株式会社ジャパン・フラワー・コーポレーション
代表取締役社長 松村吉章
創業150年以上の歴史を持つ株式会社ジャパン・フラワー・コーポレーション。1874年、富山県を拠点とする青果や花の卸売業として創業し、現在では富山県を拠点とし、花の卸や販売を行うチェーン店、「花まつ」を展開している。しかし同社の真の魅力は、単なる花屋にとどまらない。2010年以降、クリエイティブ阪急やニチレイ、ラグジュアリーブランド「ローズギャラリー」といった名だたる企業から事業譲渡を受けて花部門の再生を手掛け、全て初年度から黒字化を実現している。今回の取材では、北陸で独自の発展を遂げてきた同社の歴史や継承されてきた想い、そして松村社長が持つ「花」への熱い想いと、現在描いている壮大なビジョンについて伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
花を通じて紡ぐ社員の挑戦と成長
伝統を大切にしながらも、社員の新たな挑戦や成長を後押しする社風のある同社。創業以来掲げている「無限の成長、繁栄の永続を目指し、挑戦します」という理念が社員全員の行動指針となっており、日々の業務に大きな影響を与えている。当初「花生活”提案”企業」として始まった同社は、時代の変化に伴い「花文化”創造”企業」へと進化した。この変化には、単に花を提案するだけでなく、自分たちが花を通じて新たな文化を創り出すという強い意志が込められている。「創造」という言葉は形にしていくことを意味し、その精神が社員に深く根付いている。松村社長は「花を広めたいというビジョンに共感して入社した社員を大切にしている」と話す。伝統とは挑戦の連続によって積み重ねられ、その中にこそ新たな挑戦のヒントがあるという考え方が、同社の成長を支えている。社員の挑戦と成長が企業全体の発展に直結し、花を扱うことを通じて人間としても成長できる環境が同社の社風を形づくっているのだろう。
「地方から世界へ」地方創生への強い想い
富山県という一地方から全国、さらに世界へ挑戦し続けている点が同社の独自性である。多くの有名企業が東京や大阪から発信する中、「地方ならではの活力」を生かし、独自の視点で事業を展開している。富山県や北陸地方は加賀藩や町民が伝統工芸を支えてきた歴史があり、同社もその文化を継承しながら新たな価値を創造している。特に「伝統とは革新である」という考えのもと、過去に頼るのではなく常に挑戦を続けてきた。その一例が花の販売と整体を組み合わせたサブスクリプション。顧客が健康で長く花を楽しめるようにする取り組みだ。さらに担い手不足で継続困難となった農家を事業継承し、生産性の高い農業モデルを確立。生産から販売まで一気通貫させる出口戦略を拡大している。農業現場を観光資源とする「フラワーツーリズム」にも乗り出し、「かっこいい、儲かる農家」という新たな価値観を提案することで移住・定住型のライフスタイルも生み出している。こうした挑戦が、同社の独自性をさらに際立たせているのだろう。
花を通じて描く新しい社会貢献の未来
「週末に花束とワインを持ち帰り、大切な人と過ごす」オランダの男性に深く根付いたこの文化を日本でも広めたいと語る松村社長。20代でオランダを訪れた際に受けたカルチャーショックが、今の事業の礎となっているという。その想いを軸に日本独自の文化を花を通じて海外に発信することも視野に入れつつ、フラワーロスの解決にも力を注いでいる。具体的には「フラワーライフ振興協議会」を発足し、規格外で廃棄される花を全国チェーンのハンバーガーショップのウェルカムフラワーとして活用する提案を行い、採用された。この取り組みは新たな農家支援にも繋がっている。さらにフラワーロス削減の一環として、親子で楽しめるブーケ作りのワークショップも実施している。障がい者施設の利用者がワークショップ資材を制作することで、アートを通じた社会貢献にも繋がっている。このように様々な社会課題の解決に挑戦しながら新たな価値を生み出している同社。伝統を守りつつも常に前進し、次なる挑戦へと歩みを進めている。



永続的な革新を追求する姿勢
会社がここまで発展してきた要因はどこにあると思いますか?
先代から受け継いできた挑戦する姿勢と先見性にあると思います。創業時は青果や花の卸売業を営んでいたのですが、外国との交易や情報を得ながら、時代に合わせて常に新しいことに挑戦してきました。その会社を私が引き継いで新しい業態で再スタートを切り、チェーン展開が難しいとされていた花屋を100店舗まで拡大してきました。さらに阪急をはじめとする上場企業から事業譲渡を受けて4社の企業再生にも関わってきました。伝統は革新と同じだと思っていて、市場が変わる中で柔軟に対応していかなければ会社を永続させることはできません。これからも先代達がつくってきた挑戦の歴史と、自分たちの新たな経営スタイルを掛け合わせながら革新を続けていきたいと思っています。
社長が取り組んでいるコンサルティングの実績について教えてください。
阪急グループの花部門をはじめとする上場企業4社の花部門の事業再編を支援し、花流通を行っているプロフェッショナルとして初年度から黒字化を実現してきました。阪急グループでV字回復を実現したことをきっかけに、他の企業からもコンサルティングの依頼が続々と寄せられるようになったのです。私たちの使命は花部門を再生することです。北陸の会社として東西の様々な老舗ブランドからご依頼をいただけたことは、私たちにとって大きな誇りであり、そうした伝統のあるブランドの再生に貢献できることは非常に嬉しいことです。富山県から世界へ進出することを目指し、全力で取り組んでいきたいと思います。
社長自身が描いている夢やビジョンについて教えてください。
短いスパンではなく、30年後や50年後、さらには200年後の未来を見据えて、後世にどんな風景を残していきたいかを常に考えています。例えば、「地平線までバラが続く道をつくりたい」や「いつか火星に花を咲かせたい」というような壮大なビジョンを描いています。ガウディのように自分のロマンを語り続けることで、今すぐには自分が成し遂げられないことでも、絵画等の形式で残しておくことで、いつか誰かがその夢を実現してくれると信じています。また、私が描いたビジョンを語り継いでくれるような若い人材が育つ会社にしていきたいです。そうした大きな夢を持ち続けることで、日々感じる辛いことも楽しさに変えることができると思っています。
日本と世界をつなぐ新たな花文化の未来
ジャパンフラワーグループ株式会社
執行役員 武田桃子
株式会社ジャパン・フラワー・コーポレーションのグループ企業であるジャパンフラワーグループ株式会社が運営を行い、日本における新たな花文化の実現を目指すローズギャラリー。その中心にいるのが今回取材した武田さんである。武田さんは日本でも男性が入りやすい花屋を目指して店舗環境を整えたことで、売上を大幅に伸ばす成果を上げた。さらに、「メイドインジャパン」の素晴らしさを世界に発信するという強い想いを持ち、オランダをはじめとする海外の花文化を自社に持ち帰り、波及しようとしている。今回の取材から見えてきたのは、武田さんが持つ「自分たちから日本の文化を海外へ、海外の文化を日本へ発信していく」という想いだった。
伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
日本における新たな花文化の実現を目指して
「男性が花を贈る文化を日本で根付かせたい」そんな想いを抱く武田さんがローズギャラリーに合流し、リブランドに挑戦するまでには多くの経験や想いがあった。24歳で初めてイギリスを訪れた時、男性が自然に花屋を訪れて花を購入する姿に感銘を受けた一方、日本では男性が花を贈る機会が少ないことに疑問を感じていたという。その後ローズギャラリーを設立する話が持ち上がり、武田さんが勤めていた会社が株式会社ジャパン・フラワー・コーポレーションの取引先だったことで、上司が松村社長に武田さんを推薦。新たな挑戦をするのにふさわしい人材として、ローズギャラリーへの合流が決まったという。合流後は男性客が訪れやすい花屋づくりを目指し、全店舗の外装と内装を黒で統一するなど、従来の花屋のイメージを一新する取り組みを行った。その結果、店を利用する男性客が増え、売上は3~4倍に伸びたという。武田さんはこれに留まることなく、日本に男性が花を贈る文化を根付かせるため、常に挑戦を続けている。
バラがつなぐブランドとお客様の歴史
武田さんの仕事のやりがいは、「挑戦を続け、革新的なものを生み出すこと」にある。24歳で初めて花を扱う職業に就いて以来、花は武田さんにとって暮らしを豊かにするツールの一つとなり、花の知識を深めれば深めるほどその魅力に引き込まれていったという。その後海外のフラワーショップで経験を積み、40代になってからは、若い頃に描いた「男性が花を買う場を日本でつくる」という夢が次々と実現していく瞬間に喜びを感じている。ローズギャラリーで働く中で、購入いただいたバラの魅力をお客様から直接伝えていただくことも、武田さんにとっての大きなやりがいとなっている。またローズギャラリーでは、利用してくれているお客様との素晴らしいエピソードや歴史が数え切れないほど存在し、それがブランドの存在価値にもなっていると話してくれた。こういったバラを通じた歴史の一つひとつが、武田さんのやりがいに繋がるとともに、現在のローズギャラリーの価値を向上させているのだろう。
花と日本文化の融合
「”メイドインジャパン”という素晴らしい日本の文化を世界にどう伝えていくか。これが私の使命であると思っています」と自らの夢を語る武田さんからは、日本の女性としての力強いパワーを感じた。武田さん自身、海外の展示会に多く足を運ぶ中で、素晴らしい日本の文化をどのように国外に伝えていくかという点に課題を感じている。この課題に対して、日本にいると素晴らしい文化も当たり前になってしまうことが要因であると仮説を立てたうえで、まずは自分がもっと世界に出ていかなければならないという信念を抱いている。そのうえで、ローズギャラリーからも海外に日本文化を広めていくことができる人材を輩出していくために「常に独自の文化を創造する企業であり続ける」という教えを発信し続けているという。誇るべき日本の文化と自分たちが扱っている花を掛け合わせることで、自ら挑戦するフィールドを開拓していく武田さんの取り組みに、これからも注目していきたい。



花を通じた文化の継承と発信
展示会などで海外へ足を運ぶことが多い中で、どのようなことを感じていますか?
海外ではメイドインジャパンの素晴らしい製品が多く使われているにもかかわらず、それを紹介しているのが海外の方々であることには違和感を覚えます。やはり、自国の文化や技術は私たち日本人が積極的に発信していくべきだと感じました。日本にいると、つい私たちの持っている文化が当たり前になってしまい、日本文化を活かしきれていない面もありますよね。だからこそ、私たちが扱う花と日本の伝統技術を掛け合わせて、ローズギャラリーのネットワークを通じて海外に日本文化をアピールしていきたいと考えています。短いスパンではなく長い目で見て、若い人たちに日本文化の魅力を感じてもらい、継承していく流れをつくっていくことが大切だと考えています。
反対に、海外から日本に広めていきたい文化はありますか?
男性から女性へお花を贈る文化を、日本にも広めたいと考えています。私が海外の花屋で働いていた時に男性のお客様が多いことに気づき、なぜ日本の花屋では男性客が少ないのか、ずっと疑問に感じていました。そんな中で銀座のローズギャラリーで外装や内装を真っ黒にしたことで、男性のお客様が増え、単価も3〜4倍に跳ね上がったんです。日本では、男性が花を買いに行きやすい場所がなかっただけで、花を贈りたいと思っている男性はいたことに気付きました。今ではありがたいことにローズギャラリーのバラを贈ることや受け取ることが、一種のステータスになっているようです。私たちは単にバラを売るのではなく、バラを贈る文化を提案しているので、この素敵な文化をさらに広めていきたいと思っています。
今後のビジョンや展望を教えてください。
来年で50年を迎えるにあたり、次の100年を目指していきたいです。そのための施策として、年齢が10代ずつ増えるごとに、その人の思い出になる商品をつくろうと考えています。例えば、20代の時には両親に感謝の気持ちを込めてバラを贈る。30代ではプロポーズの際に奥さんにバラを渡し、40代では子どもの記念にバラを贈る…といったように、それぞれの人生の思い出が100歳まで10代刻みで残る商品やブランドをつくり、日本の伝統にしていきたいです。新しいことに挑戦すると最初は反対を受けることが多いですが、私は実績のないことにこそ挑戦する価値があると思っています。妥協せず、チャレンジし続ける姿勢を大切にしたいです。
創業年(設立年)
1874年
事業内容
フラワーショップチェーン事業、フラワースクール事業、ブライダル事業、法人事業、コンサルタント事業、物流事業、夢や事業、地方創生事業、アグリカルチャー事業、EC事業、公民連携事業、他
所在地
〒939-0402 富山県射水市流通センター水戸田 2-3-1
資本金
5000万円
従業員
210名 (パート社員含む)
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