みすゞ建設株式会社
代表取締役 宮下 真一
2017年、「SUUMO住みたい街ランキング関東版」でNo.1に返り咲いた街、吉祥寺。この誰もが憧れる街において、今年で創業50周年を迎えた企業がある。それが今回取材させていただいた、みすヾ建設株式会社だ。サンロード商店街もなく、ただの田舎町だったという頃から吉祥寺で本格的に事業展開し、吉祥寺と共に成長してきた同社。地元に特化することで、お客様と物心両面でのお付き合いができ、深い関係性を築いている。建設会社ながら、「家を売ることではなく、お客様のお悩みを解決することが最優先」と語るのは同社の2代目宮下社長だ。本取材では、同社と吉祥寺という街、そしてそこに住む人々との関係性を明らかにしていく。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
家を売るのではなく、お客様のお悩みを解決する
同社の社員には、お客様の家に関わるお悩みやご相談ならば、どのようなものでも受け止める姿勢がある。それは、「家を売る」ためではなく、あくまでも「お客様の”住まい”に関するお悩みを解決する」ための提案をするという文化が根付いているからだ。 「極論、家を建ててもらわなくても構わない」と宮下社長が話すように、様々なお悩みを聞いている同社には、「家を建てる」ことに関するご相談だけがくるわけではない。高齢者の多い吉祥寺という街においては、相続や介護の問題が生じることが多いという。専門外の話にはなるが、親身にお話を聞き、必要に応じて税理士などの専門家の紹介も行っている同社。的確な紹介をするために、相続や介護のことについて現場社員への研修も実施しており、受け入れ態勢が整っているのだ。 「ニーズがあるところに商売は発生する」と語る宮下社長。お客様のお悩みを聞くことからスタートしているからこそ、ニーズを的確に把握し、お客様に寄り添った提案ができるのだ。
地元吉祥寺に特化することで積み重ねられたノウハウ
同社の何よりの強みは、地元吉祥寺に特化した経営を行うことで得られたノウハウだ。2017年、住みたい街ランキングNo.1に返り咲いた吉祥寺。とはいえ土地は高く、一般的なサラリーマンが家を持つことは困難だという。そのため、吉祥寺に持ち家があるのは、高齢者である場合が多い。同社のお客様も、65歳以上の方の割合が高いのだとか。吉祥寺に特化している同社では、吉祥寺に住む方の特性を深く理解しており、お客様へ的確なアプローチを行うためのノウハウが積み重ねられている。 例えば、65歳のご夫婦からのリフォームの依頼。同社では、新築からの付き合いのため、家族構成も熟知している。これにより、お孫さんの誕生話を聞くと、6年後の小学校入学に備えて娘夫婦が吉祥寺に引っ越してくる可能性も考えて、将来2世帯住宅にリノベーションできるような提案ができるのだ。 このように、長きにわたり地元吉祥寺に特化して住宅を手がけてきた同社だからこそ、他社とは一線を画したノウハウが蓄積されているのだ。
地元特化の強みを生かし、リピーターを増やしていく
「一般的には『家は一生に一度の買い物』と考えられていることが多いが、うちの場合はそうではない」と話す宮下社長。新築の購入から30年ほど経つ間に、様々なリフォームを行い、子供世代と2世帯住宅を建てるなど、金額としてはほぼ3棟分になる例も稀ではない。このように、リピーターをさらに増やしていくことを目指している。 経済が縮小している現代において、大手企業は海外へとその販路を広げている一方、同社はあくまでも吉祥寺というエリアにこだわり抜く姿勢だ。宮下社長は「不動産は『不動』のものだから、外に行けばいいという話ではない」と語る。新築で家を建てた時から時間が経つと、家族構成が変わり、生活も変わる。生活が変われば家に求められる要件も変わる。吉祥寺という街に根をはっているために、街中でお客様に会うことも多い同社だからこそ、その時々で求められるものを敏感に察知することができるのだろう。今後もリピーターを増やし続け、吉祥寺という街とともに、さらなる発展を遂げていくに違いない。



街と共に成長していく
―どのようにして事業を拡大してきたのですか
最初は分譲住宅からスタートしましたが、お客様と真摯に向き合うことで信頼を獲得でき、やがて注文住宅も扱えるようになりました。注文住宅では、発注者様がその家に住むことになりますし、一生かかってお支払いいただくようなものですので、当然評価もシビアになります。当時は随分怒られましたね。ですが、すぐ近くのお客様ですので、何かある度にリフォームして、ということを繰り返していました。その経験が今に繋がっていますね。お客様に育てていただいた部分が大きいと感じています。時代の流れや、お客様の求めるものを追求した結果、木造だけでなくRC、新築だけでなくリフォームと、事業を拡大してこられました。今後もお客様のご希望を叶えられるような事業展開をしていきます。
―同地区の競合他社について、どのようにお考えですか
近くの工務店などは、一見競合のように思えますが、私はそうは捉えていません。地元の中小企業とは、競り合う必要がないのです。むしろ手をつないで、一緒に街を良くしていきたいと考えています。それよりも、大手企業に地元のお客様を取られることを恐れていますね。大手企業は資金力があり、関連会社も多いため、一度大手企業を使われたお客様は、中小企業を頼っていただける可能性がほぼなくなります。そのため、お客様に「地元の工務店を使おう」とさえ思っていただければ、それがライバル会社であっても問題ないのです。現在、工務店とグループを組んで、社員研修も行っています。共に次世代の現場職の方を育成し、街を良くしていきたいですね。
―改めて「みすヾ建設」を一言で表現するとどうなりますか
技術や売上ももちろん大切ですが、何よりも地元に特化した「住まいの相談屋さん」ですね。お住いのことでお困りごとがあれば、何でもご相談していただきたいと考えています。お困りごとを聞く中で、新築やリフォームなど、我々がお手伝いさせていただけることがあればありがたいですが、それはあくまでも結果論です。新築やリフォームは我々の要望であって、お客様からすれば、「今ある不満足をどう解決するか」が最重要ですからね。お客様が現在何に不満を抱えているかを汲み取り、さらに我々の経験から推測されることを提示しています。お客様から「宮下さんの言った通りになったよ」と喜んでいただけると嬉しいですね。
こだわりを追求した設計
みすゞ建設株式会社
設計部 課長 髙野 良子
今回お話を伺ったのは、同社に中途で入社し、設計部に所属している髙野さんだ。元々建築を専門に学んでいたわけではなかったが、純粋な興味からこの世界に飛び込み、それ以来設計に携わっている。設計において、一から全ての仕事を任せられる同社で、自身のこだわりを思う存分発揮している髙野さん。情報の溢れる現代において、最新の技術を学ぶための努力も惜しまない。また、技術だけでなく、常に実際に住むお客様の立場に立ち、お客様の思いを汲み取ることにも余念がない。営業部や工事部の社員と三位一体となって、お客様の理想の家づくりを追求しているのだ。本取材では、髙野さんの設計にかける思いを紐解いていく。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
自分のペースで仕事ができる環境を追い求めて
前職でも現在と同じ設計士の仕事をしながら、同社に中途で入社した髙野さん。一体何が髙野さんを惹きつけたのだろうか。それは、「自分のペースで仕事ができること」だと髙野さんは語る。 前職では残業が多く、仕事とプライベートが両立できなかったという。人間誰しも、プライベートが犠牲になれば、仕事にも影響が出てしまうものではないだろうか。髙野さんも例外ではなく、両立が可能であると感じた同社へ飛び込むことを決めた。実際に入社してみると、プライベートとの両立はもちろん、自分が勉強したいと思うことを自由に学ぶこともできているという。また、ハウスメーカーのショールームなどにも足繁く通っている。同社では、任せられる仕事の裁量が大きいため、前向きに勉強にも取り組むことができているのだろう。 誰かに言われるのではなく自分の責任で、そして自分のペースで仕事ができる同社において、髙野さんが生き生きと働いている姿が目に浮かぶ。
設計に妥協を許さず、細部まで徹底的にこだわる
自分のこだわりを徹底的に図面上で表現すること。そのことに設計士として一番のやりがいを感じるという。特に「納まり」へのこだわりが強い髙野さん。例えば、室内ドアの間近に窓がある場合、ドア枠と窓枠の高さのラインを揃えるために、あえてドアや窓を特注寸法にすることもある。部材同士の数ミリのズレは美しくないからだ。 とはいえそのこだわりは、誰にも気付かれないことも珍しくないのだとか。誰にも気付かれずとも、こだわり抜いた設計図を描き、自分の役割を果たす髙野さん。プロとしての誇りと、設計にかける高い志を感じた。 また、「お客様がどういう風に過ごされるのかを考えながら設計するのが楽しい」と語るように、単に机上で図面を描くだけでなく、実際にその家に住まうお客様のことを思い浮かべているからこそ、こだわりも強くなるのであろう。 細部まで妥協を許さない髙野さんの設計に、今後も注目だ。
お客様と一緒に、永く住みたくなる理想の家をつくる
社内で各自目標を立て、それを宣言するという習慣がある同社。髙野さんは自身の目標について「お客様と一緒に、永く住みたくなるような理想の家づくりをすること」と語る。 目標達成のために取り組んでいることとして、「相手の話を聞いて、なおかつ、それを理解すること」を挙げた。これが「できそうでなかなかできない」ことだという。というのも、お客様との打ち合わせで、ご家族各々のご要望を聞き取った後、それを社に持ち帰ってから社員間で打ち合わせ事項の確認をすると、解釈がずれることがままあるためだ。そこで、単純にお客様の希望を聞くだけではなく、前後の話なども含めて、お客様が何を考えているのか、何を望んでいるのかを理解しようとしている。そのため、仕事以外の世間話も注意して聞いているのだ。 お客様の考え方まで踏まえて、各々の意見をまとめることができた時、お客様にとって理想の家が完成するに違いない。



三位一体でお客様のご要望を実現する
―設計士を志したきっかけを教えてください
元々は全く畑違いで、建築を専門に学んでいたわけでもないです。周りの友人は銀行などに就職する人が多かったのですが、当時はやりたいことが見つからなくて。その中で、少しだけではありますが、建築に興味があったため、この世界に飛び込みました。父が板金業をしていて、小さい頃によく現場に連れて行ってもらっていたので、その影響もあるのだと思います。専門性などは全く気にしていなかったですね。 実際に会社に入って設計図を見た時に「こういうものを描いてみたかったんだ」とピンときました。特に今の会社では、自分の責任で一から設計図を描けるため、とても楽しく仕事ができています。
―時代の変化に伴い、お客様の要望はどのように変化していますか
家に対するこだわりが強い方が増えました。以前は契約までに設計図を2~3回修正する案件が多かったのですが、今では10回ほど修正を加えることもあります。インターネットやショールームが普及して、情報量が圧倒的に多くなったことによるものでしょう。お客様自身が触れることのできる情報が多いため、お客様が知っていて我々が知らないこともあります。それほど数多ある情報の中から「これとあれを組み合わせられないか」というご要望をいただいた際に、お客様の希望をドッキングして、良い所取りをした設計を考えるのが我々の役割です。情報をお客様に教えていただくこともありますが、そういうものもどんどん取り入れて、お客様の理想に近付けていきたいです。
―みすヾ建設がさらなる発展を遂げるために必要なことは何ですか
ありがたいことに、以前新築を建てていただいたお客様から、近年リフォームのご依頼をいただくことが増えてきています。しかし、今新築を増やしていかないと、今後リフォームも伸び悩みますからね。数ある建設会社から、みすヾ建設を選んでいただく必要があります。そのための弊社の強みとしては、営業部・工事部・設計部が三位一体となったチーム制をとっていることが挙げられます。地元に特化しているために、どこの現場も近く、社内の連携が非常に取りやすい環境にあるのです。契約までの段階でチームを組み、密な連携を取ることでお客様に理想のプランを提示することができます。これにより、新築のお客様を増やしていくことが必要だと思います。
創業年(設立年)
1967年(1967年)
事業内容
注文住宅・分譲住宅の建設 ビル建築 リフォーム 不動産賃貸業 ホテル経営
所在地
東京都武蔵野市吉祥寺東町2-2-15
資本金
9,100万円
従業員
40名
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