株式会社ニューテックシンセイ
代表取締役 桒原晃
株式会社ニューテックシンセイは、長年培ってきた手づくり生産設備の技術を基盤に、パソコン製造や産業用機械の受託生産を手がける企業である。1980年の創業以来、パソコン本体の組立から大型露光装置の製造へと事業領域を広げてきた。特に、2011年から販売している、精密な木材加工技術を活かした自社ブランド「もくロック」は国内外で高く評価され、現在では世界40か国で販売実績がある。代表取締役の桒原社長は、若くして家業に入り、海外経験を経て品質管理や生産技術を磨いてきた。幼い頃から「社長」か「お坊さん」になりたいと夢見ていたという桒原社長に、同社の独自性や今後の展望について伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
情報を共有し、一歩先の提案を
同社には、「お客様の一歩先を考える」ことができる文化が根づいている。単なる受託生産にとどまらず、相手の課題をいち早く察知し、自らの提案でその先を切り開く姿勢が、社員一人ひとりに自然と備わっている。与えられた仕様をそのまま形にするのではなく、「自社ならではの工夫」で応える姿勢が、仕事の随所に息づいているのだ。
この意識は一朝一夕に生まれたものではなく、世代を超えて受け継がれてきた。現社長のみならず、先代の経営者の頃から「困っているお客様を見たら放っておけない」という文化が社内に根づいており、他社が敬遠するような複雑な案件に対しても「うちがなんとかする」と手を差し伸べる姿勢が今も引き継がれている。
こうした文化を支えるのが、社内での密な情報共有である。現場で発生した課題はその日のうちに全体で共有され、課題の整理から解決までを組織で追いかける体制が確立されている。これにより、現場力と提案力が日々磨かれていく。部門を超えた連携も活発であり、社員同士が互いに学び合い、高め合う風土が形成されている。
ただ指示に従うのではなく、自ら考え、動き、提案する。その姿勢こそが、同社の競争力の源泉である。
日々の積み重ねによって培われた技術力
同社の独自性は、「地道な改善の継続」にある。日々の業務は一見すると変化が乏しく、同じことの繰り返しに見えるかもしれない。しかし、その繰り返しの中にこそ、同社の強みがある。日々積み重ねた小さな改善の積み重ねが、気づけば唯一無二の存在を形づくっているのだ。
同社の自社ブランドである、「もくロック」の開発は、その象徴である。製品化当初は、自分たちの技術など大したものではないと感じていた。だが、国内外の展示会で驚きをもって迎えられた経験は、同社の可能性を示す確かな証拠となった。すでに自分たちが持っている技術やノウハウをどう活かすか、それが問われていたのである。
さらに、同社のものづくりは単なる下請けにとどまらない。顧客のシステム構築に深く関与することで信頼を獲得してきた。ロボット導入においても、先に自社で検証し、確信をもって顧客に提案できる体制を整えている。
自信がなかった時代を経て、自らの価値に気づいた。その気づきをもとに、「すでにあるもの」に目を向け、磨き続ける。これこそが、同社の独自性である。
地域を牽引する企業を目指して
同社は今後の持続的成長に向けて、規模の拡大を最重要課題の一つと位置付けている。地域経済が縮小してくことへの危機感から、地方企業として地域を牽引する中堅企業を目指す必要性を強く認識している。
現状のままでは、10年後の存続も危ぶまれるという危機感から、事業選択や雇用の継続を可能にするためにも成長は避けて通れない課題だ。これに対応するため、顧客の課題解決により、一層貢献できる体制構築に取り組む。
また、取引先の多角化も重要な戦略である。従来の情報通信機器業界に加え、新たな企業との取引拡大など新たな市場開拓を推進し、安定した収益基盤と成長の可能性を確保する。
組織面では、現場の自律的な課題解決力向上を促進し、管理職が新規事業や経営課題に集中できる環境を整備する。OJTを中心としたスキルアップや部門単位での課題共有を通じて、組織全体の底上げを図る考えだ。これらの取り組みを通じて、地域に根ざしつつも持続可能な成長を実現し、将来にわたる強固な企業基盤の構築を目指す。



誰かの役に立てているという実感を持ってもらうために
もくロックの魅力を教えてください。
まず、ものづくりに携わる技術者からは、木材の扱いの難しさや高い加工精度に対する驚きの声をいただきます。木は温度や湿度で微妙に変形しますが、弊社は100分の2、3ミリ単位の精度で加工し、精巧な組み立てを実現しています。こうした技術力は金属やプラスチックにはない木材特有の挑戦であり、同業者からも高く評価されています。また、購入いただくお客様の多くは、木の自然なぬくもりや香り、柔らかな色合いに魅力を感じてくださいます。特に女性のお客様には癒やしや安心感を与えているようです。また、デザイナーや教育関係者からは、木の素材感と最先端の技術が結びつき、環境配慮やSDGsに資する新たな価値を生み出している点を評価していただいています。こうした多様な魅力が、もくロックの強みであり、私たちの誇りです。
桒原社長が社長になった経緯を教えてください。
私が18歳の時に、父から声をかけられ、弊社に入社を決めました。最初はパソコンの受託生産に関わり、品質管理や生産技術の仕事を担当しました。徐々に業務の全体像を理解し始めたのは、2009年ごろからです。
その後、父の体調が思わしくなくなり、2013年に代表取締役を引き継ぎました。社長としての責任を感じながら、会社を支える立場に立つことになりました。実は幼い頃から「いつかは社長になりたい」と漠然と考えていた自分がいて、それが現実となったのです。仕事を通じてお客様から信頼をいただく経験が、私の中で大きな自信となり、社長としての道を進む決意を固めました。
社員に期待していることは何ですか?
私は、社員には仕事を通じて社会の中で役立つ人になってほしいと考えています。たとえ転職したとしても、「昨日より今日のほうが誰かの役に立てている」と実感できる人であってほしい。そのためには、人間性も技術も、どちらも成長し続けることが大切です。仕事の中で生まれる悩みや課題を一人で抱えるのではなく、みんなで共有し、解決していけるような組織にしたい。そんな想いから、10年ほど前から「気付きメール」という形で、私自身が感じたことを社員に伝えています。仕事の話だけでなく、家庭や地域での出来事から得た学びも含めています。広い視点を持ち、自らの成長を実感しながら、社会の中で自信を持って輝いてくれることを心から願っています。
失敗を恐れない心で、若手が未来をつくる会社を
株式会社ニューテックシンセイ
リーダー 伊藤愛蘭
生産現場でPC製造に携わる伊藤リーダーは、トラブル対応や後輩の指導など幅広いリーダー業務を担っている。彼女は「生産にはトラブルがつきもの」と冷静に語り、その言葉からは日々の現場で培った覚悟と責任感がにじみ出ている。入社後約1年でリーダーに昇格したのは、学生時代に委員長として培ったリーダーシップが大きな原動力となっている。異例のスピード昇格は、本人の努力と周囲からの厚い信頼の証である。伊藤リーダーはもともと自分の意見を発信することに苦手意識を持っていたが、社長や上司からの「やってみな」という言葉に励まされ、積極的に改善提案や現場の課題解決に取り組んでいる。現場の声を大切にしながら、自らも成長を続けている姿が印象的である。そんな伊藤リーダーに、入社の理由や将来の夢について伺った。
伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
前向きな雰囲気で挑戦できる社風に惹かれて
高校での就職活動を通じて同社を知った伊藤リーダー。もともとものづくりが好きで、製造業に就職したいという想いが強くあった。さらに、ただ製造するだけでなく、新しいことにも挑戦したいと考えていた。そんな中で出会ったのが同社である。調べていくうちに、木製ブロック「もくロック」の開発や、切削機を用いた加工、PC・電子機器の製造など、幅広い分野での製造ノウハウを持っていることを知り、ますます関心が高まった。 入社当初、社長と直接話す機会があり、その明るい人柄に驚かされた。製造業は堅く暗い雰囲気を想像していたが、同社はまったく異なり、職場全体が明るく、前向きな空気に包まれていた。入社後もその印象は変わらず、忘年会や新年会、誕生日のお祝いといったイベントも積極的に行われ、社員同士のつながりを大切にしている。自然体験チームやサッカーチームといった自主的な活動も盛んであり、和気あいあいとした社風が感じられる。こうした明るい職場環境が、同社で働く魅力の一つである。
失敗を恐れず、挑戦した先にある達成感
伊藤リーダーのやりがいは、チームで困難を乗り越えたときに生まれる達成感である。入社して間もない頃から製造部門での業務を担当し、1年後にはリーダーとしての役割を任された。当初は自分の意見を発言することが得意ではなかったが、社長や上司から「遠慮するな」「お前ならできる」と背中を押され、次第に積極的に声を出すようになった。自らの考えを伝え、それがチームに影響を与え、成果につながったときの喜びは大きい。 現場では、日々さまざまな課題が発生する。それでも、メンバーと協力し、一つひとつ乗り越えていくプロセスにこそ充実感がある。自分ひとりでは解決できなかった問題が、今では冷静に判断し、仲間をまとめて乗り越えられるようになった。その成長を実感できることが、仕事のやりがいにつながっている。 学生時代に応援団や委員長を経験し、人前に立つ楽しさを知った伊藤リーダー。同社は、そうした個性を引き出してくれる職場である。遠慮せず意見を述べられる風通しの良さがあるからこそ、挑戦し続けることができる。この環境でさらなる成長を目指し、日々仕事に向き合っている。
全員が「ここで働けて良かった」と思える環境を
伊藤リーダーの夢は、チーム全員が「ここで働けてよかった」と思えるような現場をつくることである。風通しの良い職場で、誰もが自分の意見を持ち、それを発言できる空気感を育てたい。そう語る彼女の言葉には、リーダーとしての強い覚悟と優しさがにじむ。 「チームの幸せが自分の幸せ」。この想いを実現するために、自らが日々の小さな喜びを見つけ、広げることを心がけている。たとえば毎朝の朝礼では、必ず「何か意見のある方はいますか」と声をかけ、発言しやすい雰囲気づくりに努める。その土台には、普段からの丁寧な声かけや大きな挨拶、感謝の言葉を大切にする姿勢がある。 特に印象に残っている言葉は、「他人の意見ではなく、自分の意見を持て」という上司からの助言だったという。その教えを胸に、自らが提案し、周囲を巻き込むリーダーシップを体現している。 若手とベテランが知恵を共有し合い、誰もが自信を持って活躍できる現場にすること。それは自分だけの夢ではなく、チーム全体の未来を見据えた願いでもある。学んだことを周囲に伝え、前向きな変化を広げるその姿は、現場を動かす力となっている。



温かいメンバーと失敗を恐れず挑戦したい
ニューテックシンセイの良いところはどんなところですか?
弊社の良いところは、明るく、楽しく、元気よくという雰囲気が自然と広がっているところだと思います。もちろん、ただ「明るくやろう」と言って実現できるわけではありません。でも、まず社長自身がそういう空気をつくってくれていて、リーダーの私たちにもそれが伝わってくる。たとえ落ち込むことがあっても、毎日「声をかける」「話を聞く」ことを大切にしてくれる社風のおかげで、前向きな気持ちに切り替えられています。
私自身も部下に対して「何かあったら話していいよ」という雰囲気をつくるよう意識しています。コミュニケーションがしっかり取れていると、現場でもトラブルを未然に防ぐことができるし、チームワークにもつながります。毎日の終礼では「今日の良かったこと・悪かったこと」を全員で共有する時間もあり、それも一体感を生むきっかけになっています。こうした文化が、この会社の一番の魅力だと思います。
桒原社長はどんな方ですか?
社長の第一印象は、とにかく「温かい人」。その雰囲気が自然とまわりに伝わって、社員一人ひとりを大切にしてくれているのが伝わってきます。ビジョンや経営の方向性も明確に発信してくれるので、「今、自分は何をすべきか」「何に挑戦できるか」がとてもわかりやすいです。新年度や年末年始などの節目には、全社員に向けて方針や想いを話してくれる場もあって、それがまた一体感につながっています。
また、印象に残っているのは、誕生日や目標達成のタイミングでご飯に連れて行ってくれたこと。「頑張ったね」と声をかけてくれて、みんなでワイワイお祝いする空気をつくってくれる。そういうところにも、社長の「社員を守ろう、支えよう」という想いを感じます。一言で言うなら、「社員のことを一番に考え、苦しいときほど支えてくれる人」。そんな社長のもとで働けるのは、すごくありがたいです。
ニューテックシンセイを今後どんな会社にしていきたいですか?
桒原社長がよく「若手が未来をつくる会社にしたい」と話していて、私自身もその言葉にとても共感しています。私もまだ23歳と若手の一人ですが、上司や先輩から支援やOJTを通じて多くのことを学びながら、自分なりに挑戦を重ねています。そして、いずれは自分で仕事をつくり、会社の未来を担っていけるような存在になりたいと考えています。
そのために大切だと感じているのが、「失敗を恐れずに挑戦すること」です。私はまずやってみることを大事にしていて、もしうまくいかなくても「それは俺がどうにかするから」と背中を押してくれる上司の存在が、挑戦の原動力になっています。そんな安心できる環境があるからこそ、若手も積極的に動ける。そういう風土をもっと広げて、誰もが自分の意見や挑戦を当たり前にできる会社にしていきたいと思っています。
創業年(設立年)
1980年
事業内容
パーソナルコンピューターの組立 「もくロック」という木のおもちゃの製造、販売
所在地
山形県米沢市大字花沢3075-1
資本金
3100万円
従業員
139名
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