株式会社ISOWA
代表取締役 磯輪 英之
多くの特許を取得している段ボール製造機のメーカーで「自分と自分の愛する家族の幸せのために働ける、世界一社風のいい会社」を目指し風土改革を続けている企業、それがISOWA。優れた技術や経営が認められて様々な賞を受賞しており、2018年には「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の審査委員会特別賞を受賞している。ISOWAの取り組みは様々な企業から見学の依頼が絶えないほどだ。まもなく創業100年を迎えようとしているが、この20年での同社の変化は著しい。今回は今も続いている風土改革の立役者である磯輪社長から、同社の目指す未来やご自身の考えを伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
本音で語り合える社風がある
「青臭いことでも、建前ではなく本音で話し合える環境があること」と、磯輪社長は語る。20年に及ぶ風土改革の中で、多くの社員と会社の未来を話し合ってきたことによってこの社風が生まれた。社風を表す話がある。同社の経営理念は「自分と自分の愛する家族の幸せのために働ける、世界一社風のいい会社」だ。この理念を講演や会社説明会などで話すと、「いい歳して何を言っているんだ」「経営ってそんなに甘いものじゃないだろう」と言う人が必ずいるという。読者にもキレイごとだと思う方がいるのではないだろうか。だが同社では「家族が一番大切という考えこそ当たり前」と、社員全員が堂々と口にしている。むしろ社風について堂々と話せない方が問題だという雰囲気があるという。磯輪社長が社外で語るだけでなく、社員も同じように考え、働いているのだ。実際に我々が関わった方々は、自分の言葉としてこの理念を口にしていた。全員が本音で話し合える同社はこれからも理想を理想で終わらせることなく実現させていくだろう。
考え方に共感し合えるお客様、仕入れ先様と付き合うことで生まれる独自性
磯輪社長は同社の独自性を「同業他社とは一線を画した開発の軸を持っていること」であると言う。昔はすべての引き合いを受注したいと、競合他社に負けないスペック競争を行っていた。だがそのやり方では、最終的に価格競争になってしまう。「自分たちが最もお役に立てるお客様とはどんなお客様か?」を考える中から、「自分たちと同じ価値観のお客様」に「人にやさしく キカイにやさしい」という開発の軸が生まれた。その結果、お客様からも「ISOWAの開発って、他の機械メーカーとは違うね」と言われるようになってきたという。価値観を共有できるお客様のために頑張れるということで、社員が精神的に疲弊することなく、高い志を持ち続けやすくなった。理想に向かって一歩ずつ前進しているのではないだろうか。
風土改革の成果をお客様に還元
「風土改革の成果をお客様に還元して行くこと」それが同社の目指していることだ。同社では20年間に渡って風土改革を行ってきており、自主性が高く何でも言い合える風土や人材など、その他にも様々な改革の成果がある。それを社内ごととして終わらせるのではなく、商品・サービスへと具現化して、お客様に還元していこうとしているのだ。2010年に社内に宣言し、今では磯輪社長の想像を超える高いレベルの提案、行動が見られるようになってきており、社員も手応えを感じ始めてきている。例えばサービス部門では、これまでと発想を変えた提案型のサービスを毎年自ら考え出したことで、お客様に『ISOWAは止めません 止まりません』が理解され、長年横ばいだったサービス売上を大きく増やすことができた。風土改革を業績に直結させられることを見事に証明している。同社は、今後も『止めない』努力を重ねていくことで、お客様からより支持される企業になっていく。



改革はこれからも続いていく
どのような思いで会社をつくってこられたのですか?
後に続く人に恥ずかしくない会社にしたかった。自分が入社した時に感じた不満を、新しく入ってきた人も感じていたら、その間自分は何もしなかったことと同じです。だから『世界一社風のいい会社』を目指しています。自分の子供が入社したくなる会社と言えば分かりやすいですね。社員も同じ気持ちで、後輩に自分たちと同じ苦労をさせないよう、いろんな環境を整備しています。そのようにして改革が進んでいくことで、社員が誇りに思ってくれる会社になりつつあると思っています。
ビジネスにおいて意識していることは何ですか?
仕入先様を名実ともにパートナーと位置付けられるよう自分自身も含めて意識改革中です。どんな会社でも、お客様のパートナーになりたいと思っているでしょうが、仕入先様はどうしても下に見てしまいがちです。でも、自分たちが仕入先様を下に見ているなら、自分たちのことを業者扱いするお客様だけを責めるのはおかしいですね。パートナーと「思ってもらう」のは相手次第ですが、パートナーと「思う」のは自分達次第ですから、まず私達が仕入先様を真のパートナーと位置付け、それが巡り巡って、お客様からパートナーだと思って頂ける社会を目指したいです。
どのような方が活躍しているのでしょうか?
これという人はいません。誰が入ってきても活躍できるように育つ環境をみんなでつくっているからです。みんなが、いい学生を採りたい、しっかり育てようという気持ちでいっぱいです。採用も、配属も、育成も人事の仕事ではなく、全員が関わる。各部門で話し合って決めています。入社後の教育も部門ごとで考えます。入社から1年間、毎日定時近くになると面談をする部署が多いです。「将来、彼には、彼女にはこうなって欲しい」という将来像を上司が持ち、接していることが傍からでもわかります。だから新入社員の成長の速度がどんどん早くなっている気がします。
自分にしかできない仕事がある
株式会社ISOWA
管理本部 磯輪 光
磯輪社長の息子で、新卒入社4年目の光さん。入社してから毎年異なる部署を回り、今年は新卒採用のリーダーを務めるなど、様々な経験を積んでいる。当初、同社への入社は一切考えていなかったとのことだが、今では同社の理念をより高いレベルで実現させていくために、社員のための環境づくりなど、【磯輪】である光さんにしかできない取り組みに邁進している。取材に答える光さんからは、会社の理念や未来を考え続けていることが見て取れた。今回の取材では、ご自身の考える社長像やミッションなど、今後の同社の未来を想像させる内容を深く伺った。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
ISOWAの未来をつくっていきたい
入社を決めたきっかけは「家業を継ぐのは、誰もができることではない。継ぐ家業があるのはチャンス。」という、とある企業の2代目社長の言葉だった。元々、将来的に会社を継ぐことも入社することも一切考えていなかった光さんは、就職活動の際に父親から入社を打診された時、悩みに悩んだという。そんな時に冒頭の言葉に背中を押され、思い切って入社を決めた。入社前から「自分と自分の愛する家族の幸せのために働ける、世界一社風のいい会社をめざす」という同社の理念には強く共感していたが、実際に入社して4年、同社の理念を実現するべく行動を続けている。光さんは自社について「いい会社だと思っているが、満足していると成長は止まってしまう。あまりいい会社と思いすぎず、変化を起こし続けていきたい。」と語る。光さんが仲間と共につくっていく同社の未来はどのようなものになっていくのだろうか。恐らく社員もワクワクしながらそう思っていることだろう。今も注目されている同社だが、今後もますます目が離せない。
自分にしかできない仕事がある
「将来にわたって、社員のための環境づくりをしていくこと」これが光さんのやりがいだ。光さんはこれを「㈱ISOWAで【磯輪】である自分にしかできない仕事がある」と表現していた。社長の息子という立場はプレッシャーにもなると思うが、それが自分の役割であると当然のように捉えていることに驚いた。今は若手・中堅社員が中心となって行っている、会社の未来を話し合うMTGに参加するなど「共に会社をつくっていこう」という想いを行動で示している。この他にも日々社員が気づくところでも、気づかないところでも、社員のための環境づくりについて考えていることだろう。同社の中で特別な存在であることと、その役割を自覚し行動をしている光さんなら、光さんにしかできない、社員からも求められるスポンサーシップを発揮していくに違いない。
理念の実現に向け、常識を疑っていく
「自分と自分の愛する家族の幸せのために働く」というISOWAの理念をさらに突き詰めて、現実にしていくこと。それが光さんの夢であり、自らに課したミッションだ。理念を現実にするには「自分の幸せにどこまで正直になれるか」が重要なポイントであるが、今のISOWAはその点において、まだまだ常識に囚われていると光さんは見ている。約100年の歴史のなかで「会社、仕事とはこういうもの」という固定観念ができあがっているが、それはただの慣習に過ぎず、正解とは限らない。こういったことを疑えるのも普通のサラリーマンではなく、オーナー家の人間だからこそ。光さんのミッションも実現の過程で「何を言っているんだ」と言われることがあるかもしれないが、信頼できる仲間と対話を重ねながら、少しずつミッションを達成していくはずだ。



仲間と共に世界一社風のいい会社をつくっていきたい
ISOWAの好きなところはどのようなところですか?
自由なところですね。先日、ある新入社員が所属部署以外の仕事をしているのを見かけたので、気になって話を聞いたら、「違う部署の仕事でも、興味があれば顔を出して、手伝わせてもらっている」って言うんです。誰が指示するわけでもなく、自分で好奇心のアンテナを張って、いわば勝手に学んで、勝手に成長しているんです。また別の新入社員は、「会社づくりへの参画に惹かれて入社したものの、思っていたよりもそういう話をできる場が少ない!」と言って、自ら先輩に声をかけて、勝手にオフサイトミーティングを立ち上げています。他の会社だと白い目で見られる行動かもしれませんが、当社ではそのようなことはありません。新入社員でもこれだけ自分で考えて動ける社員が増えてきたこと、そしてその裏にある、そういった自発性を否定せずに容認できる自由度の高い環境は、とてもいいなと思っています。
どのような方に入社してきてほしいですか?
「自分と自分の愛する家族の幸せのために働ける、世界一社風のいい会社」という理念に共感しているかどうかは言うまでもなく絶対条件ですが、見落としがちなのが、「仲間と仲間の家族の幸せを自分の幸せだと思えるかどうか」。理念自体は、「自分と自分の家族」にしか言及していませんが、仲間の幸せを思う気持ちがなければ、みんなが幸せになることは不可能ですよね。自分と自分の家族以上は無理でも、同じくらい仲間と仲間の家族の幸せを思える人が集まって、みんなが安心して幸せを追求できる風土をつくっていくことが、弊社の理念を体現していくためには重要なことだと思います。ぜひそのような仲間と一緒に働きたいです。ISOWAにはキレイごとではない、幸せを目指す姿勢があるので是非一度見に来てください。
光さんの考える社長像を教えてください。
私にとって社長とは、「社員のスポンサー」。そして、それは会社におけるひとつの役割に過ぎません。もちろん社員を守ったり、重大な決断をする立場であるため、誰よりも責任は重い役割ではありますが、だからといって「社長は他の社員より偉い」というのは違うと思っています。それは、私のような同族企業の後継者であればなおさらのこと。ISOWAで働く280人は、みんな何らかの点で私より優れています。逆に私にしかできないことなんて、ほとんどありません。だからこそ、自ら先頭に立って引っ張るのではなく、社員のスポンサーに徹する社長像が、自分には一番フィットする気がしています。
創業年(設立年)
1920年
事業内容
段ボール機械の設計、製造、販売、並びに付帯する一切の業務
所在地
愛知県春日井市西屋町66
資本金
1億8,000万円
従業員
281名
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監修企業からのコメント
「世界一社風のいい会社」を会社一丸となって目指されているとのことですが、20年も風土改革に取り組み続けることは並大抵のことではないと思います。貴社をお手本とする企業も数多く存在するかと思いますが、今後もそれは変わらないだろうと感じました。またご訪問できることを楽しみにしております!
掲載企業からのコメント