株式会社日精ピーアール
株式会社日精ピーアール 代表取締役社長 中村 慎一郎
停滞感が漂う中小企業の印刷業界。インターネットでのプリントサービスが進化を続け、仕事量が年々減少し、厳しい価格競争が繰り広げているのがこの業界だ。大半の企業がマーケットの縮小の波に飲まれ衰退を余儀なくされている。そんな中にあって印刷業界において右肩上がりの成長を続ける企業がある。それが今回取材をさせて頂いた日精ピーアールだ。同社は昭和10年に創業し、昨年に80周年を迎えた。そんな老舗の歴史ある同社が、この逆風の市況感の中で成長を続けているのには明確な理由がある。それは環境に適応し、必要とあらば次々と新しい風を取り入れていく柔軟な経営手法である。それはまるでベンチャー企業のようである。今回はそんな変化を繰り返す同社の現在、そして未来の展望について中村社長にお話を伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
NSPRクレド
「社風という訳ではないのですが、我が社にはとても大切にしている考え方があります。それを言語化し、カタチに落としたものがクレドです」と中村社長。同社には先代中村会長から受け継がれているNSPRクレドというものが存在している。それは『①Newborn(新生)本日創業の心でお客様のニーズに対応します。②Sincerity(真摯)誠実に仕事に取り組み社会と文化に貢献します。③Pride(自尊)プロの誇りをもって最高の品質をお届けします。④Respect(敬意)すべての方々への尊敬と感謝の気持ちで接します。』といった内容のものだ。このクレドに関しては必ず毎朝唱和を行い、全社員の手元にもクレドが記載された”クレドカード”というものが配布され、常に目に触れる環境にあるという徹底ぶりだ。事業を環境に合わせて変化、進化させていくことが得意な同社ではあるが、決して変わらない”NSPRクレド”という信条を全社員が持ち続けている。
付加価値を創出する営業マン
同社の強みは「人=営業力」にある。同社が属している印刷業界は現在まで、ネットプリント等のシステム進化により、以前とは違い人を介さなくても簡単な印刷であればネットで簡単に注文が出来てしまう時代となった。そんな中でも同社が現在でもあえて「人(営業マン)」を介するのはお客様に対して高い付加価値を届けたいという強い想いがあるからだ。印刷一つとっても仮にデザインが既に決まっているものだとしても、紙質や色合い、色彩によってもそのモノのクオリティは大きく変化する。印刷業界のプロとして、あえて同社の営業マンが介在し、顧客が実現したい要望を丁寧にヒアリングし、またそれを超える提案を行うことで、ネットで注文するのでは決してなし得ないクオリティを実現させている。その証拠に同社に発注した90%以上の顧客がリピートで発注を行っている。これは価格戦争が起きている印刷業界では異例のことである。同社の営業マンは顧客の期待値を常に超え続けるために、今日も真摯に顧客の声に耳を傾けている。
従業員の未来を見据えた5ヶ年計画
同社では現在(2016年)から東京オリンピックが開催される(2020年)までの明確な5カ年計画を打ち出している。それはトリプル10(売上10億円、営業利益10千万円、従業員の平均給与水準10%アップ)である。ここには衰退しつつある印刷業界の中で、他社との明確な差別化を図り、会社を成長させながら、働く従業員がより幸せに働ける環境を創りたいという中村社長の強い想いが込められている。この5カ年計画の達成のポイントをお伺いすると、「自分を含めた従業員が変化を恐れず、時代に合わせて主体的に変わっていくことだと思います」と中村社長。そこで同社では”ONE FOR ALL ALL FOR ONE”というスローガンを旗印に掲げた。その意味合いとしては、「人間は弱い生き物なので一人では変われない。しかし、周りの仲間の為であれば変われる」という中村社長の強い信念が象徴されている。既に始まった5カ年の改革計画。中村社長を中心としたチーム”日精ピーアール”は変化を恐れず突き進んでいく。



中村社長の先代・事業・従業員に対する想い
―先代社長の印象を教えてください
強烈なリーダーシップと、猛烈な執念がありましたね。今でも先代についてきたからこそ、この会社にいるという人間は数多くいますし、先代の誠実な人間性があったからこそ、弊社には似たような誠実な人間が集まってきていると思います。あとは先見性があったかな。会社が傾くかもしれないリスクが常にある中で、環境対応した水なし印刷の導入等、時代に合わせた決断をしてきたからこそ、今でもこの会社が存続していると思っています。先代の先見性や決断力や行動力はたくさん見習っていかないといけないと思います。しかし、いきなり身に付くものでもないところもあるので、一歩ずつ着実に、社員と共に成長しながら進んでいきたいと思います。
―現在行っている新しい取組みを教えてください
環境、高品質に続き、仕掛けているのが電子カタログの推進です。紙で印刷されている商品カタログや会社案内などの電子カタログ化を推進して行こうというものです。電子カタログはユーザーにとって場所を取らず、WEB上であればどこのページが見られたかの閲覧履歴などが分かるという大きなメリットがある製品です。しかし、従来紙で作っていたカタログを電子カタログにするとなると、紙の印刷は確実に減少します。電子カタログを作成した分の売上は上がっても、紙の印刷の売上が下がるというジレンマに陥いることもあり、社内での反対の声もありました。それでも私はカタログのすべてが電子化するわけではないけれど、必ずやそのニーズは増加する確信しています。他の印刷会社や他の業種が取り組んでしまう前に、未来を見据えてチャレンジしていきます。
―従業員の皆様へのメッセージ
シンプルに”良い会社”にしていきたいと思っています。良い会社とはそれは皆さんがこの会社に働いていて良かったと 思ってもらえることです。だから、売上や企業規模だけを追い求めるような会社にはしようとは思っていません。皆さんが自由闊達に働ける環境創りを行っていこうと思っています。しかし、忘れてはいけないのは会社というのは全てお客様があってこそです。まずはお客様の要望にしっかり応え、”日精ピーアールがいないと困る”というような存在に、会社にしていきたいと思います。お客様に必要とされ、信頼されることで、世の中に存在感のある会社にしていきたいと思っています。その為に全員変化を恐れず、自ら意見を出して積極的に変わっていきましょう。
お客様の表現したいものを一緒に創りあげる仕事
株式会社日精ピーアール
営業部門 ユニットリーダー 神田 広一
日精ピーアールは、営業部門、貢献部門、製造部門と大きく三つの機能を有している。その中でも神田さんが担うのは、営業部門だ。同社の営業部門は幾多もある印刷会社との差別化を図る為の重要部門であり、神田さんはその中でも次世代を担うエース的存在である。新卒で入社して11年目となる現在、ユニットのリーダーとして自らお客様との最前線に立ちながら、自身が培ってきた経験を部下に伝え、育てていく立場に身を置いている。『営業として数字を達成することは最低限の責任です』と断言する神田さん。高いプロ意識を持ち、成長を続ける神田さんの入社の経緯から、将来の夢まで今回は話をお伺いした。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
日精ピーアールの人柄に惹かれて
「もしかしたら皆さんも当たり前に通ってきた道かもしれませんが、昔からマンガ本とか雑誌とかが好きでよく読んでいて、やっぱりこういう業界は面白いなって思う部分があって、広告や出版物に関わる仕事がしたいと思うようになり、出版や印刷、広告業界に就職しようと決めました。就職活動を行う中で弊社との出会いは本当に偶然だったのですが、印刷業界でありながらも出版物のデザイン等にも関われるというところに非常に魅力を感じました」と神田さん。特定の業界の中で就職活動をする神田さんが同社に入社を決めた、最終的な決め手をお伺いすると、「それはその仕事内容だけでなく、面接して下さった面接官や、前社長の人柄に惹かれたからです。皆さんとても温かく、分け隔てなく接してくれるところにとても好印象を持ちました。現在入社して11年経ちましたが、今でも変わらずその印象を持ち続けられているので、自分の選択は間違いでは無かったのかなって思います」と神田さんは昔を思い出しながら語った。
お客様の表現したいものを一緒に創り上げる仕事
神田さんが感じているこの仕事の最大のやりがいは「お客様が表現したいものを実現させ、さらにはその期待値を超えて感動を生み出す製品を創りだすこと」だという。同社は印刷業界でありながら、会社案内やカログ等のSPツール制作も自社で行っている。その為に、設計やデザイン部門を自社で保有し、東京都足立区の保木間には印刷工場も保有している。 神田さんにとって同社は”出版印刷業界”ではなく、どちらかというと”製造業”だと感じているのだという。それは同社が手掛ける出版印刷物がまだ何もカタチが無いところから、営業マンがお客様の要望を細かくヒアリングし、それを設計やデザイン部門と擦り合せながら具体的に形に落とし込み、お客様と微調整をしながら、実際に製品を0からカタチにしていくというプロセスがあるからだ。「実際に製品がカタチになるまでには、たくさんの大変な部分がありますが、お客様が表現したい世界観をお客様と一緒に創り上げていくこの仕事は何にも変えられないやりがいがあります」と神田さんは胸を張る。
「神田さんだから任せたい」そんな存在に
「夢というよりは目標に近いんですが、先程もお伝えしたように弊社はどちらかというと製造業に近いと思っているので、まずは弊社が創る製品は間違いないという確固たる地位を築いていきたいと思っています。その為にもまずは私自身がお客様に、『神田さんだから任せたい』と思ってもらえるような、お客様に信頼してもらえる営業マンになりたいです」と神田さん。「そうやってお客様に信頼して頂ける自分になれたら、そのノウハウや考え方を次は部下や後輩の営業マンへと還元して、会社全体を盛り上げていけるそんな存在になっていきたいです」と続く。そう神田さんが思えた背景には、過去に営業にも関わらず元々コミュニケーションがそう得意でなく苦労した経験を多くの先輩達に助けてもらった恩があるからだという。入社から11年、若手から中堅の位置へと差し掛かり、今まで一歩ずつ積み重ねてきた経験と、誰に対しても真摯に向き合うその誠実さを武器に、今後の同社を牽引していく神田さんの活躍から目が離せない。



将来を担う神田さんの想い
―日精ピーアールならではだと感じるポイントを教えてください
たまに弊社を退職した人達と話をする機会があるんですが、誰と会ってもみなさんやっぱり人柄が良いなと感じますし、辞めた方からもそういう話が上がりますね。だから基本的にはそういう人柄の良い人が集まってくる会社なのかなって思いますね。ちなみに人柄が良いというのは、人の為にがんばろうとする人とか、仕事に対してすごく真面目で誠実だなっていう印象の人を指しています。困っていることに対して解決策を提示してくれたり、手詰まりな時には部署を超えてまで助けてくれるそんな会社なんだなって感じています。私も11年目になり任せて頂ける範囲も少しずつ広がり、困難なことも多い状況ですが、たくさんの方に助けていただいているなっていう感覚があります。これが弊社ならではの文化風土なのかなって思います。
―営業マンとして意識していることを教えてください
まずは当然ですが、営業として数字(予算)を達成することは絶対事項なので、そこが最低限の当たり前です。
おかげさまで数字の方はずっと達成することが出来ていますが、数字を作る為に意識していることでいうと、出来る限りお客様の要望を断らないってことを心掛けています。多少難易度が高いことや難しいことでも、なるべく引き受けるようにしています。それは自分がもし頼む側の立場だったら、一緒になってどうやって実現出来るかを考えてくれる営業マンの方が当然発注したくなると思います。至極当たり前のことですが、営業マンとして本当に相手の立場に立って考えることが出来るかが一番重要なのかなって思います。
―日精ピーアールをさらに良い会社にしていく為に必要なことはなんですか
今会社には営業部門と製造部門、貢献部門、総務部門と4つの部門が存在しています。その中で当然部署毎の考え方があったり、こだわりだったりがあるので、たまに会社全体として同じ方向に向けていないのかなって感じる部分があります。どうしても目の前の仕事に没頭してしまう部分があるので、それを改善する為にももっとコミュニケーション量を増やすとか、会社の課題を部署を超えて話し合い、具体的に改善していく会議みたいな場とかももっと必要なのかなって思います。今はまだ出来ていないですが、そういう場をどんどん若手から引っ張っていくことが出来て、良い会社にしていくことが出来ると思います。そうすれば、よりお客様にも良い製品を届けることにも繋がると感じています。
創業年(設立年)
1935年(1999年)
事業内容
総合クリエイティブ業務、デジタル加工業務、印刷物の制作加工
所在地
本社/東京都千代田区岩本町1-10-5 TMMビル7階 保木間プリテックセンター/東京都足立区保木間1-28-17
資本金
2,000万円
従業員
50名
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監修企業からのコメント
掲載企業からのコメント
頭が整理されました。改めて自社の事を語るのも難しいものですね。今進めているものを必ず形にして、
社員にとって良い会社にしていきたいと思います。