株式会社エコアール
代表取締役 石井浩道
栃木県足利市。首都圏への移動が1時間ほど。そして大宮、宇都宮、前橋、高崎など周辺都市へのアクセスが良く、物流の拠点としての利便性に優れていることはあまり知られていない。その足利市の立地を生かし、地域の人材を積極的に採用しながら、関東に自動車の1大拠点を築き上げた企業がある。それが株式会社エコアールだ。日本における自動車の保有台数は8,000万台と言われている。この市場の中で車両の買取や販売、整備、そして解体から部品の再生、スクラップ後の鋼材の販売など全方位にビジネスを展開している。さらに数十年前から海外への販路開拓に取り組み、現在50か国以上で取引を行っている。本取材では2代目社長である石井浩道氏に“環境”を軸とした事業成長と“人”を軸にした組織づくりについて伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
明るく、楽しく、元気よく
2代目である石井社長が子供の頃は、自宅が会社の敷地内にあり、父(当時社長)が社員を自宅に招き、お酒を飲みかわすという風景が日常だったという。その中でいつか“この会社は自分が継ぐ”という自然な流れができていた。社会経済の発展に伴い車両台数は増加し、事業や組織は大きくなっていく。海外との取引も進み、人数も増える中で組織としての制度や仕組み構築が必要になった。自動車の整備や解体を油にまみれて行う仕事は、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)というイメージが強い。石井社長は会社の将来を見据え、働く人の、幸せ、満足を考えたとき、そのイメージを払しょくするため、新しい文化の土台をつくった。それが「明るく、楽しく、元気よく」というものだ。その一つに“挨拶番長制度”がある。月に一度、一番挨拶ができた社員にバッチと景品を贈呈している。石井社長は「挨拶こそがコミュニケーションの出発点」と話し、職人気質でコミュニケーションが苦手な人も挨拶を通じてチームの一員である意識を醸成させている。
車一台に最大の付加価値を
同社の強み。それは、車一台に対する付加価値を追求する技術だ。自動車の解体時、タイヤ1つ、ホイール1つ、オーディオ…と、車のあらゆるパーツにこだわり、どうやったら付加価値を付けられるのかを考え続け、廃棄するものを限りなくゼロにしていく。この取り組みにより自動車の売買と整備、部品販売、スクラップ後の鋼材としての販売として全方位のビジネスを確立した。これには過去、同業他社との仕入れ力の違いで価格負けすることがあった。他社なら10万円で買うものを同社では7万円でしか買えず、その違いを考えたときに気付いたことが車に対する付加価値の付け方である。競合他社に負けない高い修理スキルを磨き、仕入れ先のネットワークも広げ、売りたいという人と“この部品だけが欲しい”という人を世界規模で結びつける体制を作り上げたのだ。リサイクルという視点で考えれば、自動車がエンジンから電気や次世代エネルギーに転換したとしても、ニーズは変わらない。この時代の変化に対応する基盤こそが同社の独自性だ。
車業界にこだわり、更なる付加価値を
今後同社は、自動車のアフターマーケットの知識やノウハウを活かして、新たな価値を提供していくという。自動車のリサイクル業界で、この分野をよりニッチに、よりコアなところを拡大し、事業の広がり、そして深みを生み出していくというものだ。「自動車にこだわり続けます。新規事業を立ち上げることになってもラーメン屋をやるような発想はありません(笑)」と語り、自動車のリサイクルという事業を軸に世界規模で時代に合わせたサービスを提供していく。そしてそれを支える人づくり、組織づくりにおいても10年先を見据え様々な仕掛けを行っている。採用、教育・育成、評価の視点で会社の制度をつくり次世代の会社を築く基盤も整えている。「自分は24歳で入社し35歳で会社を継ぎました。今長男が24歳で入社したので10年後にはバトンタッチしていきます。その時の幹部を育てていくことが今のテーマですね!」と明るく語った。事業と組織両面で未来に向けた明確なビジョンをもっている。



会社への想いを語る
会社づくりにおいて、大切にしている考えを教えて下さい
社員満足度を追求することです。これこそが、会社の好循環を生むと考えています。そのためには、良い社風であったり、充実した福利厚生など、社員が安心して家族と暮らせるような体制づくりなどを意識して仕組みを整えています。例えば、評価制度において”匠ルート”というものをつくりました。普通の会社だとマネジメントができる人が出世していきますが、世の中には、人前で話すのが苦手だけど技術は一級品という人もいます。そういう人たちも評価される仕組みをつくっています。社員のことを考え、頑張れば評価される会社。それこそが、社員満足度を向上させることに繋がり、社員一人ひとりの幸福にも直結すると思います。
これまで一番大変だったことや、
どうやって乗り越えたか教えてください
海外との取引も多いのでリーマンショックの時は大変でしたね。毎朝起きて、自分のおでこを触って、髪の毛残っているかなって(笑)。それぐらい、精神的にも追い詰められて、不安で夜も眠れない時期がありました。業績が厳しくて賞与が出せなかったことや、10名以上の離職になってしまったこともあります。その時痛感したことは、私たちは“運命共同体”だということです。ビジネスであれば山も谷もあるのですが、働く社員の幸せや、安心して働ける環境は盤石にしなければいけないと決意しました。大変な時も辞めなかった社員の方たちに恩返ししたいという想いもありますし、これから一緒に働く人が常に幸せな将来を描ける会社でありたいと思っています。
どのような人を採用したいですか?
キラッと光る個性を持っている方ですかね。おとなしくて話すのは苦手だけど、部品を外す作業は丁寧で速い!というような(笑)。明るくまじめで元気がよいとか、コミュニケーション力が高いとか、一般的な要素はもちろん大事ですが、当社はその人の個性を見るようにしています。自分の良いところをどうやって活かし、最大化していくか、それが仕事にも、会社の成長にも繋がってくると思います。当社では新入社員の適性を見るために、入社してからの半年間は、研修で全部署を回ります。その中で、一人ひとりの個性、強みに合わせた配置を行うようにしています。仕事内容はデスクワークから仕入れ販売の接客、そして機械・設備を扱う技術職、ドライバーといった様々な仕事があります。必ず皆さんの個性が生きるフィールドがあるので、もし、エコアールの事業に興味持った方がいればぜひ!(笑)
環境のために、 社会のために、 挑戦を続ける
株式会社エコアール
総務部本部長 笠原怜士郎
今回取材させていただいたのは新卒入社から10年、若くして総務部の本部長を担う笠原さんだ。学生時代から環境ビジネスに対して強い想いを抱いていた笠原さんは、大学教授のつながりでエコアールという会社を知り、工場見学に行った際、現場や石井社長から自分の思いが一致すると確信し、その場で入社を決意したという。入社後は、各部署で事業のイロハを学び、先代社長のときから厚く信頼されていた経理を担うベテラン管理者の後任として総務全般に携わった。環境ビジネスに憧れ入社し、今はそのビジネスを支える会社の人づくり、組織づくりの面で活躍する笠原さんに、同社の魅力を語っていただいた。
伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
“社会への貢献”それが叶う会社に
「社会から必要とされる会社だと思った」というのが、学生の笠原さんからみたエコアールの印象であったという。大学時代は経営学を専攻していて、その中で環境経営学を学んだことで、リサイクル業界を中心に就職活動を行っていた。「環境に貢献することは、社会にも貢献することにも繋がると思います。リサイクル業界なら社会貢献を直接感じられると思い、希望業界にしていました」と当時を振り返る。石井社長と大学教授のつながりがあり、エコアールという会社の紹介を受けた笠原さんは、当時東京に住んでいたが、実際に足利市の同社に出向き、石井社長から業界への思いや社会貢献度の大きさなどの説明を受け、自分がやりたいことをまさしく体現している会社だと確信し、その場で入社を決定した。入社して2年半、販売部の仕事を経験したのち、総務部へ移動。経理、許認可申請、ISO、人事労務など、幅広く業務に携わりながら、管理部門全体の統括を任せられる存在となり、会社の基盤を支えている石井社長の懐刀だ。
会社の重要なポジションを担う
「私が入社した時、経理を統括している方の定年が近くて後任となる人が必要でした」と入社当時を振り返る。管理部門の業務、特に経理などは未経験であったが「会社の資金繰りや状態を正確に伝える必要があるので、非常に重要なポジションだなと感じています。その責任というかプレッシャーはありますが、やりがいも大きいですね」と話す。現在の役職は総務部本部長。入社してから、わずか10年で会社を支える重要な役割を担っている。その根幹に何事にも真摯に向き合う笠原さんの仕事の基本姿勢があり、また会社としては若手にもチャンスを与える考え方と環境がある。わからないことがあれば、素直に上司に相談し“わかる”だけでなく“吸収する”ことを意識したという。この姿勢が、笠原さんにとって未知な仕事でも、どんどん取り入れることで、いつしかプレーヤーからリーダーとなり、今では本部長として会社の重要なポジションを担っている。「これからはもっと人も増えていきますし、各部署のリーダーも成長していかなければいけない。働く人の成長や頑張りを評価できる環境づくりが今のやりがいですね!」と明るく語った。
車の最大付加価値化を目指し、連携を図る
笠原さんは、総務部の立場で、エコアール全体の連携を目指している。それは部門間で良いパイプ役を担うことだ。「部門ごとにばらつきがあると、スムーズに物事が回りません」と話し笠原さんは特に重要な役割と考え、力を入れている。同社には部門横断レビュー会というものがあり、各部門ごとの目標に対して現状の成果や課題を共有する。参加者はその課題に対して他部署として助けられることなどを話し合うというものだ。こうして自社の技術や品質・納期など仕事の質を高め、車一台ごとの最大付加価値化の実現を支えている。笠原さんは総務部として、事業全体の縁の下の力持ちとなって、未来の会社をつくる人材の採用、社員の個性を磨き、発揮するための教育、そして社員が成長し、頑張りが報われる人事制度の構築に力を注ぐ。「3年ほどたって少しずつ成果を実感できていますが、これからも常に進化させていきますよ!」と語る。組織の進化はゴールがない。この中心に笠原さんが存在している。



エコアール、そして石井社長の魅力とは
エコアールの良いところを教えて下さい!
キャリアや評価制度など「自分がどう成長できるかがわかる」といった会社の仕組みが明確になっていることですね。それが、社員のモチベーションややりがいにも繋がっているところだと思います。具体的には、役職ごとにエコアールが求めるもの、期待するものが決まっており、その期待に対して、どれぐらいできたか、というのをきちんと評価をします。そして半期に1回上司と面談を行い、足りていないことや成長するために必要なことを話しあう機会をもっています。社員は会社から期待されていることとその結果をきちんと評価しています。こうして成長できるフィールドをつくるとともに、生涯働ける、キャリアと福利厚生面を時間をかけて、理想のイメージで作りました。この点は石井社長が考える従業員満足の環境は整備できたと思っています。
石井社長はどんな人ですか?
カッコいい人です(笑)。最初に会ったときから印象は変わっていないです。立ち居振る舞いなど、常にジェントルマンな感じで、男性から見ても女性から見ても紳士的でカッコいい人です。あと、挑戦を続ける人ですね。エコアールとしても、社会環境の変化に対応して様々なことに挑戦してますし、社員にも常に「失敗なんて大したことない」と言っているのを耳にするので、社員もアグレッシブにあらゆることに挑戦できているのは、社長のおかげだと思います。社員が直接、社長に会社の新しい施策をプレゼンする機会もあります。なにより社長自身も挑戦するし、社員の挑戦も後押しするので、企業にありがちな「すごい社長に引っ張られて、逆に社員の主体性が薄れる」という現象が起きない点ですね。まだ若いのに、既に次世代の組織づくりにチャレンジしています。
どんな人に入社して欲しいですか?
「長く働きたい!」と思ってくれる人ですね!エコアールの想いに共感して会社の10年後、20年後を支える人を採用していきたいです。現時点でのスキルも大事ですが、会社の考え方に関してミスマッチが生じて早期に退職するとなるとお互い良い思いはしないので、会社の想いを伝え、そこに共感できるか、という点は非常に重要な要素ですね。あとは、挑戦できる人。失敗を恐れずに挑戦できることは当社ではかなり大事になります。そして挑戦する中でも、既存のやり方を常に疑って、新しいやり方を模索できる人なんて最高ですね(笑)。自動車業界は、燃料の面では大きく変わりますが、人が生活する中で自動車そのものは、変わらず必要だし、進化し続けると思います。その進化で生まれる新しいニーズにこれまでにない視点で挑戦していって欲しいですね。
創業年(設立年)
1964年
事業内容
自動車中古部品販売
使用済自動車のスクラップ処理
所在地
栃木県足利市久保田町838-1
資本金
1000万円
従業員
130名
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監修企業からのコメント
エコアールが大事にする”車一台に対する最大付加価値化”この意味がひしひしと伝わる時間となりました。現状に満足することなく、更なる付加価値を求め、挑戦を続ける同社の活動に目が離せません。
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