ムロオカ産業株式会社
50年以上積み上げた技術で

ムロオカ産業株式会社

代表取締役社長 室岡 孝昭

お家で遊べるプラスチックのボウリング、子供が乗って遊ぶプラスチック製のおもちゃ。今でもよく目にするようなものであるが、これを50年以上前につくっていた企業がある。それが、ムロオカ産業だ。農家の長男として生まれた創業者の室岡幸治氏。まだプラスチックが流行する前の時代に、これから伸びる業界だと考えて創業したのが時代の変化に合わせ、灯油のタンクの製造などを経て、現在の主力事業であるプラスチック成型による自動車部品の製造を始めた。そんな父の姿を見て育った現社長の室岡孝昭氏。元々サービス業に従事していた中、九州の新工場の立ち上げと共に、工場長として入社した。現在は社長として会社の先頭に立つ室岡孝昭氏から、ムロオカ産業の歴史と未来について伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

家族のようにあらゆる人と関わる、地域密着型の企業

室岡社長は、ファミリーという単語を何度も使っていた。その意味について伺うと「社員だけではなく、協力メーカーや仕入れ先を含め、皆が家族のように一丸となって対応しています。例えば、厳しい時は我慢するし、良い時は皆に還元するということをしています」と話す。同社は、そうやってリーマンショックや東日本大震災、コロナを乗り越えてきたのだ。この社風がつくられた理由は、創業者の現会長が大きく影響しているという。会長は優しい人で、社員の声を聞くこと、現場に出ることを大切にしてきたという。指針や会社の方向性を示すときは明確なトップダウン型を取り、逆に現場課題の解決などはボトムアップ型を取り社員の積極性を重視しているのだ。こうして垣根をつくらず、地域に密着しながら少しずつ事業を拡大してきた。地域を大切にしたいという想いがあるからこそ、地元の同業他社と争ってつぶし合うことはしたくないとの考えから、現在の取引先の多くは本社の栃木付近ではなく、埼玉県や東京都となっている。会長が長きにわたって築き上げてきたムロオカ産業らしさである「ファミリー」という部分を大切に、室岡社長は会社を守り続ける。

「ムロオカ産業に任せておけば大丈夫」という安心感

50年以上、プラスチックにおける「ブロー成型の専業メーカー」として製品を製造してきたムロオカ産業。長い間積み上げてきた技術と経験から、形状や図面を見るだけでどのような質の製品をつくることができるのかがわかるため、提案の段階から高い品質を保証でき、それがお客様からの信頼や安心につながっている。同社は、インジェクションという一般的な工法ではなく、あえてブローという工法を使っている。インジェクションは、機械化によって効率化しやすいことが特徴で、機械のスペック次第で製品の質が決まる工法であるが、機械に頼らず、あえて職人の技術によって質が左右されるブローという工法を使用していることから、同社の技術の高さに対する自信を感じとることができる。また、自社に設計部門を持つことで、お客様と共に設計、開発を進めることができるため、外注を使う手間やつくり直しが発生するリスクを減らし、お客様にとっても自社にとってもプラスになる仕事をしている。この先もお客様から信頼され、安心感を持ってもらえるよう、日々挑戦を続けていく。

多岐にわたってお客様を持つ

「長く続く会社であるためには、主力のお客様に依存せず、その売上は残しながらも新しい取引先を増やし続けることが大切」と話す室岡社長。もちろん、新規事業を立ち上げ、多角化経営をしていくことも考えたそうだが、社員を守るためにも賭けに出ることはせず、関わる取引先を増やし続けていくことを構想しているという。また、長く続けてきているブローという工法の中にも、新たな工法が生み出されている。積極的に投資をして、新しい工法を取り入れることで、お客様の求める製品を色々な工法でアプローチできるようにし、お客様の幅を広げることにも挑戦している。他にも、大学の研究室など、理化学関連の施設で使用されるピペットの製造を4年ほど前から手がけるなど、新しい販路をつくることにも力を入れている。長く続く会社であるために、今まで積み上げてきた技術を生かせる分野の中で、新しい取引先を増やしていきたい、と語った。

先代の良さを残しつつ、2代目として更なる発展をつくる

現在、力を入れていることを教えてください

「やれない理由ではなく、やるためにはどうすれば良いのかを考えて行動しよう」ということを常に意識して伝えています。数年前からこれについて全社的に意識できるようにし、以前からある行動指針に加え、大切なものであると伝えています。何かを言われた時に、「できる気がしない」とか考えてもつまらないですよね。その時に、「ならやってみよう」とか「こうしたらできるよ」というような前向きな言葉を使えば、仕事が楽しくなると思います。また、このような前向きな言葉は、プライベートでも生かせるものであり、社員の幸せのためにも大切にしていくべきことだと考えています。会議中に気づいた時や、年2回の方針発表の際にも行動指針を伝え、「今のはやれない理由だった」と自覚させるようにしています。

会長との関係性を教えてください

議論はよくしますけど、良くも悪くも会長のことはあまり強くは意識していないですね。会社を経営する上で大切なことは、自分の独自性を出すことでも、先代と同じことをすることでもなく、「良いものは残す、変えるべきものは変える」ということだと思います。今でも会長が会社に来ることがありますけど、変にプレッシャーになることはないですね。経営者の親子でぶつかり合って、縁を切るというような話を聞くことはありますが、私は会長である父と考え方が似ているからなのか、特にそんなことはないですね。会長と私がぶつかって、会社や社員にとってマイナスになるぐらいだったら、会長や私が相手の意見を尊重して受け入れるということをしていますし、自然にそれができるのは良いことだと思います。

ムロオカ産業の未来のために大切なことを教えてください

今、重要だと思っていることが次の世代の育成です。特にリーダー、係長、課長代理など、今後を担っていく可能性のある社員には、外部の勉強会にも積極的に参加し、現場改善や品質改善について学ぶ機会を取ってもらうようにしています。費用が掛かるものであっても、積極的に将来のためということで活用しています。また、もう1つ今後に向けて重要となるものが、「技術提案型営業」です。形状の関係でお客様からの要望に応えられないということは、どの製造業にもあると思います。私たちは、「このような形状に変えることでできますよ」と提案するだけではなく、自ら仕掛けて「このように設計したのですが、どうですか?」と聞けるような提案をしていくことを大切にしていきたいと考えています。

ムロオカ産業の未来をつくる あらゆる世代の仲間を支える次世代幹部

ムロオカ産業の未来をつくる あらゆる世代の仲間を
支える次世代幹部

ムロオカ産業株式会社

工場長代理 岡崎猛

2006年、九州にできたムロオカ産業の新たな工場に入社した27名の社員。その中の一人が岡崎猛氏、その人である。岡崎氏は、新卒でムロオカ産業に入社。現在は本社の工場長代理として、工場を引っ張る存在になり、活躍している。初代の九州の工場長である現社長は、「岡崎は作業が早い、覚えが良い、細かいところによく気づく、よく気にしてくれる存在」と大きく期待を寄せている。九州工場での活躍が認められ、製造課長となり、現在は本社の工場長代理として活躍。ムロオカ産業の発展のために日々挑戦を続けている。岡崎氏は現在34歳。これからのムロオカ産業を支え続ける重要な存在として業務に臨む岡崎氏に、ご自身の仕事や将来のイメージについて伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

九州工場の1期生として

時の巡り合わせなのだろうか。岡崎氏が就職するタイミングとムロオカ産業が九州に進出するタイミングが合わなかったら、岡崎氏がムロオカ産業と出会うことはなかっただろう。当時、どの企業に入りたいかを特に考えていなかったため、担任から紹介された求人の中にあったムロオカ産業に入社した。九州に新しく工場を建てるため、その年、ムロオカ産業には27名が入社している。最初の研修期間は本社で過ごし、実務が始まってからは九州工場で14年もの年月を過ごした。九州工場で働き始めた当初は、新しい工場であるが故に、若い社員が中心となって働く自由な工場だったという。そんな環境下で自ら考えた行動を続け、2年目のうちに現場の責任者となり、それから製造課長へ昇進。現在の本社の工場長代理に至る。タイミングによって、偶然巡り合えたムロオカ産業であったが、今では会社の未来を背負う重要な存在として、挑戦を続けている。

成長、そして使命感に

「仲間と一緒に成長していると実感できることがやりがい」と話す岡崎氏。九州工場には1期生として関わっていたため、0から工場をつくりあげるという経験を積んできた。工場の仕組みや売上をつくっていくという中で、仲間と共に成長できたこと。これが一番のやりがいになっているそうだ。失敗を恐れず、とりあえずでもやった方が良いと思ったら挑戦を続け、成長してきた岡崎氏。それが評価され、今では本社の工場長代理として責任のある仕事まで任されるようになった。そんな岡崎氏によると、「今はやりがいというよりも使命感で働いている」と答える。もちろん、やりがいのある仕事ができることに越したことはないが、今はやりがいの有無でモチベーションが左右されることはなく、「ムロオカ産業を良くしたい」という使命感を持って、仕事に臨んでいるそうだ。九州工場で培ってきたものを本社工場に還元するべく、部下育成など新たなステージで活躍している。

明るく楽しくやっていく

製造業の組織において、理想の組織の状態は「明るく楽しく仕事をしている状態」と岡崎氏は話す。同じ業務を行うのであれば、「明るい方が良い」「楽しい方が良い」という単純な理由からである。今は管理に力を入れているため、管理されている感覚になっている社員もいると思われるが、ここで会社としてレベルアップできれば楽しく仕事ができると確信している。そのために大切なことは「人間関係」と岡崎氏は考えている。成形作業は、一人の作業になることも多く、人と話す機会が少なくなりがちである。ただし、難しい製品をつくる時は、人に頼ることが大切な仕事である。そのような仕事であるからこそ、現場の人間関係を良好にし、自発的にお互いがコミュニケーションを取ることを大切にしていくという。コミュニケーションを通じて、仕事を円滑に進めると同時に、明るく楽しい職場を目指し、より良い現場の風土をつくることに挑戦している。

社長の期待を背負う存在として

働く上で大切にしていることを教えてください

私が大切にしていることは「追求すること」「この人にしかできない仕事はつくらないこと」の2つです。ちょっとした仕事、ちょっとした会話でも、その仕事がどうなっているのか、何を考えているのかなど、物事一つひとつを追及しています。また、この人にしかできない仕事が存在するのはあまり良くないと考えています。手順書をつくるなど、何事も誰かに教えられるようにすることで、技術が積み上げられていくと思います。これらを意識するようになったのは、外部の研修に行くようになってからですね。研修内容もそうですし、他社との交流によって会社としての在り方を考えさせられて、どうしたら会社が良くなるのかを考えるようになりました。自分自身が学ぶことはもちろん、周りにも好影響を与えていきます。

会長と社長のイメージを教えてください

「何とかなるだろう」という精神をお二方とも持っていると感じます。お二方とも良い意味で楽観的というか、懐が広いというようなイメージですね。会長と関わることはあまり多くはない立場でしたが、研修で本社にいた期間は新入社員を何度か食事に連れて行ってくれましたし、九州工場に来た際は必ず会食をする方で、社員を気にかけてくれていると感じています。また、社長については、工場長時代から関わらせてもらっていて、部下の話もしっかりと聞いてくれる方で、過去には、良い意味で仕事について言い合いになったこともありましたね。会長も社長も「何とかなるだろう」という精神を持っているからこそ、自分一人でやるのではなく、社員の声にも耳を傾けて気を遣ってくれているのかなと思いますね。

これから力を入れていきたいことを教えてください

大きく2つで、「付加価値の増加」と「社内コミュニケーションの活性化」ですね。現在では、自動車関係や農機関係など、1つの分野に限らず、幅広く製品を取り扱っていることが強みだと思います。これから発展していくには、さらに取り扱う分野を広げることや、ブロー品とインジェクション品の両方を一体で納められる仕組みをつくっていくことなどをしていけたらと考えております。また、社内コミュニケーションについては、立場関係なく、もっと多くの人が連携を取れるようにすることが重要だと思います。コミュニケーションを活性化させることによって、仕事が楽しくなるだけではなく、仕事の効率が上がります。この2つを強化していき、ムロオカ産業をさらにより良い会社へと前進させていきます。

監修企業からのコメント

コメント
今回の取材を通じて、50年以上積み上げてきた技術への誇りや、お二方のムロオカ産業への熱い想いを伺うことができました。プラスチックの専門家として既に強みを持っている中でも、未来を見据えて挑戦を続ける室岡社長、岡崎様の一つひとつの言葉から感じられる想いに大変感銘を受けました。

掲載企業からのコメント

コメント
取材という場で改めて自社のことを話したことで、頭が整理されました。父である会長がつくりあげてきた伝統は何なのか、これからはどうしていきたいのかを改めて言語化できました。日々、社員に発信している「やれない理由ではなくやるためにはどうすればよいのかを考えて行動しよう」ということをもっと社内に波及させていきます。
ムロオカ産業株式会社

創業年(設立年)

1969年

事業内容

輸送機械用プラスチック製品製造業、 プラスチック異形押し出し製品製造業

所在地

栃木県足利市川崎町1315

資本金

1億円

従業員

200名

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