株式会社タニタハウジングウェア
代表取締役社長 谷田 泰
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
人の成長が会社の成長に繋がる
タニタハウジングウェアの社員の方の平均勤続年数は、なんと約20年。東京都の中小企業3,500社を対象にしたある調査によると、平均勤続年数は10.2年だということからも、同社のすごさがうかがえる。この同社の社員がこれほど定着率が良いのには、ある理由がある。 その秘訣とは、社員が働きやすい環境が社内に徹底的に作られているということ。まだ、週休2日制という言葉が一般的ではなかった1960年代から週休2日制を敷き、社員寮も整備するなど、中小企業としてはまさに異例の環境づくりをすすめてきた。こうした取り組みの背景を谷田社長はこう語った。「会社の成長は働いている社員の人間的な成長に掛かっていますから、社員が辞めてしまっては会社の成長は止まってしまいますよね」勤続年数の長さは、すなわちお客様と継続した関係を築くことができる時間の長さ。社長と継続して関係性を築いていくことが重要な同社にとっては、定着率の良さはまたとない強みの根源なのである。
シェア90% 美しい家づくりに選ばれる理由
実は、日本で一般的に使われている雨といの9割は、塩化ビニール樹脂(以下塩ビ)製。安価で普及しやすいのが特徴だ。だが、タニタハウジングウェアの金属製雨といは、見た目の美しさ、製品の精密さで塩ビのそれを圧倒する。金属だからこそ醸し出される高級感と独特の質感は、いわば芸術品。銅製の雨といは、塩ビ製の5~6倍の価格。いわば雨といの最高級品だ。故に、求められる製品の品質はかすり傷1つ許されないほど厳しい。当然、材料にまで徹底的なこだわりを持っている。かつて銅の圧延加工に携わっていたことによる、金属に対する深い造詣を生かし、細かな数%までの金属配分や、仕上げ塗料の成分まで、仕入先会社が悲鳴をあげるほどこだわり抜いて材料を仕入れている。こうした細部へのこだわりが、プロを唸らせる高品質を担保しているのだ。結果、同社の雨といは業界内において、銅製は90%、ステンレス製は50%、ガルバリウム製は40%といずれもトップシェアを獲得している。
ファンにもっとタニタハウジングウェアの価値を提供したい
新築住宅市場が縮小傾向にある中で、同社も従来のビジネスモデルからの変革を図ろうとしている。それは、金属製雨といで培った技術を、屋根材、壁材などの他の外装材にも応用していくということ。新築住宅そのものが減少していく中で、今後は1軒1軒の住宅に対してよりこだわり、美しくきれいな家をつくるということが求められている。そこで同社は金属製雨といの製造で培った美しい外装材をつくるノウハウを、壁材・屋根材などの他の外装材にも応用した「TANITA GALVA」シリーズを開発した。雨といの美しく、つつましくありたいというコンセプトをそのまま家の壁材、屋根材などの外装材に応用したのだ。加えて、出隅、入隅など、通常建築士や施工店が嫌う建物の凹凸になってくる部分についても、美しく納まるように工夫されている。既に同社の雨といのファンになっている、美しい家づくりにこだわる建築士や施工店に対して、TANITA GALVAシリーズという形で、更なる価値を提供し、もっとタニタハウジングウェアのファンになってもらう未来を、谷田社長は描いている。



「雨のみちをデザインする」谷田社長が今、感じている事
―「雨のみちをデザインする」という言葉に込められた思いを教えてください
「雨のみちをデザインする」とは、雨といを作るのが私達の仕事ではなく、建築物に降り注ぐ雨が地面にたどり着くまでをデザインするのが私達の仕事なのだ、という意味です。「我々は雨といをつくるのではなく、雨のみちをデザインするんだ」と皆が言えば、可能性はどんどん広がっていくだろうと思ったんです。だから「雨のみち」の「みち」が平仮名であることには、通り道を示す「道」に加えて実は無限の可能性を示す「未知」という意味も含まれているんです。実際に、雨とい以外にも、くさりといや外装材など、新たな可能性が次々と見えてきています。これからも「雨のみちづくり」のパイオニアとして、未知なる可能性にどんどん挑戦していきたいですね。
―同社の製品を通じてお客様に感じてもらいたいことは何ですか
様々な場所で、「雨の日が大好きな人いますか」って聞いてみるのですが、そこで、手を上げる人はほとんどいません。けれども雨というのは本来恵みの雨で、豊かさの象徴ですよね。この雨の豊かさを感じることが難しいのが現代なのです。そんな中に一石を投じることができるのが、我々だということを改めて感じますね。例えば先述の「ensui」を使っていただいている方から実際に頂いた声でこんなものがあります。「雨の日家の中で、外の『ensui』の中心を流れ落ちていく雨水の滑らかな音色を聞くと、なんとも心地良いんです」この方が実際に感じてくださったように、弊社の製品が雨の日の豊かさを住まい手に感じさせる1つのきっかけになるんじゃないか、そう思っています。
―雨とい以外の製品で、今注目を集めている製品について教えてください
2016年にグッドデザイン賞を受賞した弊社の製品で「ensui」というくさりといがあります。これは、従来のチェーン型のくさりといと異なり、集められた水が中央を通り抜けていくのです。ある時完成見学会で、「ensui」を使っていただいたお客様にお会いする機会がありまして、一緒に写真を撮っていただいたんです。その際、お客様が「ensui」を中心にして自然に写真を撮って下さいました。本来雨といは、隅の方に追いやられるものだったので、嬉しかったです。実際にくさりといを家の正面に持ってこられる方も増えてきていっらっしゃいます。日常の些細な風景の中にも、このような新たな価値づくりをしていくことが、我々の使命なのです。
「誰よりもお客様の信頼を勝ち得る営業になる」
株式会社タニタハウジングウェア
営業部 平位 圭太
タニタハウジングウェアの雨といなどの製品は、仲卸業者を通じて工務店や施工店に届いている。故に同社の営業でいちばん重要なミッションは、「買っていただく」ための営業活動ではなく、施主(エンドユーザー)にいかに工務店や施工店が同社の製品を「思わず勧めたくなる」ための営業活動である。平位さんが、同社の営業のミッションを達成するために一番大切にしていることは、「お客様と継続して関係を築き、信頼を勝ち取ること」だ。前職は不動産会社の営業マン、今は同社営業部の平位さんが、なぜ、どんな思いで同社の営業に取り組んでいるのか、その秘密に迫った。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
お客様と継続して関係を築きたい、元不動産営業マンの挑戦
お客様に心から信頼していただけるような仕事をしたい、これが平位さんが同社への入社を決めた一番の理由だ。前職は不動産営業だった平位さん。お客様との関係が一時で終わってしまうような仕事ではなく、お客様と継続した関係を築き、お客様のパートナーになるような、そんな仕事をしたいと、物足りない思いを抱えていた。その思いのルーツを窺い知ることができるあるエピソードがある。平位さんは学生時代に居酒屋でアルバイトをしていた際、接客の中で常連のお客様と仲良くなり、プライベートで飲みに連れて行ってもらうこともあったとか。こうした経験から、お客様と継続して関係を築き、心をゆるしていただくということに喜びを感じるようになったのだそう。同社の顧客となるのは、家の品質に強いこだわりを持っている地域の工務店や施工店。ここのトップと直接関わり、信頼を得て、もっと同社の価値を広めていく、これが同社の営業のミッションだ。並大抵の道では無いが、平位さんにとって同社の営業はまさに天職と言えるだろう。
「タニタさんの製品なら間違いないよ」の言葉が嬉しくて
平位さんが仕事の中で最もやりがいを感じる瞬間は、お客様に自社の商品を認めて貰えた瞬間だ。同社の金属製雨といをはじめとする製品は非常に高品質で、業界トップシェアを誇るなど、他社の追随を許さないものだが、製品そのものの普及率は決して高くない。故に同社の顧客である、こだわって家づくりをしている工務店や施工店に自信をもってエンドユーザーの方に勧めてもらえるのは並大抵のことではない。そんな中で、「タニタさんの雨といなら間違いないよ」とお客様から言葉を頂ける。このことが平位さんにとって、同社の製品を認めて貰えたという喜びに加えて、自らのことも認めてもらえたように思えて、とても嬉しいのだ。ある時、個人住宅だが、平屋が3つ連なったようなの非常に大きいお宅に同社の雨といが採用された際も施工店さんに「これくらい大きいお宅であれば、しっかりとした良質な雨といをつけないと」と施主さんに直接交渉してもらったのだとか。自ら関係性を構築したお客様に、自社の製品を信頼してもらえる喜びを追い求める平位さんの、これからの活躍にも期待だ。
誰よりもお客様に信頼される人間に
「『平位さんが言うなら間違いないですね』と言われるような人間になりたいです」と平位さん。いままではお客様と関係性を築くことで、同社の製品の良さを理解してもらうということに力を注いでいた平位さん。ここからさらに進化して、同業他社だけではなく、施工の知識だったり、より現場に近い専門的な知識を身に付け、1人の専門家として、お客様にアドバイスできるプロフェッショナルとしてもっと信頼してもらえる人材になることが、彼の抱く夢だ。この夢に少しでも近づくため、営業には必須ではないCADの図面についても積極的に学んだり、他部署とのコミュニケーション・連携を積極的に行うなど、様々な事に注力している。取り組もうとしていることの幅の広さには思わず脱帽だ。「こうすることで自分を信頼してくれているお客様にもっと貢献できるし、ひいてはタニタハウジングウェアへの貢献にも繋がると信じています。」平位さんは自らの夢を、目を輝かせながら語った。



平位さんの思う、タニタハウジングウェアの社風の源
―会社の好きなところはどんなところですか
良い意味でゆるやかなところですね。部署の間がフラットで、仕事の話が垣根無くできるということはもちろん、それに加えて、仕事以外の雑談であったりとか情報交換とかそういうことができているところですね。どこの部署とか関係なくフラっと机に寄って、「この間ああだったよね」という話をするには、会社がそういう空気で、社員同士の関係性ができていないとできないと私は思います。だから自然にコミュニケーションをフラットに取れているというのは、実はとても良いことなんじゃないでしょうか。そしてこのフラットさの源泉は間違いなく谷田社長です。社員のデスクに社長がひょっこり顔を出すなんてことは日常茶飯事で、人によっては個人的に相談に乗っていただくこともある程です。いい意味で、垣根が無いですね。
―社員の方同士ではどんな交流が行われているのですか
東京本社の全員が集まってのイベントが定期的に開催されています。新年会とビアパーティーは毎年実施しています。出席率もかなり高いですよ。中でも一番自分が楽しみにしているのは、夏に弊社の敷地で開催されるビアパーティーですね。地方に営業に行っていた社員がご当地のおつまみを持ってくるというのもよくあることです。タニタに本当に部署・役職の垣根が無い秘訣は、もしかしたらこうしたイベントを本気でやっているということにもあるかもしれませんね。毎年毎年企画も少しずつ変わっていくので、来年はどんなイベントが開催されるのか、楽しみです。
―これから挑戦していきたいことはどんなことですか
挑戦といっても、営業は日々チャレンジしているという感じですが、特に安定的に数字を取るための、新規開拓に挑戦していきたいですね。更に新規開拓で結果を出すために自ら周辺知識や関連企業の勉強をしたり、会社の人間やお客様に教えを請うたり、色々なことに取り組んでいます。教えていただくという姿勢で他の人と接することで、また違った視点から話を聞くことができて、そこから新たな攻めの一手への糸口が見つかることもあります。最近はお客様と関係性を築く中で、こうした話を聞くことが徐々にできるようになってきているので、安定的に結果を残せる営業に近づいているなと感じますね。
創業年(設立年)
1947年
事業内容
タニタハウジングウェアは、金属製雨といにおいて右に出る者がいない、トップシェアを誇るメーカーだ。だが、谷田社長が掲げている「雨のみちをデザインする」という言葉には、金属製雨といのトップシェアメーカーでありながら、「私達は雨といを作る会社ではなく、雨のみちをデザインする会社なのだ」という思いが込められている。雨が雨といを通って流れていく、それが雨のみちを意味しているのだ。そんな谷田社長の思いは、2016年にグッドデザイン賞を受賞した、新たなくさりとい「ensui」など、建築物にとっての新たな雨のみちとなるモノづくりにも表れている。谷田社長への取材を通じて、雨といにおいてトップシェアを誇りながら、挑戦の足を止めることがない同社の強みの真相に迫った。
所在地
東京都板橋区東坂下2-8-1
資本金
7,200万円
従業員
130名
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