万協製薬株式会社
お客様と共に成長する企業としての信念

万協製薬株式会社

代表取締役社長 松浦信男

今回取材させていただいた万協製薬株式会社は、全国約140社の医薬品アウトソーシングを担う、医薬品業界のものづくり企業である。
1960年に神戸市長田区で創業した同社は、1995年の阪神・淡路大震災で本社と工場が全壊するという未曾有の危機に直面した。そんな中、全く縁のなかった三重県多気町に移転し、翌1996年、二代目社長に松浦信男氏が就任。一からの再スタートを果たし、同社を飛躍的に成長させた。現在では、様々な企業からの外用剤アウトソーシングを手掛け、年間250種類・4,500万個の医薬品を生産している。
独自のビジネスモデルと革新的な組織運営を武器に、成長している同社の背景について松浦社長にお伺いした。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

「楽しく働く」文化が生み出す成長の原動力

同社の社風は楽しく働く環境づくりを重視しており、松浦社長は「社内のエンタメ化」と表現している。
医薬品製造という業界は厳密でシリアスな場面が多く、失敗が許されない業務が求められる。そんな環境下でも楽しく仕事が出来るようにと様々な仕組を用意している。
そのひとつに、会社をより良くするための提案制度が存在する。
社員の自発性を促し、業務の生産性を高める等、会社を成長させるための提案書を提出したら100円~10万円が支給される。中身は特に制約はなく、些細なことでも提案を行った場合は対象になるというものだ。
社外に対しても、「いろんな会社のプロデュースができて嬉しい」と松浦社長は語る。社長がそのような想いで仕事をしているからこそ社内も前向きで活気にあふれているに違いない。その結果として、同社の売上は過去2年で46%成長という驚異的な伸びを記録し、さらなる飛躍を続けている。
松浦社長の掲げる「楽しく働く」文化は、同社の社員と同社に関わるすべての人々の未来を明るく照らしているのだろう。

受託製造を超えた「ヒット代行業」というビジネス

松浦社長は「やっている仕事そのものが独自性」と語る。同社は「お客様のヒット代行業」として、従来型の受託製造を超え、顧客と共に市場を切り拓くという独自のビジネスモデルを確立している。同社が特化しているスキンケア分野は、処方開発に時間がかかるため、新商品の投入頻度は比較的低めだと言われている。そこにおいて、年間80品目という非常に速いスピードで新商品を開発し、多様な顧客ニーズに迅速に応えているのだ。それは同社が自社で開発から製造まですべてを行っているからである。さらに、単に仕様通りに製造するだけでなく、顧客の要望に応じた製品改良の提案を積極的に行うことで、付加価値の高い製品を生み出している。これらの取り組みが、同社の市場における競争優位性を支え、顧客との信頼関係を一層強固なものにしている。同社は独自の技術力と柔軟な対応力を武器に、顧客と共に成長し続ける企業として、業界に革新と新たな価値を提供しているのである。

医療と消費者の架け橋となる、次なる未来戦略

同社は、今後の事業成長に向けて短期と長期の明確な目標を定めている。具体的には、2029年までに売上を100億円に、2039年までに250億円に引き上げることを目指している。この成長戦略の中心は、収益性の高いOTC医薬品(医師の処方箋なしで購入できる一般用医薬品)の市場シェアを拡大することである。医療用医薬品の比率を抑え、より多くの消費者に利用される商品に注力することで、持続的な成長を実現する狙いである。また、DXやAI技術を積極的に導入することで、生産効率の向上を図り、受託製造における競争力をさらに強化する。これにより、同社は変化する市場環境にも柔軟に対応し、顧客満足度の向上とともに、業界内での優位性を確固たるものにしていくと考えられる。

阪神淡路大震災を乗り越えた社長の信念

御社の成長要因はなんですか?

弊社が成長を続ける背景には、日本の医薬品業界における構造的な変化と、それに柔軟に対応する戦略があります。近年、国の政策により薬価が引き下げられ、多くの製薬会社の自社製造の継続が難しくなっています。その結果、採算が取れなくなった製品の製造を外部に委託する流れが急速に進んでいます。弊社はこの市場環境の変化をチャンスと捉え、医薬品の受託製造に特化しました。低コストでありながら高品質な製品を提供することで、多くの企業から信頼を獲得しています。また、OTC医薬品の製造強化により、ドラッグストアのプライベートブランド市場にも積極的に参入し、収益の多様化を図っています。これらの取り組みが、過去2年間で46%という成長を実現したのだと思います。

松浦社長のバイタリティの源はなんですか?

阪神・淡路大震災により、長田区にあった工場が全壊し、当時の政策により2年間建物を建てることができず、会社は崩壊。僕は一人きりの状況に追い込まれました。
しかし、当時、世の中の誰も万協製薬を必要としていない中で、ただ一人、僕だけは「万協製薬は世の中に必要な企業である」と信じ続けてきました。そして、その思いを現実化するために、30年間、世界が万協製薬を必要とする方向へと変えることに全力を注いできたのです。
もし世界が万協製薬を本当に必要とする存在にならなければ、僕の戦いは終わりません。まだこれはプロローグに過ぎませんが、その信念こそが僕の原動力となっています。

事業承継についての考えを教えてください。

実は10年前、長男が高校三年生の時に、すべての自社株を息子へ売却しました。ただし、万が一のことを考え、2株だけは僕が所持し、拒否権を持てるようにしています。
この決断に対し、税理士からは反対されました。理由は、息子がちょうど大学受験を控えており、多額の借金を背負うことで大きなプレッシャーになるのではないか、という懸念があったからです。そこで僕は、息子がプレッシャーで受験に失敗するのか実験してみようと考え、息子に「実は君に借金を背負わせる。その価値は、40年後100倍になっている」と伝えました。その言葉を聞いた息子の顔を見ると、彼は「ニヤッ」と笑い、受験にも合格しました。
この記事をご覧いただいている皆様にも是非、参考にしていただければと思います。

新部署立ち上げから企業成長へ ――挑戦の軌跡

新部署立ち上げから企業成長へ ――挑戦の軌跡

万協製薬株式会社

生産管理部部長 高島久美

万協製薬株式会社の生産管理部は、同社の製造業務を支える重要な部署である。そういった部署で部長を務める高島さんは、生産スケジュールの調整やお客様対応を担当しているだけでなく、総務課長として人事や経理の業務も統括している。さらに、関連会社の社外取締役としても活動するなど幅広い業務に携わっている。
多岐にわたる業務を円滑に進めるためには、全体の流れを把握し、的確な判断を下す力が求められる。生産管理部では、お客様の要望に応え、納期を厳守できるよう工場のスケジュールを最適化し、総務の業務では、社員が働きやすい環境を整え、会社全体の運営を支えている。
このように多岐にわたる業務をこなす高島さんが感じるやりがいやこれからの同社についてお伺いした。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

派遣から社外取締役へ!キャリアアップを支えた環境

もともと派遣社員として同社の製造部に入社し、その後契約社員を経て正社員となった高島さん。当時の同社では、派遣社員と正社員の業務内容に大きな違いがなく、幅広い業務を任せてもらえる環境が整っていた。この経験が、高島さんのキャリアに大きく影響を与えたのだ。 特に、リーダー職を新設する際に工場長から推薦されたことが転機となった。製造部に在籍しながら、現場の作業だけでなく事務所での業務にも関わり、生産スケジュールの管理や受注業務を担当するようになった。その結果、スケジューリング業務を社長から直接任され、生産管理部の立ち上げを行うこととなった。 この経験を通じて、高島さんは、部署を超えて業務に関わることで新たなチャンスが生まれることを実感した。現在もその姿勢を大切にしながら、業務に取り組んでいるという。

顧客の声が、より良い製品を生む原動力に

高島さんが感じている最も大きなやりがいは、会社の成長に直接貢献できることだ。売上が向上し、会社が大きくなった結果、従業員の報酬にも反映され、モチベーション向上にもつながる。そして、チームメンバーが笑顔で一生懸命仕事をしているのを見ると、大きな達成感を覚えるという。 また、社外の人から「良い会社に勤めていますね」と言われることも励みになっている。特に、病院や歯科医院などの医療機関の関係者から同社の製品が高く評価されると、自社の価値を再認識し、さらに良い製品を提供したいという意欲が湧いてくる。 最近では、グループ企業全体を黒字化するという目標を掲げており、自社だけでなく関連企業の経営にも関わりながら、グループ全体の発展に貢献することを目指していると語ってくれた。

企業の安定成長と、より良い会社を目指す

高島さんが目指しているのは、万協製薬グループ全体の成長と安定した経営基盤の確立である。現在、社長が掲げる「グループ企業100億円の売上達成」を実現するため、各社の黒字化と利益確保を推進している。具体的には、各グループ企業が独自に利益を生み出しながらも、相互にシナジーを生み出せる経営モデルを構築することが目標だ。 また、組織の活性化や人材育成にも力を入れていきたいと考えている。特に、女性が活躍しやすい職場環境を整え、管理職やリーダーの育成を積極的に行うことが重要だ。実際に、グループ企業では女性社員が増えており、今後さらに活躍の場を広げていくことを目指している。 最終的には、グループ全体の経営を安定させることで、従業員が安心して働ける環境をつくり、会社としての社会的な信頼を高めていきたいと考えている。

「困ったときに頼られる存在」信頼を築く仕事術

仕事の中で意識していることはなんですか?

私は、社長の信念に強く共感しています。社長はリーダーシップを発揮できる人材の育成を考えています。そしてその人が地域社会においてもリーダーシップを発揮できるようになることが望ましいと考えており、私もその考えを大切にしています。
また、お客様とのやり取りでは、笑顔で話を聞きつつも、頭の中ではコスト意識をしっかりと持ち、効率の良い方向へお客様を誘導することでWIN WINになることを心がけています。仕事はリラックスして取り組むことが大切だと考え、社員同士の距離を縮めるためにあだ名で呼び合ったり、お菓子を囲んだミーティングを行うなど、気軽に意見交換できる環境づくりにも努めています。

新部署の立ち上げについて教えてください。

まだ業務に慣れていない状態で工場長からスケジュール管理を任された時、あるお客様から「明後日までに5000個の製品をつくってほしい」との要望があり、たった2人で対応することとなりました。
慣れない工程管理により、お客様から厳しい言葉をかけられることもありましたが、そのたびに課題と向き合い、乗り越えたお陰で今では「困ったときの高島」と社長から信頼されるようになりました。
特に必要な場面では厳しいことでもビシッと言うべきことを伝えられる存在として評価されました。普段は穏やかですが、必要な場面では厳しく対応する「冷たさと甘さの共存」が、私の強みになっていると感じています。

仕事で楽しいことを教えてください。

松浦社長のマインドを伝えるための取り組みとして、社長と一緒に制作している「NOBUチャンネル」という社内向けの動画は、毎週朝礼前に配信されています。これは、コロナ禍で全体集会が難しくなったことをきっかけに始めたもので、社員の士気を高めるために導入しました。
動画では、社長の考えや経営方針を直接伝えるだけでなく、社内のニュースや楽しい話題も取り上げています。社員からの反響も大きく、コミュニケーションの一環として定着しています。このように、仕事を円滑に進めるだけでなく、職場の雰囲気をより良くする取り組みに関われることが、私にとっての仕事の楽しさの一つです。

監修企業からのコメント

コメント
万協製薬のインタビューを通じて、同社の強みと魅力を深く理解することができました。特に、単なる製造業ではなく、お客様のブランド価値を高める「ヒット代行業」としての役割を果たしている点に感銘を受けました。社員が楽しみながら働く姿や、震災を乗り越えた松浦社長の行動力にも心を動かされました。今後も万協製薬がどのように進化し続けるのか、期待しています。

掲載企業からのコメント

コメント
今回のインタビューでは、万協製薬の理念や事業の特徴を改めて伝える機会を得られたことを嬉しく思います。当社はお客様と共に成長する企業であり、社員が楽しく働ける環境を大切にしています。また、社員が楽しく働ける環境づくりの重要性についても再認識しました。これからも「迅速・確実・安価・快適」の理念を守り、さらなる成長を目指していきます。

万協製薬株式会社

創業年(設立年)

1960年

事業内容

OTC医薬品
医薬部外品
化粧品
健康補助食品
治験薬
医療用医薬品
医療機器

所在地

〒519-2179 三重県多気郡多気町仁田725-1

資本金

4,000万円

従業員

230名

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