株式会社小田原魚市場
代表取締役社長 米山典行
神奈川県西部に位置する相模湾。小田原の麓に位置するこの地は、箱根・丹沢の豊かな森からの豊富な養分が海に注がれる豊かな土壌に恵まれる。また日本三大深湾の一つと知られ、小田原のすぐ沖でも水深1000m以上にもなる深海と繋がる地形と、黒潮・親潮の流れにも恵まれ、日本の海産生物の宝庫として知られる。なんと日本の約4割の魚種が相模湾で見られる程だ。その相模湾の魚を取り扱い、108年の歴史を持つ企業が今回取材を行った小田原魚市場。この地ならではの環境を活かしながら、新鮮な魚を届けてきた同社の、誇り、そしてこれからの想いを伺った。
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
買受人・漁師の双方に貢献していく
創立当初から、数多くの種類の地元の新鮮な魚を届けてきた同社。約1000種類もの魚を取り扱う朝の市場は活気に溢れ、賑わいを見せる。この品揃え、そしてその日採った魚をその日に買い取れる小田原魚市場は、地元の専門店、スーパーなどからの多くの買受人にとって非常に魅力的な市場。100年以上にも渡り、神奈川県西部の台所として栄えた。また、それだけ豊かな魚が採れるのは地元の漁師の協力があってこそ。「地元の漁師さんのお陰で新鮮な魚を揃えられますから、この地で一緒に成長をしていきたいです」と社長も語るように地元の漁師を大切にしながら共に繁栄を目指すのが同社の姿勢。買受人にとって魅力的な市場であるとと共に、漁師と共に成長をしていく。関わる全ての人達とお互いに良い関係を築きながら、この漁場を盛り上げていくのが小田原魚市場の在り方である。
その日採れた新鮮な魚をお届け
小田原魚市場の魅力は何と言っても地元の新鮮な魚を新鮮なまま届けられること。そして地元小田原だけではなく、東京の築地市場にもその日採った魚をその日に届けられることは他にはない強みである。「やっぱり、1日経ったものと、その日採ったものとでは鮮度も味も全然違いますよ」と自慢げに語る社長が誇らしい。実は鮮度にこだわる、お客さんほど、この1日の差は大きな差となる。生で食べる刺身はもちろんのこと、素材の味を生かすも殺すも鮮度次第。実際にその日採れたものと、1日経ったものとでは、明らかに味は異なる。それ故に、その日採れる新鮮な魚を欲して魚市場を訪れる人は数多い。「東京に近い、小田原の地の利もありますよね。この強みはこれからも生かして磨いていかなければいけません」ぜひ、魚市場で採れる魚を味わってもらい、その違いを堪能してもらいたい。
地元との協力で自然な地産地消
「神奈川の魚を扱う会社として、この地を守りながら、うちの良さを生かしていきたいよね」と語る同社の社長。近年、世界的な魚ブームもあり、魚の需要は上昇。一方で乱獲もあり、全体を見れば漁獲量が減っている。そういった流れに対して、神奈川では、漁業者が数年も前から、稚魚の放流活動などを通じて地元の魚を守る動きを続けている。「美味しいものを食べたいなら天然に越したことはないからね」と社長が語るように同社ではこういった地元の魚を守る動きにも力を入れていく。また単に魚を卸す業者となるのではなく、様々な提案や漁業者とのネットワークを生かした、付加価値づくりにも力を入れる。「いつも同じ魚を並べるのではなくて、こういうのもどうですかって、提案したりしていく動きが大切です。そうやって地元になくてはならない存在になっていきたいです」相模湾の自然を守り、付加価値をつけて発信する。同社の未来が楽しみだ。



米山社長に伺う、これからの時代に向けた心構え
-歴史のある企業だからこその、これから大事にしていくことは何でしょうか
108年の歴史はありますけども、時代の流れで浮き沈みはありますね。その変化に、どう対応するのか考えることが何より大切です。もともと、地元の名士が代々社長を務めておりまして、「良きに計らえ」という時代もありました。ですが、時代の流れとともに、物流も発展し、市場というビジネスモデルもただ横から横に流すだけでは生き残れない時代になっています。だからこそ、改めてこの市場というビジネスモデルの価値は何なのか、お客様にどうやって満足をつくっていけば良いか、と考えていくことが大切ですし、そのために社員1人ひとりが創意工夫を行うことが会社の発展につながると思います。時代の流れを読みながら、流されるのではなく自分達の価値をつくっていくことが何より大切であると思います。
―社長が日々、意識している、大切にしている考えを教えてください
新しい変化をつくるべきところはつくること、守るべきことは守ること、です。 例えば機械設備を新しくしたからと言って何でも良くなるかと言えばそれば違いますよ。機械を新しくしても、きちんと整備するとか衛生を保つとか、当たり前の姿勢があって初めて利益に繋がると思います。例え、機械を購入しても、大切にするべき姿勢を疎かにしてしまっては元も子もありません。品質の問題であったり、食品偽装の問題など様々なニュースが巷を騒がせておりますように信頼は一瞬で失われますからね。そういった当たり前のことをしっかりと守っていくことがこれからもまた大切なことであると思いますし、その社員への徹底を日々意識しています。
―次の100年のために、社員に伝えたいことを教えてください
社員が一丸となって動いていくことが、土台として必要です。例えば昔は、地元の近海担当と遠海担当とで会社の組織を分けていました。ですが、それでは天候などの問題で、近海には漁に行けない時には近海の担当は何もせず天気が良くなるのを待つことになります。近海の担当が動けなければ、遠海の担当を助けにいくなど動けば良いのですが、会社全体としてもの凄く無駄を生みますよね。だから、そういった区分けは取っ払いましたね。1つの部署として最適な動きを心掛けてもらうことは必要ですが、大前提として、会社全体の生産性の最大化を心掛けてもらうことが大切です。こういった組織的な区分けはもちろんのこと、一人ひとりが会社のためにお互いに何をすべきか、と考え行動すれば、より一層に強い会社になるはずです。
きめ細やかな対応で この市場ならではのおいしさを届ける
株式会社小田原魚市場
鮮魚部 大物課 課長 宮脇智幸
現在、冷凍マグロやカジキを扱う大物課に所属する若手社員の宮脇さん。もともと別の水産会社で3年働き、小田原魚市場には入社してから7年の時が経つ。その宮脇さんは小さい頃から、寿司職人に憧れ、学生時代には鮮魚売場でアルバイト、そして社会人になってからも魚に携わり続けている。そこまで宮脇さんを惹き付けて止まない魚の魅力とは一体何なのか。今回は魚をこよなく愛する宮脇さんの日々感じる小田原魚市場で働くやりがい、そして宮脇さんの夢を伺うことを通じて、小田原魚市場ならではの魅力をお伝えしていきます。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
元で魚に携わる仕事がしたい
『実は小さい頃から寿司屋に憧れていて職人がテキパキ裁いていく姿が格好良いなって思っていましたね』と語る宮脇さん。学生時代には大手スーパーの鮮魚売場のアルバイトをするなど働く前から、魚に親近感を持っていたという。大学卒業後には、気仙沼の水産の会社に入り、3年間努めた後に知り合いからの話を聞いて同社へ入社。『地元で一番大きい会社と聞いて入りましたね』神奈川県の魚を取り扱う同社に入社し、7年が経った。子供の頃の憧れである寿司職人とは携わり方は異なるものの、現在は大物課に所属し、冷凍マグロやカジキを扱いながら魚に携わる同じプロとして日々の仕事に努める。『魚が好きなので、これからも魚に携わってやりたいですよね』好きこそものの上手なれ。魚をこよなく愛する宮脇さんのような方には理想の環境だ。
魚に携わるプロとしての成長
数字が伸びている時、そして目利き通りに魚が売れた時をやりがいと感じる宮脇さん。 『僕らの仕事って一人ひとりが個人事業主みたいなもので、裁量を結構任せていただけまして、小田原のマグロと言えば格好良く言えば私という形になりますから』と宮脇さんが語るように、一人ひとりに大きな責任を持たせ、売上・利益の目標だけでなく、取引きや販売量・値段に至まで多くの裁量も任せれ責任感高く仕事を行っている。 『あとは目利きですよね。良いなって思った魚が考えていた通りに売れた時が嬉しいです』と宮脇さん。担当するマグロなどの大物魚類の目利きは難しく、「まだまだ初心者です」と話すものの、自分自身の魚を見る目が日々磨かれていくことに、やりがいを感じているそうだ。 数字、そして目利き。どちらも魚に携わるプロとしての指標。1人のプロとしての成長を日々楽しんでいる様子が伝わってくる。
一個人として成し遂げたいこと、会社で実現したいこと
「個人的な夢としてはマグロを最初から最後まで卸せる人になりたいですね。格好いいなって思うんです」と話す宮脇さん。子供の頃からの夢でもあるが、水揚げされた魚を見て、自身で目利きし、また自分でも裁ける、というように魚に関する最初から最後までできるようになりたいそうだ。「マグロの解体ショーとかできる人ってすごいなって思いますので」と一個人としての想いを語る。 一方で会社で働く中での夢はと伺うと「もっと会社が大きくなって相模原や平塚、藤沢などの東側まで小田原魚市場を介してやるってことにしていきたいですね。そしてお客様に築地とかで買うよりも小田原で買いたいと思っていただきたいです」と語ってくださった。 神奈川県の魚は、小田原魚市場が一手に任され、また他の地域からも「小田原で買いたい」と言っていただけるように、仕事の対応力を磨いていく。 夢を胸に抱きながら日々の仕事に向き合っていく。宮脇さんのこれからが楽しみである。



社員一丸となって、小田原魚市場ならではの新鮮な魚を届ける
-仕事の中で日々意識していることを教えてください
要望の1つひとつに誠実に応えていくことですね。例えばお客様から要望をいただいた時に、どうしてもその商品がない時ってあると思うんです。それでも、単に「ありません」と答えるのではなくて、どうにかして見つけ出すことや、他にオススメのものを提案したりすることが大切であると思いますし、少なくともそういった姿勢を見せることが肝であると思います。 また、その場その場だけではなくて、日々、仕入れ先さんから今どんな魚があるのか情報を仕入れておいたり、きちんと関係性を築いて良い魚を提供してもらえるようにすることもまた大切です。市場の仕事は自分達だけでできる仕事ではないので、関係する方々に対して、誠実に接していくこと、そうやって良い関係性をつくることを日々心掛けています。
―小田原魚市場の売り
やっぱり新鮮さが何よりの売りであると思います。その日に採れた魚を、その日に提供できることは関東の他の市場ではなかなかない小田原魚市場ならではの強みですね。例えば、スーパーさんとかが買ってくださりますが、朝採れた魚が直接行くので魚臭くないですし、新鮮さを求めてお客様が来てくださりますよね。 他にも、港に近い飲食店さんは1回来ただけで何でも揃うことを評価してくださっているように感じます。日本有数の魚の種類を誇るこの地の海ですから、市場に来れば何でも揃います。そういった魚の種類の豊富さも売りですね。 本社の近くでは、新鮮でかつ沢山の魚が揃う小田原魚市場の魚を食べることもできるので、ぜひ、一度来て味わってください。
―これからの会社のために大切なこと
会社として良い仕事をしていくためにも部門ごとに連携を取って、お互いに支え合う、相乗効果を生んでいくことが大切であると思います。お客様に対して、単に良い魚を提供する、単に多くの種類の魚を提供するだけではなかなか満足をしてもらえる時代ではないと思います。そういったことはもちろんのこと、きめ細やかな対応をしていくことが、これからの時代で大切であると思います。そのためには一人ひとりの力だけでは情報量であったり、自分の担当外はどうしても分からないことなどありますから、社員全員でお客様に応えていくことが大切であると思います。「小田原魚市場ならやってくれる」と言っていただけるように、一丸となって応えていきたいですね。
創業年(設立年)
1907年
事業内容
水産物全般、冷凍食品及びその他加工品の卸売 前記に附帯する冷蔵、製氷、その他の業務
所在地
神奈川県 小田原市早川1-10-1
資本金
9,000万円
従業員
59名
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