株式会社諏訪田製作所
変化を求め、挑戦を続ける 革新的な新潟のリーディングカンパニー

株式会社諏訪田製作所

代表取締役 小林知行

1926年にニッパーの前身とも言える、釘の頭を切るための「喰切」と呼ばれる道具の製造により、創業した諏訪田製作所。創業以来、「刃と刃を合わせて切る」ニッパー型刃物の製造に特化し、これまでつめ切りなど「美」を高める製品を世に生み出してきた。特徴的なのが、新潟県三条市に構えるSUWADA OPEN FACTORY。諏訪田製作所の工場である。一見工場には見えないほど、凛とした黒の外観で、美しく、異彩な存在感を放つ。工場は、一般の方でも入場可能であり、年間3万人ほどの人が訪れる。今回の取材では、小林社長がどのような改革を行ってきたのか、また同氏が目指す、未来の諏訪田製作所について、想いを語っていただいた。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

人を大切にしてきたからこそ、つくられた社風

「今の弊社の社員の特徴を一言で表すと『真面目』です」。小林社長は、諏訪田製作所の社風をこのように語った。小林社長が就任して間もないころ、社員が不真面目であるということに、非常に頭を悩ませていた。モノづくりを行う社員が8割を超える同社。いわゆる職人の集まりであり、「掃除」や「日報」などを後回しにする社員が当時は多数いたのだという。この状態に対し、同氏は環境を整えることで対策を打ってでた。「掃除」に関しては、工場を一般の方に開放していることもあり、人目に触れることが多いため、社員が自発的に掃除を行うようになった。「日報」に関しては、決まった数字を打つことで、日報を作成されるシステムを構築し、作業を単純化させた。「人は基本的に、変わることに対して抵抗する。そこで、経営者がすべきことは、『命令』してやらせるのではなく、やりやすいように『環境』を整えることである」と語る同氏。今後も手段に捉われることなく、より働きやすい環境を提供していくのであろう。

想いを込めた製品づくり

諏訪田製作所が最も大切にしていること、それは「想いを込めた製品をお客様に提供すること」である。鍛冶屋の歴史はおよそ3500年。時代が進むにつれ、技術は進化してきたが、切れる刃物を求めて技術を高めようと、職人たちは努力を重ねている。なぜ、同社は「想い」に注力した製品づくりを行うのだろうか。それは、同氏が鍛冶屋の歴史を繋いでいくという「使命感」が一つのポイントであった。同社は創業から約100年。3500年という歴史から培った技術を伝承し、絶やさないようにしていかなければならないのだという。また、同氏は、「良い想い」は「良い習慣」を生み、「良い行動」に直結すると信じており、「作業の簡易化」、「量産」など「売上向上」に直結するような取り組みだけに、こだわることはない。決して妥協を許さず、お客様に「想い」という副産物を込めた製品を届ける。これこそ、同社が、世界を魅了する製品づくりを実現する、付加価値そのものである。

次世代へのバトンを安心して渡すために

1997年、父である小林騏一氏から会社を引き継ぎ、改革を行ってきた同氏に、今後の展望を伺うと、「次世代に安心してバトンを渡すこと」と語った。そのためには、時代に合わせた取り組みが必要であり、世襲や代表取締役の人数にも捉われることはないのだという。例えば、10名の跡継ぎ候補がいるとしたら、10名が代表取締役となり、会社を改革していくといった、常識を覆すような経営形態もいとわない方針だ。大事なことは、「みんなが幸せになること」であり手段は問わない。実際に、誰もが工場と聞いて驚く、美しい外観を持つオープンファクトリーの開設など、さまざまな角度から改革のアプローチを続けてきた同氏。「弊社で働く社員は、どこに出しても恥ずかしくないですよ」と誇らしげに語る。次世代を担う社員への信頼も厚いに違いない。確かな実績を誇る諏訪田製作所の物語は、まだ序章に過ぎない。同社の今後の展開に期待がかかる。

諏訪田製作所が大切にしていること

社員を幸せにする上で、
小林社長が取り組んだことについて教えてください

社員食堂を開設し、無料で社員に昼食を提供しています。元々、食費補助というかたちで、社員に手当で支給することも考えておりましたが、税金の対象になってしまうため、結局給与から引かれることになります。そのため、食事を無料で提供することで、しっかりと社員に還元することができているのだと思います。さらに、メニューも毎日変わり、「パエリア」や「ブラックカレー」など、こだわりを持って提供しています。また、会社内に保育所を誘致し、社員が安心して子どもを預けて働ける環境を提供しています。これからも社員が本質的に幸せに働ける環境を整備していきたいですね。

見学に訪れたお客様に、どのような言葉を掛けられますか?

「こんにちは」と声を掛けております。「いらっしゃいませ」だと、言いっぱなしになり、会話が生まれないため、こちらから「こんにちは」と挨拶をすることで、お客様も「こんにちは」と返してくれるので、会話が生まれることがあります。そうすると、製品に対し、お褒めの言葉をいただけることも多くなりますし、社員もいきいきと働くことができ、パフォーマンスにも良い影響を与えます。また、見学に来るお客様と、多くの関わりをもってもらいたいため、食堂に向かう際に、わざとお客様とクロスしなければならない設計にしました。やはりこのように、一つひとつの工夫が大事だと思いますね。

なぜ、小林社長は社員に変化を求めるのですか?

いろいろな要素が混ざると新しいものが生まれやすくなります。だからこそ、社員には変化をしてほしいですし、そういう環境を今後も継続して整えていく必要があると思っております。同じことをやり続けて、チャレンジしないと、人は劣っていき、新しいものは決して生まれません。これは、歴史を紐解いてみても、例えば、大航海時代、人々が世界にどんどん出ていきましたが、そういうチャレンジが「産業革命」や「商業革命」などさまざまな変化を及ぼしました。そのため、しっかりと社員も変化し、挑戦を続けてほしいですね。

「責任」と「使命」 平澤氏が働く原動力とは

「責任」と「使命」 平澤氏が働く原動力とは

株式会社諏訪田製作所

平澤翔太

今回取材したのは、2020年に株式会社諏訪田製作所へ中途で入社した平澤翔太氏だ。入社以降、同社の技術を丁寧に学び、成長してきた同氏。今後、思い描いているのは、製造業務だけではなく、さまざまな業務で活躍する社員だ。また、前職で培った経験を活かし、社内の環境を整備していきたいと意気込む同氏は、まさに同社の今後の未来を担うキーマンである。質問には、落ち着きながら、ゆっくり話すという、印象を受けたが、その言葉の端々から「責任感」や「使命感」を強く持って働いていることが感じられた。そんな同氏へ「なぜ諏訪田製作所を選んだのか」また「今後、取り組んでいきたいこと」などについて語っていただいた。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

心機一転、転職を決意した平澤氏の思いとは

前職では大手金融機関を経験した平澤氏。前職では転勤が続き、地元新潟の家族や友人とも疎遠になっていた。そのような中、やはり地元に貢献したいという思いが再燃した同氏。心機一転、新潟へ再就職することを決意した。転職活動を行う中、見つけたのが諏訪田製作所。きっかけは、学生時代に見学に訪れたことである。地域に根差し、革新的な技術を持つ同社。同社のはからいで現場作業などを体験することができ、入社を決めたという。またプライベートでは、キャンドル作り等に数時間没頭するなど、元々モノづくりが好きだったことも入社を後押しした。前職とは全くの別業界に転職した同氏。別業界だからこそ、気づけるポイントもあり、多角的な面から同社に貢献している。同社の次世代エースとしての活躍に期待がかかる。

お客様との距離が近いこと、これがやりがいの根源

ニッパー型つめ切りの工程における一端を任される平澤氏。そんな同氏がやりがいに感じるのは、お客様が実際に同社の製品を手に取り、「感動しました」や「すごいですね」など高評価をいただけた時なのだという。このやりがいは、諏訪田製作所の特徴である「お客様との近さ」が創出している。通常、製造業では作業がメインになりがちで、お客様の声が届きにくい。しかし、同社では、オープンファクトリーを開設したことで、届きにくかったお客様からの声を、直接耳にする機会が多いのだ。一人ひとりの頑張った成果(製品)に対して、お客様から直接高い評価をされることは、社員にとってのモチベーション向上につながり、同社の社員がいきいきと働くために重要な要素となっている。「お客様が喜ぶ姿を見たい」という気持ちは同社の原動力そのものである。

基盤を作り、新たなステージへ

2020年1月に入社し、諏訪田製作所の技術を一つひとつ丁寧に学んできた平澤氏。そんな同氏に今後の目標を伺うと、「『営業』、『企画』、『管理』、『採用』、『研修担当』、『広報』など、さまざまな分野に挑戦していきたい」と力強く答えた。挑戦を行う上で、現在、最も注力していることは職人としての技術を高めることだという。なぜ、技術を高めることを大切にしているのか。それは、俯瞰的に見られるポジションになった際、現場の目線を無視した物言いであったり、企画を行うことは、同氏の意に反するからであるという。また前職で、何事も中途半端ではなく、確かな力を身につけた上で、次のステップに進むことを学んだ同氏。同社においても同様に、地盤を固めた上での挑戦に闘志を燃やしているのだ。新たな挑戦に意欲的な姿勢を見せながらも、しっかりと地に足をつけ、基盤作りに注力する同氏。自分自身をしっかりと分析した上で、何が必要なのかを常に考えて行動しているのであろう。諏訪田製作所をますます発展させるために、重要な人材であることは間違いないと感じた。

諏訪田製作所の未来を担う、平澤氏の想いとは

どんな仕事をされていますか?

主にニッパー型つめ切りの製造に携わっています。ニッパー型つめ切りは、鍛造、部品加工、研磨、合刃・刃付け、検品という工程がありますが、私は主に、部品加工の作業を担当しています。当部署では、ミリ単位での加工が求められるため、集中力や丁寧さが求められます。そのため、「安定的」、「丁寧」、「迅速的」な作業を行うよう意識しています。また、刃の硬度を高める「焼き入れ」という工程にも携わっているのですが、「焼き入れ」の適正な温度帯の判断は、機械ではなく、金属の熱による色の変化を人の目で見て判断しているため、慣れるまではとても大変でした。外的要因等で、状況が毎回少しずつ異なるため、自分の目で見て、ノウハウを蓄積する必要がありました。経験と感覚を要する作業なので、私が経験したことを踏まえて、後輩にはしっかりと継承していきたいです。

御社の良いところを教えてください

弊社の良いところは、「高い技術力」と「家族のような温かみのある社員」だと思います。優しく丁寧に仕事を教えてくれるのは勿論のこと、新しい仕事も積極的にやらせてもらったり、温かく成長を見守っていただけて、本当にありがたいと思っています。弊社の職人の高い技術力が基になっている、SUWADAのつめ切りは、多くのお客様からありがたいご評価をいただいています。実は、そういった技術だけではなく、作り手の人柄や想いといった目には見えない要素も、SUWADAのつめ切りが多くの方を魅了する、一つのファクターとなっているのではないのかなと思っています。

諏訪田製作所でどんな存在でありたいですか?

まずは、一人前の職人として、多くの知識・技術を習得し、より良い製品を世の中に届けられる存在になりたいと思っています。また、将来的には、現場の仕事だけではなく、営業や総務的な仕事をマルチにできる人材となりたいと思っています。時代は進み、消費者意識や需要が変化・多様化する中で、その時代のニーズに柔軟に対応するためにも、現場と企画部署の橋渡し(パイプ)役は組織にとって重要だと思っています。SUWADAの企業理念でもある「三方良し」の考え方に沿って、社員とお客様、そして社会に対して貢献できる組織であり続けるために、広いアンテナを持って働ける社員でありたいと考えています。

監修企業からのコメント

コメント
本日はお忙しい中、取材にご協力いただき誠にありがとうございます。世界が注目するオープンファクトリーをもつ諏訪田製作所の代表、小林社長と代表社員の平澤様のお話を伺い、仕事へのこだわりや、課題への本質的なアプローチなど感銘を受けました。まだ自分は工場へ見学に行ったことがないので、是非足を伸ばさせていただき、諏訪田製作所がこだわりぬいた製品を見てみたいと思いました。

掲載企業からのコメント

コメント
この度は、取材をしていただきありがとうございました。
取材を通じて我々が歩んできた軌跡を振り返ることができ、今後目指すことが再認識できる良いきっかけとなりました。これからも社員を幸せにするため、歩みを止めるわけにはいきません。社員一同、変化を求め、更に邁進していきますので、今後も皆様には成長を見守っていただけますと幸いです。
株式会社諏訪田製作所

創業年(設立年)

1926年

事業内容

園芸用品
家庭用品の製造・販売

所在地

新潟県三条市高安寺1332番地 TEL:0256-45-6111 / FAX:0256-45-4528

資本金

1,000万円

従業員

60名

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