株式会社エヌジェーピー
代表取締役 渡邊盛市
株式会社エヌジェーピーは、茨城県那珂市に本社を構えるアスベスト除去、産業廃棄物処理、解体工事などを中核事業とする企業である。創業者で現会長の石井氏が百貨店勤務からアパレル業で起業。その後、浄化槽や側溝の清掃といった事業に将来性を見出し1980年に創業した。そこから現在の産業廃棄物処理業という領域に事業を広げてきた。現在、同社を率いる二代目の渡邊社長は、入社当時から支店の設立などで手腕を発揮していた。そんな中、本社の業績の悪化により立て直しのために本社に異動、そこから倒産の危機のなか社長に就任した。奮闘するなか除染作業という仕事に社会的価値を見出し従事した。そこから業績も回復し、現在に至る。紆余曲折のなか同社を率いる渡邊社長に、社風や独自性、やりがいについて話を伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
挑戦できる安心感を育む、チーム型組織
同社の社風を端的に表すなら「共に成長するチーム型組織」である。石井会長のもとでは強いリーダーシップで事業が動いていたが、渡邊社長の代になってからは、自身から発信するのではなく社員一人ひとりが自ら考え、行動できる環境づくりを進めていくという経営方針へと舵を切った。この背景には、言われてやるより自分で考えて動いた方が楽しいからという考えと、渡邊社長自身が学生時代に野球に打ち込み、培った経験の「チームで勝つ」という価値観が、会社経営においても色濃く反映されている。実際に社員同士の距離は非常に近く、一度退職した社員が再び戻ってくるケースも珍しくない。その中で特に重視していることが、社員との些細なコミュニケーションだ。現代はIT化によってコミュニケーションを取らずに業務が完結するが、業務効率化一辺倒にならず、こまめなコミュニケーションということは大切にしていきたいと語る。チーム型組織は構築段階とのことだが、理想のチームに向かっている。
スピードと一貫性で、信頼を掴み取る
同社の独自性は、大きく二つある。一つは「圧倒的な対応スピードの速さ」、もう一つは「入口から出口まで一貫して担える体制」である。一点目の「圧倒的な対応スピードの速さ」について、同社の顧客からの見積依頼や相談に対して即座に応える姿勢は、多くの顧客から高く評価されている。二点目の「入口から出口まで一貫して担える体制」については、アスベストの調査から除去、最終処分までを一貫して担っている企業は全国的にも限られていることから大きな付加価値となり、他社との差別化を生み出している。そしてその強みを活かした渡邊社長のコミュニケーション力と新たな関係性からビジネスに発展させる経営感覚は、特筆すべきポイントとなっている。その積み重ねにより同社は「安心して任せられる会社」として業界内外に存在感を示している。この独自性が単なる「差別化」ではなく、信頼と経営手腕を基盤にした競争力であるという点が大きな特徴となっている。
人と社会を未来へ導く使命
渡邊社長が描く今後の展望は、「持続可能な成長」と「人材育成・社会貢献活動」の両立である。一つ目に事業面では、アスベスト市場の需要が一巡する未来を見据え、産業廃棄物処理の比率を高めていく方針だ。適正な利益を確保し、それを社員に還元することで給与水準を上げ、人材確保へ繋げたいと考えている。渡邊社長は「人手不足は本質的には賃金の問題である」と語り、業界の構造的課題に独自の答えを出そうとしている。二つ目は人材育成と社会貢献活動である。同社では学生向けの講演を行っており、夢を叶える方法や産業廃棄物処理業界の本当の役割を伝え、災害時に最前線で働く業界の意義を広く発信している。その背景には、未来を担う若者にこの仕事の価値を知ってもらいたいという強い想いがある。さらに社内では教育体制の強化を計画しており、組織全体で人を育てる仕組みを整えようとしている。渡邊社長が持つ展望は、単なる企業戦略にとどまらず、人と社会を未来へ導く強い意志に基づいているのだろう。



仲間と挑戦し続ける誠実な経営が未来を拓く
経営者として転機となった出来事について教えてください。
東日本大震災で、除染や廃棄物処理の現場に携わったことです。正直、体力的にも精神的にも限界に近い時もありましたが、被災地の方々から感謝の言葉をいただくたびに全ての苦労が報われるような気持ちになりました。この被災地での経験を通して、この仕事が単なる事業ではなく、社会や地域の生活を支える使命を持っているんだと改めて痛感しました。この経験が、今の「誠実さとスピードを大事にする経営」の土台になっているのだと思います。経営とは利益を追うだけではなく、人と社会にどう役立つかを常に考えることなんだと、あの震災が教えてくれました。振り返ると、あの経験が私を本当の意味で“経営者”にしてくれたのだと思います。
今後会社を担う人材に求める人物像はありますか?
「挑戦心」と「人柄」の両方を持っていてほしいです。スキルや資格は後から学んで身につけることができます。でも、挑戦しようという気持ちや、人として信頼できる姿勢は、簡単に身につくものではありません。特に弊社の仕事はチームで動く現場が多いので、人柄が現場の雰囲気を左右します。どんなに技術があっても、人との関わり方が雑であれば現場はうまく回りません。私自身も現場で多くの人と一緒に働いてきて、人に恵まれることの大切さを痛感しました。だからこそ「まずは人柄」を大事にしたい。そして中でも、変化に対応できる柔軟さを持ってほしいです。時代も技術も変わるなかで、新しいことに飛び込む人が未来の会社を支えてくれると思っています。
目標を実現するために今後強化していきたいポイントは何ですか?
社長に就任してからの10年は会社を発展させるためにひたすら突っ走ってきました。ですので今後の10年は社員教育をはじめとした社内環境のレベルアップをするために整備をしていきたいと考えています。また、講演や、学校での授業といった社会貢献活動も強化していきたいと考えています。ある高校の授業で、社長になりたい人と聞いた時、誰も手を挙げないということがありました。理由を聞くと、大変そう、責任が重そうといった回答でした。その時、日本の未来に危機感を持ちました。そこから自分の経験を基に授業をすすめたところ5~6人の意識が変わりました。そういった活動により若い人が刺激を受けて、この業界に興味を持ってくれればと思っています。特に自然災害が起こった際の復旧活動は、真っ先に活躍するのが、この業界であるといった社会的意義を発信し、産業廃棄物処理業界のイメージを変えていきたいと考えています。
現場視点のリーダーシップで人が集まり育つ組織へ
株式会社エヌジェーピー
工事部 部長 矢嶋剛史
矢嶋部長は2015年に同社へ入社した。前職は11年間運送業界でドライバーとして従事していた。労働環境や将来性を見据える中で「このままで良いのか」という迷いを抱え始めた時に大学野球部の先輩である渡邊社長との再会を果たし、転職を決断。入社後は産業廃棄物処理の補助からスタートし、福島での除染業務、解体工事の現場、営業業務と幅広い経験を積んだ。その柔軟な姿勢と行動力が評価され、現在は工事部の部長として組織を牽引している。今では人材確保や組織づくりといった経営的課題にも真摯に取り組み、社員と共に会社の未来を形づくる役割を担う存在となっている。そんな矢嶋部長に、現在の仕事のやりがいや今後の夢について話を伺った。
伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
挑戦できる安心感を育む、チーム型組織
矢嶋部長は横浜出身で、学生時代は野球に打ち込んだ。大学進学後は社会人としてのキャリアを模索する中で運送会社に入社し、約11年間運送業界でトラックドライバーとして勤務していた中で、荷物を運ぶ日々は体力的にも精神的にも厳しい状況で、将来を見据えた時「この先ずっと続けて良いのか」という不安が募っていったという。そんな時、大学野球部の先輩である渡邊社長との縁が再び結びつく。先輩からの「今が動く時だ」という助言と、同社での新しい挑戦に魅力を感じ、矢嶋部長は転職する決断を下した。入社後はまず産業廃棄物の補助業務で基礎を学び、その後、福島での除染業務や関越道改修工事など多岐にわたる現場を経験した。さらに営業にも挑戦し、業務領域を広げていった。さまざまな役割を積み重ねる中でリーダーシップを発揮し、現在は部長として活躍している。
目標達成が組織の推進力に変わる
矢嶋部長が最もやりがいを感じる瞬間は「努力が正当に評価された時」である。具体的には、売上や利益といった数字が成果として表れ、それが給与や待遇に反映された瞬間だという。シンプルながらも、その裏には現場での厳しい労働やマネジメントの工夫がある。部門ごとに掲げられる数値目標を達成するには、案件の獲得だけでなく、人材確保やコスト管理、現場調整といった複雑な要素を組み合わせる必要がある。特に人材不足が課題となる中で、必要な人材を揃え、現場を円滑に回すことは容易ではない。しかし、その困難を乗り越え、案件をやり遂げたときの達成感は大きい。さらに、顧客から「任せて良かった」と言葉をかけられる瞬間もやりがいの一つである。現場の安全を守りつつ、工期をきちんと収めることが評価につながるのだ。矢嶋部長にとって、やりがいとは「会社の成長」と「自分の成長」が重なる瞬間であり、その実感こそが日々の仕事の原動力となっている。
社員が安心して働ける環境づくりを目指して
矢嶋部長が描く夢は「組織をより大きくし、社員達が安心して働ける環境を築くこと」である。社長が掲げる「まずは10億円企業へ」という目標に共鳴し、その実現に向けて日々邁進している。しかし、成長の過程で最も重視しているのは「人材の確保」である。人数が増えなければ会社の規模拡大も持続的な成長も望めないと考えており、採用と定着の両立が課題だと語る。給料水準を上げ、社員が安心して生活できるようにすることが第一歩であり、そこから若い人材の採用につなげたいとも考えている。さらに、将来的には社員同士が自然に刺激し合い、部署ごとに「俺たちも頑張ろう」と高め合える組織を理想としている。自身が野球で培ったチーム意識を組織づくりに活かし、立場を超えて意見を言い合える風通しの良い会社にしたいという思いもある。最終的には、社員一人ひとりが「安心して挑戦できる環境」で働けるようにすることこそ、自らの使命だと感じている。



声をかけ、耳を傾け、現場をつなぐ
仕事を進めるうえで大切にしていることは何ですか?
どんな現場でも、まず大事にしているのは「準備」と「確認」です。段取りがしっかりしていれば、大きなトラブルは避けられると思っています。私は現場にはなるべく早く行って、工程や人の動き、資材の流れをチェックするようにしています。それと同じくらい大切なのが、現場で関わる人とのコミュニケーションです。年齢も経験もバラバラな人たちが集まる場所だからこそ、ちょっとした声かけや気配りが雰囲気を左右します。言葉の使い方やタイミングで現場がスムーズに動くことも多いんです。段取りと人への配慮、どちらも欠かせない要素だと感じています。最終的に現場が安全に終わるかどうかは、技術だけでなく「人を見て動けるか」が鍵になってくると思います。
矢嶋部長にとってのリーダー像を教えてください。
リーダーというのはただ前に立って引っぱるだけではなく、「全員の声をちゃんと聞ける人」だと思っています。指示を出すことももちろん大事ですが、その前に相手の話に耳を傾けることが欠かせません。現場ではいろんな立場の人が集まるので、みんなが意見を出しやすい雰囲気づくりがポイントになります。自分の考えだけを押し通すのではなく、うまく調整して方向性をまとめていく。そういう存在が理想のリーダー像です。特に私は前に出るというよりは「真ん中にいて支える」ような立ち位置を意識しています。仕事がうまくいったときは自分ではなく周りを立て、何かあったときは自分が責任を持つ。そのくらいの覚悟でチームと向き合っています。
後輩や若手社員に伝えたいことはありますか?
後輩や若手社員に伝えたいのは、焦らず、一つひとつ積み重ねていけば大丈夫ということです。私自身も最初はわからないことばかりで、何度も失敗してきました。ただ、その都度学びがあって、続けていくうちに少しずつできることが増えていきました。成長というのは、そういう積み重ねの中で自然と形になっていくものだと思います。仕事では「できないことを素直に伝える」ことも大切です。無理をしてわかったふりをしてしまうと、後で大きなトラブルに繋がることがあります。わからないことを聞ける素直さも、立派な力だと思います。慣れてくると、少しずつ周囲を見る余裕が生まれて、次は後輩をサポートする側になるかもしれません。その時に「自分も助けてもらったな」と思い出せる人であってほしいですね。
創業年(設立年)
1980年
事業内容
産業廃棄物 収集・運搬、下水管高圧洗浄清掃など
所在地
茨城県那珂市豊喰字東屋敷306番地の7
資本金
1,200万円
従業員
45名
会社URL
キーワード検索
監修企業からのコメント
掲載企業からのコメント