東京ローソク製造株式会社
代表取締役社長 塩田 博幸
東京ローソク製造は「事業展開」と「組織づくり」の2点に格別の魅力を持つ企業。実はその魅力の背景には塩田社長の強い思いがある。1点目の「事業展開」の背景にある塩田社長の思いは「マーケットの創造」。仏具用のローソク製造から始まった同社は現在、クリスマス商材・サマーグッズ・キャラクター商品・ペットお位牌など多岐の商材を扱う。こうした実績が評価され1994年には約400万社のうち20社のみが表彰される長官賞を受賞した。また、2点目の「組織づくり」の背景にある塩田社長の思いは「社員の自己実現」。「社員が自己実現を果たすためには、出来る限り規約をなくし、個人の考えを尊重できる組織であるべきだ」という塩田社長の考えのもと、組織づくりを行ってきた。本取材では、上述のように魅力あふれる同社について紐解いていく。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
社員の自己実現の土台となる自由さ
東京ローソク製造の社風、それは塩田社長が強く意識する、「社員の自己実現」をもとに形成が成されている。そして塩田社長は、「社員が自己実現を果たすためには社員が自由に動くことのできる会社でなくてはならない」と考える。その考えに至ったきっかけは、塩田社長の大学生時代まで遡る。当時、ふとしたきっかけから経営について学ぼうと考えた塩田社長が、その学びの際に辿り着いたのは「組織にはできる限り決まり事がない方が良い」という考え方。 そして、現在に至るまで、その考えをもとに経営を行ってきた塩田社長。実際に社員からは「自分がやった方が良いと思ったことしかしてませんよ」という声が挙がるほどに塩田社長の思いは浸透し、具現化されている。「規約など全く何もなくても、自由に動けて、会社が良い会社になれば良い」。こうした理想を持つ塩田社長のもとだからこそ、社員の主体性や自主性が育まれていく。そして、社員一人ひとりが自身の目指す未来像に向けて自然と駆け出していくのであろう。
マーケットづくりへの確固たる思い
現在では仏具用のローソク製造のみならず、クリスマスにまつわるツリーやオーナメントなどの商材。浮き輪・ビニールプールなどのサマー商材など多様な商材を取り扱う同社。一見すると仏具用のローソクとは関係のない商材を取り扱うに至った背景は何があったのか。約30年前のこと、塩田社長にある危機感が浮かぶ。「ローソク、線香というマーケットは日本に文化として根付いているからこそ続くもの。但しマーケットの規模は縮小していくであろう」。そこから同社のマーケット開拓が始まる。ローソクからキャンドル・クリスマス商材へ。冬の商材だけでなく、夏の商材のマーケットも開拓しようと、当時まだ目新しかったビニールプールなどにも目をつけ、サマーグッズヘ。 とはいえ、塩田社長はこう語る「潜在であったマーケットを顕在化させることはできました、ですが当社が行いたいのはマーケットの創造です」。この塩田社長の思いが独自性となり、ここまで多様な事業展開、安定した企業の成長へと繋がったに違いない。
いざ「マーケットの創造」へ
塩田社長の思いである「マーケットの創造」がいよいよ実現されていく。ローソクの製造から始まり、クリスマス商材、サマー商材と事業拡大を続けてきた同社が、経験と蓄積されたノウハウを結集し2017年2月に新たなマーケットを創造する。「私がいる間に、当社が創業から取り扱ってきた仏具と新しい領域を融合させてマーケットの創造をしたかった」と塩田社長が語る渾身の新事業が、「ペットエンディング事業」だ。ペットブームがピークを過ぎ、ペットの高齢化が進むと同時に、「長年寄り添ってきたペットとの別れをきちんと行いたい」というニーズが高まってきた昨今、ペット専門の供養を世の中に提案する「ペットエンディング事業」を展開する決断をした。これまでの仏具用のローソクを製造するノウハウや雑貨を取り扱ってきた実績をもとに、若い女性の部屋にも置けるようなペット用の仏具を扱っていく。塩田社長の「マーケットの創造」にかける思いと、同社の長年の経験・実績が交差し、同社は世の中に新しい風を吹き込む。



「マーケットの創造」と「社員の自己実現」の背後に隠された塩田社長の思い
―マーケットの創造を大切にする理由はなぜでしょうか
大きなマーケットというのは実は数多くあります。例えば、LEDのような大きなマーケットに進出をし、一定の成功を収めれば、2・3年は売上が2・3倍に伸びます。しかし5年も経つと、マーケットはすぐに縮小傾向に陥ってしまいます。縮小傾向になった時、当然余剰な人員を抱える結果が待っているでしょう。当社は歴史がある会社だからこそ、これからも堅調に成長させたい。そう考えると、このような既存の大きなマーケットに進出しないという考え方になります。だからといって小さいマーケットに進出しても望む利益は得られない。だからこそマーケットの創造を私の中のテーマとして持っております。
―(クリスマス事業などの)特化したマーケットの「Only One」である秘訣を教えてください
クリスマス商材で当社は、どんなお客様に関しても対応をすることができます。実のところ、ツリーからオーナメントといった商材まで、トータルで扱っている所は当社だけなのです。何でもやっているというわけではないから、クリスマスのように特化したマーケットに強く、そこで「Only One」となれるのです。実は、商品作りはできても、トータルではできないので、ツリーだけ、オーナメントだけというメーカーが沢山あります。時代が変われば、商品が無くなる、或いはマーケットが無くなることもありますが、当社はトータルで、すなわち面を取って対応することで、特化したマーケットにおいて勝ち残ることができるのです。
―塩田社長が経営で大切にする考えを教えてください
「マーケットの創造」と「社員の自己実現」の2つに尽きます。「マーケットの創造」は、私に言わせれば当たり前の事で「ないマーケットが顕在化」するから面白い。あくまで、その時代の消費者のニーズがあって、商品がないマーケットを創造していきたい。だから今の時代にローソクの新製品を作るのは「マーケットの創造」ではありません。また、「社員の自己実現」のためには、工夫や熱意が阻害されるような組織ではいけません。現代では規約があった方が動きやすいという意見も多いですが、個人のやる気を重視して、自発的になるためにも、基本的には規約も理屈も全部なくても良いくらいです。理想としては、全く何も(外的要因に制限されることが)なくて、自由に動けて、会社が良い方向に向かうことが最善です。
長年の経験を基にアクションを起こし続けてきた
東京ローソク製造株式会社
F&S営業企画部 吉田 信昭
約30年前、知人からの紹介を通じて東京ローソク製造に入社を決意した吉田さん。実は当時の東京ローソク製造の社員は6人で、工場の人間を入れても20人に満たなかったという。そして、ローソクという枠組みを越えて、取扱商品が格段に増えた現在では、その倍以上の社員が働いている。その拡大をしてきた同社において、30年以上にも渡り、常にアクションを起こし、あらゆる製品を売ってきた吉田さん。現在、F&S営業企画部の取締役部長として活躍するように同社の歴史をつくってきた一人であると言っても過言ではない。塩田社長と共に、営業一筋で東京ローソク製造を支え、社長の思いを支えてきた吉田信昭さんに、同社の魅力を伺った。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
自由な社風、それは社員同士が分かり合っているからこそ成り立つもの
東京ローソク製造の「自由度」。これが吉田さんが入社を決定付ける理由となったという。塩田社長が強く意識する「社員の自己実現」を成していくために、社員が自由に動けることを大切にし、一人ひとりのやり方が尊重される自由さがあるという同社。吉田さんは、「自分でやりたいと思わないと、工夫したりしないと熱が入らないじゃないですか」と塩田社長への共感を強く強く、語る。そしてこう言葉を続ける。「とはいえ、この自由は、ただひたすらに自由なのではありません」同社において、この「自由」が単なる自由にならないのは、社員同士が連携し、「お互いのスキルが分かっているから」であると吉田さんはいう。社員同士が互いを理解し、連携するからこそ、互いの自由さが生きてくる。そして、吉田さんは入社を決めた「自由度」を自分の言葉に変え営業企画部としての職務をこう語る。「物を作るのはプロフェッショナルがいる。それをどうするのか、アクションを考えるのが私の仕事です」その言葉に会社を支えてきた歴戦の強者の重みを感じた。
アクションを起こした人にこそ分かる営業の魅力
「答えが一つではないこと」それが吉田さんの営業におけるやりがいとなっている。答えが一つであれば、マニュアル通りに動けば成功するだろうが、そうはいかないのが東京ローソク製造の営業。自分が良いと思って行動をしても、上手くいく時だけとは限らず、上手くいかない時も必ず生じる。どうすれば上手くいくのか、そう考えた時に「挑戦してきた経験がものを言う」。例えば、吉田さんがこれまで、幾度となくこなしてきた売り場作り。売り場とはこういうものだという考えだけで、他の売り場を作ろうとすると上手くいかないことがある。その微差が大差とはよく言ったもので、こういった経験の微妙な差が「素人とプロの差」を生むのだという。またその微差を生むのが挑戦してきたかどうか。「答えが一つではないこと」がまさに吉田さんにとっての営業の「面白さ」であり、「アクションを起こした人にしか分からない」と、吉田さんは語る。「こうだと思ったらがむしゃらにやる」といった前向きな姿勢で、日々の業務に取り組み続けてきている。
一番大切なこと、それは「今を一生懸命にやること」
吉田さんが常々思っていることは「今を一生懸命にやること」である。「今を一生懸命にやること」を常々考えている理由として、「未来も過去も、四の五の言っていても変えられるわけではないからね」と吉田さんは笑顔で話してくださった。その背景には、塩田社長に対する尊敬の意も含まれているのであろう。社長の思いである「マーケットの創造」を支える上で、吉田さんが一人の社員としてできるのは「今の地道な努力がである」とも語ってくださった。 そしてその先にあるものを吉田さんはこう続けた。「今を一生懸命にやることで、不動産でいえば、地図に残るような仕事をしたい、すなわち、自分のやった仕事を、近い将来、子供が見た時に思わず驚いてしまうような仕事をしたい」。コツコツと今を一生懸命に行い、その先に子供の笑顔が待っている。実直で、心の温かい吉田さんの人柄が伝わってくるようだ。これからも吉田さんは「今を一生懸命やること」を積み重ね、同社を盛り立てていってくれることだろう。



営業においてアクションをし続けてきた吉田さんに聞く、仕事への姿勢
―新人教育は、どういった形で行われているのですか
当社においては、座講よりも「実行によって学ぶこと」が大事だと考えています。ですから、私から伝えるのは、やり方とポイントだけで、後は自分でやってみなさい、といったように教えますね。一から十まで教えなければいけない人よりも、むしろ自由にやってみようという人の方が当社には向いていると思いますよ。そういった影響からですかね、営業は今10人いますけど、皆持ち味が違えば、やり方も違います。まさに十人十色。一人前になる目安は3年なので、新人がどんな色を出すのか楽しみです。一人ひとりの会社に与えるインパクトが大きいからこそ、先輩とぴったり同行して学んでいった先をわくわくしていますね。
―お客様と関わる中で大切にしていることを教えてください
お客様に合わせてやり方を変えることが大切ですね。当社ではお客様を、取り扱う商品別ではなく、エリア別の形で分けるようにしています。商品別であれば、物に対するプロフェッショナルの知識が増えますが、当社はエリア別をとることで、その地域ごとのお客様の特性を意識して営業をしていくことを大切にしているのです。また、一社一社と長く取引ができるように、信頼を構築することを意識しています。信頼の為に大事なのは、やはり「嘘をつかないこと」。偽りがあったら、その会社と共に崩壊してしまうかもしれない。長く付き合っていくために、笑顔を絶やすことなく、嘘をつかず、お客様に合わせてやっていくことを大切にしています。
―それぞれ違う営業スタイルの中でも共通することは何ですか
上述の通り当社の営業は一人ひとりやり方が違います。例えるのであれば、右からの攻め方が上手い人は右から。左からの攻め方が上手い人は左から。真正面から観音開きの営業スタイルの人もいます。とはいえ、共通しなければならないものは、まず商品の知識ですね。これがなければ、お客様にあった提案をしようにも、何が合うかわかりません。もう一つは相手を深く知ること。これがなければお客様がそもそもで求めているニーズに応じた提案ができません。基本的に、自由であり十人十色の営業スタイルではありますが、これを根幹には皆していると思いますね。日本でいえば、憲法と道徳が土台となっているように、あくまで自論ではありますが、当社の土台はそういったところであると感じますね。
創業年(設立年)
1924年(1949年)
事業内容
クリスマス用品、サマー用品、各種ローソク、線香他
所在地
東京都台東区浅草橋3丁目25番5号
資本金
4,500万円
従業員
45名
キーワード検索
監修企業からのコメント
掲載企業からのコメント