまたまご縁があり入社を決めたという高橋さん。営業職を志望していたわけではなく、「2〜3年で辞めると思っていた」と話す高橋さんだが、入社してから既に丸7年が経つ。一体何がそこまで高橋さんを惹きつけたのだろうか。 高橋さんはそれを「良いお客様や業者様に出会えたこと」だと語る。入社当時の、まだ右も左もわからない頃、お客様や、一緒に仕事を行う業社の方々の温かさに支えられたのだ。 同社の営業は、一年目から一人で仕事を行う。高橋さんも例外ではなく、入社してすぐに一つの案件を任された。もちろん、いきなり完璧に仕事をこなせるわけもなく、失敗もあったという。その際に、お客様や業者様に支えられ、様々なことを教わった。そのため、「会社にいるより、外に出ている方が楽しい」と語るほど、お客様や業者様に会うのが楽しみでならないのだ。「支えてくれた方々のために頑張りたい」と語る高橋さん。今後のさらなる活躍に期待したい。
お客様からの「ありがとう」が一番の原動力となる
一番やりがいを感じる瞬間について「お客様に『ありがとう』と言われた時」だと語る高橋さん。常にお客様のことを第一に考え続けているという。 同社の営業は、要望のヒアリングや厨房の設計だけでなく、工事やアフターメンテナンスまで、全ての工程を担当する。そのため、お客様先で何かトラブルがあった場合にも、営業に連絡をもらうだけですぐに駆けつけることができる。厨房器具は、一つが止まることで営業ができなくなることもあるため、そのメンテナンスは緊急を要するのだ。高橋さんは、夜中にお客様先に急行したこともあるという。夜中にも関わらず、「緊急事態に連絡をいただけるのは、信頼していただいている証ですから」と笑みを浮かべていた高橋さん。 利益ばかりを追うのではなく、お客様を第一に考えている高橋さんだからこそ、お客様から深く感謝されるのであろう。その感謝の言葉が、高橋さんの一番の原動力となっているのだ。
専門性を追求して、お客様により良い厨房を提供する
自身の今後について、「『カフェを運営するなら、ハイサーブウエノの高橋君に頼む』と言われるほど専門性を高めたい」と語る高橋さん。その裏には、「現在担当しているコーヒーチェーンのお客様に、より良い厨房を提供したい」という熱い思いがある。 高橋さんは、このお客様と初めから良好な関係性を築けていたわけではなかった。上司から担当を引き継いだ頃、ミスを起こし、クレームに繋がってしまったのだ。しかし、きちんと謝罪をし、信頼を取り戻すべく誠心誠意仕事に取り組んだ結果、そのお客様から感謝のお言葉をいただいた。それ以来カフェが好きになり、「もっとカフェについて知りたい」という思いから、休みになる度に様々なカフェに足を運ぶようになったという。そのこだわりぶりは、奥様から「厨房ばっかり見すぎ」と指摘を受けるほど。 目の前のお客様を何より大切にし、そのお客様のために専門性を追求しようとしている高橋さん。今後も、高橋さんが手がけるカフェに注目だ。



お客様を第一に考えた「ハイサーブウエノの営業」という仕事
―ハイサーブウエノの営業だからこそできることは何ですか
一人で「全部やる」ことですね。弊社の営業は、お客様の所に行って「こんな厨房にしたい」という要望を聞くことはもちろん、その図面化も行います。また、設置工事やアフターメンテナンスまで営業が管理しており、自分達でも作業が行える技術を持っています。業者様にお願いすることもありますが、お客様のためにできることはやっていきたいですからね。もちろん、我々営業にとっては、一人当たりの作業は大変になります。ですが、お客様からすれば、何かお困りごとがあった際に、営業の人間一人に連絡すれば全て解決するので、とても楽になっているのではないかと思います。お互いにフォローもしつつ、基本的には全てを一人で行うことが、弊社の営業ならではの特徴です。
―営業として独り立ちできるまでにどれくらいかかりますか
弊社の場合は、入社した時からお客様の所に基本的に一人で行くことになりますから、それを独り立ちと言うこともできるかもしれません。とはいえ、最初は上司が面倒を見てくれます。弊社のお客様は、長いお付き合いのある企業様が多いので、上司から担当を引き継ぐ、という形になることが多いですね。それまでは上司と連絡を取っていたお客様に、「新しい担当です」と上司から紹介していただき、自分の所に電話がくるようになったら本当の独り立ちと言えるでしょう。初めて自分の所に電話がかかってきた時は、とても嬉しかったことを覚えています。僕は入社から1年と経たずに電話がくるようになりましたし、他の社員も同じくらいで独り立ちをしています。
―高橋さんが最近関わった案件について教えてください
亀戸にある「味噌汁カフェ」ですね。元々は味噌の販売店で、飲食店を出すのは初めてだったため、お店にかけるこだわりがとても強いお客様でした。そのため、厨房設計は困難でしたね。弊社の他にも、様々な業者様が関わっていたのですが、みなさんお手上げ状態で、仕事を投げ出してしまうほどだったのです。 図面を何百枚と描き直し、最終的にはお客様のイメージ通りのものが完成しました。大変ではありましたが、お客様の強いこだわりを具現化するのが僕らの仕事ですから。自社ブランド商品を持たない弊社だからこそ、お客様の思いに寄り添った設計ができたのだと感じています。味噌汁のカフェという、今までにないものをつくったことは、僕にとっても良い経験になりました。
創業年(設立年)
1969年(1969年)
事業内容
①厨房板金設計・製造 ②OEM厨房機器製造・管理 ③総合厨房設計・施工及びメンテナンス ④デザインステンレス加工
所在地
新潟県三条市福島新田丙2406番 栄中央工業団地
資本金
8,900万円
従業員
71名(2017年1月5日現在)
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