株式会社大館製作所
『継続』に込めた熱い思い〜200年企業を目指して〜

株式会社大館製作所

代表取締役社長 中田直文

今回お話を伺ったのは、「きりたんぽ」や「曲げわっぱ」で有名な秋田県大館市で、100年以上の長い年月、地域を支え躍進を続けてきた株式会社大館製作所の中田直文社長だ。同社の主力事業は、インフラの軸ともいえる鉄道で使用されている信号機を含む鉄道関連機器の製造、そしてもう1つは下水処理の設備関連製造という2つの事業である。100余年という長い歴史の中で様々な困難を乗り越え、歩みを続けてきた同社。200年企業を目指していくうえで、現在も日々様々な取り組みを行っている。今回は中田社長に、大館製作所の歴史や魅力、文化と次なる100年に向けた展望、さらには地元秋田を大切にし、雇用を守ることなどの熱い思いを伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

おおらかな雰囲気で歩み続ける大館製作所

「私が見る限りはざっくばらんというか、あまりかしこまったりせず、おおらかな感じですね」自社の社風についてこのように語る中田社長。オンラインでの取材となり、実際に大館製作所に伺うことは叶わなかったものの、中田社長の物腰柔らかい話し方からもおおらかな社風を想像することができた。
このような社風が形成された背景には、大館製作所の事業が関わっている。鉄道関連の事業と下水処理の備品製造の2つの事業は、両方とも比較的長いスパンをかけて行うものである。そのため、「会社全体にゆったりとした雰囲気があります」とのこと。そしてもう一つは、社長を含めた社員同士の距離感が近いことだという。社員へ秋田名物である比内地鶏をプレゼントしたり、最近では社員の意見を取り入れる形でバースデーホリデーをプレゼントするなど、コミュニケーションを大切にしていることが伺えた。地場の雄である同社がここまでの進化を遂げてきたのも、非常に魅力的なこの2つの社風があったからであろう。

安全第一で他を圧倒する専門性

大館製作所の独自性は、2つの主力事業そのものである。1つは鉄道関連、もう1つは下水処理場の設備関連。両方とも基本的には一般の方の目に触れる機会は少ないが、インフラの大事な部分を担っている。鉄道に関しては鉄道省のころからの実績があり、次々と新製品を出すのではなく、すでに実績があるものを着実につくっている。「愚直に安全第一でやっているので、それを大事にしたい」と語る中田社長。下水処理の設備については、各家庭から下水処理場に下水が集まり、浄化する流れの中で、下水に薬品を入れて攪拌するための設備に特化しており、全国でトップシェアを誇る。こちらも長年にわたって培われた技術がポイントとなる。技術革新はあったとしても、基本的なことは守っていきたいという中田社長。大館製作所が手掛ける事業の専門性こそが独自性に繋がっているのである。

次なる100年に向けた継続への挑戦

「鉄道関連と下水処理ということで専門的な事業領域であるため、いきなり新しい事業に展開することはできないが、かといって守りだけでも良くない」大館製作所の展望について質問されて、このように話し始めた中田社長。突飛なことにいきなり挑戦するのではなく、今手掛けている事業に関連のある部分などを伸ばしていきたいと語る。また、次世代にうまく事業を継承するにはどうすれば良いかということも、大きな問題であり、長い年月をかけて行う事業を手掛けているため、考え方ものんびりしがちだが、大事なことであるためしっかりと検討したいという。「会社を大きく成長させようとは思っていないが、地元の雇用を守って安定して継続させることを実行していきたい。」と地元秋田への熱い思いを語る中田社長。次の100年も、地域全体を支えながら地域と共に進化していくという意思が感じられる展望だ。大館製作所の発展を期待したい。

200年企業を目指して

社長の経歴を教えてください。

私はですね、大学卒業後、青森県の農機具メーカーに就職しました。当時会社には兄がいたため、手伝ってほしいという話もあまりなくて。それでもやっぱり手伝ったほうが良いのかなという思いがあり、大館製作所に入社しました。兄が社長を務めていたのですが、病気になってしまい、私が社長に就任しました。また、会員として所属していた大館商工会議所では、私の同級生が会頭を務めていて、私は副会頭だったため、彼と一緒に引退だと思っていたのですが、彼が急死してしまい、急遽会頭を2期務めることとなりました。今考えると当時はとてもタイトなスケジュールで、きちんと会社を見る時間もなく、社員たちには申し訳なく感じていますね。

今後入社する未来の社員に伝えたいことはなんですか?

現在の社会情勢を鑑みると、秋田はもちろんのこと、地方では企業数が少ないので就職活動が難しいですし、首都圏に出ていってしまう人が多いという現状があります。しかし、実際は地元で暮らしたいという本音をもっている若者が少なくありません。私どもも含めて、秋田には頑張っている企業がたくさんあります。規模としては大企業のように大きくはないかもしれませんが、やりがいを感じることができる仕事がたくさんあるので、そのようなことをもっと知ってほしいと感じています。そのために、私たちが全国規模の仕事を行っていることや、長年にわたって事業を行っていることをどんどんアピールして、若い人に興味をもってもらえたらと考えています。

大館製作所の未来を担う幹部層に伝えたいことは何ですか?

うちの会社は年数は経っていますが、社是・社訓みたいなものがあまりなかったんですね。私が入社した数年後に、当時の幹部たちが作ったものがありましたが、それもあまり注目されることはありませんでした。ちょうど100周年のタイミングで、みんなで話し合って社是・社訓などを改めて作ろうということになりました。その際に、幹部から社長の考えを教えてほしいという声があり、「継続」というキーワードを伝えました。有名な言葉に「伝統は革新の連続である」というものがある通り、伝統はただ年月を重ねてできるものではなく、常に新しいものに挑戦し続けるからこそできるという考えが大切ということは、忘れないでほしいと思っています。

100年の伝統を守りつつ次なる100年へ歩き出す

100年の伝統を守りつつ
次なる100年へ歩き出す

株式会社大館製作所 

専務取締役 中田峻

お話を伺った中田峻専務は大館製作所の次世代リーダーである。東北は秋田の地で100年企業として躍進している同社だが、現状に満足することは決してない。今より良くなるためにさまざまな取り組みを行い、社内環境の向上に努めてきた。その旗振り役となっているのが中田専務である。
老舗企業としての伝統をはじめとした良い部分を守りながら、新しい時代に対応していくために施策を講じて奮闘している中田専務が、どのような経緯で入社をし、大館製作所の未来についてどのようにお考えなのか。専務の視点から見る大館製作所について詳しくお話を伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

父から息子へバトンを受け取るために

中田専務はこの大館製作所を引き継ぐために入社した。 2010年、東京の会社に勤めていた時に中田社長から「戻ってきてほしい」と声がかかり、大館製作所への入社を決意。大学は文系だったが、小さいころから大館製作所を見てきたこともあり、頭の片隅で「将来はここで働くのだろう」と感じていたという。現在は専務として会社をまとめ、社長の右腕として働いているが、入社後最初の1年間は工場で働いていた。当時を振り返った際に今も鮮明に思い出されることは、2011年の東日本大震災だ。震災当日、専務は工場で勤務していたものの、幸い秋田県では大きな被害はなく、工場も数日の停電で済んだという。これまでさまざまな困難を乗り越えられたのは、引き継ぐという意識を幼少期から持ち続けてきたことが、大きな要因だろう。

次世代メンバーによる次なるステージへの挑戦

昨年から大館製作所では、専務が主導して社内改革の取り組みが始まっている。この取り組みには、これからの大館製作所を引っ張っていく若手のメンバーが中心となって参加しており、会社の理念や方針の制定、また新しい工場を建設するための準備を進めている。具体的には、1ヵ月に2、3回集まり、社員から出ている要望にどのように対応していくかなどを検討する。創業から100年を超える大館製作所には、長年にわたって築かれてきた伝統や歴史がある一方で、現代に見合わない古いやり方も根強く残る。そこを変えていかなければならないと力強く語る中田専務。100年以上、積み重ねてきたことのなかで、これからも守っていかなければならない部分と、進化すべき部分がある。ここ数年で若い世代の入社も増えており、専務自身も組織の若返りを感じているという。100年以上続いてきた大館製作所が、専務主導の取り組みによってどう変化していくのか注目したい。

継続の魂を受け継ぐ

夢は「会社が継続することですね」と迷いなく答えた中田専務。 会社を大きくすることではなく、現在の鉄道関連の事業と下水処理関連の事業を今後もきちんと続けていけるようにしたいという。 特に鉄道関連では、現在は大手鉄道会社の仕事を中心に受けているが、インドで高速鉄道が整備されることに伴い、その事業にも大館製作所が関わっている。また、これまで100年にわたり続いてきた会社を、200年続く会社にしたいとも語る中田専務。会社を改革するための取り組みも、これまで続いた100年間から次の100年間に向けて動き出すためのものだ。活動の実施や新しい理念の制定を通して、会社の雰囲気もさらに良くなってきていると感じているという。夢は何かと尋ねた際の中田専務の声や表情からは、次の100年に向けて動き出した大館製作所を主導する覚悟と熱意が感じられた。

次なる高みを目指す大館製作所

中田社長はどんな方ですか?

大館製作所にはグループ会社があって現在、兼務で社長を務めていますが、以前は商工会議所の会頭もやってましたし、抱えてるものが多いんです。しかし、本人はそんなに苦しそうなそぶりを見せないというか、うまく全体をコントロールしていて、それはすごいなと思いますね。それが私にできるかというと今はまだできないと思っています。父として、そして社長として尊敬しています。性格的には自分でバリバリ引っ張っていくというタイプではなく、周りと協力しながら物事に取り組んでいます。そんなに敵は作らず、どちらかといえば穏やかなタイプですね。たまに会社の話を2人ですることもありますが、やっぱり経験値が高いので、説得力があり、その点ではまだ全く敵いません(笑)

大館製作所の強みはどんなところですか?

現在、大館製作所の主力事業は、鉄道関連と下水処理装置関連の2本柱でやっています。この事業自体が他の会社ではなかなかやってないことであり、さらに新たに参入することが難しいため、事業内容そのものが強みだと思っています。元々は下水処理関連の仕事から始まり、鉄道関連に関しては会社が設立してから数年後に始めましたが、創業者が先を見据える方だったので、これから先鉄道関連の需要が高まると読んだんですね。その力はやっぱりすごいと思いますね。今の2つの事業を継続しながら進化していくということを理念にも反映させていて、新しい事業を始めるというよりは、この事業をきちんと継続させていくことが大切だと思いますね。

5年後の会社に必要だと思うことはなんですか?

5年後というと、おそらく今計画を進めている新しい工場ができていると思うので、そこで今よりも生産性がアップしていればいいなという構想はありますね。あとは採用も必要だと思っています。現在は高校生がメインですが、今年から大卒の採用も始めました。まだその結果は出ていませんが、高校生だけでなく大学生も継続して入ってきてくれたらいいなというところですね。コロナ禍においてオンラインでの採用が主流となる中で、便利ですがちょっとした反応や雑談がしにくいなというのはありますね。さらに、採用後の教育も必要だと感じています。仕事の作業については先輩が指導していますが、それ以外に社会人として、人としての教育面を今後強化したいです。

監修企業からのコメント

コメント
この度は取材にご協力いただき、誠にありがとうございました。
大館製作所様の歴史や取り組みに触れることができ、非常に良いお話を伺えたと感じております。
100年企業から200年企業に向けて、新たな一歩を踏み出す大館製作所様をこれからも注目していきたいと思います。

掲載企業からのコメント

コメント
本日は弊社を取り上げていただきありがとうございました。
老舗の企業として、これからも良い部分を全国にどんどん発信していき、地域や人々のお役に立てるような存在であり続けたいと思います。
大館製作所の今後にぜひ期待していて下さい。
株式会社大館製作所

創業年(設立年)

1918年10月

事業内容

1.鉄道信号保安用品設計製作
2.環境機器設計製作
3.一般産業機械設計製作

所在地

〒017-0024 秋田県大館市大茂内字中瘤之木岱49番地の1

資本金

8,000万円

従業員

80名

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