株式会社オージ
代表取締役社長 榎本 正悟
街中を走るバスに設置されている行先表示器、このようなバス付属機器の開発・製造を行っている会社がオージである。創業初期、ダイカスト関係の仕事を中心に事業を行っていたが、バスの運転手が手動で運転幕を変えているところを見て「自動にしてみよう」と思いついたことが、バス付属機器事業の始まりである。実はバスの降車合図ボタンを生み出したのは同社であり、今でも50%以上は同社の製品である。乗客のことを第一に考え、新製品の開発に尽力してきたオージ。便利で快適な日常生活を実現するために、様々な製品を世の中に送り出してきた。今回は3代目である榎本社長に、今後のさらなる挑戦についてお話を伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
今ある社風をもとに、さらに進化させていく
「ある意味、中小企業らしい社風があるかもしれません」と榎本社長は語る。先代社長が、社員から上がってきた顧客の声や情報をもとに意思決定し、それを社員がすぐに実践していくという、明確な意思決定・行動プロセスを築いて来たため、情報伝達が確実に行われ、行動が早い社風があるのだ。榎本社長は、さらに顧客のニーズを吸い上げたり、異業種へ事業を展開したりしていくために、この社風をもとにオージを進化させようと動いている。社員全員が”オージ代表”として行動・判断していけるように、オージの行動原理や原則を社員にあらゆる場面や形で伝えていっているのだ。榎本社長は「社長がやるべきことですから」と、「伝えていくのは大変だ」と言いながらも楽しそうに語ってくれた。情報伝達が確実に行われ、行動が早い社風をもとに「社員が、会社の考えを自分のものにして行動している企業」を目指していると言い換えても良いかも知れない。これが実現すれば、オージがさらに発展していくことは間違いない。
築き上げてきたブランドと、ブランドがつくられた源泉
バス付属機器というニッチな業界で、オージというブランドを確立してきたことがオージの独自性であり強みだ。オージでは、営業が長い時間をかけてお客様と関係を深め、信頼を築いていくが、それが強みの源泉になっている。深い関係性があるからこそ、ニーズが分かって製品開発に活かすことができ、お客様に満足してもらうことができる。また、製品導入後にトラブルがあった際も、連絡があればすぐに製品を持って駆けつけて対応するというサポート体制もお客様から評価されている。これを繰り返すことで業界内でオージというブランドをつくり上げ、バスの降車ボタンではシェア50%を誇るなど、今では業界内で圧倒的な存在感を放つ存在にまでなった。今後バス以外の業種へアプローチをしていく考えが榎本社長の頭の中にあるが、これまでのように、お客様と深い関係性を築きながらブランドを確立していくことで、必ず成功させていくことだろう。
自分の仕事が世界一好きだと胸を張れる会社に
「今よりもっと、自分の仕事を”好き”になる、自分の仕事に”誇り”を持てる会社にしていくことが目標」だと榎本社長は語る。多くの企業がなりたいと思っている姿ではないだろうか。「自分達の職場を自分達でつくっていってほしい。そうすると今よりも会社を好きになったり、自分の仕事に誇りを持てるようになる」と話す榎本社長からは、社員への思いが溢れていた。同社には「社員に創造と挑戦の場を提供し、成長・発展する」という経営方針がある。その意味を紐解くと、「同じ仕事でも、自ら決めて取り組むのと、やらされて取り組むのでは、仕事に対する思い入れが変わることは間違いない。さらに、自分の実現したいことがあれば、仕事に傾けられる力は大きなものになるはず」という榎本社長の考えがある。普段、何気なく利用しているバスで過ごす時間を、今より快適な時間にするために日々ひたむきに仕事に取り組む同社の社員。その社員が今よりも仕事に愛と誇りを持てる会社づくりを進める同社の今後に注目だ。



オージの未来
社長に就任した経緯について教えてください。
元々は、父の会社を継ごうとは考えていませんでした。新卒で、主に工業用機能部品や油空圧機器などを製造・販売する会社に就職し、9年ほど勤務していましたが、アメリカに出張していた時に母から「あなたが会社を継ぐことになった」といきなり告げられたんです。当時は突然の出来事で驚きましたが、今振り返れば、最高のタイミングだったと思います。当時は会社として特に調子が良い時で、社長が変わるという大きな変化があっても対応ができる、私にとっても、会社にとっても良い時期でした。そして、私の「モノづくりにこだわった会社をつくっていきたい」という思いもあって、会社を継ぐことを決意し、2016年の12月に就任しました。現在、時代に合わせた働き方を実現すべく、会社全体で取り組んでいます。
これから、どのようなことに取り組んでいきたいとお考えですか。
バスの隣接異業種へのアプローチができたら面白いのではないかと考えています。キャリアカーや鉄道車両、ゴミ収集車などの特殊用途車両などの関係者から、ランプの色やデザイン、音質の改良など様々な要望をいただいており、これを解決することで社会貢献に繋がるのではと思っています。青色ダイオードが発明されたことによりLEDが普及してきて、素晴らしい技術が世の中で利用されています。この技術を応用して、今以上に多くの人々の”ちょっとした日常”を快適にしていきたいと考えていますし、社員にもそう考えてもらいたいですね。隣接異業種の抱える要望に応えることができた時、オージが進化したと言えるのではないでしょうか。
どのような方に入社してきてほしいですか?
あらゆる情報にアンテナを張っている人ですかね。社会の変化が激しい現代社会で、バス関係にとどまらず、日々新しいアイデアや技術で、社会に役立つ製品を生み出し、日本のモノづくりを引っ張っていく。そのためには、世の中のことに幅広くアンテナを張って、情報を拾ってきて、自分の考えを交えて社内に共有できる”仲間”に出会いたいです。単なる技術力の向上や、モノを販売するだけの営業ではなく、”これからを生きていく人たちに寄り添った製品開発並びに技術向上”そして”バスと街と人を繋ぐ架け橋になる営業”に社員と本気で取り組んできましたし、これからもその想いは変わりません。私たちの想いに共感し、時代のニーズを敏感に掴むことができる”人財”を待っています。
私らしくいられる会社それがオージ
株式会社オージ
技術営業グループ 金子 美穂
現在、技術営業グループに所属し、主にデジタル行先表示器に表示する文字のデータを作成する仕事をしている金子さん。この技術に関する専門書は現在存在しない。デジタル行先表示器には多数のLEDが埋め込まれており、光らせるLEDの1つ1つに命令を与えて文字を浮かび上がらせるため、制作者の技術が映し出された文字や絵の印象に大きく影響する。そのような専門性の高い仕事を任されるとはつゆ知らず、面接を行った先代社長の穏やかな人柄に惹かれて入社したが、現在では金子さんの技術が高く評価されており、将来を期待されている。今回は、金子さんに技術営業グループでの仕事について伺った。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
金子さんにとっての”天職”
先代社長の人柄の良さに魅かれたことが、金子さんが同社への入社を決めた一番の理由だ。入社したのは今から3年前の2015年。バス業界に関する知識は全くなかったが、面接で感じた、和やかで話しやすい先代社長の人柄に魅かれ「この人の下で働きたい」と自然と思ったという。また、社員が笑顔で活き活きと働いている姿に「自分もこの人達と一緒に仕事をしたい」と強く感じたことを、当時を思い出しながら金子さんは語ってくれた。内定連絡の際にはまだ、全く未知である仕事内容に不安を感じていたと言うが、いざ入社してみると、話しやすく、笑顔にあふれる同僚と上司に囲まれ、自分の思ったことを自由に表現できる素晴らしい環境が出迎えてくれたことで、いつの間にか不安は消え去っていた。先代社長の人柄の良さが全社員に伝播しているのだろう。同社には、金子さんが言う通り、社員の人柄が良く、ストレスを感じることのない環境が存在する。活き活きと取材に応えてくれる金子さんを見て「金子さんは”天職”に巡り合えたのではないか」と感じた。
注目される瞬間にやりがいを感じる
「私が手掛けたデータが文字として表示されるバスを駅前や街中で見かけたときはやはり嬉しいですし、両親や友達に自慢したくなってしまいますね」と金子さんは話した。デジタル行先表示器に表示される文字は、金子さんを含めた技術営業グループのメンバーが作成したデータによって映し出される。いわば、金子さんの仕事の集大成である。自分たちが作成したデータがバスのデジタル行先表示器によって映し出され、SNSなどで話題に上がっている時に自分の仕事の凄さ、素晴らしさを感じることができると金子さんは言う。最初はほとんど知識のない状態から始めた仕事であったが、先輩や同僚たちと日々試行錯誤しながら、データを作成し続けて、気が付けば、自分の感覚で色彩を調整したり、キャラクターやロゴマークを表示できるまで成長できた。自分の仕事が目に見える形で世の中に出て、大勢の人々の話題に上がっている瞬間が、金子さんが一番やりがいを感じる瞬間である。
いつか海外で話題になることを夢見て突き進む
金子さんは、自身の夢を「海外で自分が作成したデータがバスなどで映し出され、多くの人に見てもらい、Twitterなどで話題になってくれれば、もう最高ですよね」と笑顔で語った。同社は過去、バスの運行会社に直接販売することが大半であったが、現在は業界のニーズに合わせて、ディーラーへの販売を多くするなど、時代に合わせた営業を行ってきた。国内マーケットで、同社製品がトップクラスのシェアを誇っていることから、今はまだ海外進出に向けた活動は始まってはいないが、時代に合わせて動いていく同社なら、今後海外進出をしていってもおかしくない。「世界の多くの人たちに自分の仕事の証を見ていただき、興味を持ってもらい、話題に上げてもらいたい」という熱い想いを抱きながら、世界に誇れる技術力を身に付けるために邁進する金子さんの姿がそこにはあった。いつか世界中で、同社の製品が日常のあらゆる場面で利用され、話題の中心になることを目指す金子さんに注目していきたい。



金子さんから見たオージの姿とは
金子さんが感じる”オージ”の魅力は何ですか?
中途入社なのでより感じるのかもしれませんが、”仕事のしやすさ”がオージの一番の魅力だと思います。例えば、事業所ごとの飲み会が定期的に行われているので、仕事の悩みや考えを互いに共有できる環境があります。また、それがあることでとても人間関係が良く、仕事に関することだけじゃなく、プライベートのことなど、気軽にコミュニケーションを取ることができます。また、自分たちのやりたいようにさせてくれ、かつフォローもしてくれる信頼できる上司や、カリスマ的存在の榎本社長がいるから気持ちよく仕事ができていると感じますね。自分のペースで仕事ができる”オージ”は自分にとって最高の環境だと胸を張って言えます。
金子さんから見た榎本社長はどのような方ですか?
一言で言うと”頼りになる社長”ですね。データを作成しているときにアドバイスをくださることがあるのですが、毎回的確なアドバイスをくださるので、頼りになるなと強く感じています。しかも社長は、データ作成の仕事に関しては少ししか携わったことが無いはずなのですが、それでも的確なアドバイスができるほど理解が深く知識が豊富なので、本当にすごいなといつも思います。また、社員一人ひとりをよく見てくださっているなと感じます。アドバイスができるのもいつもよく見てくださっているからだと思いますし、接し方もとても優しいですね。仕事への理解も深く、優しく接してくれる社長は本当に頼りになる社長だと思います。
最も嬉しかったエピソードについて教えてください。
『バス祭り』で私が作成したデータがバスに映し出され、Twitterで注目された時ですかね。バス祭りは、9月20日の「バスの日」にちなんで毎年9月に開催されているイベントで、バス事業者の車両などを展示するほか、グッズ販売やステージイベントなど様々な催しものを行うイベントです。バス祭りには親子連れの方も多く参加されるので、バス会社のキャラクターなどのデータをデジタル行先表示器で出力する機会があったのですが、私が作成したデータがTwitterで話題になっていました。その時は、技術営業グループのメンバーで喜びを分かち合いましたね。今でも鮮明に覚えています。友達にも自慢できましたし、やはり多くの人たちから評価していただけることはとても嬉しいですね。
創業年(設立年)
1954年(1955年)
事業内容
デジタル行先表示器、降車合図装置等の ワンマンバス用機器の製造・販売
所在地
東京都北区神谷1-1-1
資本金
3,000万円
従業員
45名
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