株式会社ダイワハイテックス
「守ること」と「進化すること」への責任と覚悟

株式会社ダイワハイテックス

大石 智也 代表取締役

創業者が築き上げた企業を受け継ぐために必要なこと、それは守りではない。時代の変化や会社の現状に合わせて企業を進化させることである。さらに、どんなに優れたビジネスモデルがあっても、働く人達が力を発揮できる土台がなければ企業は勝ち残ることはできない。今回話を伺ったダイワハイテックスは、コミックシュリンカーで国内トップクラスのシェア実績をもち、EC事業者向けの物流効率化支援サービス「CARGOWELL(カーゴウェル)」を展開するなど、強固な土台がある。その一方で、「社員がより力を発揮できる環境には、まだ整えるべき課題がある」、そう語るのは、同社を率いる二代目、大石智也氏である。創業50年という節目を目前に控えた同社。自身の思いや覚悟、未来へのビジョンなど様々なお話を伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

挑戦の文化を「深化させる」環境づくり

同社の社風は、創業者である会長が築き上げた挑戦する文化と、大石社長が目指す人を大切にする組織づくりが融合している点にある。会長は「ニッチトップ」を掲げ、自ら新たな市場やビジネスモデルのアイデアを発信し、その実現に向けて社員を力強く牽引してきた。その先見性と行動力は、コミックシュリンカー国内トップシェアという実績を生み出し、現在もエンジニアたちに受け継がれている。一方、大石社長は、その挑戦する文化を未来へつないでいくためには、人が安心して長く働ける環境づくりが欠かせないと考えている。評価制度や人材育成の充実に取り組むほか、若手エンジニアが成長できる環境づくりや、一人ひとりの働き方に寄り添った制度整備を進めている。その結果、産休・育休からの復帰や、退職した社員が再び戻ってくるケースもある。挑戦する文化を受け継ぎながら、人を育て、人が定着する会社にすることこそが、大石社長が描くダイワハイテックスの社風なのである。

機械ではなく、価値を届ける

ただ機械を販売することではなく、お客様の事業そのものを支える提案を行い、価値を提供している点に強みがある。同社は創業以来「下請けはしない」という考えを貫き、自社で企画・開発・製造・販売まで、一貫して手掛ける体制を構築してきた。そのため、お客様ごとに異なる課題へ柔軟に対応し、最適な設備を提案し、開発できる強みを持っている。さらに、設備を納品して終わるのではなく、保守サービスや消耗品の供給、運用支援まで継続的に関わっていく。そのなかで、お客様からの何気ない声を聴き逃さずに応える企画・開発・提案力と、常にお困りごとに寄り添う姿勢が深い信頼に繋がっている。こうした積み重ねにより、単なる設備メーカーではなく、お客様の生産性向上や事業成長を「ともに実現するパートナー」として評価されている。お客様にとっての価値を提供し続ける姿勢こそが、同社が長年選ばれ続けてきた最大の独自性なのである。

社員の幸せと、地域から必要とされる企業へ

同社が目指す未来は、企業規模の拡大ではなく、創業者が築き上げた黒字経営を維持しながら、社員一人ひとりが幸せを実感できる会社をつくることである。大石社長は、会長のように新たな事業を次々と立ち上げ、会社の基盤を築くことは自分にはできないと率直に語る。その一方で、創業者が築いた確かな土台をより強くすることこそ、自身に課せられた役割だと考えている。その実現に向けて、人事評価制度の整備や、福利厚生の充実とともに社員それぞれの働き方に合わせた環境づくりにも力を注いでいる。また、板橋区に根差す企業として、地域社会への貢献も重要な使命と捉え、地域イベントへの参加に加え、自ら企画・運営する取り組みにも挑戦していきたいと考えている。創業者が築いた経営基盤を守り、その中身をさらに進化させることで、社員、お客様、地域社会のすべてから必要とされる企業であり続けることこそが大石社長の描く同社の未来なのである。

自身が考える「役割」と「責任」

事業承継の意思が固まったきっかけはなんでしたか?

私自身、父である会長から「会社を継げ」と言われた記憶はなく会社を継ぐ意思はありませんでした。入社してからは大阪支店でコミックシュリンカーの修理業務を担当し、その後は東京で修理担当、経理や総務、人事などさまざまな業務を経験しながら業務全体を学んできました。転機となったのは、年齢を重ねるにつれて交流する人たちが変わり、同世代の経営者や会社の中核を担う方々と接する機会が増えたことで、自分が経営者の息子として会社を託される立場にいることは決して当たり前ではなく、恵まれた環境なのだと気付きました。そして、父が築き上げてきた会社、父の思いを守り、次の世代へつないでいきたいという気持ちが固まりました。与えられた機会を生かしたいという気持ちが、経営者の視点で会社を考えるきっかけとなり、後継者としての覚悟につながりました。

会社づくりのなかで大切にしていることはなんですか?

私自身が学び続ける姿勢を持つことです。社員は会社の方向性や判断を求めて社長のもとへ相談に来ます。だからこそ、私自身が多様な視点からインプットを重ね、より良いアウトプットができる状態でいることを意識しています。製造業だけでなく、リゾートホテルなどサービス業の取り組みからお客様への価値提供方法を学んだり、さまざまな業界の経営者との交流を通じて新しい考え方に触れたりすることも大切な時間です。そして、創業者である会長から学んだ「できない理由ではなく、どうすればできるかを考えよう」という姿勢は、今でも私自身が最も大切にしている価値観です。社長が学び続け、その考えを社員へ発信し続けることが、挑戦する組織文化を育み、会社の成長につながると考えています。

大石社長が今後、取り組んでいきたいことはなんですか?

私が今後取り組んでいきたいのは、社員一人ひとりが「この会社で働いていて良かった」と思える環境をつくることです。そのためにはブランド力を高めることはもちろん、人事評価制度や福利厚生の充実、拠点ごとに異なる運用ルールの見直しなど、働く環境をさらに整えていく必要があると考えています。また、社員それぞれの立場や働き方に合わせた制度づくりや、ユニフォームなど日常のなかで会社への愛着や誇りを感じられる環境も整えていきたいと思っています。こうした取り組みは、小さな改善かもしれません。しかし、その積み重ねが社員の幸福感を高め、「ダイワハイテックスで働いていることが誇りだ」と思える組織づくりにつながると信じています。そして、その誇りを持って働く社員が増えることこそが、お客様へより良い価値を提供し、会社のさらなる成長につながると考えています。

現状に満足せず、技術者としての成長実現へ

現状に満足せず、技術者としての成長実現へ

株式会社ダイワハイテックス

制御・改善設計 包装機械設計士 藤巻裕登

お客様の要望を形にするためには、営業・設計・製造など、それぞれの専門性が結び付き、互いの知識や経験を活かし合うことが欠かせない。同社で機械設計を担う藤巻氏は、そのつなぎ役として数々の開発案件に携わってきた。入社当初は、自らの技術力を高めることに注力していたが、経験を重ねるなかで、より良い設備を生み出すために必要なのは、高い技術力だけではなく、人と人とのコミュニケーションであることを実感したという。近年では、部署の垣根を越えた情報共有や打ち合わせを積極的に行い、チーム全体でものづくりに取り組む文化づくりにも注力している。今回は、機械設計という立場から数々の開発に携わり、技術だけでなく組織づくりにも向き合う藤巻氏に、ものづくりに対する想いや、現場で大切にしている考え方について話を伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

やりたいことができる会社

自らの手で機械をつくり、一部の工程や部品に携わるだけではなく、完成までを見届けたいという想いをもっていた藤巻氏。父と兄も製造業に携わる、ものづくり一家で、幼い頃から機械に触れ、育った。そのため大学でも機械や制御について専門的に学ぶ道を選び、就職活動では数多くの製造業を検討するなかで、決められた製品を製造するのではなく、お客様ごとに異なる課題に対し、自らの手で一から設備をつくり上げる同社に魅力を感じ、入社を決意した。その後は修理担当として経験を積んだ後、機械設計に携わることとなる。そのなかで良い設備は技術力だけでは完成しない、設計や営業、製造など多くの部署と連携し、それぞれの知識や経験を持ち寄ることで、お客様が求める設備が形になっていくことを学んだ。だからこそ、自らの技術を磨くだけではなく、相手の考えを理解し、チームとして成果を生み出すことも重要な役割だと考えるようになったという。技術者としてだけでなく、社会人としても大きく成長させてくれたのである。

仲間と課題を解決する喜び

お客様から寄せられる難しい要望を仲間とともに形にできた瞬間にやりがいを感じるという。設備開発では、既存の仕組みをそのまま応用できる案件ばかりではない。実際に包装機の梱包可能な厚みを拡大する案件では、単純な設計変更では対応できず、機械設計と制御設計の双方で新たな発想が求められた。そこで担当者同士が何度も打ち合わせを重ね、スケジュールを共有しながら試作と検証を繰り返した結果、お客様の要望を実現する設備を完成させることができた。こうした経験を通じて、一人の技術者だけでは解決できない課題も、仲間と知恵を出し合えば乗り越えられることを実感したという。設備が完成した時の達成感はもちろん、お客様から「ありがとう」の言葉をいただいた瞬間は何ものにも代え難い喜びである。技術を磨き続けることはもちろん、人との連携を深めながらより良いものづくりを実現することが、現在の大きなやりがいとなっているのである。

エンジニアとしての能力向上と信頼の構築

藤巻氏が目指しているのは、機械づくりの技術にとどまらず、AIや画像認識などの新しい技術を積極的に取り入れ、お客様の課題をより高度に解決できる技術者になることである。現在もAIや画像認識について学びを進めており、設備に設置したカメラの映像を解析し、不具合の原因究明や予防保全へ活用するなど、機械メーカーだからこそ提供できる新たな価値を模索している。その原動力となっているのは「もっと良くできるのではないか」「自分でできるようになったら面白い」という探究心である。新しい技術に触れるたびに、自ら調べ、試し、形にしていく過程そのものに大きなやりがいを感じているという。だからこそ目指しているのは、単に知識や技術を身に付けることではない。お客様や社内の仲間から「藤巻に頼めば解決してくれる」と信頼される存在になることである。技術の進歩を柔軟に取り入れながら、自らも学び続け、新たな価値を生み出す技術者であり続けること。それが藤巻氏の描く未来なのである。

原動力はあくなき「探求心」と「情熱」

チームでものづくりを進める上で、大切にしていることを教えてください。

入社当初の開発現場では、一人の担当者が案件を最後まで完結させることが多く、良くも悪くも「個人の技術力」に頼る場面が少なくありませんでした。しかし近年は、お客様から求められる設備が高度化するなかで、一人だけでは解決できない課題が増えています。そのため、案件の初期段階から機械設計や制御設計、営業など関係するメンバーが集まり、それぞれの視点で意見を出し合うようになりました。実際に、バブルシート包装機の改良では、何度も打ち合わせを重ねることで新しい発想が生まれ、お客様の要望を形にすることができました。技術は個人の知識だけで生まれるものではなく、多様な経験や考え方が重なり合うことでより良いものになります。だからこそ、これからも部署の垣根を越えた対話を大切にし、チーム全体でものづくりを進める文化を育てていきたいと考えています。

大石社長はどんな人ですか?

一言で表すなら「言葉より行動で会社を良くしていく人」です。会長のように多くを語るタイプではありませんが、その分、社員の働く環境や会社をより良くするために、常に新しい取り組みを考えてくださっています。福利厚生や制度の見直しだけでなく、新規事業を考えるブレークスルーのための勉強会など、部署や拠点を越えて社員同士が交流し、新しい事業を考える取り組みを企画してくださったことも印象に残っています。普段なかなか話す機会のない社員同士が意見を出し合い、一つの目標に向かって取り組むことで、新しいつながりや発想が生まれました。もちろん、すべてが思い通りにいくわけではありませんが、「会社をもっと良くしたい」という想いを持って、さまざまな挑戦を続けてくださっていることは社員にも伝わっています。だからこそ、私もその想いに応えられるよう、自分自身も成長し続けたいと思っています。

今後、進化させていきたいポイントは何ですか?

私が今後進化させていきたいと考えているのは、一人の技術者に頼るものづくりではなく、チーム全体で設計や開発を進められる体制です。現在は案件ごとに担当者が中心となって設計を進めていますが、構想段階では頭の中にあるイメージをそのまま引き継ぐことが難しく、途中から別の人が加わると対応しづらい場面もあります。そのため、特定の人しか分からない状態をなくし、設計の考え方や進捗を共有しながら、誰でもスムーズに案件へ参加できる仕組みをつくっていきたいと考えています。そうすることで、一人では思いつかないアイデアが生まれ、品質や開発スピードの向上にもつながります。そして私自身も、「藤巻に頼めば解決してくれる」と信頼される技術者でありながら、自分だけに頼る組織ではなく、チーム全体で価値を生み出せるものづくりを実現していきたいと思っています。

監修企業からのコメント

コメント
今回の取材を通して、大石社長が創業者である会長の築き上げた文化を受け継ぎながら、自身が果たすべき役割を明確に見据え、組織づくりに真摯に向き合う姿勢が強く伝わってきました。社員を大切にしながら進化を続ける貴社の今後の更なる躍進を楽しみにしております。

掲載企業からのコメント

コメント
今回の取材は、創業者が築いた挑戦の文化を守りつつ、二代目として「人を大切にする組織づくり」を進める私自身の役割を再認識する貴重な機会となりました。制度の見直しや働く環境の整備を通じ、社員が誇りを持って働ける会社をつくることが、お客様へのより良い価値提供に繋がると実感しています。今後も学び続け、社員が「この会社で働いて良かった」と思える会社を目指していきます。

株式会社ダイワハイテックス

創業年(設立年)

1978年

事業内容

包装機械、包装資材、書店用関連備品、省力化機械、制御用品機械等の、企画・設計、製造、販売

所在地

東京都板橋区坂下1-34-27

資本金

6,000万円

従業員

66名(令和7年11月現在)

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